
疲れにくい走り方とは、リラックスして走ること・・・。
言葉で見るとなんとなくわかったようなわからないような感じ。そもそも疲れるということは、エネルギーを多く消費しているということで、身体を動かすことは必ずエネルギーを消費します。
この消費するエネルギーをできるだけ少なく、省エネ状態で走れることが、疲れにくい走り方と言えるかもしれません。
無駄にエネルギーを消費しないようにするためには、部分である手足を細かく「こうやって、こうやって動かそう・・・」と意識してしまうとそこには緊張が生まれます。
そうすると疲れやすくなりますが、身体はリラックスすれば自然に動きますので、そういう部分への意識をやめることです。そうすれば身体は自然に動き、スムーズな動きとなり、このような動きは無駄なエネルギーを消費しないため楽です。
今日は、疲れにくい走り方をするためにはどうすればいいのか。この辺りをお伝えしていきたいと思います。
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Contents
疲れにくい走り方とは?
冒頭で触れましたが、疲れにくい走り方とは、無駄なエネルギーを消費せず、身体がスムーズに動く走り方だと考えています。
逆を言うと、疲れやすい方の走り方というのは、見ていてもどこかぎこちなく身体や走り方に硬さを感じます。
どうすれば身体をスムーズに動かせ、疲れにくい走り方をすることができるのでしょうか?
重心を前に運ぶ
一般的な走り方の指導というのは、手足をどのように動かすのかなど非常に細かな指導が多いように思います。
実際に雑誌などで走り方が書いてあったりしますが、非常に細かく、雑誌としては面白いのかもしれません。ただ、実際に走るとなると多くのことを同時に行うことは難しく、それが動きの硬さにつながることがほとんどです。
手足はどうこう動かそうとしなくても自然に動きます。
身体を自然に動かすためには、まず走るときに意識することは自分の重心を前に運ぶということです。
重心を前に運んでいくと、脚も自然と前に出てきますし、腕も自然に触れてきます。意識をすることは緊張であり、無意識になれば緊張しません。だからこそ疲れないようにするためには意識を向けないことも重要になります。
重心というと、よく言われるのが丹田と言われるおへそ辺りに位置するところを重心としておきがちですが、次に考えたいことは重心の位置です。
重心の位置を高くする
以前、速く走るコツ!整理しておきたいスピードと速さについてでもお伝えしていますが、重心の位置によって必要になる運動エネルギーの大きさに変化が出ます。
どういうことかというと、こちらのペットボトルをご覧ください。
このペットボトルを倒そうと思うと、どこを押せば一番倒れやすいでしょうか?答えは一番上のキャップのところになります。
一番高い位置を押すと、最も少ないエネルギーでペットボトルを倒すことができます。
ここからわかると通り、重心の位置が高くなると物体(身体)を動かすエネルギーは小さくなります。走り方に置き換えると、重心の位置を高くすることで身体を楽に前に運ぶことができるということになります。
ですので、走っているときの重心の位置はできるだけ高く保つようにすると疲れにくいということになります。
手足を動かそうとしない
走っているときの手足は、短距離なのか長距離なのかによって使い方が異なりますが、長距離の場合、腕は基本的にリズム取りに使います。
腕を振るリズムが、ポンッ、ポンッ、ポンッと刻めば、そのリズムに合わせて脚も動いてきます。
マラソンを走る場合、地面をどのように蹴るのか、または脚をどのように使うのかなどを意識してしまった場合、走るごとに脚が緊張し、疲労してしまいます。
そのため、過度に手足の動きは意識しないことです。
短距離の場合、腕は前方への推進力を得るために使い、前方に振り出すように使ったりしますが、選手でない限り、一般の方は長距離を走ると思います。
その場合は、手足をあまり動かそうとせず、シンプルに重心を前に運ぶという意識を持つぐらいで十分です。
ここまで、疲れにくい走り方をするためのポイントを簡単にまとめていきましたが、ここからは実際に現場で指導をしたこと、得られた成果をもとにお伝えしていきたいと思います。
以前クライアントさんが教わった走り方
以前ジムのスタッフさんに走り方について教わったそうですが、そのスタッフさんは大学まで陸上をしていたそうです。
ここで言われたことが動きを硬くしている原因でした。
脚を前に前に出す
ジムで走るときは、トレッドミルを主に使うそうですが、このときに教わったことはまず脚は前に前に出すということです。
脚を前に出せば、ピッチが上がり、速く走れるとのことでこのような指導をされたそうです。
肘を引き、胸を突き出すこと
腕の使い方についてもアドバイスを受けたそうで、肘を引き胸を突き出すように走ることでスムーズに身体が前に運べるでこのような指導を受けたそうです。
また地面の方へ動かすような意識もあるそうで、このような腕の振り方をしていました。
できるだけ弾まず、地面に対して平行に移動する
ランニングであっても、スプリントであっても、できるだけ弾まず、地面と平行に移動するように走ることでロスがなく、楽に走れるということを教わったそうです。
そのため、クライアントさんの走り方を見たとき、地面に対して平行に走れており、指導通りの動きはできていました。
ただ、本来はスムーズに身体が動き、楽に走れると弾もうとしなくても弾んだ感覚が得られるようになります。
このような指導を受けていたそうで、結果的にここで受けたアドバイスによって動きが硬くなっているということも見えてみました。
走り方をイメージする
指導する前に、走り方について頭で理解していただくために、絵を書いてこれからする指導はなぜこのようなことをするのか、どのように走れば疲れにくいのかなど、を説明していき、まずは頭で理解していただきました。
基本的に指導したことはこのようなことです。
- 重心を前に運ぶ
- 身体は前に、脚は後ろ
- 脚は後方で大きく回転するイメージ
- 腕は、振るのではなく落とすイメージ
- 身体の動きがスムーズになるとストライドが伸び、気持ちよく走れる
動きによって言葉を変えながら、クライアントさんの動きを見ていきましたが、指導前と指導後ではストライドが大きくなり、ご本人も弾んでいる感覚を得られるようになっていきました。
走り方の指導について
走り方を頭で理解していただいて、近くの川に走りに行きましたが、実際に走り方を見ていると全体のイメージとしては非常に柔らかく動いている印象がありました。
ただ、先ほど挙げたように部分的に緊張が見られ、動きのスムーズさがないところもありました。
今回走った場所は、軽く傾斜した場所で下り坂です。
重心を前に運ぶ、重心の位置で変化を感じる
まず最初に行ったのは、重心を前に運ぶということで、これまで脚を出す意識があったため、それを胸あたりを前に運ぶように伝え、走っていただきました。
これまでの走り方で走ると、下り坂に対してブレーキをかけるように走っていたのが、重心を前に運ぶとブレーキがなくなり、加速していくことを感じられたそうです。
まずはこれだけを何度も繰り返していくと、脚の緊張感も抜けこれだけでも脚の動きがスムーズになってきました。
そしてそこから重心の位置を高く置くことで、より楽に前に進むことができることを感じていただき、重心の高さで身体を軽さに変化が出ることも実感していただきました。
身体は前、脚は後ろで大きく回転
この流れで、脚が後方に行ったとき大きく回転するイメージを持っていただき、実際に僕も走ってそのイメージをインプットしていただきました。
これまで、弾まないという意識があったため、脚が後方にいったとき、踵がお尻の方へ上がることはなく、後方に行ってすぐに前に振り出されるような脚の動きをしていたため、非常にストライドは小さくなっていました。
クライアントさんが素晴らしかったのは、お伝えしたことがすぐに実践でき、身体もその通りに動いていたことで、脚が後方で大きく回転しはじめ、それに伴ってストライドが伸びていき、スピードも自然と上がっていきました。
自然とスピードが上がったことで「これで大丈夫?」と叫びながら走られていましたが、見ている側からすると動きは大きくなっていきましたが、緊張がなく気持ちよく走れているように見えました。
腕の振りが問題
スピードが上がったことで顕著に見え始めたのが腕の振りです。
日本女子短距離の代表でもあった福島選手の腕の振りのように、腕が斜め下方向に動き、後方に腕が振り出されていました。
以前受けたアドバイスの影響だと思いますが、このような腕の振り方をすると肩周辺の筋肉が緊張し、肩こりの原因にもなります。
この腕の振りを改善するために行ったのが、その場で腕を落とすように動かすことを繰り返していきました。
走っている時には、肩の力が入っているという実感はあったものの、どのようにして抜けばいいのかがわからなかったそうで、今回は胸の前で腕を構えていただき、腕を落とすようなイメージで自然と触れることを何度も繰り返していきました。
その場で腕が軽く触れるようになってきたので、次はその状態で走っていきました。すると、腕の軽さを感じれるようになっていき、セッション後は以前から感じていた肩こりも改善され、肩周辺は柔らかくなっていました。
全体の指導としてはこのような流れで行っていきましたが、最後は気持ちよく走ることができ、まだ硬さがある部分も残っているため、息が少し上がっていましたが、今後も身体をスムーズに動かせるようになれば疲れにくい走り方をすることができると思います。
まとめ
今回は、クライアントさんの指導の中で感じたより楽に気持ちよく身体を動かすことで疲れにくく、走り方を見てもスムーズに動いていることがわかります。
手足に過度に意識を向けなくても、どうこう意識しなくても身体は動きます。
走る側からすると、あれこれ言われてしまうと結局どういう動きをすればいいのか分かりづらくなってしまいますし、動きも硬くなってしまいます。
できるだけ指導する側はシンプルに伝えることで、相手も理解しやすく動きも変わりやすい。
先ほどもお伝えしましたが、今回の指導の中でポイントになったのは、
- 重心を前に運ぶ
- 身体は前に、脚は後ろ
- 脚は後方で大きく回転するイメージ
- 腕は、振るのではなく落とすイメージ
- 身体の動きがスムーズになるとストライドが伸び、気持ちよく走れる
このようなポイントを指導し、指導前後では走り方も姿勢もよくなりました。
走って疲れやすいのは、疲れるように走っているためであり、疲れにくく走れば疲労も溜まることもありません。
今日の内容が少しでも走り方の参考になればうれしく思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。