トレーナーとして活動していると、どの業界でもそうだと思いますが“基本”の大切さを痛感します。
彩られた世界やクリエイティブな世界は、一見華やかで先端を行く異物のように感じることもありますが、これらも基本があり、その基本の上に発想が重なり今までもないものが完成されていると思います。
そんなどこでも共通する基本ですが、筋肉を大きくしたり継続的な変化を求めるにあたって、トレーニング原則という基本があり、基礎の知識を理解することで継続的に効果を感じ続けることができます。
今日はこのトレーニングの基本原則に沿って、継続的に筋肉を大きくする際に考えることを自分がどれだけ理解しているのか、を改めて確認するために書いていきたいと思います。
筋肉を大きくしていきたいと思っている方にもぜひ参考になればと思います。
Contents
トレーニングの基本である7つの原則
さて、トレーニングをする上で基本となる原則が7つ存在しますが、詳細については7つのトレーニング原則を参考にしていただければ、理解していただけると思います。
本日は、より実践的なことをお伝えできればと思いますが、改めて整理をすると7つの原則はこちらです。
- 特異性の原則
- 全面性の原則
- 過負荷の原則
- 反復性の原則
- 意識性の原則
- 漸進性の原則
- 個別性の原則
では早速実践的なことをお伝えしていきたいと思います。
特異性の原則・・・目的としている部位にきちんと刺激を加える
男性の方であれば、大胸筋を大きくすること、腕を太くすることはトレーニングのモチベーションになっていることが多いのではないでしょうか。
そのためによく行われるトレーニング種目のひとつに、ベンチプレスがあると思います。大胸筋に刺激を加える目的でベンチプレスを行うとなっても、その動かし方の手順や意識の置く位置などで刺激が加わる場所が変わります。
例えば、ベンチプレスを行う際のイメージはこのようになると思います。
- ベンチに仰向けになり、軽く肩甲骨を内転(寄せること)させる
- 肩幅ぐらいでバーを持ち、スタートポジションをとります
- そこから胸の上にバーを下ろし、軽い弧を描くように顔の方へバーを押し上げる
ざっくりとした説明ですが、特異性というのはその与えられた負荷に対して身体が反応するということですので、ベンチプレス=大胸筋の肥大、ではなく、どんな目的をもって、どのように行ったかが重要になります。
目的別の方法
大胸筋内側部に刺激を加えたい場合
先ほどは肩幅ぐらいでバーを持つと伝えましたが、バーの持つ幅を狭くし、こぶし一つ分ぐらいにしてベンチプレスを行うと大胸筋の内側部に刺激が加わりやすくなります。
ただ、バーを持つ手幅が狭くなればなるほど上腕三頭筋(肘の裏の筋肉)に刺激が加わりやすくなるためバーを上げる手順が重要になります。
その手順というのは、バーを手で押し返すようにすると腕に刺激が加わります。肩口を軽く前に出すように、肩から動き始め腕が伸びていくような手順が踏まれると大胸筋に刺激が加わりやすくなり、目的通りの効果を得られるようになります。
逆に目的が上腕三頭筋を肥大させるとなれば、今のようにベンチプレスの形であっても腕でバーを押し上げるようにすれば肥大していきます。
要は、どんな種目をするのかが重要なのではなく、目的が何で、それに対して何をどのように行うのかが重要になるということです。
大胸筋外側部に刺激を加えたい場合
続いては外側への刺激ですが、先ほどと逆でバーを持つ手幅を広げ肩幅よりも広く持ちます。そして先ほどの手順のように肩口から動かすようにバーを押し上げると大胸筋の外側部に刺激が加わり肥大します。
もちろんここでいう肥大します、というのは、負荷、回数、セット数などトレーニング条件がきちんと設定されている中でのことですので、動作がきちんとできていてもトレーニング条件が目的に沿わない場合は、思ったような効果を得ることはできませんので、ご注意ください。
全面性の原則・・・部分だけではなく、できるだけ全身を鍛えよう
この原則の意味は、部分的に鍛えるだけではなく全身を鍛えましょうということです。また他の意味では、コンディショニングのところでも言われることです。
例えば、野球選手がオフシーズンにいわゆる筋トレをして身体を大きくして、それだけでいいのかというとそれは違います。コンディショニングというと、筋力・持久力・スピード・調整力・柔軟性など5つから構成されていますが、これらすべてを向上させる必要があるという意味があります。
ひとつの能力を向上させたとしてもすべてがバランスよく向上しないと、基礎体力といわれるスポーツ選手の土台が出来上がりません。
一般の方であれば、腕を太くしたいと思っていてアームカールやトライセップスエクステンションなどの種目のみをして部分の肥大をさせるのもいいと思いますが、ビジュアル的に格好いい姿になるためには全身をバランスよく鍛える方がさらに格好いい身体になっていくと思います。
過負荷の原則・・・余裕がある負荷ではなく、少しきついぐらいの負荷を扱おう
トレーニーの方にとってはこれは当たり前のことだと思いますが、ジムでも勘違いしている方も多くいますので、改めて確認しておきましょう。
過負荷の原則、この意味は楽に感じる負荷では決して筋肉は大きくなることはありませんよ、という意味で、人間はとても賢い構造をしており、自分が限界まで追い込まれると次はその負荷に耐えられるように、以前よりも少し筋肉を肥大させます。
ジムでよくみかけるトレーニングとして、4~5kgのダンベルを自分が反復できる限界までの回数(100回)まで追い込む姿が見られますが、これは筋肉が細くなっていきます。
筋肉を大きくするためには、ある程度高重量を扱い、10回前後で限界を迎えるぐらいの重量を使います。
そうするとその刺激に反応するように、筋肉は大きくなっていきます。筋肉を大きく肥大させるためには、楽だ!と感じるのはありえないということです。
反復性の原則・・・さぼらずに、週2回のトレーニングを継続しよう
これは言葉通りですが、気が向いたときにしよう・・・なんてことは禁物です。筋肉を大きくしたい場合、週2~3回、連続しない日を継続する必要がります。
近年の研究では、週3回よりも2回の方がトレーニング効果が出るとされており、週2回をベースにトレーニングを継続することが必要になります。
ここで継続するためのポイントですが、大胸筋を大きくしたいという目的がある場合、そのための方法は、ベンチプレスやダンベルフライ、腕立て伏せやチェストプレスなどさまざまな方法があります。
トレーニング初心者の方は、その動作を習得するために同じ種目を一定期間継続した方がいいとは思いますが、もしトレーニングにもなれてきている方は、目的が一緒のため方法を毎回変えるというのも継続するためにコツだと思います。
要は、自分が飽きてしまわないように工夫することです。筋肉を大きくするためには10回前後で限界を迎えるような負荷を扱うということをお伝えしていますが、これを守ってさまざまな種目を行うと気分的にも身体にとっても毎回新鮮な刺激が入り、継続的に筋肉は成長していきます。
継続することが筋肉を大きくするためには、最低限必要なことです。
意識性の原則・・・なんとなくやっているのは効果が得ずらく、なぜするのかを理解すること
前からよく議論されることですが、トレーニング中に鍛えている部位を意識すると筋活動のレベルが向上しよりトレーニング効果が上がるとされています。
アームカールをすると上腕二頭筋に刺激が加わりますが、このときになんとなく肘の曲げ伸ばしをするのと筋肉に意識を向けて行うのとでは効果が変わってしまうということです。
一般の方でよくあるケースとしては、誰かがやっているトレーニングをそのまま真似して行ってしまうことです。
なぜそれを行うのか、どんな目的を持ち、どのように行うのかを理解していないと、ただやっているだけの浪費に近い形になってしまい、自分が求めている効果が得られないことがあります。
鍛えている部分を意識するという意味もありますが、なぜそのトレーニングを行うのか、それを理解することも重要だということです。みなさんが日頃行っているトレーニングはなぜ行っていますか?
それらを理解してトレーニングが行えているか、確認すると意外とその答えに困ってしまうかもしれません。一度振り返ることも重要かもしれません。
漸進性の原則・・・適応期間を守って、一定期間で刺激を変え続けよう
同じトレーニングを何年も行っている方はいませんか?もしそうであればある意味職人の世界かもしれません。職人は同じ仕事を何十年を行い、その中で鍛錬し、技を極めていきますが、筋肉はどうも職人の生き方ができないものです。
というのは、ある一定期間同じことを続けていると筋肉は停滞、あるいは衰退していきます。
もし工場の流れ作業をしているとしたら、はじめは仕事がわからないのですべて新鮮に感じ、覚えていくこともあるので成長していけると思います。でも2~3ヶ月するとある程度仕事にも慣れ、人間関係にも慣れてくると余裕が出てきて、次は少しさぼろうとするかもしれません。
すると容量がつかめると逆にさぼることばかりを考えてしまい、入社当時の思いはどこへ・・・というようなさぼり社員さんのような存在が筋肉かもしれません(笑)
2~3ヶ月で新しい仕事を与え、常に緊張感を保つ。この新しい仕事を与える期間が筋肉の適応期間です。
仕事を与えるタイミングが早すぎると、切羽詰まってしまってパニックになる。筋肉も同じで強すぎる刺激を受け続けると疲労し、オーバートレーニングとなります。その適応期間というのはこちらを目安にしてください。
- トレーニング初心者・・・4~6週間
- トレーニング鍛錬者・・・6~8週間
すべてがこれにあてはまらないこともありますが、ひとつの目安としてさぼり癖のありそうなさぼり筋肉を継続的に教育課程を踏ませるためにも、この期間を守り刺激を変えるといつか優秀な社員=筋肉が肥大し、自分が目指す身体へと近づいていきます。
個別性の原則・・・人と同じではなく、自分になったトレーニングを
これも言葉の通りですが、誰かのメニューをそのまましてしまうのはかなりのリスクがあります。
よくあるのは、プロ野球選手がしていたトレーニングをそのまますればプロ野球選手のようになれるかと言えばそうではありません。
ボディビルダーがしていたトレーニングをそのまますればおそらくオーバートレーニングになると思います。大切なことは目的が何か、そして現在の自分の体力レベルがどのくらいにあるのかを把握し、今の自分のレベルを継続的に向上させていくことが重要です。
誰かがしているから、負けてたまるか精神が強すぎるとメニューとしても高強度すぎる可能性がありますので個別性の原則を理解し、今の自分はどのくらいの強度でトレーニングをすればいいのかをしっかりと理解することが重要になります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。以上7つのトレーニング原則をまとめていきましたが、振り返ってみると意外とできていないことがあったり、忘れていたことに気づくと思います。
僕自身も今日の記事を書きながら「そうだ、そうだった。」と良い振り返りの時間になりましたし、理解しきれていないこともあり、自分の課題を再発見できたように思います。
トレーニング効果を継続的に出していくためには、この7つの基本原則を理解することが重要になり、これがしっかりと実践できれば成果も継続に感じれるはずです。と自分に言い聞かせるように今反省をしています。
今日の記事が少しでもトレーニーの方のプレスになればうれしく思います。
では最後に今日のまとめをしていきたいと思います。
- トレーニング原則は全部で7つある
- 特異性、全面性、過負荷、反復性、意識性、漸進性、個別性の原則である
- これらひとつひとつを理解し、実践できることで継続的な成果を感じ続ける
- トレーニングは飽きを防ぐためにも、毎回メニューを変えることも考えれる
このような内容でお送りしていきました。今日の内容をきっかけにまた理想の自分に向かってトレーニングを継続してみてはいかがでしょうか?
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。