学生向け

ウォーミングアップの目的と頭を柔軟にして考えるメニューについて

一般的にウォーミングアップというと、ランニングをしてストレッチをするというイメージが強いかと思いますが、本来の意味や目的を理解するとそれだけではないということに気づきます。

今行っているメニューはなぜ行っているのでしょうか?

寒いこの季節に座って筋肉を伸ばすことで、どのような効果があるのでしょうか?それはグランドではなく、温かいところではだめなのでしょうか?

そういったことをひとつひとつ紐解いていくと、いかに目的や意味を理解する大切さがわかります。

今日はそんなウォーミングアップについてお伝えしていきたいと思います。今回はただお伝えするというよりも、トレーナーとしてどのように考えメニューを作成しているのかも含めて、お伝えしていきたいと思います。

パートナーストレッチングを行う上で知っておきたい10のこと

ストレッチとは?整理をしておきたい基礎と実践について

 

ウォーミングアップについて

ここではまず、ウォーミングアップということについて考えていきたいと思います。

ウォーミングアップという言葉の意味とは?

そもそもウォーミングアップというのは、どういう意味なのでしょうか?

■ウォーミングアップとは?

ウォーミングアップとは、warm,up という言葉からなっていますが、

  • warm・・・暖める
  • up・・・上げる

という意味があり、身体を暖める、体温を上げるというあります。

  1. スポーツで、軽い準備運動。
  2. 転じて、物事を本格的に始める前にする軽いならし。

コトバンクより引用:ウォーミングアップ

ウォーミングアップの目的とは?

ウォーミングアップを行う目的というのは、

  • 体温、筋温の上昇
  • 神経の促通
  • 柔軟性の向上 

などがあげられます。

これらの目的を達成するためにウォーミングアップを行いますが、どのようにして体温を上げればいいのでしょうか?

体温の上げ方について

体温をどのように上げるのかということですが、そもそも何を指標にしてどのようにあげればいいのでしょうか?

一般的にはこのようなことで体温を上げると思います。

  • ランニング
  • ジョギング
  • バイク

などがあげられると思いますが、これらをすることでなぜ体温が上がるのでしょうか?

体温を上げるためには心拍数を上げることです。心拍数を上げるためには心臓を上下に揺らすような刺激を加えることで心拍数は上がってきます。

そのため、心拍数を上げる目的で方法を考えたとき少し考えただけでも数多くの方法が浮かんできます。

  • 縄跳び
  • その場ジャンプ
  • おにごっこ
  • サッカー 等

心臓が上下に揺れそうな運動すべてが刺激となりますし、頭を柔軟にして考えるとランニングだけではないことがわかります。

心拍数を上げることで体温が上がることはわかると思いますが、どこまで心拍数を上げればいいのでしょうか?

それは、120拍/分です。

主観的運動強度と言って、自分が自覚する感情から心拍数を推測することができるというもので、このような表があります。

主観的運動強度

標 示 自覚度 強度 心拍数(拍/分)
20 もうだめ   100%  200
19 非常にきつい  93%  
18    86%  180
17 かなりきつい   79%  
16    72%  160
15  きつい  64%  
14    57%  140
13  ややきつい  50%  
12    43%  120
11  楽に感じる  36%  
10    29%  100
 かなり楽に感じる  21%  
   14%  80
 非常に楽に感じる  7%  
 (安静)  0%  60

心拍数が120拍の目安というのは、ややきつく感じるようなときになりますので、その感覚が目安になります。

またはあはあドキドキ汗ばむような状態になれば、同じように120拍前後の心拍数を計測します。

ランニングやバイクなどをする目安というのは、はあはあドキドキし、汗ばむような状態になれば終えて、次のメニューに移行するという形になります。

ウォーミングアップ時に勧められないこと

ウォーミングアップは、体温を上げるという意味があることは理解していただけたと思いますが、この体温を上げるときに気をつけることがあります。

体温を上げる意味合いで、お風呂やサウナに入るということも考えられますが、これはあまり勧められません。

ウォーミングアップをした後には、練習なり試合を行うと思いますが、お風呂などに入ってしまうと疲労してしまうため、その後のプレーを全力で行いづらくなります。

また外的な要因で体温を上げようとしているため、深部まで温めることができません。

このようなことを考えると、ウォーミングアップ時にはあまりお風呂やサウナに入ることは勧められません。

 

一般的に行われるウォーミングアップの内容について

僕も長い年数野球をしてきましたが、少年野球のときから高校までウォーミングアップを行う一連の流れは大きく変わりませんでした。

一般的に行われているウォーミングアップは以下のようなものではないでしょうか。

ランニング

まず行うことは、ランニングを3周走りなさい。という指示を受け、とりあえず走る。

そしてできるだけ疲れないように、グランドを小さく回って3周を終えるというようなことですが、そもそもなぜ3周走るのでしょうか?

ウォーミングアップに限ったことではありませんが、すべてに意味があり、その意味を説明できなければ何のためにやっているのかがわかりません。

季節や気温に関係なく決まった数をこなすような感覚で行っているところが多いように思います。

ランニング

ストレッチング

ランニングを終えると、これも季節に関係なく地面に座って筋肉を伸ばすようなストレッチングを行うことが多いと思います。

ウォーミングアップ時のストレッチングは、筋出力を低下させる可能性があるため、30秒以上のストレッチングはあまり勧められていません。

これについては、理解しておきたいウォーミングアップ時のストレッチについてで詳しくお伝えしていますので、参考にしていただければと思います。

 ストレッチ

ダイナミックストレッチ(体操)

ストレッチングの後に行うのは、ダイナミックストレッチといわれる体操ではないでしょうか。

高校野球などに代表されるのは、数列に並び掛け声をかけながら全身でいっせいに体操をする。

見た目としてはかっこよく映るかもしれませんが、ダイナミックストレッチは流れの中でやるものではなく、筋肉を緩め動かしやすくするために行います。

多くの場合が、形だけをしているような体操が多いように思います。

体操

ダッシュ

ここまでの流れが終われば次はダッシュというような流れがベースでした。

このダッシュも、30m、15m、5mとさまざまな距離を走りましたが、ただ何気なく走っていたように思います。

ダッシュ

このような一連の流れを行う練習や試合に入っていましたが、この一連の流れは季節や行うことが変わっても内容は変動しませんでした。

時間の都合で、カットされたりすることがありましたが、その他の場合は基本的に同じ内容で行われていました。

一般的にはこのような内容を行っているところが多いと思いますが、本来はウォーミングアップの目的や競技、季節や年齢、さまざまな要因を踏まえてメニューを考えます。

当然季節があるため、年中同じメニューというのは不適切であり、その状況に合わせて変化させる必要があります。

次は、トレーナーとしてウォーミングアップを考えるとき、どのようなことを考慮しているのかなど、専門的なことも踏まえてお伝えしていきたいと思います。

 

ウォーミングアップのメニューを作るときに考えていること

ウォーミングアップのメニューを作成するときは、当然ながら強いチームが行っていることをすべて真似をするようなことはありません。

また雑誌や何かで方法を知ったからといって、それを現場で行うこともありません。

以下でお伝えするようなことを考え、意味のある内容にしていきます。

ウォーミングアップを行う目的

最も大切なことは、目的を理解することです。何のためにウォーミングアップを行うのか。

先ほどお伝えしましたが、身体を暖める目的で行うわけですが、ここでいう目的はウォーミングアップを行ってどうしたいのかということです。

ウォーミングアップの後に試合があるのか、それとも練習をするのか。

その練習はバッティングのみなのか、それとも走ったり捕ったりするのか。

なぜ身体を暖める必要があるのか、どういう動きをしやすくしたいのか、そういった細かいところを明確にすることで、ウォーミングアップ時に行うメニューを決定していきます。

まずはウォーミングアップの目的を整理することを行います。

人数について

人数を把握することも重要で、1人でやるときと100人でやるときではメニューも異なります。

人数が多くなればそれだけ場所をとりますし、動ける範囲も狭くなります。もし小さなスペースしかないところでは、その場ですべてのメニューをこなさないといけない場面もあります。

逆にマンツーマンの状態であればそれだけやれることの幅も広がりますし、狭いスペースでもできます。

このように人数によってもメニューを変えています。

環境について

環境というのは、先ほども少しお伝えしましたがウォーミングアップできる場所が広いのか狭いのかということもあります。

室内なのか野外なのか。砂利なのか土なのか、コンクリートなのか。

晴れた日のグランドなのか、雨の降った後のグランドなのか。

それによっても座ってできなかったり、場合によっては足場がぬかるんでおり、走ったりすることができないかもしれません。

また冷暖房の有無も重要で、寒い日に暖房の利いた室内でウォーミングアップができるのであれば薄着でもいいかもしれませんが、真冬の野外では着る物も変わりますし、すぐに体温が下がる可能性があります。

こういった環境の問題も考えてメニューを作成していきます。

時間について

学生の場合、下校時間が決まっていて1日2時間弱しか練習時間がないところもあります。

そんなときにウォーミングアップに1時間もかけてしまうと、ほとんど練習ができなくなります。

逆に4~5時間も練習時間があるのであれば、ウォーミングアップに時間をかけて行ってもいいと思います。

このように時間という要因でもメニューが変わります。

年齢について

小学生と社会人では体力に大きな差があり、社会人であれば1時間ウォーミングアップをしても練習などもこなせると思います。

ですが、小学生低学年なんかは1時間もウォーミングアップを行ってしまうと疲労してしまい、練習に集中できなくなってしまいます。

また高齢の方にウォーミングアップだと言って、ランニングをさせたり、バイクをこがせたりと若い年齢の人と同じことをさせる必要もありません。

このように年齢によってもメニューを変えていく必要があります。

完璧なメニューは存在しない

これは要因ということではありませんが、ウォーミングアップを完璧に作り上げようと考えすぎると、時間の無駄になってしまうことがあります。

あくまでもウォーミングアップは、その後に行う動作やプレーをしやすいように準備する時間であり、最も重要なことは試合でベストな状態で臨める身体にするということです。

大切なことは試合に勝つことです。

ウォーミングアップのメニューは完璧がないため、柔軟な発想でその時々によって臨機応変に対応することが大切だと思います。

 

実際に行ったウォーミングアップのメニュー例

ここでは実際に現場で行ったメニューを少しご紹介したいと思います。

基本的な流れはこのようになります。

  1. ランニング5周
  2. ダイナミックストレッチ(体操)
  3. アジリティドリル
  4. バランストレーニング
  5. プライオメトリックス
  6. クイックネストレーニング(ラダー)
  7. アジリティドリル+ダッシュ

ダイナミックストレッチについて

体操を行う手順というのは、基本的には上から下に動かしていきます。

これは、筋肉は脳が支配しており、脳に近いところが緊張していると下半身などが緩みにくいため、脳に近い上から順に動かして緩めていくという考え方です。

実際にこういった体操を行っていきます。

肩の屈伸

体操

前屈

後屈

側屈

回旋

具体的な内容については、理解しておきたいウォーミングアップ時のストレッチについてを参考にしていただければと思います。

バランストレーニング

野球選手を指導する場合、ウォーミングアップにはバランストレーニングを行います。

このバランストレーニングというのは、バランスボールの上に乗ってバランスをとる・・・というようなことではなく、ジャンプストップなどを行い、フラット着地を繰り返します。

両脚や片脚で行ったりし、バリエーションを加えながら進めていきます。

バランス

バランス

バランス

バランス

バランス

バランストレーニング

バランストレーニングについてはこちらを参考にしていただければと思います。

理解しておきたいバランストレーニングの意味と実践について

クイックネストレーニング

クイックネスという言葉は、日本語の意味で俊敏性といいます。

俊敏性=速さであり、敏捷性=正確性×速さになります。

これはラダートレーニングですが、より枠の中を速くステップし筋肉の収縮速度を維持する目的で行います。

ラダー ラダー

ラダートレーニングについてはこちらを参考にしていただければと思います。

敏捷性・俊敏性とは?アジリティ&クイックネストレーニングの違いをラダートレーニングから考えてみる

 

まとめ

今回はウォーミングアップについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

ウォーミングアップは、ただランニングをしてストレッチをして練習に入るというような簡単な作業ではなく、ひとつひとつに意味があります。

それは理解した中で行うことで、より効果がわかり動きやすい身体になります。

なぜグランドを5周走るのか、どのくらい走れば適切かなど理解していただけたかなと思います。

今回の記事の内容が少しでも現場で取り入れていただくと嬉しく思います。

最後に、今日の内容をまとめていきたいと思います。

  • ウォーミングアップは、体温を上げる、反応を速くする目的がある
  • 心拍数を120拍/分まで上げ、軽く汗ばむぐらいまで体温を上げる
  • ストレッチングをするのではなく体操で筋肉を緩め動きやすくする
  • 季節や環境、年齢などによってメニューは変わる
  • 完璧なメニューは存在せず、柔軟に考え行うこと

このような内容でお伝えしていきました。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

理解しておきたいウォーミングアップ時のストレッチについて

しゃがむ深さ

練習前や試合前に必ず行われるウォーミングアップですが、競技種目や各チーム・個人によってそれぞれ内容は異なります。その内容の多くは伝統的に行っているものや、流行りを取り入れたもの、または誰かに教えてもらったものなどさまざま。

僕自身も高校のときに行っていたウォーミングアップは、どのような意味があるのか細かくは理解していませんでしたが、身体を動かしやすくするために行っている、その程度の理解でウォーミングアップをこなしていました。

ウォーミングアップのときに、よくストレッチも行っていましたが、何気なくしているストレッチの内容によっては筋力の低下が起こると言われています。

そのため、ウォーミングアップ時のストレッチの是非についてさまざまな見解がなされるようになり、選手自身ももしかするとストレッチはマイナスになるかも?という認識を持たれている方も増えてきています。

今日はこのウォーミングアップ時に行うストレッチについてお伝えしていきたいと思います。

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一般的に行われるウォーミングアップの内容について

高校時代僕は野球部に所属していましたが、そのときのウォーミングアップは、

  • ランニング
  • 体操
  • ストレッチング
  • ダッシュ

このような流れが基本であり、キャッチボールの前に肩周りの体操を加え、そこからキャッチボール、バッティングと続いていくのが基本の流れでした。

みなさんが経験しているウォーミングアップの内容も以下のような流れになっているのではないでしょうか?

ランニング

ランニングと足首の痛み

グランドなり、校舎の周りなどを3~5周走って身体を温める。

現役時代のことを思い出すと、練習がきつかったのでウォーミングアップではいかに身体が疲れないように走るか、そのペースを保つかを考えていたように思います。時に疲労が溜まっていると感じたときは、グランド1周で終わったときもあったぐらいです。

この3~5周というのは、意味合いはあまりなく、“とりあえず”これぐらいを走っておけばというぐらいの感覚で走っていたと思いますが、本来は意味があることで、この周数もある理由から決定する必要があります。

多くの選手はもしかすると、同じような感覚で走っているかもしれません。

スタティック(静的)ストレッチング

ランニングが終わると、地面に座り前屈をしたり、開脚をしてスタティック(静的)ストレッチングといって、みなさんが理解されているあるポージングをとり、筋肉を伸ばし続けるようなストレッチングを行います。

ストレッチング

方法はいいとして、冬の寒い時期でも同じように寒風が吹く中で、夏場と同じようにランニングでせっかく身体が温まったのに地面に座ってストレッチングをして身体を冷やしている選手もみかけます。

ダイナミック(動的)ストレッチ

続いて、いわゆるラジオ体操のような身体を動かしながら筋肉を緩めるストレッチを行っているかもしれません。

スタティックストレッチングと順番が逆のところもあると思いますが、このような体操を行っている選手をよくみかけます。

体操

ペアストレッチング

個人で行うストレッチが終われば、次はペアになって行うストレッチングに移っている光景をみかけます。

ペアストレッチ

ダッシュやランメニューに移行

上記のようなストレッチが終われば、次はダッシュをしたり、僕は野球をしていましたので、その野球で使う動きを取り入れたランメニューをこなしていました。

ダッシュ

このような流れが一般的というか、多くのチーム、部活でみかける機会があり、もちろん素晴らしい内容でされているところもあると思いますし、すべてが間違っているということではないと思います。

ここで大切なことは、今行っているウォーミングアップの内容は、どのような目的を持ち、どのような意図で、どのように行っているのか、そういった点を理解した上で実践しているのか。

それともこれまでチームが行ってきたことを継続的にこなしている状態なのか、これらは大きな違いになります。

ウォーミングアップは軽視されがちですが、自分が持っている力を発揮するため、またケガを防止するためには重要な位置をしめます。

さて、次はウォーミングアップ中に行うストレッチの是非について、研究結果をもとに現場でどのような内容をすればいいのか、そのあたりについてお伝えしていきたいと思います。

 

ストレッチの研究から見えてきたこと

2000年以降、数多くのストレッチに関する研究が行われ、その結果がトレーニング系の雑誌などに掲載されています。

そのひとつを参考にストレッチの是非について考えてみたいと思いますが、研究内容は以下の通りになります。

■2010年9月号 トレーニングジャーナルの内容より

スタティック(静的)ストレッチングはパフォーマンスを低下させるのか?ということをテーマに書かれています。

siatrasら(2008)は膝関節伸筋群に対して、10、20、30秒、及び60秒のスタティックストレッチングを実施した場合と実施しなかった場合とで、筋力に及ぼす影響を検討し、30秒及び60秒では筋力が低下したものの、10秒及び20秒あるいはストレッチングを実施しなかった場合では、低下しなかったことを報告しています。
(中略)
一方、同じ膝関節伸筋群を対象としたOguraらの研究(2007)では、60秒のスタティックストレッチングを1セット実施した場合は等尺性筋力が低下したものの30秒を2セット実施した場合では低下は見られなかったことを報告しています。

ここで書かれていることは、30秒以上のスタティックストレッチングを行った場合に、筋力が低下したケースとしなかったケースがあるということが書かれています。

統一された見解がなされていませんが、ただひとつ明確になっているのは、スタティックストレッチングをしても筋力が向上することはないということです。

そのため、スタティックストレッチングは筋力が低下するリスクがあるという見解がある認識が強くなり、現場で指導する立場の方の判断次第で活用されたり、活用されなかったりしています。

またダイナミック(動的)ストレッチは、筋力低下が見られないということも書かれており、僕自身このようなデータをもとに、現場ではダイナミックストレッチをウォーミングアップの中に組み込み、指導しています。

 

ダイナミックストレッチで筋肉を緩ませる

ダイナミックストレッチはいわゆるラジオ体操のような、関節運動を行って筋肉を緩めるストレッチになりますが、ラジオ体操で筋肉が緩むイメージがあるでしょうか?

僕は学生時代、体育の時間に毎度やらされていましたが、非常にしんどかったことを思い出します。

これは身体の動かし方が原因で非常にしんどいように動かしてしまっていたこともひとつの原因ですが、人間の身体は楽に気持ちよく身体を動かすことで筋肉が緩んでいきます。

そのために知っておくべきことは、人間の身体の構造であり、関節の構造です。自然に動ける角度は決まっていて、それをしっかり理解すれば関節運動で筋肉を緩めることができます。実際にひとつの例で理解していただきたいと思います。

リラックスして気持ちよく動かせば筋肉は緩む

まず、左右の肩周りの硬さや張り感を感じていただくために、軽く肩を動かしたり、腕をいろんな方向に動かしてみてください。

体操

身体の現状が確認できたら実際に、動きの中で筋肉を緩めていきたいと思います。

片腕を胸の前に伸ばします。このとき手はみぞおちの前ぐらいにくるように少し斜めに伸ばすイメージを持っておいてください。

前

そこから肩を軸に、腕を振りこのように前後に軽く動かしていきます。

前にならえ

このとき、腕を振るというイメージではなく、肩を軸にただぶらんとぶら下がっているようなイメージで動かします。

肩関節の自然な動きというのは、みぞおちの前ぐらいに伸ばした腕は、ポケットをこするように後方に振られ、後方では少し外側に触れていきます。

ポッケ

肩の動き

肩の位置が前方30度の位置にあるため、人間の腕は本来まっすぐには動かす、このように斜めに動くことが自然です。もし日頃からまっすぐ前後に腕を振ってしまっている方は、それが原因で肩周りが緊張してしまい、肩こりなどの原因になっている可能性があります。

さて、腕を振りこのように前後にリラックスして振っていただきましたが、いかがでしょうか?1分ぐらい動かした後、肩周りや腕の動きやすさなどをやる前と比べてみてもらうと動かしやすく、筋肉が緩んでいることがわかると思います。

このように人間が持つ自然な動きを行うことができれば、筋肉を緩めることができ、ダイナミックストレッチではこのような関節運動を行い、筋肉を緩め、その後に行うプレーがしやすい、動きやすい状態を作っていきます。

 

ダイナミックストレッチの実践例について

では、具体的にどのようにダイナミックストレッチを行っていけばいいのでしょうか?

手順について

ダイナミックストレッチは、基本的に上から下に向かって動かしていきます。

  1. 肩(首)
  2. 脊柱
  3. 股関節
  4. 膝関節
  5. 足関節

大きな流れはこのような手順で行います。考え方はさまざまですが、この手順をとる理由は、筋肉は脳が支配しており、脳の緊張は全身の筋肉の緊張につながります。

そのため、頭に近いところを緩めることでより下肢は緩みやすくなると思いますが、下肢を緩めても上半身や首などが緊張していれば再度下肢が硬くなる可能性があるため、手順としては上から下に行っていきます。

ダイナミックストレッチについて

すべての動きで共通することは、リラックスして気持ちよく行うことです。関節可動域などはそれぞれ異なっているため、一番は気持ちよく動かせるご自身の感覚を大事にしてください。

肩周りの動き

肩甲骨を動かしていきますが、みぞおちに溝を作るように軽く背中を丸めます。それができたら、みぞおちを突き出すように肩甲骨を寄せていきます。この動きを10回行います。

内転

内転

続いては、先ほどの動きに腕の動きを加えていきます。手の甲と甲を合わせるように腕を軽く内側に捻り、背中を丸めます。そこから手のひらを外に開くように胸を開き、肩甲骨を軽く寄せていきます。この動きを10回行います。

外転

内転

続いては、身体の前側で腕を回していきます。一般的には、腕を背中側に持っていくことが多いのですが、そうすると緊張しますので、身体の前側で引っ掛かりを感じない位置で回していきます。

前回しができれば、後ろ回しを行い、各10回ずつ行います。

腕回し

腕回し

イメージとしてはこんな感じになります。

体操

脊柱の動き

続いては、脊柱周りの筋肉を緩めていきます。

まず、足を肩幅に開き軽く膝を曲げます。そこから気持ちよく前屈できるところまで前屈し、小さくバウンドを10回していきます。

前屈

続いては、へそを軽く前に突き出すようにし、元に戻すような後屈を10回していきます。

後屈

続いては側屈ですが、側屈をする場合、まず側屈する側とは逆側に骨盤をスライドさせ、身体を倒していきます。

そうすることで、より体側全体をストレッチすることができます。これを左右10回ずつ行っていきます。

側屈

次は、回旋という捻りの動きです。まず、回旋する方の脚に軽く体重を乗せ、そこから身体を捻っていきます。

回旋

回旋

股関節の動き

股関節の動きは、屈曲伸展といって脚を前後に動かす中で、外旋、内旋の動きも加えていきます。

まず片脚でバランスをとり、浮かせている脚の股関節から脚がぶら下がっているようなイメージを持ちます。そこから振り子のようなイメージで脚を前後にスイングしていきますが、脚が前に来たときは、つま先を軽く開き、外側に開きます。

後方に来たときは、つま先を内側に向け、外に開きます。くの字を描くように脚を前後に動かし、これを10回行っていきます。

股関節

股関節

続いては、脚を左右にスイングしていきますが、これも股関節から脚がぶら下がっているイメージを持ち、気持ちよくスイングできるところで動かします。

股関節

股関節

続いては、伸脚を行いますが、脚幅を大きく開き、片脚に乗っていくようにしゃがみ込みます。

伸ばした側の足のつま先は天井に向けるようにし、体重を乗せる側は、踵に体重を乗せ、つま先と膝の向きを同じ方向に向けしゃがみ込み、小さく10回程バウンドするように動きます。

伸脚

ここまでご紹介した内容+αをしていただくことでより筋肉は緩み、動かしやすい身体になりますが、一連の流れはこのような手順で行っていきます。

 

ウォーミングアップの内容は無限

ここまで実践例を含めたストレッチの是非や具体的な方法についてお伝えしてきましたが、ウォーミングアップの目的は身体を温め、神経の亢進をはかり、その後に行う練習なり、試合で動かしやすい身体の状態で入っていけるようにすることです。

そのためには、身体を温め、ダイナミックストレッチなどで筋肉を緩め、競技別の専門的なウォーミングアップを行ったりしますが、その内容はすべては目的次第です。

身体を動かしやすくすることだけではなく、練習時間に限りがある場合などはトレーニングを行ってしまうこともあります。

○○が最善ということもなく、よりチームや個人に合ったことをすることが重要です。

その中で、スタティックストレッチングを30秒以上行ってしまうことは筋力の低下を招く恐れもあると言われており、ダイナミックストレッチなどで身体を動かしながら筋肉を緩めることが重要です。

試合前のストレッチで、結果的に力が出せず、負けてしまう可能性もあります。そのあたりを整理していただき、日頃のウォーミングアップに活かしていただければと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?今日は主にウォーミングアップの中で行うストレッチについて整理をしていきました。

伝統的に行っていることが適切だということでもなく、ウォーミングアップは何のために行うのかということを理解した状態とそうでない状態では、結果も大きく異なってしまいます。

今回の内容でそのあたりを整理していただくきっかけになればうれしく思います。

では最後に今日のまとめをお伝えしていきたいと思います。

  • スタティック(静的)ストレッチングは筋力の低下を招く可能性があるが向上はしない
  • ダイナミック(動的)ストレッチは筋力の低下を招く可能性が低い
  • 人間の身体は構造上、動きが決まっている
  • リラックスして気持ちよく身体を動かせれば筋肉は緩む
  • ウォーミングアップの内容は無限にある

このような内容でお送りしました。

今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

パートナーストレッチングを行う上で知っておきたい10のこと

コーディネーション・コオーディネーショントレーニングの意味と実践方法

トレーナーが多くの機会に活用し、現場でも行われているテクニックのひとつにパートナーストレッチングがありますが、このテクニックはブログでも書いていましたが、最も難しいテクニックだと感じます。

一般の方でもストレッチという言葉を聞いたことがある方がほとんどだと思いますが、きちんとできている方は少ないと思います。感覚的な話をすれば、痛みを感じるほど、強く伸ばせば伸ばすほど効いているような感覚になってしまいがちですが、本来のストレッチの目的である“筋肉を緩める”という反応は引き出せていない可能性が高いと思います。

今日はトレーナーを目指す学生に向けて書いていきたいと思いますが、一般の方もストレッチという考え方については参考になるところがあると思います。

現場で聞きます。『この辺りまで伸ばすとどうですか?まだいけますか?ではまだいきますね。』パートナーストレッチングを行っている際に、よく聞こえてきます。

筋肉を伸ばす強さや時間など重要なことは数多くありますが、クライアントの感覚ではなく、トレーナーの手の感覚によってどこまで伸ばすのか、どこに手を置くのかといった筋肉を緩めるための刺激は、トレーナー側が手のひらからクライアントの情報を感じ取り、そこで調節する必要があります。

非常に難しいテクニックではありますが、今日はこのパートナーストレッチングについてまとめていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/stretch-gyakukouka”]

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/warming-up-stretch”]

 

ストレッチとは?

そもそもストレッチという言葉にはどのような意味があるのでしょうか?

スポーツや医療の分野においてストレッチ(英: stretching)とは、 体のある筋肉を良好な状態にする目的でその筋肉を引っ張って伸ばすことをいう。筋肉の柔軟性を高め関節可動域を広げるほか、いろいろなメリットをもたらす。

ストレッチ:Wikipediaより引用

簡単にまとめればこのような意味を持ちます。

  • ~を伸ばす
  • ~を引っ張る

この2つの言葉にストレッチングだと・・・

  • ~を伸ばし続ける
  • ~を引っ張り続ける

このような意味となります。

 

ストレッチの目的とは?

さまざまなストレッチ方法が世の中にはありますが、ストレッチの目的とはどのようなものでしょうか。

  • 筋肉を緩めること

この目的を達成するために、さまざまなストレッチ方法が活用されています。

パートナーストレッチングを行う際も、この筋肉を緩める刺激を相手の身体へ入れることで筋肉は緩んでいきます。その刺激を加えることは表面上は、非常に簡単なように感じますが、本当に難しく現在も口が裂けても“できる”と言えるレベルではありません。

奥が深く、これからお伝えすることを意識して行い、それがすべて適切な刺激であれば“できる”レベルであると思いますし、素晴らしいことだと思います。

 

パートナーストレッチングとは?

今日のテーマでもあります、パートナーストレッチングということについて少し整理をしておきたいと思います。

パートナーストレッチングとは、2人組で行うストレッチングのことであり、現場でもよく行われるテクニックです。

ストレッチについては、マラソン選手が知っておきたいストレッチ効果についてを参考にしていただき、対象物や考え方について整理をしてみてください。

 

パートナーストレッチングをするときに意識している10のこと

ストレッチについて整理ができたところで、早速パートナーストレッチングを行う上で知っておきたいことをまとめていきたいと思います。あくまでも日頃僕自身が意識していることですので、参考になればと思います。

  • 筋肉を伸ばす強さ
  •    〃  方向(押す、引く、保持、捻じるなど)
  •    〃  時間
  •    〃  タイミング
  • どのくらい伸びているのか
  • 手の当てる場所
  • 手の当て方
  • どのように伸ばすのか(ゆっくり、素早く、一定など)
  • 呼吸(息を吐く、止める)
  • 力の加減

これら以外にも考えると出てくると思いますが、これらはストレッチングをする上では重要なことになります。

手の当てどころが悪いと、クライアントに不快な感覚を与え、筋肉が緊張してしまう可能性があります。また手の当て方が悪いと皮膚を引っ張ってしまい痛みが出て、これも緊張につながる可能性があります。

上記のことが適切に行えることで筋肉を緩めるという反応を引き出すことができ、これらのことをすべて手のひらから感じ取り、緊張しているのであれば何かを変える必要があり、これらをチェックすることが必要となります。

パートナーストレッチングで適切な反応を引き出すためには、数年では難しいように思います。僕自身もこれからまだまだ鍛錬していくことが必要だと感じていますし、本物のテクニックに触れるとパートナーストレッチング後の身体は、本当に軽く驚くぐらい筋肉が緩んでいます。

もう少し具体的にこれら10のことをみていきたいと思います。

筋肉を伸ばす強さ

まずこちらをご覧ください。

パートナーストレッチング

これはメディカルストレッチングというテクニックになりますが、この場合股関節を最大屈曲位にすることが必要になりますが、あてがっている左手でどのくらい相手の股関節を屈曲それば緊張しているのか、それとも適切な刺激が加えられているのか。

この程度は人それぞれ違います。

身体の柔らかい人であればさらに屈曲位にする必要がありますし、硬い人であればもう少し浅い屈曲位になります。この適切な位置を知るための指標は、手の感覚になります。

股関節を屈曲位にしたときの抵抗感で判断をしていきます。この抵抗感でどのくらいの強さで筋肉を伸ばすのかを判断する必要があります。

筋肉を伸ばす方向(押す、引く、保持、捻じるなど)

これは股関節外転筋群のストレッチングですが、このストレッチングを行うとき、大腿部を少し内転位にもってきてから垂直方向への圧力を加えます。

このときの押す方向がずれてしまうと股関節の外転筋群にうまく刺激が入らずに緩めることができません。

このように筋肉を伸ばす方向ひとつとっても筋肉の緩みには大きく影響してきます。

パートナーストレッチング

筋肉を伸ばす時間

筋肉を伸ばす時間は、10秒でしょうか?30秒でしょうか?対象物によって大きく異なりますが、基本的には約30秒を目安に伸ばしていきます。

これは筋紡錘と言われる感覚受容器を対象にした場合ですが、筋膜を対象とすれば約2~3分伸ばし続ける必要があります。そうすることで筋肉が緩みます。

  • 筋紡錘・・・約30秒
  • 筋膜・・・約2~3分

このように対象物が変わることで伸ばす時間も異なっていきます。

筋肉を伸ばすタイミング

パートナーストレッチング

このメディカルストレッチングをする際、手順としてはこのようになります。

  1. 股関節の最大屈曲
  2. 膝関節の最大屈曲
  3. 左右の手の真ん中に体重をかけるようにストレッチングしていく

このようになりますが、1・2・3というリズムをとって行うとやりやすく、左右均等の圧力を加えることができますが、1・・・2、3と圧力を加えるタイミングがずれてしまうと左右に偏りが出てしまい、相手の違和感を与えてしまいます。

このように筋肉を伸ばすタイミングを適切にすることも重要になります。

どのくらい伸びているのか

パートナーストレッチングで重要なことは、手のひらで相手のことを知るということです。これは、こちらが強く伸ばしすぎていると相手は緊張し、何かしら抵抗感が強くなります。

逆にほとんど伸びていない状態であればまったく抵抗感を感じません。

相手の筋肉がどのくらい伸びているのか、手のひらから感じる情報によってストレッチングによって適切な刺激を加えられているのかどうかを判断することが必要になります。

手の当てる場所

手の当てどころが悪いと相手は痛く感じたり、不快感を感じてしまいます。こうなると相手は緊張してしまい筋肉はうまく緩みません。

また手の当てどころが悪いと、相手が安心して力を抜いたり、こちらに身体を委ねてくれず、どうしても筋肉の緊張が残ります。相手が安心できるように手の当てる場所を考える必要があります。

手の当て方

基本的には上記と似ていますが、相手の身体に触れるときに強く持ってしまったり、押し付けるように手をあてがってしまえば相手はリラックスすることができません。

筋肉を緩めるということは快の刺激を与えることですので、手の当て方もソフトに優しく当てる必要があります。

どのように伸ばすのか(ゆっくり、素早く、一定など)

筋肉を伸ばすとき、ゆっくりジワーっと伸ばすのと、素早くパッっと伸ばそうとするのでは筋肉の状態も変わってきます。

また伸ばしたところで一定の力で伸ばし続けるのか、それともゆっくりさらに伸ばしていくのかでも変わってきます。

どのように伸ばすのかをイメージすることも重要になります。

呼吸(息を吐く、止める)

基本的には息を吐くと力が抜けやすく、息を止めると緊張しやすくなります。これもどちらがいいということではなく、ストレッチのやり方次第で変わってきます。

筋肉を伸ばして緩める場合、この場合は息を吐かせることでより筋肉を緩めることができます。

呼吸をどのように行ってもらうのも考える必要があります。

力の加減

筋肉は収縮させることでも筋肉を緩めることができます。このときに目一杯100%の力で収縮させると緊張しますが、30%程度で気持ちよく力を入れることでその後筋肉は緩んでいきます。

そういう意味での力加減でもありますし、感性を豊かにし、どのくらいの抵抗を与えられれば筋肉が緩むのか、自分が相手に与える刺激の強弱という意味も含まれます。

 

パートナーストレッチングの具体的な方法

ここからはパートナーストレッチングの具体的な方法について触れていきたいと思います。

基本的には、パートナーストレッチングは上から下へと進めていきます。これは、筋肉などは脳が支配しているため、首など脳に近い部分が緩んでいない状態で下肢のストレッチングを行っても、時間が経つと筋肉がまた硬くなることが考えられ、まずは脳に近いところから順に下へと移行していきます。

大きくはこのような手順で行います。

  • 首、脊柱、肩甲骨(上肢)、股関節、膝、足関節、全身

これはひとつの例ですが、このように行うことで全身が緩みやすくなると考えています。下からということも言われていますが、考え方次第だと思いますので、さまざまな手順もあると思います。

実際のパートナーストレッチング

実際に現場では以下のようなことを行っています。

首の牽引

パートナーストレッチング

脊柱の回旋

パートナーストレッチング

肩甲骨の牽引

パートナーストレッチング

股関節伸筋群のストレッチング

パートナーストレッチング

内転筋群のストレッチング

パートナーストレッチング

股関節外転筋群のストレッチング

パートナーストレッチング

下腿のメディカルストレッチング

パートナーストレッチング

これだけの画像を見ると、ポージングをマネすることは簡単だと思いますが、実際にこのような文面で伝えるリスクとしては、どんな感覚で行っているのか、何秒伸ばしているのか、呼吸はどうしているかなど細かい部分が伝わりません。

ですので、教科書で勉強した程度では本当の意味でストレッチを理解することは難しいと思います。大事なことは、この“感覚”の部分であり、この感覚は誰かに教わるしかありません。

僕も先生から学び、ストレッチの本質や感覚について学びを受けてからは本当の難しさを知ることができ、どこを修正すればいいのか、何が原因で緩めることができていないのか、そういった自分の課題を知ることができました。

日頃どのようにパートナーストレッチングを行っているのか、その話を聞けば本質を理解しているのかどうかすぐわかるといわれています。これらを含めて、多くの方が知っているストレッチですが、最も難しいテクニックのひとつだといわれる理由がそこにあります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。トレーナーの仕事をする上では欠かせないテクニックではありますが、シンプルが故に奥が深く、それを探求する楽しさがあります。

どのようなテクニックもそうですが、実際に教科書から学んだことと本物から学ぶことは違いがあり、本質を理解することはただ教科書を読むだけでは足りず、そこから学びを進めていかなければいけません。

そうやって得られたテクニックや知識は自分の財産であり、クライアントに喜んでいただき、満足していただける大切なものへとなっていきます。

そこに至るまでには地道な努力を重ねていくしか道はなさそうですね。

今日お伝えしたことが少しでもトレーナーを目指す学生さんや日頃からストレッチを行っている方の参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

神戸女子大学ラクロス部に1年間帯同して感じた成果と課題について

今月頭にラクロスの大会があり、神戸女子大学に帯同していました。

結果は以前もお伝えしたように準決勝で敗退し、4回生が引退となりました。この1年間選手を間近で見て感じたこと、自分の課題が大いにみつかった1年間でしたが、収穫もあった1年間だったように思います。

今日はラクロス部に1年間帯同して感じたことや現場でのことをまとめていきたいと思います。

 

神戸女子大学ラクロス部での役割について

僕がラクロス部で求められたことは、基礎体力の向上と痛みのある選手への対応で、下肢の障害や腰などの痛みの改善を主な役割としていましたが、常に帯同するコーチや監督もいないため、さまざまな場面でこちらから提案をしていくということもしました。

週1回という限られた時間の中でできるだけチームのプラスになれるようにと思い、1年間を過ごしていきました。

主に行ったことは以下の通りになります。

これをすべてこなせたわけではありませんが、これらは現場で行い実践していきました。リコンディショニングについては、まだまだ理解不足であり、課題が多く残りましたが、捻挫が起こりやすい競技ですのでその対応に追われました。

この他にもしていますが、ざっとあげればこのようなことをしていきました。

 

1年間を通じて感じたこと

この1年間を通じて、感じたことは以下の通りになります。ひとつひとつまとめていきたいと思います。

コンディショニングという本当の意味の理解の必要性

この1年を振り返ると捉え方が狭かったと感じています。

コンディショニングは、一般的に体調のことをいわれることが多く、間違いではありませんが、体調を含めた体力、5つの柱のことを指しています。

コンディショニング,

これら5つの柱のことをコンディショニングと言いますが、すべてをバランスよく整えることがコンディショニングを整えるということになります。

またトレーナーとしては、身体的なコンディショニング、バイオモーターアビリティの向上を主な役割とされていますが、それらを含めたコンディショニングという理解がまだまだできていないと感じています。

バイオモーターアビリティ,身体的,コンディショニング

基礎体力の向上を目的としていたため、さまざまなトレーニングを行ったわけですが、このチームの一番の問題点は身体的な要素もありますが、精神的な要素や防衛的な要素が弱く、そこにもろさが出てしまった形でした。

いかに広い視野を持って見ていくか、この意味を改めて現場で痛感させられる形となりました。もう1年間チームに帯同することが決まっていますので、今季は広い視野でチームをみていきたいと思います。

いかに現場で応用を考えられるか

けが人が出てしまうこともあれば、時間が変わることもあり、さまざまなことが起こります。

教科書で勉強したことだけでは当然現場ではうまくいかないことだらけですが、いかに応用ができるかということが重要になります。

例えば、ラクロス部の練習時間は以下の通りになっています。

  • 火:7:20~9:00
  • 木:16:30~19:00
  • 土日:半日練習

このように週4日の日程になっており、これだけの時間で1時間のウエイトトレーニングを週2回入れることは厳しいため、それをどこにもってくるのかということを考える必要があります。

僕の場合、トレーニングをウォーミングアップの中に入れてしまい、少し長めのウォーミングあっぷになりますが、そこである程度終えて残りの時間を練習、技術練習に当ててもらっています。

いかに効率化ができるのか、応用ができるかを探った一年でもありました。まだまだ自分の頭が硬く、これをやっておけばよかったなと思うこともありますが、この1年ではさらに応用を実践していきたいと思います。

身体のことだけではベストな状態にならない

これは先ほどもコンディショニングのところで書きましたが、身体的なことが例え完璧であっても、精神的なことや防衛的な面で不足があればコンディショニングレベルは低くなります。

学生ですし、女の子ということもあり、感じるところはありましたが、これはさまざまな場面で影響が見られました。

改めてコンディショニングという意味を理解し、指導していかなければいけないと痛感しました。

選手に理解させ、自主的に実践させること

チームが勝つ上では練習をする必要があり、そもそも勝ちにこだわっているチームが練習をしないというのは論外ですが、チーム練習が短い分、個人でも練習をすることが求められます。

その際に、クロスの使い方やディフェンスするときのクロスの位置、腕の角度などを伝えたときにそれを理解させることが必要になります。

なぜその腕の角度なのか、なぜクロスの位置をそこにするのか、どういう手順で行うのかなど、それをただ伝えるだけでは選手はその場限りで終わってしまいますし、ただやってみたという感覚にしかならないと思います。

重要なことは、選手自身がどういう感覚で動作を行い、それをどう変えるのかを感覚的に理解させることです。これを行うためには、今選手はどんな感覚で動いているのかを知る必要があり、それをこちらが理解し、沿っていくことで初めて共通の認識を持つことができると思います。

理解でき、変化が分かると選手も自分で行うようになるため、そういった工夫をすることがより現場では求められると感じました。

結果に嘘はないということ

非常にシンプルで結果に嘘はなく、自分実力以上の結果はえられないということです。

そういう点では非常に反省も多く、改善点も多く見つかり、改めて今の自分の実力を痛感しましたので、真摯に受け止めて次につなげる必要があると思っています。

すべての結果は正しいということです。

トレーナーの仕事は選手をうまくすること、勝たせることではない

大会では準決勝で負けてしまったわけですが、悔しい気持ちもありますが、「来年に向けて勝てるように自分がする」ということは強く思っておらず、トレーナーの役割に徹しなければいけません。

トレーナーはあくまでもベースを作る役割であり、それ以上でもそれ以下でもありません。

ここでいう基礎体力と言うのは、コンディショニングにあたります。あくまでもうまくする、勝たせるのではなく、トレーナーの仕事はベースを作り、土台を作ること。そのうえで練習を重ね、戦術を練り、時の運も混じり勝利を手にすることができます。

トレーナーは裏方であり、メインになることはありません。いまいちどそれを認識しなおしたいと思います。

 

最後に

一年という時間はあっという間ですが、年々できることも増えていますが、実際にデータを集めていると自分が勘違いしていたこと、結果が伴わないことが見えてきます。

一番大事なことは、常にその場その場で一番いい選択をし、その選択がどうだったのか、結果はどうだったのか、課題が残ればどうすれば次回に活かせるのか、PDCAサイクルを回し続けることが大事だと感じます。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/pdcacycle”]

本当に多くの知識や技術が必要であり、それをいかに応用するか、そして、今ある技術を少しでもレベルアップさせること。本当にいろんなことを学んだ一年間だったと思います。

こういった貴重な経験も、今後のプラスになりますし、4回生のみんなには改めて本当にお疲れ様でしたと言いたいですね。

今季で最後のつもりで1年間また選手のサポートをしていければと思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ストレッチとは?整理をしておきたい基礎と実践について

10月に入り朝晩の気温がぐっと下がり、肌寒さを感じるようになってきました。こういう季節は嫌いではありませんが、心なしか寂しい感じがするのは僕だけでしょうか。

そんな話はさておき、ストレッチの話題は最近も尽きません。『筋肉は伸ばし続けると逆効果である!』ということが書かれている雑誌がありましたが、果たして本当でしょうか? 今日はストレッチについてまとめていきたいと思います。

そもそもストレッチとはどのような意味なのか、どんな目的なのかは上記の記事に書かれていますので、整理していただければと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/mukumi-stretch”]

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/muscle-loose”]

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/warming-up-stretch”]

 

ストレッチ【stretch】とは?

ストレッチ【stretch】という言葉はみなさんが知っている言葉だと思いますが、ストレッチングという方もいればストレッチという方もいます。 本来どのような意味を持っているのでしょうか。

■ストレッチ【stretch】
~を伸ばす、~を引っ張るという意味を持ち、筋肉を伸ばすときに主に使われる。
また【ing】がつくことで、~を伸ばし続ける、~を引っ張り続ける、という意味に変わり、筋肉をどのように伸ばすのかによって言葉の使い方が変わる。

このような意味を持ち、ストレッチとストレッチングは異なります。ただ、ここには明確な定義がないため、これらの定義は自分で持ち使い分けることで、選手やクライアントさんの混乱をなくすことにつながります。

 

ストレッチの目的とは?

改めて目的の確認をしていきたいと思いますが、ストレッチをする目的というのは“筋肉を緩める”ことです。

筋肉を緩めるためにストレッチを行っていくわけですが、いざストレッチをしましょうと言われても実際非常に難しいと思います。

というのは、どの程度伸ばせばいいのか、どのくらいの時間伸ばせばいいのか、どのように伸ばせばいいのか、そういった条件がわからないと思ったような効果を引き出すことができません。

『ストレッチをしすぎると筋肉は硬くなる』 という言葉も、ストレッチ=〇〇というような捉え方をしているからこのような言葉になっている可能性があります。

ストレッチをするからではなく、そのやり方が筋肉を硬くする方法になっているだけであって、筋肉を緩めるストレッチをすれば筋肉を緩めることができます。 では具体的にどのようなことを考えてストレッチというものを見ていけばいいのでしょうか?

 

ストレッチにはどのような種類があるのか?

そもそもストレッチはひとくくりに言われていますが、さまざまな種類がありそれぞれ方法が異なります。

  • ストレッチ
  • ストレッチング
  • スタティックストレッチング(静的)
  • ダイナミックストレッチ(動的)
  • バリスティックストレッチ
  • アクティブストレッチング
  • パッシブストレッチング
  • ペアストレッチング
  • パートナーストレッチング
  • PNF(固有受容器神経筋促通法)

この他にも種類はありますが、ざっとあげればこのような種類があります。 これらはどのような意味を持ち、どのように行えばいいのかを知ることでストレッチへの理解を深めることができます。 ストレッチにはさまざまな種類があります。

 

対象物を何にするかで方法が変わる

一般的に行われているストレッチング、いわゆる静的ストレッチングはどのように行えばいいのでしょうか。 まず、考えることは対象物を何にするかで方法は異なるということです。

筋紡錘を対象とする場合

どういうことかというと、筋肉の中にある感覚受容器といわれるセンサーは筋肉の伸ばされる長さや強さを感知し、強すぎたり、速く伸ばされすぎると筋肉を守るため収縮する反応が起こります。これが伸張反射と言われる反応です。

わかりやすくするためにイメージしていただきたいのが、左右の手を誰かの手をつなぎます。

筋紡錘

みなさんはAさんだとして、B・CさんがAさんの腕を→の方向へ強く引っ張るとどうなるでしょうか。引っ張られすぎると腕や肩が痛くなるイメージはできますか?

緑の部分が筋紡錘だとして、その引っ張られる強さを感知すると痛みが出てくるためみなさんはB・Cさんの手を引き戻そうと力を入れるはずです。このときには筋肉は緊張するはずです。

違うパターンでは、Bさんがいきなり手をバッっと勢いよく引くとAさんはどのような反応をするでしょうか。おそらく「えっ?何?」と抵抗するように力を入れるか強く引っ張られることで腕や肩を痛めてしまうかもしれません。

このときも筋肉は緊張することになります。 この2つのパターンを例に挙げましたが、筋紡錘はいずれの場合も筋肉が緊張し、筋肉を緩めることができません。 Aさんを気持ちよく伸ばし、緩めるためにはどのようにすればいいのでしょうか。

まずAさんは両手を引っ張られるとき「どのくらいまで引っ張られるのか」と軽く探ると思いますが、その伸ばし方がゆっくり、やさしく伸ばすことで安心して身体をB・Cさんにゆだねることができます。

手の持ち方にしても、手の当てどころによっては痛みを感じると緊張してしまうかもしれません。 筋紡錘を理解し、筋紡錘を対象にストレッチングを行う場合、ゆっくりやさしく伸ばすことで筋肉が緊張せず、伸ばすことができます。

そしてある程度の長さまで伸ばし、ある程度の時間保持することでAさんは「もうこのくらいだと安心だな」と思い、筋肉を緩めることができます。 この時間が約30秒と言われ、筋肉を伸ばす時間、つまりストレッチングする時間となります。

腱紡錘が対象の場合

続いては腱紡錘を対象とした場合について考えていきたいと思います。 腱紡錘を対象とする場合は、両側の壁にゴムを貼り付け、そのゴムを両手に持ちます。

腱紡錘

腱紡錘というのは、このゴムの部分に存在する感覚受容器で、人間の身体では腱に存在する感覚受容器になります。 別名ゴルジ腱器官ともいわれる腱紡錘は、どのような働きがあるのでしょうか?

みなさんの手に持ったゴムを引っ張ると壁とゴムのつなぎ目は引っ張られます。強く引っ張りすぎると切れてしまいます。みなさんの身体は筋肉を表現していて、筋肉が収縮すると腱紡錘が引き伸ばされ、骨からはがされそうになります。

そんなはがれそうになったときに、これ以上引っ張られると切れてしまうと判断するとこのゴムはみなさんに「引っ張るのをやめろ」と言わんばかりに引っ張るのをやめる指令を出します。

要は筋肉を収縮させると腱紡錘に刺激が加わり、腱紡錘は刺激を受けると“筋肉を緩める”反応示します。このため、筋肉を収縮させた後は筋肉が緩むという反応が起こるということです。

筋紡錘を対象とすれば、筋肉を伸ばし、腱紡錘を対象をすれば筋肉を収縮させます。それぞれ筋肉は逆のことを行いますが、対象物を明確にし、刺激を変えることで“筋肉を緩める”という同じ反応にたどり着きます。

筋肉を緩めるためには、さまざまな方法があり、対象物を明確にする必要があるのはこのためです。

筋膜が対象の場合

筋膜は、主にこの3つから構成されています。

  • コラーゲン
  • エラスチン
  • 基質

それぞれの特徴としては、

  • コラーゲン・・・強い、硬い
  • エラスチン・・・ゴム質
  • 基質・・・ジェル状

このような特徴があり、シンプルにまとめましたが、これを理解することで筋膜を対象にして筋肉を緩めることができます。 筋膜を対象物とした場合、どうすれば筋肉を緩めことができるのでしょうか。

まず筋紡錘を対象にしたように30秒程度ストレッチングするとどうなるでしょうか。 実際に身体は柔らかくなり、柔軟性が向上することが体感できると思います。しかし、時間が経つとまた元に戻り、ストレッチングする前と同じような状態に戻ってしまいます。

筋膜を対象とした場合、30秒程度であればエラスチンが伸ばされ、エラスチンはゴム質なため一時的に伸びることができます。ただそれは伸びっぱなし、伸ばされた長さで維持するのではなく、元に戻る特徴があります。

筋膜はコラーゲンレベルで伸張することで筋肉を緩めることができます。 身体の中でこのような変化が起こることで筋肉を緩めることができます。

90秒以上伸ばし続ける ↓ 90秒立つと基質は元々ジェル状ですが、これが液体へと変化します ↓ ここからコラーゲンレベルで伸張され、約2~3分程度伸ばし続けることで筋肉は緩みます。

このように、筋膜を対象とした場合ストレッチングする時間が約2~3分、それ以上になるということになります。対象物によって方法が異なるということは、この3つを通じて理解することができると思います。

 

ストレッチの具体的な方法

では、ここからはストレッチの具体的な方法に移っていきたいと思います。

ハムストリングスと体側のストレッチング

ストレッチ

これは太ももの裏や体側を主にストレッチングさせているわけですが、上記のことを参考にすればこのように行います。

  • 開脚し、軽く膝を曲げます。
  • そこから体側を痛みのない、気持ちいいところまで伸ばしそこで保持する。
  • ストレッチングの時間は約30秒
  • 息を吐きながら、携帯やテレビ、本を見ながら行う。(意識を向けないこと)

一般的には伸ばしているところに意識を向けましょうと言いますが、意識を向けるということはその部位を探ることになり筋肉が緊張してしまいます。

ウエイトトレーニングをしているときも、トレーニング効果を上げるために意識を向けてといいますが、あれは意識を向けることで筋肉の動員数を増やしたり、より大きな力を出すために行います。

つまり筋肉を緊張させることになります。 だとすれば、筋肉を緩める目的で行っているのであれば意識を向けない方がいいのではないか、という考え方のもとでこのように行います。 以後は基本的には同じ考えで行いますが、具体例を上げていきたいと思います。

ハムストリングスと腰部のストレッチング

 

臀部のストレッチングストレッチ

ストレッチ

アキレス腱のストレッチング

アキレス腱

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今日はストレッチのことについてまとめていきましたが、ストレッチをやるから筋肉がどうなる、ということではなく筋肉を緩めるという目的があり、そのためにどのような手段を使うのか、さまざまな状況に応じて変化をさせていきます。

ストレッチ=〇〇ではないということが理解していただければ、ストレッチの見方が変わったのではないのでしょうか。 筋肉を伸ばすことも、収縮させることも筋肉を緩めるという反応を引き出すことができます。

今日の記事が少しでも参考になればうれしく思います。 今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

トレーナーが現場で行う仕事内容について

トレーナーという職業を知って約10年ほどになりますが、今までたくさんの方からお話を聞いたり、学ばせていただく中でトレーナーという職業についてさまざまな見方があるということを感じてきました。

スポーツ選手や一般の方、対象者によって行うことが変わり、目的によって何をするのか、すべて変わります。実際にさまざまなお話を聞かせていただいた中で、正直トレーナーによって役割の認識が違い、どこまでサポートをするのか、悩んでいた時期もありました。

現在野球やラクロスというスポーツと関わることで、トレーナーという職業の奥深さを感じますが、実際に現場でどのような視点を持ち、どのようなことをしているのか、後輩である学生などに聞かれることが多くなりました。

今日はトレーナーという職業について自分なりにまとめていきたいと思います。

実際に現場でどのようなことをしているのか、何を考えてメニューを作成しているのか、少しでも参考になればと思います。

 

トレーナーはどのようなことを指導していく立場なのか?

よく聞かれる質問として、「現場でどのようなことをされていますか?」ということをよく聞かれますが、実際にパーソナルトレーナーとして対象となる方は、スポーツ選手や一般の方、老若男女関係なく、さまざまなクライアントさんがいらっしゃいますが、クライアントさんの数だけ目的があり、目的の数だけ方法があります。

パーソナルトレーナーですので、個人によってメニューはすべて違い、一緒ということはありません。

具体的に「どのようなことを指導していくのでしょうか?」と、よく聞かれる対象者はスポーツ選手についてです。

スポーツ選手の場合、さまざまな目的があり、痛みや動作について、またはコンディショニングの向上などが主な目的になりますが、このコンディショニングという言葉についても理解することが必要です。

一般的には体調のことを指し、その日の体調がよかった、悪かった、というような表現がされます。コンディショニングの意味は体調のことも含まれますが、この言葉は5つの要素を指しています。

●身体的

●精神的

●防衛的

●栄養

●休養

この5つの柱を向上させていくこと、すべてベストな状態にしてくことをベストコンディショニングといい、その日の体調のことだけを指しているわけではありません。

コンディショニングを向上させるためにはこれら5つの柱すべてを向上させなければいけません。

では、パーソナルトレーナーである僕がすべてを向上させなければいけないのかといえば、実はそうではありません。それぞれに専門家がおり、僕のようなパーソナルトレーナーは“身体的”な部分を向上させる役割を担っています。

精神的な部分はメンタルトレーナーの役割であり、栄養的な部分は栄養士などの専門となり、専門分野が分かれます。

 

バイオモーターアビリティの理解が必要

では、身体的な部分を専門とするトレーナーは具体的にどのようなことを指導していくのでしょうか?

それがバイオモーターアビリティになります。バイオモーターアビリティとは、身体的なコンディショニング向上のためには必須のものになります。

バイオモーターアビリティとは・・・

●筋力

●スピード

●パワー

●持久力

●敏捷性

●調整力

●柔軟性

などの要素のことをいい、これらすべてを向上させること、レベルアップをさせていくことを身体的なコンディショニングの向上となります。僕自身もまだまだ理解が浅い部分にはなりますが、このバイオモーターアビリティの理解をすることで、実際に現場で行う指導などが見えてきます。

ですので、このバイオモーターアビリティの理解はパーソナルトレーナーなどの身体的なコンディショニングを担当する場合、理解が必須になります。

 

その他に現場で行っていることとは?

では、このバイオモーターアビリティの知識だけがあれば十分なのでしょうか?もちろんこの理解をすることも重要ですが、これだけの理解だけでは現場で戸惑うことも出てきてしまいます。

現場で活用しているテクニック・知識などを挙げると・・・

●基礎知識(生理学、機能解剖、運動学、動作学など)

●スポーツ障害(ランニング障害、スローイング障害)

●身体調整テクニック

●ストレッチング

●リンパテクニック

●モビリゼーション

●筋筋膜リリース

●皮膚を緩めるテクニック

●動作の改善について

と挙げればまだまだありますが、今のところこのようなテクニックや知識を学び、実践し、そこで浮かんできた課題に対して考え、再度実践するような繰り返しを行っています。

あくまでも教科書で知ったレベルに近いものばかりで、ひとつひとつ実践をし、うまくいくこと、いかないことなど数多く出てきていますのでそれをなぜうまくいったのか、いかなかったのかを考え、学んでいます。

 

学校では教えてくれない知識やテクニックも必要になる

これらを挙げると一度は聞いたり見たことがあることかもしれませんが、現場で最も大切にしていることのひとつに“言葉がけ”ということがあります。

これはどういうことかというと、スクワットの動作を指導する際に・・・

●後ろにある椅子に座るようにしゃがみましょう

●膝を曲げるようにしゃがみましょう

●お辞儀をするようにしゃがみましょう

この3つを考えたとき、すべて違う動作になると思います。また個人な捉え方によっても動きが変わります。

この動きを誘導する際に必要になることが言葉になります。

どれがいい、悪いという尺度ではなく、目的に合った方法を実践することが重要であり、その目的に合うような動作に導くために言葉がけも重要になります。

言葉がけ以外にも、大切にしていることが“感性”です。身体調整や何かのテクニックを使い相手の身体に触れたとき、なんとなく触れているのと、相手の身体の状態を感じながら触れているのとでは感じ方が全く違います。

ストレッチでは特にこの感性が重要であり、1mmの違いや、筋肉の緩みや緊張、それらの情報を手のひらから得ることができ、それを尺度として手の位置や押す方向、引く方向などさまざまなことを変えながら最適な状態を探っていきます。

これらの“言葉がけ”や“感性”については教わる機会があるかもしれませんが、そこまで深く学び実践することがないかもしれません。僕自身もこれらのことを学んでから現場で意識していますが、非常に難しく、数多く実践し、経験することが必要だと感じています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。簡単ではありますが、パーソナルトレーナーとして現場でしていること、学んだ知識やテクニック、学校では学べないことなどを書いていきましたが、何を学べばいいかということについては、それぞれの目標や興味あることなど、それぞれ違うことですので、わかりません。

ただ、自分が専門学校や大学を出ずに教わったことや学んできたことはこれらになり、これ以外にもたくさんのことを学んできています。机上で学んだことは必ず自分でも実践し、今でも毎朝テーマを決め公園やスタジオでトレーニングをしたり、走ってみたり、動作をしてみたりと自分で試す時間も多く作っています。

実践することで学ぶことも多く、教科書はあくまでも教科書であり、最高の教科書は現場だと思います。

情報が錯乱している中で、本物の情報を見つけ出すことは容易ではないかもしれませんが、実践を繰り返し、そこから得られる結果が何よりも大きな学びとなり、現場で指導する際に役立つ貴重な情報になると思います。

今日の情報が少しでもトレーナーを目指す学生さんや社会人の方のお役にたてばうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。