速く走るコツ!整理しておきたいスピードと速さについて

100mのような短距離走であれ、マラソンのような長距離走であれば、早く走りたいという気持ちを持っている方がほとんどだと思います。速く走るためには脚をこう使え!腕はこうだ!とさまざまな方法が紹介されています。

おそらくこの記事を読まれている方は、一度はそういうことに興味を持ち実践してみた方もいると思いますが、まだまだ理想には遠いような走りになっているかもしれません。

今日は、速く走るコツというか、速く走るために知っておきたいことを整理していきたいと思います。ポイントは自分の重心位置をいかにゴールまで最短で運べるかです。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

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速く走るということはどういうことか?

まず速く走るということは、いかに自分の重心位置を最短でゴールまで運べるのかということが速い、遅いのひとつの尺度となります。

この重心位置がまっすぐゴールに向かうということは、一直線上を通ることになり、本当に無駄のない状態だとフルマラソンは42.195kmを走ることになります。

重心位置が左右へぶれてしまうと蛇行するような形で走ってしまうため、それだけ距離を走ってしまうことになります。42.195kmだとしてもそれ以上の距離を走ってしまうことになり、こう考えるといかに重心の左右のぶれがタイムに影響するのかがわかります。

また距離が長い分、蛇行する可能性がある距離が長くなるため、マラソンなどの長距離では短距離以上にフォームに気を配る必要があります。これは後程お伝えしていきたいと思います。 速く走るためには、最短で重心を運ぶことです。

 

速く走るコツはスピードを理解すること

速く走るコツとは、脚をこう動かす、腕をこう使うということだけではなく、もっと全体を理解する必要があります。全体というのは、走りそのものを理解することです。

まず、短距離でも長距離でもタイムを速くしたい場合、この式が存在し、この式は変えることができないものです。速く走るためには、この式を理解し、そこから理解できることから日頃何をすればいいのか、そういった具体的なことが見えてきます。

  • ピッチ×ストライド

スピード=ピッチ×スピード

人間が速く走ろうと思うと、短・長距離関係なくこの式の理解が必要になります。

  • ピッチ・・・脚の回転
  • ストライド・・・1歩の歩幅

このように理解していただくとわかりやすいですが、速く走るためには脚を速く回転させること、そして1歩の歩幅を大きくすること、この片方、もしくは両方が向上するとスピードは向上し、速く走ることができます。 では、それぞれを向上させるためにはどのようなことを考えればいいのでしょうか。

ピッチについて

脚の回転を速くするためには、どのようなことを考えればいいのでしょうか。

  • 筋線維のタイプ
  • 動き、動作

ピッチについてはこの2つがキーになりますが、ロシアではスピードという体力要素を2つの見方から捉えられています。

  • 速さ・・・変えられない
  • スピード・・・変えられる

それぞれをどのように考えるかと見ていきたいと思います。

速さについて

脚を速く回転させるためには、筋肉が速く収縮することが必要となります。筋肉の収縮速度は生来的に決まっているといわれ、遺伝的要素でほぼ決まるといわれています。 

白身なのか、赤身なのか、筋肉では白筋(速筋)と赤筋(遅筋)と言われ、その名の通り筋肉が速く収縮するためには、白筋線維を多く持っている必要があります。 そのため”速さ”というのは筋線維のことを指しており、これは変えられない要素ということになります。

ただ、筋線維というのは日頃から最大収縮速度を経験しないと収縮速度も遅くなってしまうことから、向上は見込めなくても維持をする必要があります。

筋肉の収縮速度を維持するためには”速さ”を求めればいいことになりますが、そのためにラダーなどを使ってのクイックネストレーニングを行います。これはアジリティトレーニングとは異なり、そのことについては敏捷性(アジリティ)と俊敏性(クイックネス)トレーニングの違いをラダートレーニングから考えてみる でまとめています。

こちらを参考にしていただければと思います。

スピードについて

さて、もうひとつのスピードについてですが、スピード=変えられるものと表しましたが、これは動き、動作のことを意味しています。

脚の回転を速くするためには、スムーズな動作ができることで最も速いピッチになりますが、そのためにはリラックスをする必要があります。リラックスするためには筋肉や動きに意識を向けすぎると緊張し、動きが硬くなってしまいます。

スムーズな動作をするためには、重心を前に運ぶようなイメージで走ることで全体の動きがリラックスでき、スムーズな動作になります。地面を蹴ったり、押したりすることで接地時間が長くなったり、力みが生まれますので動きが硬くなり、結果的に脚の回転が遅くなってしまいます。

いかにスムーズな動作ができるかどうか、これもピッチを上げるためにポイントになることです。 続いてはストライドについて整理していきたいと思います。

ストライドについて

人が走っているとき、見た目としては前に進んでいるというイメージがありますが、実際に力が働く方向と言うのは、上方と前方になり、その合算の方向に力は働いています。

速く走るコツ

この図の左は見た目のまま捉えたイメージですが、実際は右の図のような関係になっています。これからどういうことがわかるのかというと、走るというのは、上方と前方への力が増せば、それだけストライドが伸びるということです。

この上方と前方への力を伸ばそうとすると何をすればいいのか。それは、スクワットなどのウエイトトレーニングだったり、プライオメトリックスなどの前方へのパワートレーニングだったりします。

陸上選手になぜウエイトトレーニングが必要なのかといえば、このような意味があり、どちらか一方ではなく上方・前方両方の力を伸ばすことでストライドは向上していきます。

ここで上方と前方への力を増すために、トレーニングが必要ということになります。

ここまでのまとめ

スピードを高めるためには4つのことを理解することができました。

  • ピッチは筋線維のタイプによって遺伝的に決まっている(定数が決まっている)
  • 筋肉の収縮速度維持することが必要
  • 動作をスムーズにすることでピッチは向上する
  • ストライドを伸ばすためには上方と前方の力を向上させること

これらを理解し実践することで短距離でも、長距離でもスピードは向上し、タイムも短縮できるようになります。

 

速く走るためのコツをまとめてみました

速く走るためのコツというのは、これだ!というのではなく、基本的にはリラックスをして重心を運ぶということです。 このリラックスした動作をするためには、いくつかおさえておきたいポイントというものがありますので、こちらを参考にしていただければと思います。

重心を運ぶ感覚を掴む

まず重心を運ぶということですが、そもそも重心の位置はどこにあるのでしょうか。基本的には丹田と言われるへそ辺りにあることが多いと思います。このへそ辺りを前に運ぶイメージで走ってみて、その感覚を覚えておきます。 次に、重心の位置を高く上げ、頭、胸あたりに持っていき、その重心位置を前に運ぶように走ってみます。

  • へそ辺り
  • 頭や胸

どちらに重心を置いて走った方が楽に走れたでしょうか。これは後者であり、位置エネルギーが高くなればその分だけ運動エネルギーは小さくてすみます。もう少しわかりやすく言うと、こんな感じになります。

重心の位置

このようなペットボトルがあり、このペットボトルを動かそうとするとどこを押せば動かしやすいでしょうか。答えは、一番上の位置になります。

これが位置エネルギーと運動エネルギーの関係になり、位置エネルギーが高くなると運動エネルギーは小さくてすみ、運動エネルギーが小さいということは身体を動かすということも小さなエネルギーですむということです。

小さなエネルギーですむということは無駄なエネルギーを使わないということであり、楽に走れることにつながります。

これを実際に走るときのイメージに置き換えると、頭に重心の位置を設定することが最も小さなエネルギーで移動できるということになりますが、ここはこれを固定化させず、自分自身が一番運びやすい重心位置を感じ、そこを前に運ぶ感覚を持ちます。

ここがポイントです。あえて決めずに走る中で自分が一番運びやすいポイントをみつけることです。そうすることで、より気持ちよく走れるようになります。

重心を前に運ぶ

ただこれをいきなり走ってみつけようとするとうまくみつかりません。次の方法を使うと重心を移動させるということが認識しやすくなります。

1、その場で立つ

重心移動

2、身体を前に倒す

重心移動

3、勝手に脚が前に出てくる

重心移動

画像ではその場で止まろうとしていますが、実際はこのまま前に走り出してしまい、その際に重心の位置をどこに置けば走りやすいのか、移動させやすいのかを理解します。

ここで得た感覚を覚えておき、そこに重心を置き前に運ぶ意識で走っていきます。後はリラックスして重心を前に運ぶだけです。

体重支持ポイントを理解する

このように重心位置を前に運ぼうとすると楽に走ることができますが、こういったときにつま先で地面を突くような走り方をさせる方がいます。実際にクライアントさんの中にもいますが、体重支持ポイントは脛骨の真下、このポイントになります。 

体重支持ポイント

足首の力が抜けるとこの位置で体重支持ができますが、足首の力が抜けないとつま先で地面を突いてしまい、着地の音を聞くとわかりますが、ツァ、ツァ、ツァ、と何か擦ったような軽い音が鳴ります。

踵で体重支持できると、音が鳴らなくなり、非常に小さな足音で走ることができます。 つま先で地面を突いてしまうということは、それだけブレーキをかけてしまい、スピードが落ちてしまいます。

感覚としては、画像のような踵で、真下に地面を踏み込むイメージを持つと地面からの反力をうまく活用でき、ストライドが伸び速く走ることができます。真下に踏み込む感覚を持ちますが、実際には少し身体よりも前に着地をしています。

本当に身体の真下に踏み込むと身体は前に倒れてしまいます。真下に踏み込む感覚を持つことで、斜め上方に反力が生まれ、軽やかに走ることができます。 踏み込む感覚としては、グーッ、グーッ、グーッと押し込むという感覚になってしまえば接地時間が長くなり、これはロスが生まれます。

ポンッ、ポンッ、ポンッと踏み込んだらすぐに足が離れるぐらいのイメージになります。 実際にクライアントさんにこのことを指導したときは本当に軽やかさが出て気持ちがよくなったといわれていました。

立ち方から見直す

冒頭で、走るということは重心を運ぶこととお伝えしましたが、重心が蛇行して走ってしまうとそれだけタイムロスが生まれます。より一直線に走るためには、まず立ち方から見直すことが必要になります。

立つ→歩く→走るというように、立っているときの姿勢はそのままフォームに影響を与え、身体の歪みがあればそれだけ蛇行する可能性があります。

立ち方については、立ち方を再考しよう!壁立ちって頭・肩・お尻・踵を壁につけるのが自然?を参考にしていただければと思いますが、クライアントさんの身体の歪みを直し、走り方を少し指導して、後日フルマラソンに出場され、タイムが5分も短縮したことがありました。

長距離になるといかに走り方が重要なのかということを再確認できた出来事でしたが、より速く走るためにもまずは自然体に直し、立ち方を見直すことも重要になります。 走っているときに左右に身体がぶれないように、重心をまっすぐに運ぶ練習も必要となります。

左右に身体がぶれてしまうクライアントさんがいて、その方はご自身の鼻を前に運ぶ意識で走られているとのことで、その鼻をある目印に対して真っすぐに運ぶ練習を繰り返していくと左右へのブレは小さくなりクライアントさん自身も身体がブレなくなったことを実感されていました。

走り方

左右にブレず、ロスを最小限にするためにも、まず立ち方を見直していくこともタイムを短縮する上では必要なこととなります。

腕の使い方を見直す

腕の使い方については、これは走る距離や目的によって使い方が変わってきます。簡単に分けるとこのようになります。

  • 長距離・・・リズムを作る
  • 短距離・・・前方への推進力を得る

長距離の場合

長距離の場合腕はリズム取りの役割として活用していきます。パン、パン、パン、パン・・・と腕のリズムに合わせて走るような感覚で、基本的には楽にスイングするぐらいのイメージになります。

長距離の場合、腕をどう使おうと過度に意識をするとそれが緊張となり、そこで無駄なエネルギーを使ってしまうことになります。まずは重心を前に運び、踵で地面を踏み込むように走り、そこで無意識のうちに楽に腕は使えるようになっていますので、それぐらいの感覚であまり考えすぎないことです。

短距離の場合

短距離の場合、腕は前方への推進力を得るために使います。長距離とは異なり、腕は前に振り出すことで前方へより進みます。 現在の日本女子短距離界ではこの腕の振りがひとつの課題として言われていますが、腕を振り出した方向に推進力が働くため、この腕を引いてしまうとブレーキがかかってしまいます。

また腕で真下方向にチョップをするような走りが日本女子選手の特徴ですが、このような腕の使い方もその振り下ろした方向に推進力が働くために前に進む力を得られず、ブレーキがかかってしまっています。 このように目的によって腕の使い方は異なってきます。

その他の場合

ちょっと腕の振りが出ていたので考え方についてお伝えしていきますが、もしより多くのエネルギーを消費したいという目的があれば、ランニングやウォーキングをしている際に腕を大きく振ることもいいと思います。

走ることについても楽に走れるということは無駄なエネルギーを消費しないということですので、逆の発想でしんどいような走り方をしてしまえば消費エネルギーが増え、そういう目的であればいいと思います。

以前身体が柔らかい方が消費エネルギーが多くなるので、マラソン選手は身体を柔らかくしすぎることはリスクがあるということをまとめていますので、こちらも参考にしていただければと思います。

ストレッチ効果!マラソン選手が知っておかないと損をする可能性がある効果について ここで一番お伝えしたかったことは、目的に対して方法があるということであり、どういう目的で走るのかによって腕の使い方は異なってきます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はスピードということから走ることについて考えていきましたが、途中でもまとめていきましたが、速く走るコツというのはこの4つに集約されるいるのではないでしょうか。

  • ピッチは筋線維のタイプによって遺伝的に決まっている(定数が決まっている)
  • 筋肉の収縮速度維持することが必要
  • 動作をスムーズにすることでピッチは向上する
  • ストライドを伸ばすためには上方と前方の力を向上させること

走り方については個人によってポイントが異なると思いますが、大きく言えば速く走るためにはこの2点を注意すればいいのではないでしょうか。

  • 重心を前に運ぶ
  • リラックスした動作

まずはこの2点ができれば今よりも速く走ることができると思いますし、もちろん踵で踏み込む感覚や腕の使い方、身体の歪みを改善することでさらにスピードアップすることができると思います。

今日の記事で走ることについて参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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