2012年新年のことば|ニュースレターNO.279

2012年新年のことば

専門学校の校長を退職して1年9ヶ月が過ぎました。退職後は勉強会での指導とH.S.S.R.ラボでの個人相談が主な仕事になりました。そして本物を目指す人たちの要望にこたえるために、昨年10月より個人教授をスタートし、10名の方が希望され、そのうちの3名の方が1月よりスタートされます。

これまでの勉強会やH.S.S.R.ラボでの指導を通して感じることは、施術にしてもパーソナルトレーニングにしてもその考え方が不十分で、個人の施術や指導に対する哲学ができていないように感じました。

施術にしてもトレーニングの指導にしても、5年や10年で一人前に、本物になれることはありません。もしそのように思っているなら、どれほどごまかしをしているかということになると思います。

個人の施術やトレーニング指導の哲学を確立し、自信を持っていろんな状況に対応できるまでには相当の経験や知識が必要になります。5年や10年でどれほどの経験ができることでしょう。

本物になるには、まずそのことに気付く必要があります。勉強会でよく話をすることですが、まずクライアントの目的は何なのか、それが明確に理解していない・できていないケースが多くみられます。

目的が明確でない状況で何をすればよいかという質問をよく受けるのですが、当然答えることはできません。目的があって方法があることは自然なことなのですが、目的がなくて方法があることはありません。多くのケースで方法を目的に合わせようとしています。そうすると無理やりなつじつま合わせとなり、結果は当然目指したものではありません。

普通に考えれば、クライアントの悩みごとやどうなりたいといった希望があり、そのことが治療やトレーニングの目的になるはずです。次に、その目的を達成するために、最初の目標が出てくるはずです。

いくつかの段階的な目標が達成できて、目的を達成できるわけです。各々の目標を達成するために何をすればよいのかということが基本になるはずです。そこで最初の目標を達成するためにそのクライアントの問題点や課題を発見する必要があります。痛みや不快を訴えているなら、なぜそのような痛みや不快を訴えているのか、その原因を見つけなければなりません。

 

原因をみつける

また、シェイプアップしたい、パフォーマンスを上げたいということなら、なぜシェイプアップできていないのか、またできないのか、なぜパフォーマンスが上がらないのか、その問題点を見つけ出さなくてはいけません。その原因や問題点が発見できれば、それを解決する方法を見つけることです。

ここで必要になるのが、問題解決の手段をどれだけ持っているか、どれほどの引き出しを持っているかということです。引き出しがなければ、どうしようもありません。どんな状況に対してもワンパターンの対応しかできないということです。

同じ状況・状態の人が何人もいるということはまず考えられません。一人ひとりの状況・状態に対応できる多くの引き出しがなければどうにもならないのです。多くの引き出しを持っている人が、ごまかしのない本物になれるのです。

引き出しのない人は、結局ごまかしで通すしかないということなのです。このことが「わかっているつもり」「できるつもり」「できているつもり」「教えているつもり」「治しているつもり」なのです。

多くの引き出しを持つためには、時間と経験が必要になります。「結果に嘘はない」ということなのです。クライアントの問題が解れば、それを段階的に解決して行くためのハウ・ツーは、簡単です。

しかし多くの人たちは、ここで何をしていいのかわからないのです。基礎理論と問題解決の考え方が解っていないからです。本を読んだり、DVDを観たり、何度か講習を受ける程度では到底その理解はできません。このことに一人でも多くの人たちに気づいてもらいたいと思います。

現状に満足するようなことがあってはいけません。常に課題を持って、物事を解決するための考え方を理解し、一つでも多くの引き出しを持てるように努力を重ねなければ決して明るい将来はないと思います。

若い施術家やパーソナルトレーナーの方には、長い人生を本物で終われるように日々努力を積み重ねていただきたいと思います。そのためには、行動することです。今の自分に何が足りないのか、何が必要なのか、現状でよいのか、そんな自問自答をして自分の将来のために一歩踏み出す年にしていただければと思います。

私自身も今年の課題を持って勉強を積み重ね、皆さんによりよい情報を提供して行きたいと思います。そして勉強会や個人教授に参加される方には、個人の哲学が持てるように指導・アドバイスができるように努力したいと思います。

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