今年最後のニュースレター|ニュースレターNO.037

今回のニュースレターも、今年最後になってしまいました。月2回のペースで、今年24回目、通算37回目となります。これまでの出会いの中から、にいろんな方にもニュースレターを書いていただきました。それぞれに今思うこと、感じること、考えることを書いていただき、広い視野を持つことを訴えていただいたような気がします。

今年、出会ったことばがあります。「木を見て森を見ず」 これほど我々が陥りやすい観点を刺激したことばはありません。目の前のことだけに注視するのではなく、その周囲も、隠れた部分も含め、常に全体を見つめることの大切さは、指導者にとって必要不可欠なことだと思います。

このことは、指導や研究、そして講演や人の話を聞く、また講演する場合にも当てはまることだと思います。

今年最後のニュースレターは、今年であったかが、今年最後の私の講演を聴いていただき、それをどのように感じ取られたか、そのリポートを紹介したいと思います。

 

魚住先生の講演を聞いて

12月16日、早稲田大学で行われたNSCAジャパンカンファレンスの中で魚住先生の講演を聞く機会を得ました。テーマは「柔軟性の考察する~スタティックストレッチからPNFストレッチまで~」ということで、ストレッチングの方法論やその他以前にニュースレターでも紹介のあったことについて、お話をされました。

紹介していただいた色々な情報の中にも新鮮なものが多く、自分の思考に影響を与えることが多くありました。

その中で、ストレッチさせることにより骨への刺激にもなり、それが筋力の維持にもつながるといった文献の紹介がありました。これは、今まで考えもしなかったことでした。

筋の起始や停止部を考えると、確かにそうなのかもしれませんが、自分の中でストレッチングというのは筋へ作用するものという固定観念が出来上がってしまっていたので、この文献が紹介されたときには驚いてしまいました。

先生は、高齢者などに対して筋力の維持に有効であるとおっしゃっていましたが、スポーツ選手に対しても、場合によっては用いることができるのではないかと思います。

また、筋紡錘と腱紡錘が同時に作用した時には、腱紡錘の方が優位に働くということや、ストレッチの際の抵抗感の半分近くが筋膜によるといったことなど、恥ずかしながら初めて耳にした情報も多く、今後選手にストレッチをさせる時にも、うまく自分のものにできれば、より効果を高められるであろうと思われることが、たくさんありました。

細胞レベルのお話に関しては、正直なところ、理解にまだまだ時間がかかりそうですが、今後少しでも自分のものにしていけたらと思います。

しかし、一番印象に残っているのはそれらのことではなく、別のところにありました。色々なことを説明さる中で、先生が特に強調されていたのが、「何を目的とするのか?」ということであったと思います。

どの器官に対してアプローチするのか?それによりどのような効果を狙っているのか?ということでした。こういったお話から、トレーニングについての話題になり、アップで走る時の量などについて、何故その量なのか?それより多くても少なくてもいけないのか?ということについてお話をされました。

そして、そういったことを選手から問われた時に答えられますか?ということを受講者に投げかけられました

また、「ストレッチ」と「ストレッチング」の違いということについて話をされていましたが、この話をされたときに、「この2つを混同して使っていないか?」ということと、「2つの言葉の違いを、自分の中で確立して使い分けるべきである」ということをおっしゃいました。

自分の中では「伸ばす」のがストレッチ、「伸びている」のがストレッチングという、一応の認識は頭の中にありましたが、実際に使う時には混同していたような気もします。

今この文章を書いている時にも、どちらの言葉を使うべきかということを考えてしまいます。まだ自分の中で明確な分類がないということの現れかもしれません。

この2つのことに共通しているのは、自分が指導すること、また発言する言葉に根拠を持たなければならないことであると、自分では捉えています。誰かが行ったことを真似て行うのではなく、その根拠などをしっかり持って指導にあたる、この当たり前のことをどれだけ当たり前にできるか?

このことの重要性は、以前魚住先生にお会いした時にも、強調されていたことでした。

現在、トレーニング方法などがたくさん世の中に出ていますが、それらを取り入れるときにも、マニュアル的に行うのではなく、その背景をしっかりと把握・検討し、自分のクライアントに対して必要であるかどうかを見極めなければなりません。

指導する立場にある以上、一般の方が流行に乗るのと同じようにしてはならず、しっかりと自分が責任を持てる形で、選手に指導しなければならないということを改めて感じました。また、選手は新しい情報や雑誌などでとりあげられたものに対して、ものすごく敏感です。

そして、そのようなことを導入することを望み、こちらがやらなければ、そういったことも提案してきます。選手から質問されたときにもしっかりと答えられるよう、自分が実施する、しないに関わらず、情報を収集あるいは実際に体験し、しっかりとした根拠を持つことが必要であると考えます。

今回は、柔軟性ということがテーマでしたが、それにとどまることなく、自分が期待したよりも盛りたくさんの内容でした。ただ、時間的に限られていたので、もっと深くお聞きしたいという気持ちが残りました。1時間という中では、全てを深く考えるまでの余裕が自分にはありませんでした。

また、今回お話に出てこなかった他の柔軟性を左右する要因についても、お聞きできる時間が得られれば良かったかなと思いました。

自分自身、いつも受け身になってしまいがちなので、もっと自分自身の知識や経験を積んで、あのような場で聞くだけでなく、与えられた情報に対して自分の考えと対比させたり、その上で疑問が持てるようにならなければ、と質問をされている方を見て思いました。

専門学校アスレティックトレーナー学科学生

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