旅立ち|ニュースレターNO.092

11年間努めた大学を3月末日をもって退職いたしました。11年間片道2時間40分を通った金属疲労が出たようで、健康上の理由でやむなく退職となりました。そんな折、旧知の専門学校の理事長より、ぜひうちの校長で好きなようにやってくださいとのありがたいお声を掛けていただきました。

その専門学校は、昨年開校したところで、問題も多いのですが、これからどのような方向にも進める状況でした。自宅からも1時間ほどで通えることもあり、まさに自分の夢の実現に向かって旅立てるタイミングとなりました。そして、2004年4月1日、私は旅立ちました。

私の夢は、トレーニング、トレーナーといった職域で一般の人からプロのスポーツ選手まで、どのレベル、どの対象者に対しても、パフォーマンスの向上から健康増進、リハビリテーションにいたるまで指導できるプロフェッショナルな人材を育てることです。

また、計画的なトレーニングによって優秀な陸上選手を育てることです。もちろんその選手の最終目標はオリンピックの出場です。私自身、大学時代に陸上競技の指導からスタートし、就職してからはリハビリテーションを専門にやるようになり、大学の教員になってからは間接的にアスリートを育てるようになりました。

選手の育成において、技術指導のあり方、コンディショニングを向上させるトレーニングの指導、怪我をした時のリハビリテーションが重要であることは承知のことですが、わが国においてはこの3つの要素が上手く構成されていないことが世界で活躍できる選手が育たない原因になっていると思います。

中学、高校、大学で優秀な成績を収めた選手が20代後半まで順調に成長し、世界のトップで長く活躍できるというような現状はほとんど見られません。

その最大の原因は、長期的な育成プランがなく、怪我をした時に元通り回復しきれないからです。いろんな知識や情報は溢れるほどありますが、どれもそれを生かしきれていません。実験や研究で得られた成果が、現場の指導にフィードバックされていないのです。

研究と現場のつながりがほとんどないのが現状です。いくら素晴らしい研究をしても、結局は研究だけで終わってしまうということです。研究のための研究が余りにも多すぎるような気がします。

そこに現場の経験がどうもマッチしないようです。現場の指導者は、もっと研究の成果を冷静に判断し、それを応用するアイデアがなければ、研究成果は生かされません。スポーツの実際の現場は、研究室の実験と全く違う状況です。したがって、実験室で得られたデータをそのまま現場に100%生かすことは考えられないので、そこに応用が必要です。

また実験で得られたデータを現場で生かす際に、どれだけ長く続けられるかということも問題です。日本人は、即席の、即効性のあるものをいつも期待するように思います。私もよく質問されることですが、「何をすれば強くなれますか」と言われるように、すぐに結果を求めます。

成長期には、それこそ何をしてもレベルアップするでしょう。やればやるほどレベルアップも期待できると思います。それが今の中学や高校生に対する指導の現状であると思われます。

結果的に、そのことが競技生活のピークを迎えさせてしまったり、バーンアウトさせたりしているのです。選手を育てるための要素はたくさんあり、どれか1つだけ優れていても世界のトップには立てません。時間をかけて、年数をかけて1つずつ積み重ねていくことが必要なのです。

1つのピラミッドを建てることと同じで、基礎がしっかりしていないと、後になって傾いたり倒れたりしてしまいます。このように考えれば理解できるのですが、実際には目の前の結果だけにしか気が回らなくなっています

選手が育っていく中で、必ずどこかで怪我や障害の問題が起こります。その時に、しっかりしたリハビリテーションがなされれば良いのですが、それが十分でないために、競技人生を怪我と戦ってしまうことになったりします。これが我が国のスポーツ界の現状です。

リハビリテーションにしても、患部を治す、元通りにする事にしか目がいかないと、回復に数ヶ月かかれば、患部が治っても身体機能はレベルダウンした状態になってしまっています。傷ついたのは、患部であり、一部分であり、身体のほとんどの部分は正常なのです。

むしろ、数ヶ月のリハビリテーションの間に、コンディショニングは怪我をする前よりレベルアップして現場に復帰できるはずです。ここには、やはり創造力や応用力が必要になってきます。その期待にこたえられるプロを育てたいのです。

何よりも重要なことはトレーニング理論なのですが、そのトレーニング理論を追及する分野が我が国にはありません。不思議なことに、体育学会の中にトレーニング理論を研究する分野がありません。

これでは、研究成果を現場に活用できないはずです。きちっとしたトレーニング理論が確立されていないことが問題です。それが確立されていれば、現場での指導も誤ることはないのですが、どうもその分野に関心がないのか、十分理解されていないようです。

選手を育てるにしても、リハビリテーションを指導するにしても、基礎知識や新しい情報を応用できる柔軟な思考力を持てる人材を育成する必要があります。

そのような人は、アスリートに関わらず一般の子どもから老人まで、また障害者からプロのアスリートにいたるまで、その目的に則した適切な指導ができるはずです。そのために、私を理解してくれる若くて意欲のある、そして柔軟な頭を持つスタッフを集め、いっしょにそんな人材の育成と、世界のトップで活躍できる選手を育成することが私の夢です。

そんな基地を私の学校、「平成スポーツトレーナー専門学校(HCST)」に創りたいのです。(http://www.heisei-iryo.ac.jp/sp-tr/)

今年2年目で、ほとんど知られていない学校ですが、

私が育てます 本当のプロを!
私が鍛えます 本当のプロに!
私が育てます トップアスリートに!

をスローガンとして、トレーナー、ストレングス&コンディショニングのプロになりたい人たちが目標とするアカデミーの存在にしたいと思っています。また、特に陸上選手の育成ということにも力を注ぎたいと思います。このことは本当に私の長年の夢でした。

この道に大いなる希望をお持ちの方がおられましたら、ぜひ私のもとで力をつけてください。そして皆さんの夢をかなえるサポートができれば、本当の意味で私の夢がかないます。

夏には、トレーニングルームもトレーナールームも完成します。カリキュラムもそれにあわせて実践的なものにしていきます。私のプランの実現は、来年度の4月スタートになります。今年は、その準備の年でもあり、夢の実現のために何が必要か、一つ一つ課題を解決していくことになりそうです。いつでも気楽にお尋ねください。お待ちしております。

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