
ランニング障害というと少し難しく聞こえるかもしれませんが、現場でスポーツ選手から相談で最も多いのがこのランニング障害です。
走っていると脚が痛い、膝が痛い、足首が痛いとさまざまな箇所の相談を受けますが、この原因は筋力ではなく身体の使い方が問題になっていることがほとんどです。
身体の使い方を変えることで痛みが改善していったケースをご紹介したいと思います。ランニング時に痛みを抱えている方も多いと思いますが、できるだけ参考になるように細かくお伝えしていきたいと思います。
現場で経験したランニング障害について
僕自身もまだまだ経験という面では浅はかであることは承知していますが、その中でも数多くの選手がランニング障害で悩まされているところを見てきましたし、対応をしてきました。
うまくいったこと、うまくいかなかったこと、改善したけど再発してしまった、痛みがなくなった、力不足でこういった結果になっていますが、現状より改善することがほとんどでした。ただ、その程度に違いがあります。
できるだけ症状の原因と改善までの流れをより詳しくお伝えしていきたいと思います。
足底筋膜炎
足の裏には踵から指先の方へ広がる筋膜という膜が存在しています。これらの筋膜は正しい足の使い方や着地ができていれば炎症を起こすことはありません。
ただ、母趾球や小趾球など足の付け根部分で地面を突くような着地をすると、足底筋膜は伸ばされるような刺激を受け、炎症が起きたり剥離したりします。これによって足底部に痛みを訴えることがあります。
これは足の使い方が問題で、つま先で地面を引っかくような意識を持っていると足底筋膜は縮まり、ストレスを受けます。このような動きを続けることで痛みが発生します。
また足底筋膜炎の場合、足のどこを使っているかで痛みを訴える場所が異なり、母趾球側で地面を突いたり蹴ったりすると足の内側が、小趾側で地面を突いたり、蹴ったりすると外側が痛くなり、真ん中あたりに痛みが出ることもあります。
これは着地や足の使い方を改善し、足底筋膜を伸ばしてあげ、緩めると問題は改善されます。
改善について
足底筋膜炎の場合、足底筋膜がストレスを受けて縮まっている状態ですのでこれを緩めてあげれば痛みは改善していきます。
筋膜を緩めることが必要ですので、このような形で緩めていきます。
1、正座のような状態で足の指を反らせるように座ります
2、2~5分間ストレッチングする
このポージングを2~5分ストレッチングさせていきます。筋膜が緩むまでは90秒以上時間がかかり、炎症が行っている方は硬くなっていますので、2分以上を目安にストレッチングさせていきます。
これだけ足底筋膜は緩んでいきます。筋膜を緩めることができれば、次はそもそもの原因の足の使い方を改善していきます。
フラットに着地し、指先を使わない
足底筋膜炎になる原因は、地面を突くような刺激が加わったり、指先で地面をかくような動きを繰り返し行うことで足底筋膜は炎症を起こしてしまいます。
ですので、まずはフラットに着地ができるようにしていき、走っているときは足首を使わないようにします。フラットに着地をするためには、その場ジャンプ、進みながらの両脚、片脚ジャンプ、を繰り返しその感覚をインプットしていきます。
フラット着地について
これはこの後でも共通することですので、おさえておきたいことです。
着地の際にこの位置で着地ができるように繰り返し行っていきます。
マルカルドの体重分布図というものがあり、そこではこのように体重がかかる比率が示されています。
このような体重比率になったとき、足部のアーチは正しく使うことができ、足部のアーチは衝撃緩和をする働きもあるため身体にかかるストレスも軽減されます。
足底筋膜炎の場合、この比率が崩れ、母趾球で着地をしてしまいそこに大きなストレスを受けることが問題です。この体重支持ポイントを改善することが重要となります。
この体重比率にするために、上記の足裏の赤いポイント、脛骨の真下で着地するとこのような体重比率になり、身体にかかるストレスは軽減されるということになります。そのためにこういったジャンプエクササイズを繰り返していきます。
これでフラット着地ができるようになれば、後は歩く、走る、方向転換するなどスポーツの動作に合わせて身体の動き方を伝えていきます。この流れができれば足底筋膜炎を改善することができます。
腓骨筋腱炎
スネの骨を脛骨(けいこつ)といいますが、この脛骨の外側にあるのが腓骨(ひこつ)と言われる細い骨です。
この腓骨の外側に腓骨筋と言われる筋肉があります。
この筋肉は外踝(そとくるぶし)の後方を通って、足の外側(小指側)の真中辺りに腱を介してついています。ふくらはぎの外側から足の外側までつながっているということになります。
腓骨筋腱炎は、足の外側で着地をしたり、地面を蹴るような形で足首を使うと過度にストレスを受けてしまい、筋肉が緊張し、そのストレスに耐えられなくなると腱に炎症が起き痛みが出ます。
外踝が腫れている場合、腓骨筋腱炎が疑われますが、この場合腫れている部分は冷やし、腓骨筋を緩めることで改善することができます。
腓骨筋腱炎の原因は、足首を過度に使ってしまうことが原因として考えられます。
現場で相談にきた選手の場合、O脚気味で立っているときに足元を見ていると少し親指側が浮いているような状態で、足の外側で立っている状態でした。このような状態で走れば足の外側にストレスを受け、腓骨筋もパンパンに張ってきてしまうため炎症が起こります。
足の外側で着地をしたり、地面を蹴り出すように走ることで腓骨筋はストレスを受け、このような足首の使い方を改善する必要があります。
改善について
腓骨筋腱炎の改善については、下腿の筋肉がパンパンに張っており硬くなっていますので、これを緩めることです。そうすれば痛みは改善されていきます。
そして筋肉を緩めるとフラットに着地できるように足底筋膜のところで紹介したジャンプを行いフラット着地ができるようにしていきます。
足首周辺の痛みについてはこちらにもまとめていますので、参考にしていただければと思います。
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鵞足炎
鵞足炎も現場で何度も経験したランニング障害のひとつですが、鵞足炎とは半腱様筋、縫工筋、薄筋の3つの筋肉が付着する部分であり、膝下の内側に位置する部分です。
これらの筋肉は腱を介してこの鵞足に付着しますが、3つの筋肉がストレスを受け硬くなるとこの鵞足の部分に炎症が起こり、痛みます。これが鵞足炎です。
主な原因は、膝を曲げ、膝が捻じれるような形で着地をすることでハムストリングスなどにストレスを受けます。また地面を蹴り上げ脚が外側に流れるように走ることで鵞足に付着する筋肉が緊張し、結果鵞足炎となる可能性があります。
改善するためには、痛みの場所をマッサージしたり熱を加えることではうまく改善しません。改善のためには3つの筋肉を緩め、大腿部の緊張をとることです。
改善について
ハムストリングスを緩めるためにはいくつか方法がありますが、ストレッチングと筋肉に揺らぎを与えて緩める方法をご紹介したいと思います。
ハムストリングスのストレッチング
- 長座になり、軽く膝を曲げて脚を伸ばします。
- 気持ちよく筋肉が伸びるぐらいまで前屈し、保持します。
- このポージングを2~3分キープします。
筋肉を揺らして緩める
筋肉を揺らして緩める方法はこちらを参考にしていただければと思います。
これらで筋肉を緩めることで鵞足炎を改善することができます。後は走り方の改善を行う必要がありますが、それはこちらを参考にしていただければと思います。
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また鵞足炎についてはこちらにも詳しくまとめていますので、参考にしていただければと思います。
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まとめ
今日はランニング障害についてまとめていきましたが、このように文章に起こすと簡単に完全出来そうな感じもありますが、そもそもの原因をみつけるためには、目を養なう必要があり、教科書的なことだけでは改善は難しくなります。
あくでも今回の記事は一例として、また考え方としてまとめていますので、走り方だけではなく環境や道具なども問題も考えられるかもしれません。
痛みの原因は何かしたあるはずで、そこを見つけることが最も重要であり、方法論はその後です。
原因を発見するきっかけになり、改善のヒントになればうれしく思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。