スイングスピード向上のためにはウエイトトレーニングではなくバットを振ること

先日、撮影していた野球選手がバッティングをしている動画を見ていると2年前よりも3年前よりも、スイングスピードの向上が見られ、打球の速さや飛距離などが伸びていることを実感しています。

選手もトレーニングやエクササイズ、打ち方の改善を重ねていく中で自分のバッティングが変わっていることを感じているそうです。

さまざまなことを試してはデータやビデオを撮らせてもらい、その結果を見ていますが、自分がやったことに対してフィードバックをすることで結果の出ているところと、出ていないところがわかり、自分の課題を見つけることができています。

このフィードバックと同時に自分の頭の中を整理でき、実際にこういうことをすればこのような結果が得られるんだなということが日々あり、毎日が改めて勉強だなと感じています。 さて、今日はスイングスピードの向上について書いていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

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ウエイトトレー二ング=技術が向上する?

野球というスポーツはパワー競技であり、よりスイングスピードを高めようと思うと筋力や、スピードが高ければよりスイングスピードをアップさせることが可能になります。

パワーは、筋力とスピードの積で求めることができ、筋力が向上しても、スピードが向上しても、また両者が向上してもパワーが向上するということになります。

パワー=筋力×スピード

よく雑誌など書かれていることですが、

  • ウエイトトレーニングで筋力を高めれば打球をより遠くへ飛ばせる。
  • ウエイトトレーニングをすればバッティングが向上する

などと言われることがありますが、ウエイトトレーニングをするからと言って技術が向上するわけでもなく、また打球がより遠くへ飛んでいくということでもありません。あくまでも技術の向上は練習をしなければうまくなりません。

コンディショニングの向上=技術の向上ということではなく、コンディショニングの向上はあくまでも土台であり、その上に技術や戦術があります。うまくなるためには練習だけしていればいいのかというとそうではありません。練習だけをしていればいつかは技術の向上が止まります。

なぜなら、基礎体力(コンディショニング)の上にスキル・技術があり、その上に戦術・戦略があります。うまくなるためには、練習をする必要がありますが、土台を大きくすることも必要です。

この土台が大きくなればなるほど、その上に積みあがるピラミッドを大きくすることができます。

土台が小さい上には大きなピラミッドができることはなく、土台である基礎体力(コンディショニング)の向上があり、その上に練習をすることでより高いレベルの技術を習得することができます。

ピラミッド

バッティングを良くしたい、より技術を向上させたいときは実際にボールを打って、練習をすることです。ウエイトトレーニング=技術の向上ではないということです。

ただ、ウエイトトレーニングのような筋トレをし、筋力が向上した際にある程度技術の向上がみられる時があります。それは、高校生などの成長期の段階で、軟式から硬式へ変わりバットの重さなども変わり、まだ筋力が低く、十分に硬式のバットを扱える筋力がないときです。

このときは、ウエイトトレーニングなどで筋力の向上が見られた場合、バットを自由に扱えるようになり、これによって技術の向上や、打球の変化が起こることはあります。

大学生や社会人ぐらいになってくるとある程度の筋力はつき、筋力の向上が技術の向上に直接つながる事は難しくなります。では、社会人や大学生になってきたらスイングスピードを向上させるためにどのように考えればいいのでしょうか?

 

パワー向上の考え方

日本でのパワー向上の考え方はこのようになっています。

最大筋力の1/3×最大スピード=パワーの向上

この考え方をもとにして考えると、例えば、100kgに対してスクワットが1回だけできる人がいれば、その人の最大筋力は100kgということになります。この場合、上記の式を当てはめれば約30kgを担ぎ最大スピードでスクワットをすることでパワーの向上になります。

また、上半身のパワー向上を目的としたときベンチプレスを行うときなどにこのように実施されていたりします。ただ、このようにスクワットやベンチプレスなどを行ったとしてもパワーは向上するでしょうか?

実際にこのようなトレーニングでもパワーは向上すると思います。

トレーニング原則の中に“特異性”というものがあり、行ったトレーニングの特定の効果が得られるという意味ですが、この場合の特定の効果というのは、30kgを担いだスクワットをするような形のパワーが向上する。ベンチプレスをするような形のパワーが向上するという効果が得られると思います。

バットスイングを向上させたいなら、バットを振る事が必要です。ではただバットを振ればパワーは向上し、スイングスピードは向上するのかといえば、そうではありません。ロシアではこのように考えられています。

 

スイングスピードを向上させるための考え方

日本とは違い、ロシアではパワーについてこのように考えられているそうです。野球の場合で言えば、通常試合で使用するバットの重さを900gとします。この重さに対して、上下の負荷を使用し、バットを振りパワーを養成します。

上下を入れた3種類の負荷を使用し、1週間のうち、それぞれのバットを平均的に使用されるようにメニューを組み、これらでスイングを行います。平均的にというのは、例えば1週間でスイングの数が700本、1日100回するとします。

この際、1日の中で各重さのバットを30本ずつ振る事でもいいですし、曜日によって今日は軽めのバットを振る、今日は重めのバットで、というように1日ずつ変化をつけることでもいいですし、素振りだけではなく、バッティングの際も3種類のバットを使用してもいいということになります。

このように通常使用するバットの重さの上下の重さを使用することでパワーがつくとされています。

ここで注意することは、この各バットの重量をどのようにスイングするかということです。ただ、同じように振っていては意味がなかったり、フォームを崩すことにもつながりかねません。

ここからは各バットをどのようにスイングしていくのかをお伝えしていきたいと思います。

軽めのバット

軽めのバットの場合、神経系のトレーニングになり通常のバットスイングのときよりも速いスイングスピードを体感させます。

その差のつけ方ですが、硬式バットを振っていれば、軟式バットに変えると重さも軽くなりいつも以上のスピードでスイングすることができます。軽めのバットを使ってスイングする場合の目的は、自分が持つ最大のスイングスピードでバットをスイングを振るということです。

ただ、ここで注意しなければいけないことは、力を入れてスイングすることと、最大のスイングスピードは比例しません。野球選手が勘違いしやすいのは、力を入れるからスイングスピードが向上するわけではありません。

リラックスしスムーズな動作が行えることが最大のスイングスピードになる鍵となります。

力を入れようとするとそれが緊張を生み、動作が硬くなります。硬くなってしまうと最大のスピードは生まれません。

ですので、軽めのバットをどのように振るのか、それも大きなポイントになります。

打ち方

通常のバット

素振りなどをする際には、全力で振ることも重要ですが、またリラックスしてスイングできるような身体の使い方を覚えさせていきます。ただやみくもにバットを振れば緊張を獲得しますので、リラックスしてスイングできれば、スムーズな動作が獲得できます。

どのような軌道を通ればよりバットがスムーズに出てくるのか、高めなのか、低めなのか、そのあたりも感じながらスイングすると自分が一番スイングしやすいところがみつかります。

そこでスイングを繰りかえしていきます。

リラックスしたスイング動作を獲得する際に、ゴルフスイングのような動作を活用していきます。

 ゴルフスイング

バットを高い位置から落とすようにスイングすることで、重力加速度を利用することができ、リラックスしていてもヘッドが走っていくことがわかります。

またリラックスをしたこのような動作から実際のスイングへ移行していきますが、この流れを作ることでよりリラックスでスムーズなバットスイングをすることができます。

重めのバット

重いバットの場合、全力でスイングすることを避けます。マスコットバットを使用すると思いますが、マスコットバットを全力でスイングしようと思うとフォームが崩れてしまいます。自分のフォーム、スイング動作を確認するようにスイングをしていきます。

マスコットバットを振るだけで専門的筋力の養成にもなり、これだけでも筋力は向上します。目的とする重さのバットのスイングスピードを向上させるために、このように上下の重さのバットを使用することでパワーが向上すると考えられています。

付属ですが、日頃から重いバットを振り続けている場合、そのスイングスピードに身体が慣れてしまうためスイングスピードが遅くなる可能性があります。スイングスピードを向上させたい場合、上記のような考え方で行っていきます。

今日のブログでは、スイングスピードについて書いていきましたが、スイングスピード向上のためにはウエイトトレーニングなどで筋力を向上させることも意味がないわけではないですが、このように3種類のバットを使用し、1週間を計画的に過ごすことでスイングスピードの向上につながると考えています。

ただ、やみくもに振っていてもスイングスピードの向上は見られません。

バットスイングひとつとってもただ振っているのは空振りの練習をしていることになります。何を目的としてその練習を行っているのか、トレーニングを行っているのか、この理解をするだけでも効果が違ってきます。

 

そもそもスイングスピードを向上させるために考えること

ここまで方法論が先行してしまいましたが、そもそもスイングスピードが遅いのはなぜでしょうか?これを考えることで解決策は見えてくると思います。

多くの場合、上記でもお伝えしたスムーズな動作ができていないために無駄な緊張が生まれ、動きが硬くなることでスイングスピードが遅くなってしまっています。

また指導者から多くのアドバイスを受けてしまうと、あれこれ意識してしまい、それが原因で動きも硬くなることがあります。

気持ちよく、疲れないようにスイングできれば動きもスムーズになっていきます。

どのようなことをするのかではなく、まずは現状を知り、なぜスイングスピードが遅くなっているのかを理解することが重要です。

 

まとめ

スイングスピードを向上させるためには、まず重要なのがリラックスしてスムーズな動作ができているかどうかです。

これができていなければ、スムーズな動作ができるだけでスイングスピードは向上します。また身体が硬すぎる方は、身体を柔らかくすることでもスイングスピードが向上する可能性があります。

ただ、この記事を読まれている方は、スイングスピードが向上するからといってバッティングが良くなるのかといえば、また別問題です。

バッティングを良くするためには、

  • ハンド―アイ
  • タイミング
  • ポイント

など他の要素も絡んでくるため、それらを向上、改善させる必要があります。ひとつのことだけではなく、広い視野を持っていろんなことに取り組むことでバッティングが良くなります。

この辺りを整理して日頃のトレーニング、練習に励んでいただきたいと思います。

何事も意味あることを・・・。今日のブログが少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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