
高校生の頃、僕も椎間板ヘルニアと診断され一生治らないと言われた身ですが、今では腰痛が出ることもほとんどありません。
椎間板ヘルニアになると必ずしも手術が必要なのでしょうか。今回のケースは椎間板ヘルニアと診断され、医師から体幹を鍛えることで改善するとアドバイスを受けたクライアントさんとのセッションでのことです。
椎間板ヘルニアだから腹筋、背筋をするのではなく、そもそもなぜ痛みが出ているのかを考えることからスタートすることで何をすればいいのかが見え、痛みの改善につながっていくと思います。
こちらの記事も参考にしていただければと思います。
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Contents
医師から椎間板ヘルニアと診断され筋トレを勧められた
椎間板ヘルニアとは、背骨と背骨の間にあるクッションのようなもので、衝撃を吸収する役割などがあります。詳しくは、椎間板ヘルニアが手術後に再発?!何のための手術だったの?をご覧ください。
今回のクライアントさんの場合、医師から椎間板ヘルニアと診断されていましたが、手術を勧められることはなく体幹の筋力が弱いから椎間板ヘルニアになったと言われたそうです。
- 原因・・・体幹の筋力不足
このことから考えると、体幹の筋力が弱い=姿勢が維持できなかった。だから椎間板が飛び出し神経を圧迫し、痛みにつながったということになります。
そのため医師からは腹筋、背筋で体幹を鍛えてほしいと言われたそうです。医師のアドバイス通りクライアントさんはジムに通い鍛えていたそうですが一向に改善に向かわずセッションを希望されスタジオに来られました。
前置きをすると椎間板ヘルニアを医師の許可なくみることはトレーナーの立場ではできません。ただ今回のケースは、医師が鍛えることが必要だから鍛えてほしいというアドバイスを送っていることから運動の許可が出ているためトレーナーの僕がみることができます。
その上でセッションを行っていきました。
椎間板ヘルニアの原因から考えて腹筋を行うのは不自然
椎間板ヘルニアになる原因は、日頃の姿勢などが原因で椎間板が飛び出し背中側にある神経を圧迫することで起こると言われていますが、この痛みの原因を考えると腹筋をすることで身体はどのようなことになるのでしょうか。
この少し乳白色をしたところが椎間板ヘルニアであり、背骨が丸くなるような姿勢になることでこの椎間板が後方へ飛び出します。すると、その飛び出した部分が神経を圧迫することで痛みが出ると言われて、このような姿勢の方は椎間板ヘルニアになりやすいとも言われています。
改善のイメージとすれば身体を反らせることで元に戻りそうなイメージはわかりますが、このような状態で身体を丸めるエクササイズの腹筋をすることでさらに丸くなってしまうのではないでしょうか。
またこのような姿勢になるのは腹筋が弱いからでしょうか。大人よりも筋力が弱い子供はみんな猫背でしょうか。
このように考えていくと少しつじつまが合わなくなっていき、疑問が出てくると思います。今回のクライアントさんの場合、姿勢の認識のまずさがそもそも原因のように感じました。
椎間板ヘルニアだから特別ではなく基本は同じ
いつもお伝えしていますが、腰痛や痛みの改善のベースとなる考え方はまず歪みのない状態に近づけることです。そして筋肉の緊張をとり、柔らかい筋肉の状態に戻していくことです。
椎間板ヘルニアの原因はこのように考えられています。
水色の部分が椎間板ですが、通常であれば下の画像のような状態になっていますが、これが背骨の配列が崩れることで赤い線の神経に触れ痛みが出ると言われています。
このように考えれば自然な状態に直すことができれば痛みは改善すると考えることができるのではないでしょうか。
またこのクライアントさんの場合もそうでしたが、長年腰痛で悩まれていたそうで、その痛みの情報は脳に濃くインプットされている可能性がありました。ですので、筋肉を緩めると同時に脳の中の情報を書き換え、快の刺激をインプットすることも大切だと感じていました。
長年腰痛で悩んでいる方の場合、さまざまなことをされてきており、頭の中の情報がぐちゃぐちゃになっていることが多い。
だからセッションの進行に合わせてひとつひとつ頭を整理していくような感覚で説明やアドバイスを送る必要があると感じています。
この方に送ったアドバイスのひとつに、椎間板ヘルニアだから治らないというイメージを持つのではなく、どうすれば痛みが出るのか、どうすれば痛みが出ないのか、それをひとつひとつ認識してほしいということを伝えています。
このアドバイスを送ることでクライアントさんは日常でどのようなタイミングで痛みを感じているのか、それを思い出すきっかけとなり、思い返してみると痛みの共通点などが見つかりました。
ここからは実際にセッションの中で浮かんできた原因と改善へのヒントについてまとめていきたいと思います。
話の中から見えてきた痛みの原因と改善のヒント
クライアントさんの話を今回は1時間程聞き、そこから原因などが見えてきました。
立ち方の問題について
痛みが出るタイミングについてですが、洗い物をしているときと携帯を操作しているときに腰が痛むとのことで、その他の立って何かをしているとき、座っているときはあまり腰痛を感じないそうです。
ご自宅にはカウンターキッチンがあるそうですが、そこの前に立っているときは痛みが出てこないとのことではじめは見えてきませんでしたが、話を聞いていくうちに台所の流し台とカウンターキッチンの台の高さが異なることが分かりました。
この高さが異なることで何が違うのかというと、カウンターキッチンの台胸とへその高さぐらいであり、流し台はへその高さにあるそうです。流し台の前に立ったとき癖でへそを台につけるような立ち方をしており、身体をくの字にするように立っていることがわかってきました。
このような立ち方をしていると上半身の重みは腰で受けてしまいますので、この立ち方が腰にストレスを与えていました。
座り方の問題について
座り方については、読書をしているときはあまり腰の痛みは感じないそうですが、携帯を触っていると痛んでくるということでしたが、これは携帯を触りながら座っていただくとすぐに理解できました。
ご本人はまっすぐ向いているイメージだったそうですが、机の上に右腕を置き、軽く身体を左側へ捻って携帯を触っていました。
面白かったのがこの座り方を全く逆にして左手で携帯を持ち、同じように座っていただき、少し時間を置くと腰が楽になっていきました。真逆の姿勢をとることでバランスがとれて痛みが改善していったのだと思います。
このように立ち方と座り方、それぞれに痛みの原因があり、身体調整で全身の歪みを直し、そこから立ち方や座り方などの指導へと移っていきました。
立ち方と座り方についてはこちらを参考にしていただければと思います。
・立ち方を再考しよう!壁立ちって頭・肩・お尻・踵を壁につけるのが自然?
・座り方を正しましょう!って言うけど、そもそも正しい座り方ってどんな姿勢?
このような流れでセッションの中でも改善を感じていただき、気持ちの中でも安心感が出てきて改善できるかも、という期待感が出てきたそうです。大切なのはここからの話だと思います。
姿勢の認識を継続することが改善につながる
痛みの改善は、セッションを受けるから改善するだけではなく、クライアントさん自身の日頃の意識で改善に近づいていきます。
今でも継続的にセッションに来られているクライアントさんは、指導をした次のセッションの際に痛みが再発していました。姿勢を確認してみると初めに来られたときのような姿勢に戻ってしまい、前回指導したことができていませんでした。
ここにある問題点は指導者側の伝え方の問題です。クライアントさんにはどうすれば痛みが改善に向かうのかを理解していただくことはできていましたが、姿勢を認識させる、脳にインプットさせることができていなかったため日頃の姿勢が崩れ痛みが再発してしまいました。
また身体調整を行い、歪みを直し、姿勢をお伝えしていくと帰りの際は気持ちよく帰って行かれましたが、今回はセッションで伝えた姿勢の認識のさせ方を、客観的な情報だけではなくあえて鏡を見ることをやめ、何もないところで姿勢の認識を行っていきました。
指導をする際に主観と客観という2つの側面に気を配る必要があることを再認識させられました。姿勢の認識を維持し継続することで痛みの改善につながりますが、どのように姿勢を認識させるのかは考える必要があります。
主観と客観を考える
クライアントさんにはじめ姿勢の指導をした際には、鏡を見ながらどういう姿勢になれば痛みが出るのか、出ないのかを確認していただきましたが、自分を客観視し、目の前に映っているものを動かすような感覚で姿勢を変えていただきました。
この際に”自分の身体を感じる”ということについてはあまりアドバイスができていませんでした。痛みが出る出ないの判断はできましたが、細かいところに認識ができておらず、次のセッション時の痛みにつながったように思います。
鏡の前から移動し、鏡のない場所で同じように姿勢を認識させ、どうすれば楽なのかを感じていただくと鏡を見ても、見なくても同じように姿勢を整えることができるようになっていきました。
ここで感じることはやはり指導というのは、一方通行ではうまくいかず、クライアントさん自身はこちらが伝えたことをどのように理解されたのか、それを確認し変更が必要なときは再度指導する必要があります。
こういうやりとりができて初めてクライアントさんの状態も良くなっていくものだと感じます。
客観的な視点で言い続けるのではなく、クライアントさん自身の主観も大切にしながら指導することでより良い結果が伴うのだと思います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は椎間板ヘルニアということでしたが、そこに囚われず基本の考えを実践することで良い結果につながりました。
ただ鍛えるだけではなく、なぜ鍛えることが必要なのか、鍛えることでどうなるのかを考えることで見えてくるものがありますし、痛みの改善にはすべて鍛えることが必要なわけではありません。
最近も多く言われている痛み=鍛えるということだけに限らず、考え方にも疑いを持ちさまざまな視点で見ていくことでトレーナーとしても見え方が違ってくるのではないでしょうか。
これからさらに改善に向かうようにセッションを行っていきたいと思います。
今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。