
筋肉を緩めましょう!では何をする?そう、ストレッチという方が多いのではないでしょうか。
でもストレッチって、意外と難しい。なぜかといえば、痛くなるほど伸ばせば筋肉は緊張してしまいます。筋肉を緩めているつもりでもうまく緩みません。
筋肉を緩めるためにはどのような方法があるのでしょうか。それを理解する上でもキーワードになるのがこちらです。
- 筋紡錘
- 腱紡錘(ゴルジ腱器官)
- 筋膜
- 皮膚
- 呼吸
- 揺らぎを与える
これらすべて筋肉を緩めるために活用できるものであります。人間の身体は不思議ですが、今日は筋肉を緩めるということにテーマを絞って書いていきたいと思います。
筋肉を緩める=ストレッチと考えている方は、もっと簡単に筋肉を緩めることができ、その効果を実感することができるようになると思います。
では早速筋肉を緩めるということについて書いていきたいと思います。
こちらの記事も参考にしていただければと思います。
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Contents
ストレッチで筋肉を緩めることが難しい理由
ストレッチについては、トレーナーの技術の中でも最も難しいテクニックのひとつであり、一般の方がご自分でストレッチをする場合でもどの程度伸ばせばいいのか、どのくらいの時間伸ばせばいいのかなど、その程度が難しくなかなか筋肉を緩めることができていません。
痛みを感じるところまで伸ばすことで“緩んだ気”になっていたり、伸ばしたという気持ちの満足感ばかりが増してしまい、実際の効果をあまり感じていないということも起こりがちです。
教科書のような紙面だけでは、その細かな部分までお伝えすることができず、その細かなところにこそストレッチの本質があり、この細かな感覚の違いを実践できていないためにストレッチで筋肉を緩めることが難しいといわれる理由になります。
ストレッチ=筋肉を緩めるは不適切?
ひとつの考え方として、ストレッチについてこのように考えることができます。
ストレッチは、引っ張る、伸ばすという意味があり、筋肉を引っ張ったりするという意味でつかわれています。筋肉を引っ張るということは、果たして筋肉を緩めることなのかということ。
大切なことですので、もう一度言います。
筋肉を引っ張るということは、果たして筋肉を緩めることなのか。
筋肉を引っ張ることは、そもそも緩むことではなく、ゴムを引っ張っても緩まずピンッと張っていることを想像すればその理解は容易にできます。
ではどのようにすれば筋肉を緩めることができるのか。それは力を抜くこと。これができれば筋肉は緩み、適度な弾力を持ちます。このためにどうするのか。それは、呼吸を活用したり、筋肉に揺らぎを与えることで筋肉を緩めることができます。
もちろんその他のテクニックなどでも筋肉を緩めることができますが、ストレッチ=筋肉を引っ張るということを冷静に考えてみると、緩みではなく緊張ととらえることもできます。
要は、筋肉を緩めるためにはさまざまな方法があり、対象物がありますが、それらに対してどのような刺激を加えるのか、ということが重要であり、筋肉を緩めるためには、この理解が必要となります。
筋肉を緩めるさまざまな方法
では、実際に筋肉を緩めるとなればどのような方法があるのでしょうか。対象物をどのようなものにするのか、どのように筋肉を緩めるのかということを理解していきましょう。
- 筋紡錘
- 腱紡錘(ゴルジ腱器官)
- 筋膜
- 皮膚
- 呼吸
- 揺らぎを与える
冒頭でもお伝えしましたが、この6つのキーワードを軸に、どうすれば筋肉が緩むのかということを解説していきたいと思います。
筋紡錘を対象物とした場合
筋紡錘は筋肉を強く伸ばしたり、速く伸ばそうとすると刺激を受け、刺激を受けると筋肉は収縮してしまいます。これを伸張反射と呼びますが、筋肉を緩めるためには、この反応を引き起こしては筋肉は緊張してしまいます。
では、筋紡錘を対象物としたときどうすれば筋肉を緩めることができるのか。それは筋肉を
- ゆっくり
- やさしく
伸ばすことで、筋紡錘は刺激を受けず伸ばされた長さに適応し、筋肉が緩みます。ここからもわかる通り、ストレッチをする際には、痛みを感じないところで気持ちよく伸ばすことが必要な理由がここからもわかります。
筋紡錘を対象とした場合、ゆっくりやさしく伸ばし、約30秒前後ポージングを保持することで筋肉が緩んでいきます。もちろん個人差もありますので、これよりも短い、長いという差はありますが、ひとつの指標としてこのぐらいの時間伸ばし続けることで筋肉を緩めることができます。
ここでお伝えしているのがいわゆるストレッチングになりますが、ストレッチングはどの程度伸ばし、何秒、何分伸ばし続けるのか、そういった筋肉が緩む条件を捉えなければうまく筋肉が緩む反応を引き出すことができません。
腱紡錘を対象物とした場合
続いては、腱紡錘というものを対象物とした場合の考え方についてです。
腱紡錘というのは、別名ゴルジ腱器官とも呼ばれ一般の方ではあまり聞きなれない言葉かもしれません。筋紡錘というのは、筋肉の中に存在する感覚受容器であり、腱紡錘は言葉の通り腱に存在する感覚受容器です。
腱紡錘は、刺激を受けると筋肉を弛緩させ、筋肉が緩みます。ですので、腱紡錘を対象物とした場合は、あえてこの腱紡錘に刺激を加えます。では、どうすれば腱紡錘に刺激を加えることができるのでしょうか。
例えば、両サイドに柱があり、その柱の真ん中に人が立っているとします。その柱にはゴムが結び付けられ、それぞれの手にゴムを持っているとします。これは、柱が骨、ゴムが腱紡錘、人間が筋肉とします。
この柱は固定されており、真ん中の人間がゴムを中央に引っ張るとします。するとゴムは伸ばされ、柱は内向きの力が加えられることになります。人間が目一杯の力でゴムを引っ張ったとき、柱に結ばれているゴムは切れそうになりますが、このまま切れてしまうと人間で言えば骨に付着している腱が引きちぎれてしまいけがをすることになります。
そういうことにならないように、人間には腱紡錘という感覚受容器が腱に存在し、強い張力を感じ取ると筋肉を緩めます。この図で言えば、ゴムが強い張力を感じると人間に電気信号のようなものを送り「引っ張るのをやめなさい!」と指令を送るわけです。
すると人間はゴムを引っ張ることをやめ、脱力することになります。これが筋肉でいえば弛緩するということです。このように腱紡錘を対象とした場合、筋肉を収縮させ、腱紡錘に刺激を与えることによって筋肉を緩めることができます。
筋肉は力を入れることでも、緩めることができます。どのくらいの力を入れるのか、その時間はどのくらいなのかなど、これも考慮しなければいけないことがありますが、力を入れても筋肉は緩むという反応も起こるということです。
筋膜を対象物とした場合
筋膜というのは主に3つの成分でできています。
- コラーゲン・・・硬く強いという特徴がある。
- エラスチン・・・ゴム質で伸び縮みをする。
- 基質・・・ジェル状ですが、気温や体温などによって液体に変わる。
筋膜を対象とする場合、伸ばす時間が大きく変わります。
筋膜とは、筋肉を覆うように体内に存在し、筋肉→筋膜→皮膚という順番に存在しています。この筋膜は、筋肉が伸ばされると同じように伸ばされ、ストレッチをしているときに「伸びてる」と感じる約4割はこの筋膜が感じ取っているといわれています。
先ほど3つの成分からできているとお伝えしましたが、筋膜は筋紡錘と同じようにストレッチングをすることで緩むという反応が起きますが、筋紡錘を対象としたときのように30秒程度のストレッチングを行ったとします。
すると、一時的には身体は柔らかくなりほぐれたような感覚が得られると思います。ただ、時間がたてばまた身体が硬くなる。そういった反応を示すのも筋膜の特徴です。
実はこのとき、筋膜ではエラスチンという成分が伸ばされており、このエラスチンはゴム質なため短時間のストレッチングであっても一時的には伸ばされます。するとこのときの感覚を柔らかくなったととらえがちですが、本来筋膜を緩めようと思うとコラーゲンレベルで伸ばす必要があり、コラーゲンレベルで伸ばすのであれば30秒では時間が短すぎます。
時間は約90秒以上必要と言われており、その理由はこちらです。
- あるポージングをとり、筋膜を伸ばします。この段階ではまだエラスチンが伸ばされています。
- これを約90秒行ったとき、基質と言われるジェル状の物体が液体へと変わります。
- この変化が起こると筋膜はコラーゲンレベルで伸ばされるといわれています。
- コラーゲンレベルでストレッチングできると筋膜は緩み、筋肉も緩みます。
このように基質の変化やコラーゲンレベルでの伸張は、90秒以上かかるといわれているためこれだけの時間をかけてストレッチングをする必要があります。
筋膜はコラーゲンレベルで伸ばすことで緩むということです。
ストレッチングと同じような方法でも、対象物が変われば伸ばす時間が変わるということです。筋膜を対象物とし、筋肉を緩める場合このように伸ばす時間が重要だということです。
具体的な方法について
対象物を筋膜にしたとき、一見ストレッチングと同じに見えても伸ばす時間が異なります。
例えばこのようなポージングをとったとします。
このポージングで30秒程度伸ばし続けるとストレッチングになりますが。筋膜を対象とした場合2~5分伸ばし続けることになり、この時間を伸ばすことで筋膜は緩み、筋肉も緩んでいきます。
こういったポージングすべて同じことで、筋膜を対象とした場合このようなポージングで2~5分伸ばせば筋膜は緩んでいきます。
皮膚を対象物とした場合
先ほどもお伝えしましたが、簡単に言えば筋肉→筋膜→皮膚というように体内では配列していますが、筋肉が緊張すると皮膚の動きも悪くなり、皮膚が緊張している場合は筋肉も緊張するというように相互で影響を受け合っているのが人間です。
例えば手術をして、一部を切開し、縫合した周囲は術後動きが悪くなります。これは皮膚の動きが制限されたため起こることです。
筋肉を緩める目的で皮膚を緩め動きをよくすることで、実際に筋肉は緩んでいきます。
一見筋肉とは縁がないように思える皮膚も筋肉を緩める上では重要な存在となります。
呼吸で筋肉を緩める場合
呼吸で筋肉を緩めることができるというのは、あまり聞きなれないことかもしれません。
例えば胸郭という部分は呼吸によって膨らんだり、しぼんだりします。呼吸というのはそもそも筋肉の動きで行われますが、この呼吸を行うことで胸郭周囲の筋肉を緩めることができます。
呼吸をすることで、胸郭の動きを認識し、大きく分けて3つの箇所に手を当てて呼吸をし動かすことで筋肉を緩めることができます。
- へそあたりに手を置き、ここを膨らませるように鼻から息を吸い、口から吐く
- 両手をこぞおち横の肋骨に手を当て、真横に膨らませるイメージで鼻から息を吸い、口から吐く
- 胸の上部あたりに手を置き、前後に膨らませるイメージで鼻から吸い、口から吐く
このように3つに分けて呼吸を繰り返すことで胸郭周囲の筋肉は緩みます。また、ある筋肉に手を置き、置いた状態で呼吸を繰り返すことでその触れている筋肉が緩んでいきます。
このように呼吸を使って筋肉を緩めることもできます。
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筋肉に揺らぎを与えて筋肉を緩める
筋肉は揺らぎを与えると緩みます。試していただくとわかると思います。
- まず、地面に座った状態で片膝を曲げ、片脚を伸ばします。
- 伸ばしている脚の膝の裏に手を入れ、脚を数センチ持ち上げます。
- そこから落とすように手の力を緩めます。
- これを連続で行うようにポンポンポンッと弾ませるイメージで脚に振動を加えます。
- このとき腕の力で脚を動かすようにします。
- 1分もすれば太ももの筋肉が緩んでいることを実感できると思います。
これは不思議なんですが、筋肉に揺らぎを与えると緩んでいきます。
人間の身体は快の刺激を受けることで快の反応を示すため、気持ちよく揺らぎが加えられると筋肉は柔らかく緩んでいきます。
このように人間の身体はただ筋肉を伸ばすだけではなく、さまざまな方法で筋肉を緩めることができます。
具体的な方法について
例えば、片脚を伸ばしもう一方は楽な状態で座ります。この状態で伸ばしている側の膝裏辺りに手を入れ、太ももを持ちます。脚を地面でバウンドさせるようなイメージでポンッポンッっと弾ませ、筋肉を揺らしていきます。
この揺らぎで太ももやふくらはぎの筋肉が緩んでいきます。
またふくらはぎを緩めようと思うとこのような形で筋肉を揺らしていきます。
このように筋肉に揺らぎを与えることで筋肉を緩めることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。筋肉を緩める=ストレッチという認識が強かった方も多いと思いますが、筋肉を緩める方法はさまざまあります。これらのどれを使っても筋肉を緩めることができるため、重要なことはそれらをどのように行うのかということです。
ストレッチが最も難しいテクニックのひとつと言われるのも、この適切な刺激を加えることが非常に難しいためです。
方法が先ではなく、対象物を何なのか、それ次第で方法はさまざまです。
- 筋紡錘
- 腱紡錘(ゴルジ腱器官)
- 筋膜
- 皮膚
- 呼吸
- 揺らぎを与える
筋肉を緩めるためにはなどさまざまな方法があるということを知ってもらえれば、これから日常ですることも少し変わる変わるかもしれませんね。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。