4月16日(木)にいつもご教授いただいている、魚住廣信先生のところへ行き個人教授を受けてきました。先生の基で学ばせていただくようになってから5年あまり。毎回のように学ぶことが多いわけですが、今回の個人教授も現場での気づきをもとに学ばせていただきました。
魚住廣信先生について
H.S.S.RプログラムスのHPのプロフィールよりご覧ください。
いかに“わかっているつもり”が多いかを実感し、頭の整理をすることができました。
今日はこの内容をまとめていきたいと思います。
[clink url=”http://izuru-style.co.jp/hssr-running”]
[clink url=”http://izuru-style.co.jp/uozumi-study”]
Contents
魚住廣信先生より今回学んだ内容
今回は、ラクロスのことを中心に学ばせていただきました。その内容はこちらです。
- 前十字靭帯再建術後の対応について(リコンディショニング)
- 捻挫を繰り返す選手への対応とテーピング
- 野球選手の体重と球速の関係
- ラクロスのディフェンス、シュート動作について
- フラット着地、踵重心にするためのエクササイズ
- ランニング動作
- 上半身の身体調整テクニックの確認
- 小趾の変形の改善について
このような内容を中心に教わりました。
リコンディショニングについて
先日、クライアントさんの一人である野球選手が前十字靭帯を損傷し、手術をしました。術後1ヶ月が経過をしており、現在の状況と合わせてアドバイスをいただきました。
リコンディショニング【Reconditioning】とは、コンディショニングレベルを元に戻すことを指していますが、トレーナーである自分の立場ではリハビリ【Rehabilitation】という言葉を使うことができません。
リコンディショニングを知る上ではこの言葉の前に、コンディショニングという言葉を理解しないといけません。コンディショニングとは、以下の図のようなことを指しています。
その日の調子を指すものとして認識されることの多いコンディショニングですが、それだけではなく、上記のような5つのことを指します。
また身体的コンディショニングとは、バイオモーターアビリティのことを指し、それが以下のようなことになります。
手術などをし、患部をギブスなどで固定すると、筋力が下がり、持久力も下がり、柔軟性も下がってきます。このようにケガをすると身体的コンディショニングが低下をするため、これらの体力要素を元の状態、またはそれ以上に回復させることが必要となります。
これがリコンディショニングになります。コンディショニングを元の状態に直すこと、という意味になります。
術後の対応をどのように考えればいいのか?
この選手の場合、大腿部から下腿にかけての浮腫が改善できておらず、患側が腫れていました。手術の内容は、半月板の縫合も行われ、前十字靭帯再建術を受けました。手術内容は、半腱様筋と薄筋の腱を使い、前十字靭帯の再建を行い、内視鏡にて行われました。
まず、浮腫について考えることは、なぜ腫れているのか、その原因を考えることです。
浮腫は股関節より下の位置で出ているため、リンパの流れが確保できていないためその確保をする必要があります。リンパの流れを確保するために、リンパテクニックを行い鼠蹊部、膝窩、改善を図ります。
また、半月板の縫合や再建術を行っているため、膝関節に垂直にかかる負荷をかけると半月板や靭帯に負担がかかり、回復が遅れる可能性があるため、このような場合、体重負荷を制限する必要があります。
組織の再生は、トレーナーではわからず、医師の判断を仰ぎ、回復の程度を見ながらリコンディショニングに入るため、この情報を共有が重要となります。回復の目安とすれば、約4~6週間、場合によっては6~8週間程度となり、自然再生を待つためその期間は安静にする必要があるそうです。
痛みがなくても再生を待たないといけないそうで、痛みがないからといって体重負荷をかけることで回復が遅れる可能性があるそうです。
膝に水が溜まるのと、浮腫は別物
足首の捻挫をすれば、足関節周囲は腫れます。またこれとは別で膝が痛み、何かしらの影響で水が溜まるということをいいますが、両者は同じ“腫れ”ですが、内容は別物であるとのこと。
捻挫をして腫れている場合、そこにはドブのヘドロのようなものである老廃物が溜まっています。これは循環が悪いために起こり、取り除く必要があります。
一方、膝に水が溜まって腫れるというのは、この場合腫れの原因は潤滑液が分泌され、腫れるそうですが、潤滑液というのは自転車でいう油のようなもので、チェーンが錆びてカリカリならないように潤滑させるためのものです。
骨同士が滑らかに動くために分泌されるもので、これは本来は抜いたりするのは考える必要があるそうです。このように同じ“腫れ”のようですが、それぞれの内容は異なるそうです。
浮腫の改善はどのように行えばいいのか?
選手のように浮腫が出ている場合、可動域が制限されることが多くなるため、改善が必要です。そのためには以下のような方法で改善を図ります。
- クライオセラピー
- リンパテクニック
- バンテージを巻く
最後のバンテージについては、膝周囲に軽い圧を加えるようなものを巻くことで、患部の浮腫が軽減できるそうで、圧が加わることでそこに浮腫が出るのを防ぎ、このようなものを活用することも大切だそうです。
できることを的確に見極める
再建術や半月板損傷があるため、立位での体重負荷を加えることが避けるということですが、半月板などにストレスをかけないようにすれば、筋肉への刺激はできます。そのため、座った状態などで、筋力の回復を行っていきます。
膝を手術していますので、大腿部の筋力が低下していきますが、一般的にはこのとき膝関節を動かそうとして、レッグエクステンションやレッグーカールなどが行われます。
しかし先生から教わったエクササイズは、ラバーバンドを足部や膝にかけ、股関節の動きを使って大腿部の筋肉に刺激を加えていきました。ここでも感じたことですが、教科書的なことではなく、頭を柔軟にすることでより効率的にエクササイズをすることができるということです。
少しラバーバンドの位置を変えるだけで刺激が変わったり、リズムを変えるだけでも刺激が変化します。レッグエクステンションなどは、前十字靭帯を損傷しテイル場合、膝関節の動かせる角度が決まっているため注意も必要です。
リコンディショニングについての質問をしましたが、これまで考えていたこととは考え方も変わり、状態を把握することの大切さ、なぜ浮腫があるのか、なぜ腫れているのか、それらの原因をきちんを見極めることが重要だと改めて感じました。
捻挫を繰り返す選手への対応について
ラクロス部の選手の中には、捻挫を繰り返す選手がいます。その選手についてはフラット着地や多方向への重心移動を繰り返していましたが、捻挫してしまうことがありました。
捻挫は、3つのレベルに分けられます。
- 慢性捻挫(軽度)・・・靭帯が伸びてしまったままになる。(この場合靭帯は役立たない)
- 部分断裂(中度)・・・靭帯の一部が切れる。
- 完全断裂(高度)・・・靭帯が完全に切れる。手術によって修復される。
1、の場合、繰り返し捻挫を行う可能性があり、これは捻挫をしやすい足の使い方をしていることが多くあります。またその他の原因として、スパイクやシューズが外側に変形していたり、内股のような選手も捻挫をしやすくなります。
これらの対応については、フラット着地の指導をすること、靴などが原因の場合はそれらを変えること、そして日頃からフラット着地を理解させるためには、テーピングを活用して踵重心にさせること。
選手でも簡単にヒールロックができるように簡易なテーピングを教わり、これによって踵重心を認識しやすいようにしていきます。
実際に巻いた状態で動いてみましたが、踵を認識しやすく、踵重心になるとお尻の付け根に刺激が来るため、これを選手には理解させることも重要になります。
基本的には身体の使い方に問題があるため、教わったことを現場でも活かしていきたいと思います。
ラクロスの動きについてのアドバイス
ラクロスの動きについては、多くの気づきがありましたが、先生が見られている視点がどこにあるのか、動きを見てどこをどのように改善していくのか、そのためにはどんな声かけや身体の動かし方をするのか、参考になることばかりでした。
神戸女子大学のラクロス部に帯同していますが、選手のほとんどが大学からラクロスを始めているため、動きの理解がない状態でスタートしています。
3・4回生になれば動きにも慣れ、動けてきますが、2回生についてはまだ動きが理解できていないところもあり、それぞれに対してアドバイスの仕方が変わってきます。
3回生のある選手のパス動作を見ていただきいただいたときのアドバイスですが、クロスの使い方、クロスが動く方向、ボールをキャッチしてからのパスを出すまでの間合い、手の使い方、ボールを出す方向などさまざまなところの改善点を言われました。
ラクロスというのは、360度さまざまな方向に動き、バスを出す、受けるなどはいろんな形で行うため決まったパターンというものがありません。そのため、これを練習中にも考えておかなければならず、このようなパスやキャッチ練習をするときはさまざまなパターンを練習する必要があります。
これがコオーディネーション能力であり、このバリエーションは発想と想像力を使って考えていきます。試合ではどんなパターンにも対応しなければならないため、決まった練習を続けても技術面の停滞や低下がみられるようになってしまいます。
- 逆手でキャッチしてみる
- 下からパスしてみる
- 後ろで受けてみる
- ワンバウンドでパスしてみる
- 地面のボールを拾う練習をしてみる
- 歩いてする
- ジョグしながらする
- 走ってする
- 速く
- 遅く
- ワンバウンド ・・・等
というようにいろんなバリエーションを考えて、さまざまな刺激として体感させることも大切になるとのことでした。このようなことを練習中から体感することで試合のときにも活きてくるということになります。
ディフェンスの動きについて
ディフェンスについては、相手をブロックするためにどのような形が一番力が入るのかを理解させること、体感させることが重要になります。そのために、以下のようなポイントをアドバイスいただきました。
- 肘の張り方
- 一番強いところを選手自身が探る
- つま先立ちになると浮く
- すり足で動く
- 重心を移動する
- 相手の動きを予想する
ディフェンスの動きの中で、上回生と2回生の違いが明らかになっており、2回生の場合オフェンスの動きに振り回され、相手を追うような形になってしまっていました。
このような場合、ただ動いているだけになっており、本人がどういう動きをしたらいいのかを確認する必要があり、ゆっくりやると動けるが動きが速すぎて動けていないのか、動きが理解できていないから動けないのか、そこを見極めなければいけません。
もし前者の場合はある意味仕方のないことであり、後者の場合はゆっくりとしたペースで動きを行い、理解させることが必要になります。そして相手の動きを予測して先回りするぐらいの意識を持つことも重要となります。
足の使い方もそうですが、つま先重心でディフェンスをすると身体が浮いているため、あたられるとすぐに飛ばされます。踵重心ですり足で動けるようにすることでより相手に当たり負けしないようになります。
この辺りも練習の中で指導していくことが必要となります。
シュート動作について
ラクロスはクロスを使ってシュートを打つわけですが、このクロスにテコの原理が働きます。そうすることで、勢いのあるボールをうつことができますが、 スイング動作が遅く、クロスを振り切れていない選手については以下のような改善をことをアドバイスいただきました。
- ワンバウンドでシュートする
- たたきつけるようなイメージでスイングをする
- 近くからシュートをする
- シュートの高さを調整してみる
- 遠投をさせてみる
クロスを振り切れていないためワンバウンドやたたきつけるようにスイングすることで、クロスを振り切れるようになります。そのためにこのようなことをさせるとのことで、いろんなバリエーションを持たせることで自分の一番合うフィーリングをつかませるということも目的として行わせるそうです。
さまざまな動きの中で一番自分に合うフィーリングをみつけることと、自分が動かしやすいフォームをみつけること。
このようなことでシュート動作を改善していくとアドバイスをいただき、アドバイスをいただきながらその様子をイメージしても選手の動きが改善する姿が想像できます。以前先生に言われたことですが、「目的に対して自分がやろうとしていることがイメージできることはうまくいくが、イメージできないものはうまくいかない。」という言葉は、現場での中でも大切にしていることです。
うまくいくかどうかは準備の段階でもある程度決まってくるものだと感じます。
身体調整テクニックのアドバイス
全体的に言えることですが、トレーニングや身体調整などすべてのものに対して現場にいると自分の思い込みがあったり、教わったものとは違う形に変化し、実践していることがあったり、抜けてしまっていることもあります。
それを自分の記憶だけを頼りにすると、方向がずれてしまうことがあります。
常にいろんなテクニックなどをひとつひとつ振り返り、確かめることも重要だということを言われ、実際に自分の課題に上がっていることの中には、聞き間違い、勘違いしていることも多く、個人教授ではそれらを確認し直す、見直す、テクニックを修正することの大切さを改めて痛感しました。
今でもわかっているつもりは多く、できているつもりになっていることもありますが、それらを気づき、修正し続けることでトレーナーとしてレベルアップをしていけると思っています。
この身体調整テクニックのアドバイスも以前、新身体調整テクニック習得コースでも学んだことですが、アドバイスをいただくと結果は当然違い、帰ってから現場で実践すると目的としている部位が緩み、明らかに変化しています。
このようにひとつひとつのテクニックを見直すことの重要性を改めて感じ、できているつもり、わかっているつもりになっていることを冷静に見つめられることも大切になると感じました。
今回の個人教授で感じたこと
毎回のセッションの中で課題は感じていますが、いかに原因をみつけられるか、そのためにクライアントさんの情報を徹底的に得ることが重要となります。そこから得られた情報の中にヒントがあり、そこから考えられる原因にアプローチすることで改善に近づくことができます。
○○をするから改善する、○○方法をすれば直るではなく、原因は何か、なぜ現状のような悩みを持ってしまうのか、この原因を追究すること、情報収集をすることにもっと時間をさかなくていけないと感じます。
また基礎的な知識がないがために、選択肢がなかったりすることがあり、リコンディショニングについては現場を通じてもっと現場からの結果を分析する必要があると感じます。
その他にもできないことももちろんですが、できていると感じていることでもまだまだ改善点が多く、できていると思うのではなく、それぞれのテクニックを向上させ質を上げ続けることも必要だと感じました。
それだけ難しい世界ではあると思いますが、こうやって先生から学べる時間は本当にいつも学びが多く、貴重な時間に感じています。
また今回教わったことを現場で実践し、結果をみていきたいと思います。
今日も長い文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。