ウォーミングアップの意味と10の実践方法をトレーナーが解説

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僕は学生時代野球をしてきましたが、そのときウォーミングアップに抱いていたイメージは、身体をならす程度にしか捉えていませんでした。

正直、ウォーミングアップは適当にやるものと思っている選手もいると思いますが、実は適切にウォーミングアップができると身体の動かしやすさが全く別物になるんですね。

もしかすると、その効果を実感していないからウォーミングアップの重要性が見えづらくなっているかもしれません。

そこで、今回はウォーミングアップの意味や実践方法をトレーナーの僕が解説していきたいと思います。

 

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ウォーミングアップとは

いきなり実践する前に、少し頭の中を整理するために一緒にウォーミングアップの意味や目的、おさえておきたいことなどを見ていきますね。

ウォーミングアップの意味

ウォーミングアップ【warming-up】って聞き慣れた言葉ですが、そもそもどういう意味があるのでしょうか?

ウォーミングアップとは?ウォーミングアップとは、warm,up という言葉からなっていますが、それぞれ

  • warm・・・暖める
  • up・・・上げる

という意味があります。

つまり、ウォーミングアップとは、

身体を暖める、体温を上げる

という意味になります。

ウォーミングアップの目的

この言葉の意味からウォーミングアップの目的が見えてきますが、ウォーミングアップの目的は、

  • 身体、体温を温める
  • 反応を早くする
  • 身体を柔らかくする

などです。これらの目的を達成するためにウォーミングアップを行うんですね。では、どのようにして身体を温めていけばいいのでしょうか?

体温の上げ方

体温を上げる方法は、一般の方でもいろいろ思いつくかもしれませんね。例えば、

  • ランニング
  • ジョギング
  • バイク

など、こういった方法も体温を上げる方法の1つです。もちろんその他の方法も考えられますが、ここでふと気になるのは、

いずる
何を基準にどのくらいまで身体を温めればいいんだろう?

ということです。ランニングを3周するのか、5周するのか。それらはなぜその周数なのか?これって実は基準があるんですね。

その基準というのが、

心拍数

です。心拍数を上げることで筋温が上がり、筋温が上がると体温は上がります。そして、どこまで心拍数を上げればいいのかというと、

120拍/分

まで上げることです。そうすると、身体はポカポカ温かくなっていき汗ばんきて、結果身体が動かしやすい状況になるということなんですね。

さらに、心拍数を上げるということは、

心臓を上下に揺らすこと

なので、心臓を上下する運動を行い、心拍数を120拍まで上げれば体温は上がります。

つまり、心臓を上下する運動であれば心拍数は上げられるので、

  • 縄跳び
  • その場ジャンプ
  • おにごっこ
  • サッカー など

こういった方法でもいいわけなんですね。まずここで整理しておいてほしいことは、

  1. ウォーミングアップは体温を上げることを目的とする
  2. 体温を上げるためには、心臓を上下に揺らすこと
  3. 目安は120拍/分まで上げること
  4. そのための方法は何でもOK

ということになりますが、ここでさらに疑問に思うことが、

クライアント
心拍数120拍ってどうやって測ればいいの?

ということだと思うんですね。今は便利になって手軽に心拍数が測れる計測器みたいなものもありますが、もっと簡単に120拍がわかる方法があります。それが、

主観的運動強度

というものです。ちょっとわかりづらいと思うので、詳しく解説しますね。

主観的運動強度

まずは、こちらの表をご覧ください。

標 示 自覚度 強度 心拍数(拍/分)
20 もうだめ 100% 200
19 非常にきつい 93%
18 86% 180
17 かなりきつい 79%
16 72% 160
15 きつい 64%
14 57% 140
13 ややきつい 50%
12 43% 120
11 楽に感じる 36%
10 29% 100
かなり楽に感じる 21%
14% 80
非常に楽に感じる 7%
(安静) 0% 60

この表は、人が感じる主観的な感覚と心拍数の関係を表したものですが、先ほどウォーミングアップ時の目安は心拍数が120拍とお伝えしましたよね。

その目安を感覚で表すと、ややきついぐらいという感覚になるため、心臓を上下にする運動をややきついと感じるぐらいまで行うと適切に体温が上がるという目安ができます。

現場では、こういった感覚を目安としてはあはあドキドキするぐらいまで心拍数を上げると、体温が上がり、汗ばむ状態になります。

そこから次にお伝えする体操・ダイナミックストレッチに移ることになります。

ウォーミングアップ時に勧められない身体の温め方

ここで1つ理解しておいてほしいことがありますが、体温を上げることが目的であれば、

  • サウナ
  • お風呂
  • カイロ など

外部から身体を温めることも考えられますが、これらの方法はおすすめできません。

なぜならウォーミングアップは練習や試合前に行うものですよね。これらをすると、身体は温まりますが、疲労してしまうんですね。

疲労してしまうとベストな状態で次のことができなくなりますし、外部から温めるだけでは深部まで筋肉が温まりません。

ですので、ウォーミングアップ時は外部から温めるのではなく、身体を動かし心拍数を上げ、体温を上げることをおすすめします。

いずる
ここまで理解していただいたら、ここから実践方法をお伝えしますね。

 

実際に現場で行っているウォーミングアップの実践例

ここからは、具体的な実践方法をお伝えしていきますが、1つの例としてご覧くださいね。

本来目的やチーム状況によって内容が大きく変わりますが、野球選手に指導していた内容を例にご紹介していきます。

基本的な流れ

  1. 心拍数を上げ、身体を温める
  2. 体操(ダイナミックストレッチ)
  3. アジリティードリル
  4. バランストレーニング
  5. ダッシュメニュー
  6. クイックネストレーニング

今回はすべてお伝えできませんが、できる限りお伝えします。

ウォーミングアップのことについては、動画でも解説していますので、こちらも参考にしてくださいね。

それでは、実践にまいりましょう。

①心拍数を上げ、身体を温める

まず一番最初に行うことは、心拍数を上げて身体を温めることです。

これは先ほど詳しくお伝えした内容になりますが、今回はあえてその場でできる方法で心拍数を上げていきます。

いずる
意外に簡単に心拍数が上がることがわかると思うので、ぜひ実際にやってみてくださいね。

②体操(ダイナミックストレッチ)

身体が温まると、次に行うことは体操です。

体操(ダイナミックストレッチ)は基本的には上から下に向かって行っていきます。理由は脳が筋肉を支配しており、脳に近いところが緩むと下が緩みやすくなるからです。

体操のポイント

  • 気持ち良く身体を動かすこと
  • できるだけ疲れないように、ある意味で適当に動かすこと

ここからお伝えする体操は動画でも撮影しましたので、こちらも参考にしてくださいね。以下では、1つ1つ切り取って詳しく解説します。

肩関節の内外旋

手順

  1. 肩から腕がぶら下がっているようなイメージを持つ
  2. 肩を支点に腕を軽く内・外側へ軽く捻る
  3. 内外の動きで1回とし、20回行う

肩の内旋

肩の外旋

肩甲骨の内外転

手順

  1. 胸にしわをよせるように背中を丸める(肩甲骨の外転)
  2. 逆に胸を突き出すように胸を張る(肩甲骨の内転)
  3. 肩甲骨を離したり、近寄せたりする
  4. これを20回行う

肩甲骨の外転

肩甲骨の内転

前屈

手順

  1. 脚を肩幅に開き、軽く膝を曲げる
  2. そこから軽くバウンドをするように前屈を繰り返す
  3. これを20回行う

前屈

後屈

手順

  1. 脚を肩幅に開く
  2. へそを前に軽く突く出すようにリズムをつけて後屈する
  3. これを20回行う

後屈

側屈

手順

  1. 脚を肩幅に開く
  2. 骨盤をスライドさせるように真横にずらす
  3. その逆側に身体を倒し、小さくバウンドするように側屈する
  4. これを20回行う

側屈

回旋

手順

  1. 脚を肩幅に開く
  2. 片足に体重を乗せると同時に同じ方向に身体を軽く捻る
  3. これを20回行う

回旋

股関節の動き

手順

  1. 片足立ちになり、内側の踝をこするようにくの字に脚を動かす
  2. 脚が前のときはつま先を外へ
  3. 脚が後ろのときはつま先を内側に向けるように動かす
  4. これを20回行う

股関節の屈曲

股関節の伸展

股関節の内外転

手順

  1. 脚を肩幅に開く
  2. 左右に脚をスイングし、股関節が緊張しない程度に動かす
  3. これを20回行う

股関節の内転

股関節の外転

蹲踞(そんきょ)

手順

  1. 股割りができるぐらいに脚を開く
  2. 膝とつま先が同じ方向を向くように股割りを行う
  3. このとき体重を足裏全体に乗せておく
  4. この状態で小さく50回バウンドをする

蹲踞

伸脚

手順

  1. 股割りができるぐらいに足幅を開く
  2. 片側に体重をかける
  3. 踵が浮かない状態で伸脚を行う
  4. その状態で小さくバウンドを20回行い、反対側も行う

伸脚

僕が野球選手に指導するときは、この体操が基本の内容になりここから競技によってより専門的な体操を加えるという流れですね。

こういった体操(ダイナミックストレッチ)ができると、次はアジリティドリルやバランストレーニングに移行していきます。

③バランストレーニング

ウォーミングアップの中にバランストレーニングを加えていますが、一般的にバランストレーニングを行うときは、

不安定な足場に立ってバランスをとる

ということがされますが、野球などのスポーツ選手は、

平らな地面にバランスよく立てる能力

が求められるため、以下のようにジャンプをして足裏全体で着地を繰り返していきます。足裏全体で着地ができると、バランス良く立ちやすくなるため、これをウォーミングアップの中に組み込んでいます。

手順

  1. 脚を肩幅に開き、つま先を少し開く
  2. 足裏全体に体重を乗せる
  3. その場でジャンプし、足裏全体で着地をする
  4. そして、それができたら10cm感覚で前に進みながら足裏全体での着地を繰り返す

基本的にはこのような動きにバリエーションを加え、両足→片足→交互というように繰り返していきます。これができると、次はダッシュ系に入っていきますが、今回はクイックネストレーニングをご紹介しますね。

④クイックネストレーニング

クイックネストレーニングの目的は、筋肉の最大収縮速度を維持するということで、脚が速く動くように筋肉に刺激を与えていきます。

方法としては、このようなステップワークであったり、ラダートレーニングがこのクイックネストレーニングにあたりますね。

詳しい内容は、「敏捷性(アジリティ)と俊敏性(クイックネス)の意味とトレーニング方法」で解説しているので、参考にしてみてくださいね。

この一連の流れが実際現場で行っているウォーミングアップであり、少し解説しきれていないところもありますが、この通りに実践していただくと、身体の軽さや動きやすさを実感していただけると思います。

ここまでお伝えした内容がベースではありますが、たださまざまな条件によって内容を変更させないと対応ができないケースがあるので、続いては考慮することを解説しますね。

 

ウォーミングアップのメニューを変更する条件

ここまでお伝えした内容は、基本的には1人で行う用に作成していますが、どうしてもできない状況が出てくると思うんですね。そういったときにどのように変更すればいいのか、どういう要因でメニューを変更するべきかを解説します。

人数が多い

チームスポーツの場合、多いときで100人単位でウォーミングアップを行うこともあると思うんですね。そんなときって、半径50cm以内でしないといけないケースが出てくるかもしれません。

こんな場合に体温を上げる方法=ランニングという発想であればかなり場所がとられてしまいますよね。

そんなときはその場でジャンプをして、そのバリエーションを増やすと対応ができますし、その他のメニューもその場でできるメニューに変更させていきます。

環境(グランド状況や冷暖房の有無など)

本来であればグランドでウォーミングアップを行っているけども、雨が降ってグランドが使えない。そんなときは、体育館やその他でウォーミングアップを行える環境で行う必要がありますよね。

そんなときにどのようなメニューができるのかを判断して内容を変更させる必要があります。

また、室内の場合冷暖房の有無によって、服装や内容、時間や量を調節し、特に冬場であれば身体が冷えてしまわないように厚着をする必要も出てきます。

こういう環境面によってもウォーミングアップの内容を変える必要が出てきます。

時間(練習前 or 試合前)

ウォーミングアップを行うのが、練習前なのか、それとも試合前なのか。それによっても内容は変わってきますし、量も変わる可能性があります。

練習のウォーミングアップではトレーニングを含めて効率よく時間を使うことも考えられますが、試合前であればできるだけ身体は動かしやすい状況にしつつ、疲労させないようにする必要が出てくるんですね。

こういったウォーミングアップに使える時間がどれぐらいあるのかによっても、内容を変更させる必要が出てきます。

気温・季節

これは環境のところと似ていますが、冬の寒い季節になれば当然身体は冷えますよね。その分身体を温めるまでに時間がかかり、量も増やす必要が出てきます。

また、寒い風が吹く中でゆっくりウォーミングアップを行っていると、身体は冷えてしまい、得たい効果を得ることができない。

身体を温めたらそのまま風の当たらない室内でウォーミングアップをすることも適切な判断だと思います。

逆に夏であれば、日差しがきつい中でウォーミングアップをすると疲労してしまうため、日陰で行うことも考慮するべきことだと思うんですね。

このようにウォーミングアップを行うときの気温・季節によっても内容が大きく変える必要があるんですね。

 

ウォーミングアップ時の注意点

最後に、ウォーミングアップのときに行うストレッチについて覚えておいてほしいことがあるので、解説しますね。

静的なストレッチングはマイナスになる可能性がある

2010年9月号のトレーニングジャーナルに、ストレッチングに関する研究結果が掲載されていました。

その内容が、

30秒以上のスタティックストレッチングを行った場合に、筋力が低下したケースとしなかったケースがある

という内容です。

スタティックストレッチングというのは、以下のような止まった状態で行うストレッチングのことですね。

膝を曲げてストレッチング

大腿四頭筋のストレッチング

今回ご紹介したウォーミングアップの中でもご紹介しなかったと思いますが、こういったストレッチングは30秒以上行うと、筋力低下が起こる可能性があるんですね。

だけど、逆にプラスになる可能性はないそうです。ですので、あえてリスクを背負ってまでやる必要はないと考えています。

あまりに筋肉が緊張し、張っているのであれば行うこともありだと思いますが、そのときは必ず30秒以下の短い時間で行うことをおすすめします。

いずる
これは大事なことなので、選手も覚えておいてくださいね。

 

まとめ:目的によってウォーミングアップの内容を変えよう

今回はウォーミングアップについてお伝えしてきました。

今回の記事をまとめ

  1. ウォーミングアップは、体温を上げる、反応を速くする目的がある
  2. 心拍数を120拍/分まで上げ、軽く汗ばむぐらいまで体温を上げる
  3. ストレッチングをするのではなく体操で筋肉を緩め動きやすくする
  4. 季節や環境、年齢などによってメニューは変わる
  5. 完璧なメニューは存在せず、柔軟に考え行うこと

ウォーミングアップは、ただランニングをしてストレッチをして練習に入るというような簡単な作業ではなく、ひとつひとつに意味があります。

なぜグランドを5周走るのか、どのくらい走れば適切かなど理解していただけたかなと思います。

今回の内容を少しでも現場で取り入れていただくと嬉しく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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