
野球と言うスポーツは、どんなバッティングフォームであれ、タイミングが合いボールの真芯でボールを捉えることができればいい結果につながりやすい。
少しでもそのタイミングが崩されると野手の正面に打球が飛び、アウトになってしまう。野球を考えた人は本当に絶妙な距離に塁間を設定したなといつも感じます。
そんな打者では最も重要なひとつのタイミングですが、どうすればタイミングをとるのがうまくなるのでしょうか?それは、日頃の練習でさまざまなタイミングのパターンを経験させておくことです。
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どうすればタイミングをうまく合わせられるのか?
マウンド上にあるプレートからホームベースまでの距離は18.44m。客観的に見ると距離があるように感じますが、実際にマウンド、バッターボックスに入るとその世界は別世界へと変わります。
ものすごく近く感じたり、やけに遠く感じたり、その時々の状況によって変化しているように感じます。
この18.44mの距離から投手が投げるボールは約0.4秒という時間でキャッチャーのミットに到達すると言われています。この0.4秒という時間だけではなく、投手のモーションによってタイミングのとり方も変わってきます。
どんな投手が来てもその投手に合わせるように、自分でタイミングを計り、自分のポイントでボールを打つことが求められます。ただ、それは容易なことではありません。
タイミングを合わせるということは難しいことです。
うまくタイミングを合わせるためにはどうすればいいのでしょうか?それは日頃の練習の中で決まった球速、変化球、タイミングのとり方で、行い続けるとタイミングをとるのが苦手という選手は上達しません。
大切なことは、さまざまなタイミングのとり方を経験させておくことです。もうひとつ忘れてはいけないのが投手との駆け引きであり、読みです。
タイミングの話に移る前におさえておきたいこと
タイミングの前に、コーディネーションとコオーディネーションについて触れておく必要があります。簡単にお伝えするとこのような違いを捉えていただければいいかなと思います。
コーディネーションとは?
ひとつの動作パターンを習得、できるようにすること。
コオーディネーションとは?
予期しない動作パターン、動きを経験させておくこと。
この違いをおさえておくと、トレーニングを行う際に求めることが変わってきます。
コーディネーショントレーニングの例
例えば、キャッチボールをうまくなりたいとします。わかりやすく、10mの距離で捕ることがうまくなりたいという目的があるとします。
この捕るというひとつの動作を習得するためには、”できる” ステップを作ってあげます。
ステップ1 | 5mぐらいの距離でワンバンドでキャッチする。 |
ステップ2 | 5mぐらいの距離でノーバウンドでキャッチする。 |
ステップ3 | 10mぐらいの距離でノーバウンドでキャッチする。 |
ステップ4 | 10mぐらいの距離でノーバウンドでスピードボールをキャッチする。 |
このステップは簡単に作っただけのものですが、コーディネーショントレーニングは、このように目的とするひとつの動作パターンに対してできる、できる、できる、というようにステップを作り、習得させていきます。
コオーディネーショントレーニングの例
コオーディネーショントレーニングは、前提ができる、習得するということが目的ではありません。”経験させておく”ということが目的です。
ここが最も大きな違いになるので、最初にお伝えしておきたいと思います。
試合などはひとつの決まった動き、動作のみが行われることはほぼありません。ほとんどが複雑で、決まりきったパターンの動きではなく、予期しない動きばかりです。
野球に置き換えると、投手のフォームも異なれば、変化球の曲がり方も変わりますし、球速も違いさまざまな条件が異なります。
ですので、それに対応するために日頃からいくつもの動き、動作パターンを経験させて置くことで、咄嗟のときに対応できるようにする必要があります。
それがコオーディネーショントレーニングの目的になります。ですので、できるように繰り返す必要がなく、逆に慣れささないようにいくつものパターンを作り、行うことが重要となります。
これらを踏まえて、次に練習方法についてお伝えしていきたいと思います。
日頃行いたいタイミングを合わせるための練習方法について
現場で指導をしていても、タイミングのとり方などの問題がある選手がいて、その選手への指導で得られた成果をもとにご紹介したいと思います。
基本的には、タイミングのとり方については選手がとりやすい形でいいと思いますが、その中でもさまざまなパターンを作り出していきます。
1でスイングする
イメージとすれば、140km以上のスピードボールに対応するために、構えた位置から軸足に体重を乗せ一気にスイングする。
1、2でスイングする
上記と同じようなイメージですが、スライダーなど速めの変化球に合わせるようなイメージ。
1、2、3でスイングする
カーブなどの遅めの変化球を打つようなイメージでスイングする。
ストレートのタイミングで打ちに行ってスライダーが来る
ストレートのタイミングで打ちに行ってカーブが来る
ここまで5つほどご紹介していきましたが、このようなバリエーションを多く作ることです。そうすると咄嗟のときに対応できるようになります。
現場でもこれと同じようなことをいくつも作って選手に慣れささないように行ってもらっています。
こういったタイミングのとり方は素振りやティーでできるので、行っていますが、もうひとつタイミングとは少し異なりますが、変化球に対応できるように行っている練習があります。
それはさまざまなボールを使ってバッティングをすることです。次はボールを変えて行っている練習方法についてご紹介したいと思います。
練習に取り入れたいボールのさまざまなボールを使った練習方法について
今回は2つのご紹介したいと思いますが、ピン球と穴あきボールです。
この2つを用意して行っていきます。
ピン球を使った練習について
ピン球ですが、これは比較的近い距離から打者に向かって投げますが、空気抵抗で手元で小さく変化します。また風の影響も受けやすく、自分が予想しないような曲がり方をするため、変化球対策として良い練習になります。
手元で起こる小さな変化を経験させ、ハンドリングがうまくなるためには、非常に使いやすいアイテムになります。
ただし、このハンドリングを意識しすぎるとそれが通常のバッティングも出てきてしまう可能性があり、手打ちになってしまう可能性があります。この辺りは注意して練習を行う必要があります。
穴あきボールを使った練習について
穴あきボールについては、10~15mぐらいの距離からボールを投げてピン球と同じように予想もしない変化をするので、それは経験させていきます。
穴が開いている分、ピン球よりも急激に曲がったり、曲がりが大きくなります。
穴に指をかけて投げると自由自在に変化球も投げやすいですので、さまざまな球種を経験させるという意味でも非常に役立つアイテムだと思います。
これら2つを用いて行う練習もそうですし、この他にもさまざまなボールでバッティングをすることで、それも選手にとっては良い刺激となります。
投手とマシンでは得意、不得意がある
さて、ここまでタイミングのバリエーションや練習方法についてお伝えしていきましたが、続いては投手とマシンの違いについてお伝えしていきたいと思います。
バッティングをする中で、タイミングがズレていると感じる選手がいるとします。この選手が相手にしているのが、投手なのか、マシンなのかによってタイミングのとり方が異なります。
現場で何度か経験しましたが、マシンでバッティングするのが不得意な選手がおり、この選手の場合はどうしてもマシンでバッティングをするとタイミングが合わないことがあります。
この場合、マシンではなく投手の手投げに変えるとタイミングが問題なくなることがあります。
このようなことから練習方法について、自分はどのタイプなのかを知っておく必要があります。もしマシンが不得意でタイミングが合わないのに、練習を続けてしまうといい結果につながりません。
投手にお願いをし、手投げでバッティングができるようにすれば問題はなくなります。
タイミングについて指導している時でも同じで、これを掴むことでマシンを使用するとうまくいかないので、投手にお願いをして投げ貰いながら指導すると結果が良くなることもあります。
このように実際に投手に投げてもらうのとマシンでバッティングをするのとでは、得意不得意があるということです。
バッティング練習時の球速について
これもよく質問を受けますので、お伝えしていきたいと思いますが、バッティング練習をするときの球速ですが、これは対応できる球速でバッティングをすることです。
球速が速いほどいいかといえばそうではありません。問題は、その球速に対応できるレベルかどうかということです。
マシンを使用する場合、ある程度球速が速くてもタイミングを合わせることができますが、そのとき問題になるのでフォームです。
球速に合わせようとして本来のフォームから崩れ手打ちになってしまったり、力でどうにかしようとして緊張してしまい、そのようなスイングを重ねるとそれが癖づきます。
そうすると本来のフォームが崩れてしまう可能性があります。
今の自分が気持ちよくバッティングできる球速が120kmだとすればそれの球速で行い、慣れくれば130kmに上げて、うまく打てないのであれば今はそこが課題となります。
バッティング時の球速は速い方がいいかどうかではありません。常に今の自分のレベルに合わせることが重要です。
まとめ
今回は、野球選手にお伝えしたいタイミングについてまとめていきましたが、いかがでしょうか?
タイミングをとるのがうまくなるだけで、これまでと違ったパフォーマンスを発揮することができるようになると思いますが、すべて日頃の鍛錬が試合の結果として現れてくると思います。
今日の記事が日頃の練習の中で参考になればうれしく思います。
では最後に今日のまとめをお伝えしていきたいと思います。
- タイミングのとり方に決まった形はない
- ひとつのパターンだけ練習しても試合では対応しきれない
- 練習時にさまざまなパターンのタイミングのとり方を経験させる
- ボールも工夫し、さまざまな変化球も経験させる
- すべてできることが目的ではなく、経験させることが目的
- これらを練習時に経験させておくと試合の咄嗟のときに対応できるようになる
このような内容でお送りしていきました。
今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。