
今週の月曜日、朝6時頃から家の近くを走っていましたが、職業病なのか、何も考えずに走ることができず、どうすれば身体はリラックスするのか、どうすればより力が抜けるのか、腕の使い方は?脚の使い方は?といろいろ走り方を考えながら、体感しながら、走っていました。
ランニングからスプリントへと移行し、久々に100mを全力疾走しましたが、走り始めたときよりも時間が経過し、リラックスでき始めると息が上がりづらくなり、始まる前よりも身体は軽くなって終わることができました。
感覚的な話をすると、リラックスできると実際に身体を動かしているのは自分ですが、頭の上ぐらいに小さな自分が乗っていて、そいつが自分の走りについて客観的に考えています。
腕の力が入っているから抜こうとか、今こういう動きをしたとか、そういうところ感じることができ、それをもとにどういう動きをしているのかということをイメージし、自分の身体ですが、自分で動かしていないというと変ですが、自分で動かしている感はあまりなく、勝手に動いているというような表現が合っているように思います。
走るとは?と聞かれて一言で言うと、重心を運ぶことです。そして、リラックスをすること。今日は走り方について、先日体感したことを踏まえて書いていきたいと思います。
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走るとは?
走るということをイメージすると、どのような姿をイメージするでしょうか?
- 脚を前に出して地面を蹴る
- 腕をしっかり振り、膝を高く上げて走る
- 肘を後ろに引くようにし、胸を前に出すように走る
さまざまなイメージがあり、それぞれ個人の考え方があると思います。
それが正しいのかどうかというのはおいといて、マラソンなどの競技であればスタートとゴールが存在し、スタートからより早くゴールへと自分の身体を運ぶことを競い合います。
走るということは、自分の重心を運ぶということであり、マラソンなどはいかに自分の重心を早くゴールへともって行けるか、最短距離で運べるのかが重要だということになります。
走る前に理解しておきたいこと
ランニングブームもあり、巷ではさまざまな教室的なものが行われ、指導が盛んに行われるようになりました。
僕自身もセッションの中で走り方を指導することが増えていますが、そもそも走り方というのはどのようなフォームがいいのでしょうか?
まず、知っておいていただきたいことがありますが、ランニングやスプリントタイムは、このような式で求めることができます。
- ピッチ×ストライド=スピード
脚をいかに速く回転させるかというピッチ、1歩の歩幅をどれだけ大きくできるかというストライド、これらを伸ばすことでタイムは100m、1500m、5000m、マラソンと距離に関係なくタイムを向上させることができます。
いかに脚を速く回転させ、いかに歩数を少なくゴールまで到達するかでタイムは縮まりますが、実はピッチとストライドは伸ばし続けることが難しいと言われることがあります。
これを理解しておかないと無駄な時間を過ごしてしまかもしれません。
ピッチとは?
ピッチというのは、脚の回転についてですが、一般的にピッチが速いといわれるのは脚の回転が速いということを指しています。
脚を速く動かそうと思うと、まずスムーズな動作が必要とされ、スムーズな動作をするためには身体をリラックスさせることが重要になります。リラックスできるとどこにも引っ掛かりのない動きとなり、ピッチはある程度向上すると言われています。
ただ、自分の意思をもってどれだけ速く動かそうとしても動くものでもありません。それは身体が動く源は筋肉の収縮運動があるためであり、この筋肉の性質によってピッチは定数であると言われています。
どういうことかというと、筋肉には大きく分けて2つのタイプの筋肉が存在しています。
- 速筋線維(白筋)
- 遅筋線維(赤筋)
これらは名前の通り、筋肉の収縮速度と関係していますが、これらは生まれもってある程度決まった割合であると言われています。もし、速筋の割合が多いのであれば筋肉の収縮速度は速く、脚の回転も速くなりますが、遅筋の割合が多ければどれだけ速く動かそうと思っても、ある程度どまりになります。
整理をすると、ピッチについてはある程度定数があり、向上させ続けることができませんし、脚の回転速度が速いという人は筋線維のタイプという視点から生まれもって決まっています。
ということを理解できると、タイムを向上させるためにはストライドを伸ばすことにフォーカスする必要があると理解できます。
ストライドとは?
ストライドとは、1歩の歩幅のことを指していますが、この1歩を広げようと思うとどうすればいいのでしょうか?
これを理解する前に、走るというイメージをとらえておきたいと思いますが、走るということは、前に進むことか脚で地面を押すことなのか、みなさんはどのようなイメージをお持ちでしょうか?
多くの方は走る=前に進む
というイメージを持っていると思います。実は、走るというのは、垂直方向と前方方向への合点へ力が働いています。前方方向だけではないということです。
この図のように、この2方向への力がストライドと関係しており、それぞれの方向への筋力を向上させることでストライドが向上しますし、このようなことを理解したフォーム、動作イメージを持つことでストライドは伸びていきます。
走り方について
これらのことをふまえて、どのような走り方をすればよりタイムを短縮することができるのでしょうか?
まず感じていただきたいことは、細かいところを意識する前にリラックスして走ることです。そのために、日頃行っていることは、頭や胸を前に運ぼうとすることです。
人間の身体は、前に倒れそうになると防衛反応が働き、脚が“勝手”に出てきます。このときに出そうと意識することは緊張してしまいますが、勝手に出てくるため緊張することなくスムーズに出てきます。まずこの感覚をつかむために繰り返すだけでも以前と違うことを感じて頂けると思います。
今日はすべてのポイントをお伝えすることは難しいと思いますが、ここからは部分的なポイントを書いていきたいと思います。
脚の使い方
冒頭で、走るということは最短距離で重心をゴールまで運ぶこととお伝えしましたが、最短で、ということは身体を捻ったり、脚がクロスしてしまうことは蛇行してしまうこととなり、ロスが生まれ、より長い距離を走ることになります。
最短距離で走るためには、脚や身体をまっすぐに動かす、運ぶことで、重心が左右に移動してしまうことを防げます。
ランニングの場合であれば、このような脚の使い方をするために踵でお尻の真ん中を蹴るようなエクササイズを繰り返すことで、左右への脚の動きを軽減できたり、大腿部のストレッチにもなります。
またスプリントの場合であれば、膝を前に出すような意識を持ち、このときに膝が内外に入っていないようにその場での足踏みなどを繰り返し、脚をまっすぐに出すことを身体に覚えさせます。
このようにすることで、脚をまっすぐに出すことができ、無駄な距離を走ることを防げます。
腕の使い方
腕の役割はマラソンや短距離によって変わってきます。マラソンなどの場合、リズムをとる役目を持っていたり、短距離の場合であれば前方への推進力を得るための道具として活用したりします。
目的によって変わりますが、この腕の使い方は多くの方が勘違いしている可能性があります。
腕の自然な動きというのは、両腕それぞれがまっすぐに出るような、前へならえの状態ではなく、そこから手のひらを合わせたところが自然な位置となります。
前へならえの状態で手のひらを合わせ、両腕を脱力するとポケットをこするように腕は体側へと分かれて落ちていきます。そしてまたはじめの位置へ戻るように動くのが自然な動きとなります。
腕の使い方の問題は女子短距離界でも課題として言われていますが、腕の使い方はタイムに大きく影響を与えます。
腕の使い方については、緊張を獲得する歩き方と気持ちよく歩ける歩き方の違いについてで書いていますので、こちらを参考にしていただければと思います。
全体の流れ
動作をあれこれ意識し始めると緊張が生まれやすく、スムーズな動作がしづらくなります。
実際に走るときには、頭部や胸を前に運ぶ意識を持つ程度で、あとはリラックスして弾むように走ってみると動きは変わり、以前ほどの疲労感もなくなってくると思います。
脚の使い方や腕の使い方に上記のような思い当たるふしがある方は、走っているときに意識するのではなく、走る前にまっすぐに膝を出す、踵でお尻を蹴る、腕を楽にスイングするというエクササイズを行い、それができたらあとはリラックスして走ります。
走っている最中はあれやこれや動作を変えることは難しいですので、気持ちよく走ります。
バイオメカニクスの観点から走るということを見る
今日の最後に少しバイオメカニクスの観点から走るということを見ていきたいと思います。
1歩の歩幅が1.7mとします。
もしみなさんが、1歩の歩幅が1cm大きくなれば実はこのような変化が生まれます。
- 5000mの場合・・・約2941歩で完走。1cmストライドが伸びると、約300m分速くなる。
- 10000mの場合・・・約5882歩で完走。1cmストライドが伸びると、約590m分速くなる。
- マラソンの場合・・・24820歩で完走。1cmストライドが伸びると、約2480m分速くなる。
少し、走るということに対して意識が変わると思います。これからわかることは、長距離ほどフォームの重要性がわかると思います。
ほんの1cmの積み重ねがこれだけの差を生み出してしまうということです。
もし1歩の接地時間が0.01秒短縮できればこのような変化が生まれます。
- 5000mの場合・・・約30秒短縮
- 10000mの場合・・・約60秒短縮
- マラソンの場合・・・約4分短縮
ほんの少しの接地時間の差がこれだけ大きなタイム差を生み出します。
これをふまえて今日のまとめに入っていきたいと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今日の走り方についてはさまざまな角度から見ていきましたが、少しでも参考になればうれしく思います。
最後に書いたバイオメカニクスのところでも感じる通り、これだけ1歩での変化が出れば大きなタイム差を作ることであり、どれだけ身体をスムーズに動かすことが重要か、そして身体の使い方が重要かが理解していただけたと思います。
またこのような点から指導者である自分は、この小さな変化を積み重ねるためにもリラックスをさせる指導をしていかなければいけません。その指導の際にあれやこれやといいすぎては、クライアントさんに緊張を指導し、タイムが悪くなるなどの原因にもなりかねません。
走るということは、非常に奥が深く、こうやって書き出すととりあえず走っておけばいいという考え方はなくなると思います。
いろいろと書いていきましたが、本当にこれだけは大切にしていただきたいのは、リラックスをして走る、これに尽きると思います。
最後に今日のまとめを書いて終わりにしたいと思います。
- 走るということは、重心を運ぶこと
- 走ることは、ピッチ×ストライドの関係が基本である
- ピッチとは、脚の回転を指している
- ストライドは、1歩の歩幅を指している
- タイムを短縮するためには、最短距離で重心を運ぶこと
- そのためには、蛇行したり左右に身体を捻らず、まっすぐに身体を動かすこと
- さまざま言われる走り方だが、本当に重要なことはいかにリラックスして動けるかに尽きる
このような内容でお送りしました。今日も非常に長い内容となっていますが、最後までお時間をとって頂き、読んでいただきましてありがとうございます。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。