鵞足炎の原因とあまり知られていない改善方法とは?

脚を前に出す

運動やスポーツをしていると、膝のお皿の内側が痛むということがよく起こります。お皿の近くではあるけど、少し下あたりが痛むかも・・・と思っている方はおそらく鵞足炎の疑いがあるかもしれません。

鵞足炎とは、後述しますが半腱様筋、縫工筋、薄筋などが付着する鵞足という部分で炎症が起こる障害です。この障害になる原因は、この3つの筋群が過度にストレスを受け、筋肉が硬くなり、そのストレスに耐えられなくなると痛みが出てきます。

この3つの筋群を過度に使うような身体の使い方や動作をしている結果、鵞足炎になりますが、これは安静にしても一時的に痛みはひきますが、また運動すれば痛みが出てきます。

痛みの改善のためには、まず3つの筋群を緩めること。そして、これらにストレスをかける身体の使い方、動作を改善しなければ、これらが根本原因となっているため痛みの解決とはならなりません。

今日はこの鵞足炎についてお伝えしていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

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鵞足炎とは?

先ほども簡単に説明しましたが、鵞足炎について詳しく解説していきたいと思います。

まず、鵞足というのは、脛骨と言われるすねの骨の内側上部(膝に近い位置)にある部分のことであり、鵞鳥の足に似ていることからこのような名前がついたといわれています。

鵞足

この鵞足には、半腱様筋、薄筋、縫工筋といわれる3つの筋肉が付着しており、それぞれ骨盤を形成している腸骨や坐骨などとつながっています。

鵞足炎とは、言葉通りでこの鵞足で炎症が起きることを言いますが、上記の3つの筋肉が過度にストレスを受けることで炎症が起こります。なぜこの筋群は過度なストレスを受けてしまうのでしょうか?

 

鵞足炎の原因は身体の使い方にある

ランニングをよくする方だと身に覚えがあるかもしれませんが、ランニングをした後に膝の内側、この鵞足が痛んでしまうことがあります。これは走り方に問題がありますが、一般的には、走り方のイメージとしてこのように思われていることが多くあります。

  • 地面を蹴る
  • 母趾球で地面を押す

このような走り方が鵞足炎と関係が深く、母趾球で地面を蹴るような意識であったり、地面をキックして外側に足が流れるランナーは鵞足炎になりやすい傾向があります。これは、3つの筋群が過度にストレスを受け、鵞足の付着部が過度に引っ張られることで炎症が起こります。

また地面を拇趾球周辺で地面をつつくように着地をしてしまうことも、鵞足炎になってしまう原因のひとつとなります。

鵞足炎

鵞足炎の改善のためには、この痛くなった場所をどうこうしてもあまり改善が見られません。痛みが出ている場所は腱であり、この場所は痛みの原因がある場所ではなく、改善のためには先ほどあげた3つの筋肉の緊張をとることで改善がみられるようになります。 要はこの3つの筋群の使いすぎということです。

 

鵞足炎の改善には縫工筋、半腱様筋、薄筋を緩める

では、ここからは具体的な方法に移っていきたいと思います。ハムストリングスを緩める方法は数多くありますので、参考としてご覧になっていただければと思います。

半腱様筋や薄筋のストレッチング

  1. 長座になり、軽く膝を曲げておく
  2. 前屈をし、気持ちがいいところでキープする
  3. 深呼吸をしながら2~3分伸ばし続ける

身体が硬い

これで半腱様筋や薄筋は緩んでくれます。前回話をしたストレッチングのところと伸ばす時間が異なっていると思います。これは筋膜を対象としたとき、時間が長くなるため2~3分と表記しています。ここではこのくらいの時間を気持ちよく筋肉を伸ばしてください。

鵞足炎を改善:揺らぎを与えて筋肉を緩める(3つの筋群)

  1. 長座になり、楽な状態で両脚を前に投げ出す(仰向けになってもOK)
  2. 深呼吸を3回ほどする
  3. 両脚をぶらんぶらんと転がすように揺らぎを与える

呼吸

脚の動き

これでもハムストリングスは緩みます。ここで重要なことは、揺らぎを与えるとき太ももの筋肉が緊張していないかどうかです。リラックスをし、緊張のない状態ですることで緩みますが、緊張するように揺らぎを与えてしまうと筋肉は逆に緊張してしまうので注意してください。

鵞足炎を改善:下肢の連動を使って筋バランスを整える

鵞足炎などの下肢の痛みの場合、筋バランスが崩れていることが多く、この筋バランスを整えることが重要になります。そのために、下肢の連動を活用してバランスを整えていきます。

  1. 長座になり、片脚を伸ばします。
  2. 脚をリラックスさせ、息を吐きながら踝の外側を地面に擦るように膝を身体に引きつけていきます。
  3. 膝が伸びきらないように、踝の外側を擦るように脚を伸ばします。これを1分程度繰り返します。
  4. 次に、脚を曲げたあと膝を伸ばし切りながら内側に転がすように脚を内旋(内側に捻じる)させます。
  5. また踝の外側を地面に擦るように膝を曲げ、伸ばしての繰り返しを行います。

連動

この状態は膝が伸びきっているので、この手前ぐらいまでで再度膝を引きつけるようにします。

連動

連動

これはきちんとできれば立ったときに下記でお伝えしている踵で立つ感覚が出てきて、フラット着地、体重支持ポイントが理解できると思います。この体重支持ポイントを理解することが重要で、このポイントで着地することができれば着地の際の衝撃も分散され、局部へのストレスが緩和されます。

いかがでしょうか。このほかに方法は多数ありますので、もしこれ以外に知りたいという方は、お気軽に問い合わせていただければと思います。

これで鵞足の痛みは軽減できると思いますので、これでもう大丈夫です・・・とはなりません。一般的には、鵞足炎が出たときは、安静にしましょう、痛みが出たらそれはやってはいけないサインなどといわれますが、もっと本質を見ていきましょう。

ここまできちんと筋肉を緩め、筋バランスを整えることができればと痛みの程度は変化していきますが、これだけでは再発してしまいます。なぜなら根本的には走り方などに問題があるため、これらを改善しない限り改善とはなりません。

ここからが本当の意味での改善を目指すところになります。

 

重心の位置を変え、着地位置を変える

鵞足炎の原因を思い出していただきたいと思います。それは、地面を蹴るような走り方をしていることであるとお伝えしましたが、母趾球辺りで着地をしてしまったり、母趾球で地面を蹴ってしまうと3つの筋群に大きなストレスがかかります。

これによって3つの筋群の腱に炎症が起き、鵞足炎となってしまいます。部分的な筋肉に過度にストレスをかけないようにするためにはどうすればいいのでしょうか?このときに活用できるのが、マルカルドの体重分布図というものです。これを見ながら重心について考えていきたいと思います。

マルカルドの体重分布図

人間の身体はどのように足の裏で支えているのかというものを表した図になりますが、下の図のように表されています。

これは、3点支持、ベタ足などと表現していますが、人間は本来この3点、そしてこの割合で体重を支えているというものです。

この体重分布により、脚を筒のように考えることができます。どういうことかというと、ジュースの缶をイメージしてみてください。この缶をまっすぐ地面に落とすと凹みが出ず、もしかすると地面にパッっと立つかもしれません。

ですが、少し角を当てるように落とすと凹んだり、空き缶だとへしゃげて折れ曲がってしまうかもしれません。

人間の身体も似ているように、この3点がきちんととれていれば脚を筒として使うことができ、脚の筋肉全体で衝撃を受けることができるので、部分的に大きなストレスを受けることはありません。

ただ、母趾球で地面を蹴ったり、着地をしていたりすると、この割合が崩れ、部分的にストレスを受けてしまいます。そのストレスを受ける点というのが先ほど挙げた3つの筋群ということになります。

鵞足炎の原因がわかり、ハムストリングスを緩めた。そして次は走り方であったり、この重心の位置を変えることで根本的な改善となります。鵞足炎はここまで改善しないと再発してしまう可能性が高くなります。

 

鵞足炎の改善には脛骨の真下を理解する

では、実際にこの3点支持を理解していただきたいと思いますが、人間は1つのことしか意識できないため、3点のどこかに意識を向けるのはNG。この3点支持を実現するために、“脛骨の真下”に重心を置くとこの3点支持が実現できます。

マルカルドの体重分布図

もっとわかりやすく言うと、踵と土踏まずの間という表現が一番適しているように思います。要は、踵ではなく、少し土踏まずの方だということです。(以後はこの脛骨の真下の位置を“踵”と呼びます。)

足裏全体が地面に付着し、つま先も踵も浮くことのないベタっと地面に足がついた状態。これが3点支持、ベタ足という状態です。

この重心位置を理解し、実際に走ることでその衝撃は脚全体に吸収され、また足部のアーチのおかげで衝撃を緩和してくれるため、部分にかかる負担というのは軽減できるというわけです。

これで鵞足炎については、ご理解いただけたでしょうか。まとめて言えば、筋肉の緊張をとり、筋バランスを整え、そして筋肉が緊張してしまう原因を解消するということが必要になります。

 

一般的に言われている鵞足炎の改善の方法は本当に改善できるのか?

ネットで鵞足炎と検索すれば改善の方法などが多数載っていますが、これらは本当に鵞足炎の改善になるのでしょうか?頭の中をクリアにしてこれらについて考えていきたいと思います。

鵞足炎の改善方法 ①安静にする

一般的な痛みへの対応として、安静にするといわれることがありますが、鵞足炎の場合、安静にすると痛みは一時的に改善されます。

身体の使い方に問題があり、局部にストレスを受けていたことで痛みが発生しているわけですから、身体を動かさなければ筋肉がストレスを受けることがないので、筋肉が緩み痛みも軽減されます。

ただ、これは根本的な改善にはなっていません。問題は身体の使い方を変えないと同じ場所にストレスを受けてしまうため、身体を動かすと痛みが再発する可能性があります。

安静にすることも必要な時がありますが、これが鵞足炎の改善になるのかと言われれば一時的、もしくは身体を動かさなくなるのであれば改善になると思います。ですが、根本の改善は他の場所にあるということがわかると思います。

鵞足炎の改善方法 ②アイシングをする

鵞足炎は鵞足の部分に炎症があるため、熱を持っていればアイシングを続け、炎症を抑える必要があります。アイシングは、ただ冷やせばいいのではなく、アイスパックなどで20分間冷やすか、もしくはアイシングしている箇所の感覚がなくまでアイシングをします。

塩水やジェルパックを凍らせる場合、直接皮膚へあてがってしまうと凍傷になる危険性があるため、このような場合は必ずタオルなどを挟んで冷やすようにします。

アイシングも炎症を抑えるためには必要なことですが、これをするから改善するのではなく、あくまでも炎症を抑える、体温を下げるなども目的で行います。

鵞足炎の改善方法 ③筋力が弱いから筋トレをする

痛み=筋力が弱いという認識を持っている方は比較的多いと思いますが、これまでの原因では身体の使い方に問題があり、局部に大きなストレスがかかってしまうため痛みが出るということをお伝えしてきました。

●局部にストレスを受ける→筋肉が緊張する→そのストレスに耐えられなくなり痛む

このように考えると、筋力を強化すればストレスにより耐えられるということになりますが、筋力が弱いから痛めていればこれで改善できます。

ただ、根本的な問題は身体の使い方にあり、これが適切にできれば局部へのストレスが軽減され、痛みが出ないのではないでしょうか?

もしくは筋肉が緊張し痛みが出ている、そんな中で筋肉を鍛えるような刺激を加えるとさらに筋肉が緊張しないでしょうか。このように考えると筋力が弱いというのは原因のひとつではありますが、多くの場合、筋肉を緩める、痛むような身体の使い方を改善することが必要なのではないでしょうか。

ジムでみかけるレッグエクステンションの使い方と膝痛の改善について

鵞足炎の改善方法 ④痛み止めの注射をうつ

鵞足炎だけではなく、腰痛なども改善のために注射がすすめられたりしますが、注射は痛みのある場所に直接うってもそもそもそこは原因はないですし、一時的な痛みの改善はみられます。

ですが痛みを感じなくさせていることと同じですので、時間がたてばまた痛みは再発してしまいます。

そもそもなぜ鵞足炎になってしまったのかを考えると、スポーツ選手の場合、体重支持ポイントが不適切であったり、走り方の問題が考えられ、そういうことが原因であればこれらのことを変える必要があります。

上記でお伝えした3つの筋肉を緩め、原因であった走り方や体重支持ポイントを変えると痛みは改善されていきます。

痛み止めの注射をうつから改善されるのではなく、根本原因の改善ができれば痛みは改善されるはずです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。鵞足炎の改善は、本来突き詰めていけば、これから走り方というものになっていきますが、おそらくこの重心点を理解し、実践できれば痛みの軽減を体感することができると思います。

ただ、安静にすることやシップを貼ったり、アイシングをするということは、間違いではありませんが根本的な改善のためには、足りないと思います。上記のように考えることで改善までの道筋がイメージしやすくなると思いますし、ひとつひとつ納得しながら進んでいけると思います。

最後に今日のまとめを書いていきたいと思います。

  • 鵞足炎とは、半腱様筋、薄筋、縫工筋などの腱が炎症を起こした障害のこと
  • 原因は、母趾球で地面を蹴るような走り方、身体の使い方をしているため
  • 痛みの改善のためには、3つの筋群などを緩める身体を整えること
  • そして、根本原因の改善には体重支持ポイントを理解し、走り方を変えること

このような内容でお送りしていきました。ご自身で改善をはかられる場合、筋肉をいかに緩めることができるかということがポイントになります。ここができれば痛みの軽減を理解していただけますので、時間をかけて筋肉を緩めていただければと思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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