
言葉の内容、タイミング、サポートの仕方、相手の見るポイント、それらをひとつひとつ間近で聞くと、自分の課題がよくわかります。
なぜうまくいかないのか、逆になぜうまくいくのか、その差を埋めることで自分が今よりもレベルアップしていくんだと感じます。先日、魚住先生のところで、高校陸上部で長距離を走っている選手を連れていき、指導していただきました。
今日はこの指導時に感じたことをまとめていきたいと思います。
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相手にどれだけ理解してもらうか
先生が指導されている姿はこれまでにも何度も拝見させていただきましたが、必ず冒頭でクライアントの状態を把握するためにさまざまな質問をされます。
この質問は、問題が生じた過去にまで遡り、何十年も痛みなどを持ち続けている方の場合、この何十年を遡って質問をされます。そしてその質問から問題の本質を見抜きます。
バラバラに散らばったパズルのピースをひとつひとつ整理するように、これまで過ごしてきた時間の中を遡って質問し、横で聞いている僕自身もそうですし、クライアント自身の頭の中が整理され、問題が浮かび上がってきます。
そして、そこで浮かび上がってきた問題を、なぜそのような問題が起こるのか、言葉や図を使って説明され、クライアント自身の頭の中で理解させていきます。
僕自身の話で言えば、この“相手に理解させる”ということが不足しており、おそらくクライアントさん自身も、なぜこのようなことをしているのか、なぜこのように動くのか、理解しきれていないところもあると思います。
情報を引き出す、問題の本質を見抜く、そして解決策を提示し相手に理解させる。今回はここまでの流れを約1時間でされ、そこから実際に走り方の指導に移っていきました。
部屋の中にて
外で走る前に、少しだけ部屋の中で歩き方をチェックし、走り方、腕の振りについてアドバイスをされていました。
歩いた時に身体は右に歪み、右肘を引くように歩かれていましたが、先生がシンプルな言葉でポイントをアドバイスすると、選手の感覚も良かったため、約5分間で行ったことで全身の緊張感が和らぎ、左右のバランスも整っていきました。
脚の緊張感や着地、腕振りについて、見ていても軽くリラックスしていくことが感じられました。
ここから外へ出て河川敷に走りに行きました。
河川敷にて
河川敷で下り坂を走り、走り方を見ていきました。
以前、坂道を利用して気持ちよくランニングができるようにする考え方についてという記事を書いていますが、下り坂を活用することで自分で加速するという感覚よりも、リラックスしていれば自然と加速されていきます。
自然と加速されていくと気持ちよく走れていきますが、このときによく見ておかなければいけないのは、どこかで緊張が生まれてしまうこと。
そこを見逃してしまうと脚の動きも硬くなってしまい、疲れやすくなってしまいます。
無駄な力を抜き、胸を前、脚は後ろに動くようなイメージで、重心を前に運んでいきます。このような指導を見ていると、選手の身体から緊張感がどんどん抜けていき、本当にリラックスして軽く走っているように見えてきました。
走るということは、どうしてもハアハア息が切れるようなイメージがありますが、息が上がってしまうのは身体に緊張があるためであり、それが本当にリラックスできれば息も上がりません。
無駄な力が抜けていき、リラックスした走りができてくると次第に全体のスケール感も大きくなり、ダイナミックに走っていることが見えてきました。
すべてシンプルな言葉で伝える
指導していると、どうしても難しい表現を使ったり、専門的な言葉を羅列してしまいそうになることがありますが、本当に大切なことは相手に理解させるということです。
先生の言葉に耳を傾けていると、
- 接地時間を短く
- 脚を後に
- 胸は前、脚は後ろ
- 重心を4、5cm前に出すイメージ
このように非常にシンプルな言葉で端的に伝えられたことが印象的でしたが、1本走るごとに1つのアドバイスを端的に伝えており、動きが変わればまたアドバイスを伝える。
階段を一段一段上るように、段階を踏むように伝えられていました。
草地や風の利用について
開始から40分ぐらいが経った頃、膝下ぐらいまでの高さのある草が生い茂ったところに入り、ここを走るように指示されていました。
どのような目的があるのかをお聞きすると、このような草地を走るときは、まっすぐには走れず、弾むようにして走るため、弾む感覚や脚力が強化できるということで、このような場所を走らせてたそうです。
また途中で風が吹いた時に、この風も利用されていましたが、向かい風のときはこの風に身体を預けるようにアドバイスされていました。
追い風では身体が反ってしまいやすく、向かい風では身体を前に傾けやすく、風が吹く方向も考慮し、うまく活用することで走りやすくなるそうです。
いかにその現場で柔軟に発想し、活用できるかということを間近で学ぶことができ、改めて広い視野で、頭を柔らかくする必要があると痛感しました。
走り方の変化について
約1時間半走り方の指導をされ、それを間近で見ていましたが、冒頭でもお伝えしたように言葉の内容やタイミング、トーンやサポートの仕方、日頃の勉強会だけでは学べないことが多く、本当に学びの多い時間でした。
- クライアントからの情報の引き出し
- それらを整理し、理解させること
- 問題点を体感させ、どうすれば改善するかを段階的に体感させる
- 決して難しい言葉を使わず、シンプルに伝える
- 気持ちよく走ることができ、選手自身がもっと走りたいとなるように指導されている
全体を通してまとめるとこのような流れがあり、結果は選手の表情やしぐさを見ているとわかりました。また走り方の指導をされて、僕自身が学びとなったことは、
- 走っているときどのようなところをチェックポイントにするか
- どのように走れていればいいのかという基準が整理できた
- 作り出したような走りではなく、リラックスしてスムーズに走れるようにすること
- 重心移動のさせ方、脚の回転、着地位置の修正の仕方
- 風や草地の活用の仕方
すべてが学びではありましたが、このような点が学びであり、僕自身が整理できていなかった部分が整理できた部分でもあります。
自分自身の課題について
当然ながら知識量、指導の仕方などまだまだ至らない点だらけですが、やはり毎回感じることは、相手にいかに理解してもらうかというところです。
自分が得た知識をどうすれば相手に理解してもらうことができるのか。口頭で話すのか、書いて伝えるのか、さまざまな手段があります。
僕がブログを書く理由は、あまり伝えることが得意ではなく、このように文章に書き下ろすと非常に整理でき、わかりやすく伝えることができます。
ただ現場でもっと理解していただくためには、そこでの手段や伝え方を考える必要があり、先生のようにシンプルに伝えるためには、伝える内容以上の知識が必要であり、理解が必要になります。
伝えるということもそうですし、段階を踏んでどのように指導していけばいいのか、どのようなところをチェックすればいいのか、緊張、リラックス、相手がどのように考えているのかなどを感じること。
挙げれば山ほど課題を感じた時間でしたが、改めて“できているつもり”になっている箇所も感じれ、非常に貴重な時間となりました。
できることが増えると、できていないことにも気づくようになり、それがいかにできているつもりなのかがよくわかります。改めてひとつひとつ丁寧に学び、自分の考えを整理し、現場に活かしていきたいと思います。
最後になりましたが、ご一緒されていただきましたクライアントさん、ご指導していただいた魚住先生、本当にありがとうございました。
選手に関しては、これからの活躍を楽しみにしています。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。