ワールドカップを観て|ニュースレターNO.048

今回は、ワールドカップの話題です。もう何試合観たでしょうか。連日2試合、時に3試合観る事がありました。それでも飽きない。2~3年分以上、サッカーを観たと思います。それは、プレイの素晴らしさに他ないでしょう。

昨日は、ロシアから念願のワールドカップ初勝利を上げ、決勝トーナメントも見えてきた状況です。私は、本来なら、モスクワのマトヴェーエフ氏のところに行っていたはずですが、ワールドカップ開催中につき、モスクワからの帰りのチケットが取れず、仕方なく9月に延期したのです。

予定は、ロシアの独立記念日である12日にモスクワを発つ予定でしたので、昨日は、もしかしてモスクワで暴動に襲われていたかもしれません。それだけロシアの人たちにとってサッカーは国技といえるのです。世界のトッププレイヤーの動きを見て、皆さんもいろいろ感じるところがあると思います。

まず世界のトッププレイヤーのシュート力のすごさに驚かされます。特にミドルシュートのパワーは、何とも表現できないほどすごいものです。それも、すごい助走をつけたり、勢いをつけたりしなくても弾丸シュートを打てるのは、先天的なものに他ならないのでしょう。

ゲームで目に付くのは、パスのコントロールと、ボールの勢いです。日本選手に対して日ごろから感じていることですが、短いパスのスピードが遅く、それをカットされることが多いことです。ショートパスでも、ボールの勢いが急速に落ちていくパスが多く観られますが、外国選手のパスは、遅く見えてもきっちりしたスムースデータイミングよくパスされています。

当然、クロスの長いパスの正確さも段違いです。そのようなプレイが観ていて飽きさせないのでしょう。それと、ボールコントロールで気付いたことがあります。

ボールは、からだの前でコントロールするように思っていたのですが、トッププレイヤーの多くが、からだの下でボールをコントロールし、そこから、やや止まった感じでパスを出しているように思えたことです。それが安定した動きに見えたのでしょうか。

日本選手は、ボールをからだの前でコントロールしようとしているせいか、なぜか不安定な動きに映りました。密集でのドリブルも、体の下にボールを入れて運んでいるようにも見えます。

しかし、ここで、一番難しいのが、からだの下にあるボールを蹴ることです。からだの使い方が問題になりますが、このような状態でボールを蹴るには、からだを折り曲げるか、からだを後方に倒すかどちらかになります。その2つの動作を上手く使い分けているように思えます。このようなキックができることが、ショートパスもしっかり蹴れるということなのでしょう。

ボールがからだの前にあるより、からだの下にあるほうが、相手のチェックにも対処しやすいことは想像がつきます。一度、このあたりのボールコントロールにも注目してみてください。非常に興味深いものがあります。

さて、ここまでの日本チームの活躍は、すばらしいものがあります。外国チームの評価を裏切る活躍です。どのチームに対しても、体格では明らかに劣ります。これは、昔から変わっていません。技術的には、どうでしょうか。中田英、稲本、小野選手などのプレイを観ていると、シュート力そのものは、後一歩と言う感じはありますが、テクニック的には十分対等になってきていると思います。

最も、対等なもの、また対等以上になったものがあります。それは、おわかりのように、体力面の向上です。90分間ハードに動き回れる体力が、外国選手と対等か、それ以上になったということです。この4年間のトレーニングの成果だと思います。体格の問題はどうしようもありません。

テクニックの問題も、環境の問題が大きいことから、それなりにしか追いつくことができません。しかし、体力面については、やれば対等以上に持っていくことができるのです。他の競技についても同じことがいえます。技術・テクニックばかり頑張っても、世界との距離は縮まらないのです。

体格、技術、体力、この3要素が問題で、大きく改善できる要素と、対等以上に持っていける要素は、明確です。レベルアップが容易なものに力をいれず、レベルアップが難しい要素に、ほとんどの練習時間を割く、この理解ができない限り、世界のトップレベルに追いつくことはできないのです。バレーボールなどは、そのものではないでしょうか。

バレーボールの場合は、むしろ選手の技術は、世界のトップレベルの選手が多いはずです。ところが、体力面、パワーレベルの差が大きすぎるので、現状のような情けない状況にあるわけです。そのことに、30年近く、気づいていないのでしょう。

日本選手の現状の体型からして、まだまだこれから伸びるでしょう。サッカーもぶつかり合うコンタクトスポーツ化してきた感じが強くなってきたように思いますので、より頑丈な肉体を作り上げることが必要です。しかし、単純にウエイトトレーニングをして、筋力をつけていくという発想はどうかと思います。総合的な体力を考慮しながら、サーキット的な体力づくりが基本になるように思います。

体力面のレベルアップは嬉しいことですが、日本選手の弱点があります。それは、脚が遅いこと、スピードが足りないことです。トップチームは、ほとんどの選手が速いし、走り方もスピードが出るような動きになっていますが、日本選手は、どう見てもドリブルして走っているとしか見えません。

また、最初の数歩の出方が遅いようです。どこかで、ランニングそのものの指導を受ける機会を持てばもっとスピードが出るようになると思います。素晴らしいキックができる足は、走ることも速い筋肉を持っているはずです。もっともっと大きな走りができるようになってほしいと思います。

そうすれば、選手のプレイも変わってくると思いますし、疲労度も抑えられるはずです。このあたりのことは、ぜひジュニアのときからきっちり指導する必要があると思います。

最後に、テレビを観ていて思うのですが、世界選手権やオリンピックもそうですが、映像の撮り方が下手です。競技を考えれば分かることですが、テレビ番組と同じで、選手や観客のアップが多すぎます。特にサッカーなんかは、全体的な構図で見なければ、何故このようなゴールに結びついたのかよくわかりません。

プロ野球の中継も同じですが、投手の顔のアップが長く続くために、投手と打者の向かい合った勝負の姿がなかなか見られません。これは、撮る側の明らかなレベルの低さとしか言いようがありません。ゲームの進行中にもかかわらず、観客を映しつづけたり、ゴールを繰り返し移したりします。

その間に、何が起こっているのか全く分かりません。ぜひ、放映する人たちも勉強してほしいと思います。どのような構図が一番そのゲームを観るのに必要なのかということです。このようないらいらは結構多いので、本当に気になります。

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