脳に悪い7つの習慣|ニュースレターNO.228

11月も終板で、来週にはもう12月にはいります。今月は毎週末勉強会やクリニックがあり、あわただしい月でしたが、楽しくもありました。前回のニュースレターで勉強会の状況をお知らせしたこともあり、世話人の方のところにはいろいろ問い合わせがあったようです。

さて、今回のニュースレターは、以前紹介しました「勝負脳」の著者である林成之氏が出された「脳に悪い7つの習慣(幻冬舎新書2009)」という著書を紹介したいと思います。内容は、これまでに出版された本の内容とほとんど変わることはないと理解しましたが、タイトルを変えることにより、内容もコンパクトにまとめられていると思います。

脳にとって「よい習慣」と「悪い習慣」があり、脳は気持ちのもち方や行動次第で、その働きをよくも悪くもできるといいます。それを知らないと、脳がもつすばらしい力を発揮できていないようです。なぜ脳に悪い習慣から逃れられないのかといえば、脳にとってよくない習慣を知らないからで、いったん、「この習慣は脳に悪い」と認識すれば脳に悪い影響を及ぼすことはないようです。

「脳に悪い習慣」をすべてやめればいいだけだそうで、ドリルを解くなどといった特別なトレーニングは、本当に脳を鍛えるうえで意味がないので、行う必要はないといわれています。そして「脳に悪い習慣」を知り、それをやめることで、脳のパフォーマンスを最大限に発揮できれば、との思いで執筆したと書かれています。

ここでは、序文の中からピックアップして紹介しますが、最後にもくじも載せておきましたので脳に興味のある方はぜひ著書をお読みください。

『「脳のしくみ」にもとづいた構成だから、悪い習慣がカンタンにやめられる。

本書は、脳が考え、記憶し、それを活用するしくみにもとづき、脳の力を引き出すのに適した順番になるよう構成してあります。これらを順にやめていけば、あなたの物事への理解力は高まり、“ここぞ”というときに最高のパフォーマンスを発揮し、独創的な思考ができるようになります。集中力を高め、記憶力をよくすることも、もちろん可能です。

「順番」とはどういうことかをよく理解していただくために、ここでまず脳のしくみを簡単に説明しておきます。人が五感から得た情報を、脳はどのようにして取り込み、理解・判断し、思考し、記憶するのでしょうか?

図1を見ながら流れを追ってみましょう。「大脳皮質神経細胞」が認識した情報は、まず「A10神経群」と呼ばれる部分に到達します。「A10神経群」は、危機感をつかさどる「扁桃核」、好き嫌いをつかさどる「側坐核」、言語や表情をつかさどる「尾状核」、意欲や自律神経をつかさどる「視床下部」などが集まったところ。

ここで生まれるのが、「感情」です。脳では、情報に対して最初に「好きだ」「嫌いだ」といった気持ちが発生するわけです。そして、「A10神経群」は情報に対して「この情報は好きだ」「この情報は嫌いだ」などと感情のレッテルをはります。

レッテルをはられた情報は、次に「前頭前野」に入ります。ここでは情報を「理解・判断」するところです。自分にとってプラスの情報であると、その情報は「自己報酬神経群」にもち込まれ、さらに自分にとってためになる、または価値があるものにするために、「線条体-基底核・視床」、「海馬回・リンビック」にもち込まれます。このような流れをつくりながら、脳は考える機能を生み出すのです。

つまり、大脳皮質神経細胞が認識した情報について、脳は「A10神経群」「前頭前野」「自己報酬神経群」「視床」、記憶をつかさどる「海馬回・リンビック」を総動員して取り込み、「思考」するのです。その際②から⑥までの神経群が一つの連合体として機能しているので、これらの神経群を「ダイナミック・センターコア」と呼ぶことにしました。ここで、人間の考えや、感情よりずっと複雑な「心」「信念」と呼ぶべきものや、「記憶」が発生するのです。』

『さて、こうして脳の考えるしくみを知ると、脳をダメにする習慣が見えてきます。たとえば、入ってきた情報に「嫌いだ」というマイナスのレッテルをはると、脳はその後に控える「理解」「思考」「記憶」という過程で、そのレッテルに引っ張られ、考えたり覚えたりする機能がしっかり働かなくなります。同様に、「自分のためにならない」と感じると思考力は発揮できません。

実際に、嫌いなことや自分のためにならないと感じることで、パフォーマンスを上げるのは難しいものです。一方、自分が好きなことや自分のためになると感じることに対して、頭がよく働いて、いいパフォーマンスを上げられるという経験は、みなさんおもちのことでしょう。これらは、脳のしくみから理由を説明することができます。逆にいえば、脳のしくみから、パフォーマンスを上げたり落としたりする条件を導き出せるということです。

本書では、脳のしくみ、つまり脳が情報を受け取り、感じ、理解し、思考し、記憶するという順番に従って、「脳に悪い習慣」と「その習慣をやめ、脳を活かすための具体的な方法」を説明していきます。』

『この本に登場する「脳に悪い習慣」は、理由はさておき、一般的に「よくない」とされていることが多いはずです。読み進めていくと、当たり前の正論に聞こえてしまうものもあるかもしれません。脳にとってよくないことは、経験則でなんとなくわかっているものだともいえるでしょう。しかし、「わかっているよ」ですませず、一つひとつの習慣について「なぜ悪いのか」の理由を知り、順番に克服するというステップをふむことが大切なのです。

というのも、理由を知ってはっきり「やめよう」と意識しなければ、いつまで経っても人はダメな習慣から抜け出せず、脳は高いパフォーマンスを発揮できないままになってしまうからです。

また、一般に「よい」とされていたり「悪いわけではない」と思われたりしていることなのに、実はそれが脳に悪いという習慣もあります。たとえば、「コツコツがんばる」「上司には素直に従う」「“ここぞ”というときに緊張するといけないので、リラックスする」「記憶したいときは、言葉をくり返し唱えて覚える」-みなさんは、こうした習慣が脳にとってよくないということをご存じないかもしれません。

しかし、脳のしくみをふまえれば、「よかれと思ってやっていた、実は悪い習慣」についても理由を含めてしっかり理解し、やめることができるのです。くり返しになりますが、本書は順に読み進め、実践していくことで、脳のパフォーマンスを上げられるように構成してあります。どうぞ、そのことを心に留めて通読してください。』

本のもくじ立ては次のようなものになっています。

第1章 脳に悪い習慣①「興味がない」と物事を避けることが多い
第2章 脳に悪い習慣②「嫌だ」「疲れた」とグチを言う
第3章 脳に悪い習慣③言われたことをコツコツやる
第4章 脳に悪い習慣④常に効率を考えている
第5章 脳に悪い習慣⑤やりたくないのに、我慢して勉強する
第6章 脳に悪い習慣⑥スポーツや絵などの趣味がない
第7章 脳に悪い習慣⑦めったに人をほめない

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