足の痛みの相談|ニュースレターNO.022

先週の4月28日、初めて勉強会を東京で開催し、懇親会を含め、実に7時間以上にわたっていろんな話が飛び交いました。この内容については、また参加者の方々のリポートでご紹介したいと思います。ぜひこのような機会を全国で持ちたいと思います。

さて、今回は先月いただいた手紙を参考に、リハビリテーションの進め方について考えてみたいと思います。送っていただいた手紙の内容は次のようなものでした。

『自分は25歳の会社員です。2年間ボクシングをやっていたのですが、右足の甲の外側の痛みのため、約1年前にやめました。

それから足を治すためにいろいろな本を買って読んだり(その中で魚住教授の「スポーツ外傷・障害とリハビリテーション」という本だけがリハビリから復帰まで詳しく書かれていましたので、手紙を書きました)、筋トレ、ストレッチなど、現在も続けていますが、よくなっていきません。

整形外科では、電気、足底板などをしたり、レントゲン上の異常もないので、もう外科ではどうしようもないと言われ、その先生に鍼を勧められて行きましたが、効果がありませんでした。

先日、別の整形外科では、腓骨筋の捻挫、炎症などのトラブルを放っておいた為、慢性化していると言われました。症例が尐ないので、治るかどうかわからないし、スポーツも、自転車やウエイトトレーニングなどしかやらない方が良いと言われました。

教授なら、自分がまたボクシングができるようになるには、どうしたら良いか知っていると思って手紙を書きました。お忙しいのは承知していますが、できればお返事をもらえたらすごく嬉しいです。よろしくお願い致します。』

医者から特に異常はないとして見離されたケースは多いはずです。誰が悪いのでしょうか? 何がいけないのでしょうか

けっして医者が悪いのではありません。診断上、異常が見つからなければ問題ないとしか言えないはずです。ここでは、次のリハビリの段階が問題になるはずです。そこでどのようなアドバイス・指導を受けるかと言うことにすべてかかっているのではないでしょうか。

そこで私は、次のような手紙を差し上げました。『お手紙拝見いたしました。1年以上も足の痛みで悩んでおられるようで、またボクシングができない悩みは深刻であるように感じます。

しかし、手紙で拝見する限りでは、問題のない痛みであるように思います。確かに痛みはあるのですが、レントゲン上でも、その他の検査でも恐らく問題は出ないと思います。

一番考えられる障害は、スプリング靭帯の捻挫と腓骨筋腱の炎症と考えられます。恐らく、AさんはO脚ではないでしょうか。シューズの外側が極端に磨り減らないでしょうか。

絵で書いておられた「筋の付着部にトラブルがあるのでは」というところは、浮いた状態で靭帯がついています。それが足の外側で着地することによって突然極端に伸ばされたか、繰り返し伸ばされたと考えられます。

これは、O脚でランニングすると足の外側で着地を繰り返すことになるからです。足首で言えば、慢性捻挫の痛みと言うように考えればよいと思います。したがって、その部分の腫れが消えないということは、炎症が慢性化していると考えられます。

対策は、足の外側で体重を受けないように歩くこと、母趾球を常に意識すること、立っていても、歩くときも、常に母趾球を意識することです。

後、やるべきことは、まず下腿部(すね)の外側の筋肉が張っているはずです。これは、絵に書かれている腓骨筋です。この筋肉の腱が慢性的に炎症を起こしているために、そのふくらみである筋肉が硬くなっているはずです。

この逆のことも言えます。すなわち、腓骨筋が硬くなったままなので、腱の炎症も消えないということです。対策は、すねの筋肉をマッサージ、鍼などでほぐすことと、患部を冷やすことです。氷で直接患部をマッサージしてください。氷でこすりつけます。

10~15分間やってください。その後、両足を肩幅に開いて立ち、軽く膝を曲げてスクワットを繰り返してください。しゃがんだときに、恐らく体重が足の外側にかかりますので、やや母趾球の方にかかるように(正常では母趾球と小趾球、かかとの3点で体重を受けます)意識します。

状態が悪いようであれば、1日2回、普通は1日1回でOKです。

それから、まず新しいシューズを買って履いてください。足型がついたシューズは使わないほうがよいでしょう。後は、本にも書いてあると思いますが、ジャンプ・ストップをやってみてください。

その場で母趾球を意識してジャンプして、着地するときに、小指側にかからないで、足の裏がフラットな状態(母趾球と小趾球、かかとの3点支持で体重を受ける)で着地をします。

これを繰り返します。正しくできれば痛みはでないはずです。これが痛みなくできるようになれば、ランニングに入ってください。足の裏をフラットについて着地することと、母趾球で突き放す意識でランニングします。基本は、小指側・外側に体重をかけないと言うことだけです。

全く、問題はないと思います。上記のことをきちっとやれば、日ごとよくなっていくはずです。痛みや不快を感じるときは、正しい足のつき方をしていないと言う合図ですから、そのときに正しいつき方を意識すれば問題はありません。

ボクシングの再開も直ぐと言うより、意識ポイントを間違わなければ問題ないはずです。1週間もすれば、解るはずです。自信を持ってやってください。』

それから数日後、次のようなメールが入りました。

『こんばんは 手紙を出させていただいたAです。お忙しいので返事はこないものと思っていましたので、とても嬉しかったです。

早速今日から教わったことを始めます。すごく自分の気持ちが楽になりました。本当にありがとうございました。あと質問なのですが、冷やす、そして運動、そしてまた冷やすのですよね? 教わったこと守ってやってみます。』

そして1週間後、次のようなメールが届きました。

『魚住教授、自分がメールする前にメールがあったのでびっくりしました。ありがとうございます。常に母趾球を意識するようになって、痛みが軽減しましたよ。

10が7くらいにはなりました。仕事中も尐し楽になりました。それと、今1日おきに おそわったリハビリをしています。

内容は、まず冷やしてから教わったやり方で、スクワット、ジャンプ・ストップ、あとヒール・トゥー・ウォーク、カーフ・レイズ、ストレッチです。もう

少し様子を見て、軽く走ってみるつもりです。来週から毎日リハビリはやるつもりです。このままよくなってくれればいいなって思います。

あと魚住教授から手紙の返事がくる前に、予約を入れていた都内のスポーツ整形外科にいってきました。CT検査、レントゲン、足の形などを診てもらいました。検査の結果は5月下旬に聞いてきます。

とりあえず言われたことは、足首がかたいのとハイアーチだということです。魚住教授におそわっていることと、足首のストレッチ、股関節の強化もした方がいいかもとのことです。やり方は結果を聞きにきたときに教えるとのことです。魚住教授ならこういう足の時どう指導されますか?少し知りたいです。

自分の足については、魚住教授におそわってから本当に尐し調子がいいです。自分の目標はボクシングができる足にすることです。まだ時間かかるかもしれませんが、治したいです。お忙しいのは承知しておりますが、今後ともご指導ください。すごく頼りになり嬉しいです。』

以上のように、リハビリテーションの考え方はいろいろありますが、目的は、正常な状態に戻すことにあると思います。

わずか数回リハビリをしただけで、1年以上苦しんでいたことが楽になったのです。それは正常な動きを試みたに過ぎません。異常な状態があるから問題があるわけで、正常な状態で異常があるとは考えられないはずです。

したがって、異常な構造・動きを修正することがリハビリテーションの最大のポイントになるように思います。また、パフォーマンスの向上にも当然繋がるものではないでしょうか。

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