走り方

疲れにくい走り方とは?手足を動かそうとせず重心を前に運ぶこと

疲れにくい走り方とは、リラックスして走ること・・・。

言葉で見るとなんとなくわかったようなわからないような感じ。そもそも疲れるということは、エネルギーを多く消費しているということで、身体を動かすことは必ずエネルギーを消費します。

この消費するエネルギーをできるだけ少なく、省エネ状態で走れることが、疲れにくい走り方と言えるかもしれません。

無駄にエネルギーを消費しないようにするためには、部分である手足を細かく「こうやって、こうやって動かそう・・・」と意識してしまうとそこには緊張が生まれます。

そうすると疲れやすくなりますが、身体はリラックスすれば自然に動きますので、そういう部分への意識をやめることです。そうすれば身体は自然に動き、スムーズな動きとなり、このような動きは無駄なエネルギーを消費しないため楽です。

今日は、疲れにくい走り方をするためにはどうすればいいのか。この辺りをお伝えしていきたいと思います。

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疲れにくい走り方とは?

冒頭で触れましたが、疲れにくい走り方とは、無駄なエネルギーを消費せず、身体がスムーズに動く走り方だと考えています。

逆を言うと、疲れやすい方の走り方というのは、見ていてもどこかぎこちなく身体や走り方に硬さを感じます。

どうすれば身体をスムーズに動かせ、疲れにくい走り方をすることができるのでしょうか?

重心を前に運ぶ

重心を前に運ぶ

一般的な走り方の指導というのは、手足をどのように動かすのかなど非常に細かな指導が多いように思います。

実際に雑誌などで走り方が書いてあったりしますが、非常に細かく、雑誌としては面白いのかもしれません。ただ、実際に走るとなると多くのことを同時に行うことは難しく、それが動きの硬さにつながることがほとんどです。

手足はどうこう動かそうとしなくても自然に動きます。

身体を自然に動かすためには、まず走るときに意識することは自分の重心を前に運ぶということです。

重心を前に運んでいくと、脚も自然と前に出てきますし、腕も自然に触れてきます。意識をすることは緊張であり、無意識になれば緊張しません。だからこそ疲れないようにするためには意識を向けないことも重要になります。

重心というと、よく言われるのが丹田と言われるおへそ辺りに位置するところを重心としておきがちですが、次に考えたいことは重心の位置です。

重心の位置を高くする

以前、速く走るコツ!整理しておきたいスピードと速さについてでもお伝えしていますが、重心の位置によって必要になる運動エネルギーの大きさに変化が出ます。

どういうことかというと、こちらのペットボトルをご覧ください。

重心の位置

このペットボトルを倒そうと思うと、どこを押せば一番倒れやすいでしょうか?答えは一番上のキャップのところになります。

一番高い位置を押すと、最も少ないエネルギーでペットボトルを倒すことができます。

ここからわかると通り、重心の位置が高くなると物体(身体)を動かすエネルギーは小さくなります。走り方に置き換えると、重心の位置を高くすることで身体を楽に前に運ぶことができるということになります。

ですので、走っているときの重心の位置はできるだけ高く保つようにすると疲れにくいということになります。

手足を動かそうとしない

走っているときの手足は、短距離なのか長距離なのかによって使い方が異なりますが、長距離の場合、腕は基本的にリズム取りに使います。

腕を振るリズムが、ポンッ、ポンッ、ポンッと刻めば、そのリズムに合わせて脚も動いてきます。

マラソンを走る場合、地面をどのように蹴るのか、または脚をどのように使うのかなどを意識してしまった場合、走るごとに脚が緊張し、疲労してしまいます。

そのため、過度に手足の動きは意識しないことです。

短距離の場合、腕は前方への推進力を得るために使い、前方に振り出すように使ったりしますが、選手でない限り、一般の方は長距離を走ると思います。

その場合は、手足をあまり動かそうとせず、シンプルに重心を前に運ぶという意識を持つぐらいで十分です。

ここまで、疲れにくい走り方をするためのポイントを簡単にまとめていきましたが、ここからは実際に現場で指導をしたこと、得られた成果をもとにお伝えしていきたいと思います。

 

以前クライアントさんが教わった走り方

以前ジムのスタッフさんに走り方について教わったそうですが、そのスタッフさんは大学まで陸上をしていたそうです。

ここで言われたことが動きを硬くしている原因でした。

脚を前に前に出す

脚を前に出す

ジムで走るときは、トレッドミルを主に使うそうですが、このときに教わったことはまず脚は前に前に出すということです。

脚を前に出せば、ピッチが上がり、速く走れるとのことでこのような指導をされたそうです。

肘を引き、胸を突き出すこと

腕の振り

腕の使い方についてもアドバイスを受けたそうで、肘を引き胸を突き出すように走ることでスムーズに身体が前に運べるでこのような指導を受けたそうです。

また地面の方へ動かすような意識もあるそうで、このような腕の振り方をしていました。

できるだけ弾まず、地面に対して平行に移動する

ランニングであっても、スプリントであっても、できるだけ弾まず、地面と平行に移動するように走ることでロスがなく、楽に走れるということを教わったそうです。

地面と平行に走る

そのため、クライアントさんの走り方を見たとき、地面に対して平行に走れており、指導通りの動きはできていました。

ただ、本来はスムーズに身体が動き、楽に走れると弾もうとしなくても弾んだ感覚が得られるようになります。

このような指導を受けていたそうで、結果的にここで受けたアドバイスによって動きが硬くなっているということも見えてみました。

 

走り方をイメージする

指導する前に、走り方について頭で理解していただくために、絵を書いてこれからする指導はなぜこのようなことをするのか、どのように走れば疲れにくいのかなど、を説明していき、まずは頭で理解していただきました。

基本的に指導したことはこのようなことです。

  • 重心を前に運ぶ
  • 身体は前に、脚は後ろ
  • 脚は後方で大きく回転するイメージ
  • 腕は、振るのではなく落とすイメージ
  • 身体の動きがスムーズになるとストライドが伸び、気持ちよく走れる

動きによって言葉を変えながら、クライアントさんの動きを見ていきましたが、指導前と指導後ではストライドが大きくなり、ご本人も弾んでいる感覚を得られるようになっていきました。

 

走り方の指導について

走り方を頭で理解していただいて、近くの川に走りに行きましたが、実際に走り方を見ていると全体のイメージとしては非常に柔らかく動いている印象がありました。

ただ、先ほど挙げたように部分的に緊張が見られ、動きのスムーズさがないところもありました。

今回走った場所は、軽く傾斜した場所で下り坂です。

重心を前に運ぶ、重心の位置で変化を感じる

重心を前に運ぶ

まず最初に行ったのは、重心を前に運ぶということで、これまで脚を出す意識があったため、それを胸あたりを前に運ぶように伝え、走っていただきました。

これまでの走り方で走ると、下り坂に対してブレーキをかけるように走っていたのが、重心を前に運ぶとブレーキがなくなり、加速していくことを感じられたそうです。

まずはこれだけを何度も繰り返していくと、脚の緊張感も抜けこれだけでも脚の動きがスムーズになってきました。

そしてそこから重心の位置を高く置くことで、より楽に前に進むことができることを感じていただき、重心の高さで身体を軽さに変化が出ることも実感していただきました。

身体は前、脚は後ろで大きく回転

脚の回転

この流れで、脚が後方に行ったとき大きく回転するイメージを持っていただき、実際に僕も走ってそのイメージをインプットしていただきました。

これまで、弾まないという意識があったため、脚が後方にいったとき、踵がお尻の方へ上がることはなく、後方に行ってすぐに前に振り出されるような脚の動きをしていたため、非常にストライドは小さくなっていました。

クライアントさんが素晴らしかったのは、お伝えしたことがすぐに実践でき、身体もその通りに動いていたことで、脚が後方で大きく回転しはじめ、それに伴ってストライドが伸びていき、スピードも自然と上がっていきました。

自然とスピードが上がったことで「これで大丈夫?」と叫びながら走られていましたが、見ている側からすると動きは大きくなっていきましたが、緊張がなく気持ちよく走れているように見えました。

腕の振りが問題

腕の振り

スピードが上がったことで顕著に見え始めたのが腕の振りです。

日本女子短距離の代表でもあった福島選手の腕の振りのように、腕が斜め下方向に動き、後方に腕が振り出されていました。

後方に腕を振る

以前受けたアドバイスの影響だと思いますが、このような腕の振り方をすると肩周辺の筋肉が緊張し、肩こりの原因にもなります。

この腕の振りを改善するために行ったのが、その場で腕を落とすように動かすことを繰り返していきました。

腕振り

走っている時には、肩の力が入っているという実感はあったものの、どのようにして抜けばいいのかがわからなかったそうで、今回は胸の前で腕を構えていただき、腕を落とすようなイメージで自然と触れることを何度も繰り返していきました。

腕を落とす

腕を落とす

その場で腕が軽く触れるようになってきたので、次はその状態で走っていきました。すると、腕の軽さを感じれるようになっていき、セッション後は以前から感じていた肩こりも改善され、肩周辺は柔らかくなっていました。

全体の指導としてはこのような流れで行っていきましたが、最後は気持ちよく走ることができ、まだ硬さがある部分も残っているため、息が少し上がっていましたが、今後も身体をスムーズに動かせるようになれば疲れにくい走り方をすることができると思います。

 

まとめ

今回は、クライアントさんの指導の中で感じたより楽に気持ちよく身体を動かすことで疲れにくく、走り方を見てもスムーズに動いていることがわかります。

手足に過度に意識を向けなくても、どうこう意識しなくても身体は動きます。

走る側からすると、あれこれ言われてしまうと結局どういう動きをすればいいのか分かりづらくなってしまいますし、動きも硬くなってしまいます。

できるだけ指導する側はシンプルに伝えることで、相手も理解しやすく動きも変わりやすい。

先ほどもお伝えしましたが、今回の指導の中でポイントになったのは、

  • 重心を前に運ぶ
  • 身体は前に、脚は後ろ
  • 脚は後方で大きく回転するイメージ
  • 腕は、振るのではなく落とすイメージ
  • 身体の動きがスムーズになるとストライドが伸び、気持ちよく走れる

このようなポイントを指導し、指導前後では走り方も姿勢もよくなりました。

走って疲れやすいのは、疲れるように走っているためであり、疲れにくく走れば疲労も溜まることもありません。

今日の内容が少しでも走り方の参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ランニングで膝の痛みが発生する原因と改善について

ねぎを入れる

いよいよ冬本番という感じになってきていますが、先日は神戸マラソンが行われ、ランナーにとってはシーズン到来という感じかもしれませんね。

知り合いに誘われて、今年から走ってみようかな?もしくはマラソンに挑戦してみようかな?と思っている方もいるかもしれません。

そんな初心者ランナーの方が起こしやすいのが、膝の痛みです。

ランニングをするとなぜ膝や足首に痛みが出てしまうのでしょうか?よく言われるのは筋力が弱いからという理由ですが、それだけではなく、多くの場合“痛くなるような走り方”をしているために身体に痛みが出てしまいます。

走り方だけではなくさまざまなことが膝の痛みを発生させる原因であると考えられます。

今日はそんなランニングで発生する膝の痛みについてまとめていきたいと思います。

ランニング関連の記事はこちらの記事も参考にしていただければと思います。

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ランニングで膝の痛みが発生する7つの原因とは?

ランニングをするとなぜ膝の痛みが出てしまうのでしょうか。この原因はさまざまな要因を考えることができますが、トレーナーとしてクライアントを見るとき、痛みが発生するとチェックしていることがあります。

考えられる痛みの原因は7つあり、それらを照らし合わせ痛みの原因を探っていきます。今日はこの7つを軸に膝の痛みの原因と改善を見ていきたいと思います。

この7つというのは、以下の通りです。

  • コンディショニング不足
  • 走り方
  • 道具や用具
  • 身体の歪み
  • 環境
  • アクシデント
  • 体調不良

それでは早速1つ1つを見てきたいと思います。

1、コンディショニング不足である

まず一般的に言われる痛みの原因ですが、筋力が不足していることで身体が痛むと言われていますが、これもランニングで膝を痛めてしまう原因のひとつです。

走っているときは片脚で身体の重みを受け止めるため、その衝撃は体重の4~5倍ほどになると言われています。

非常に大きなストレスが身体にはかかり、片脚でジャンプスクワットをするようなことを何十回、何百回、何千回と繰り返すため、そのストレスに耐えられる筋力がなければランニングによって筋肉を使いすぎれば膝を痛めてしまう可能性があります。

このような場合、ランニングをする以前の問題であり、筋力を強化をすることが必要となります。

こういった筋力など、身体的な問題で膝の痛みが発生する場合、コンディショニングを見直す必要があります。ただ、ここでいうコンディショニングというのは、一般的に言われる “体調” のことだけではなく、以下の図のようなことを指しています。

コンディショニング

本来コンディショニングとは、体調という意味も含めますが、それだけではなくこれら5つの柱のことを指しています。またその中の身体的な部分のことを指しているのが、バイオモーターアビリティというものです。

バイオモーターアビリティ,身体的,コンディショニング

こういった体力要素の問題でランニングをすると膝に痛みが出てしまうことがあります。ただ、一般的に起こるランニングでの膝の痛みは筋力不足が原因ではないケースが多く、次に紹介するケースが痛みの原因として多くみられます。

コンディショニングについては、こちらの記事を参考にしていただければと思います。

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2、走り方の問題

ランニングで膝の痛みを感じる原因は、主にこの走り方の問題が多いと現場の経験から感じます。太ももの前側にある大腿四頭筋という筋肉は膝のお皿を介し、脛骨というスネの骨に腱が停止しています。

走り方の問題でこの大腿四頭筋が大きなストレスを受け、このストレスに耐えきれなくなると太ももの前に痛みを感じることもありますが、膝周囲に痛みを感じます。

このように大腿四頭筋が過度にストレスを受けると膝に痛みが出る可能性がありますが、これはランニングをするからストレスを受けるということではなく、走り方のまずさが関係しています。

では、どのような走り方をすれば太ももの前側にストレスを受け、膝が痛くなってしまうのでしょうか。

  • つま先で地面を突くように着地する
  • 身体の下ではなく、前で着地する

これらの走り方は両者とも大腿四頭筋に大きなストレスを加える可能性があります。それがこのような着地のイメージです。

着地

このようにつま先から着地する、もしくは身体の前で着地をしてしまうことによって、大腿四頭筋は伸ばされるような刺激を受け、太ももの前側にストレスがかかり、これが続くことによって膝を痛める原因となります。

このように走り方の問題で膝に痛みが出てしまう場合、筋力を鍛えることが必要なのではなく、走り方を変えることで膝へのストレスは軽減され痛みを改善することができます。

走り方のポイント

ここまでランニングをして膝を痛める原因のひとつに走り方が関係するということをお伝えしていきましたが、では具体的にどのような走り方をすれば膝へのストレスを軽減できるのでしょうか。

走り方については短い距離と長い距離では異なりますが、今回の問題はランニングですので長い距離をイメージしてお伝えします。

  • 重心を前に運ぶ
  • 膝を高く上げたり、つま先で地面を押したりしない
  • 腕はリズム取りとして使い、意識的に振ったりしない

このようなシンプルな意識だけを持つことでスムーズな動作ができ、楽に走ることができます。詳細については後程お伝えしていきたいと思います。

3、シューズの問題

神戸女子大学ラクロス部に帯同し、現場で痛みの対応をすることがありますが、膝の痛みだけではなく、足部などの痛みもよく相談されます。この原因にシューズの問題があります。

  • サイズが小さい、または大きすぎる
  • 中敷きの下にスパイクの金具がある
  • シューズが変形している
  • シューズの中に縫い目がある

これらはすべて膝の痛みや足部の痛みにつながる可能性があるシューズの問題です。実際にこれらを改善することや、シューズを変えることで痛みが改善することを経験しました。

シューズの問題も膝の痛みにつながるため、サイズがあっているのかをチェックする必要があります。

ちなみに、歩いたり、走ったりするとき、シューズの中で足は1cmほど前方にずれるため、シューズのサイズを決めるときは、踵をシューズの後方にしっかりと詰め、つま先側に指1本分ぐらいのスペースが空くぐらいのサイズが適切と言われています。

このスペースがないと、足趾が詰まってしまい曲がってしまう、ハンマー足趾と言われる状態になり、これも足部の障害につながる可能性があります。

最近はシューズ販売店でも足のサイズを測ってくれるところが増え、自分に合ったシューズを提案してくれるところもありますので、そういったところを利用すると不適切なサイズのシューズを買わなくて済みます。

シューズの問題もランニングで膝を痛めてしまう原因のひとつになりますので、チェックが必要です。

シューズ

4、身体の歪み

身体の歪みがあればその分だけ局部へのストレスは大きくなります。最近の女性で多くみられる身体の特徴のひとつに内股のように脚を内側に捻じり、左右のつま先が触れ合うような立ち方をしている人を多くみかけます。

ある意味女性らしいというイメージがあるのかもしれませんが、このような脚の捻じれや身体の歪みは痛みへとつながります。

膝の内側の痛みに鵞足炎という症状がありますが、これは半腱様筋、薄筋、縫工筋などの筋肉が停止している鵞足という部分があり、これらの筋肉が過度にストレスを受けることで鵞足という部分に炎症が起こり、それを鵞足炎といいます。

この症状の改善はこちらを参考にしてみてください。

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鵞足炎の場合、膝は内側に捻じれてることが多く、この捻じれを改善するために筋肉を緩めることで痛みの程度も変化していきます。

また膝の外側が痛む場合、外側広筋と言われる太ももの外側の筋肉が何らかの原因でストレスを受けると膝の外側が痛みます。この場合、大腿四頭筋の筋バランスを整えることで痛みは改善します。

このように身体の歪みもランニングで発生する膝の痛みにつながる可能性があるので、痛みを感じる以前に身体の歪みはできるだけ自然な状態に直しておくことも痛みの予防となります。

歪み

5、環境の問題

環境というのは、どのような場所でランニングをしたかということです。

  • グランド
  • 砂利道
  • 砂浜
  • 整備されていない河川敷
  • 雨の降った後の土の上
  • アスファルト

さまざまな環境が考えられますが、実際に雨の降った後の河川敷を走った方で、膝を痛めてしまった方がいます。

この方の場合、足場がぬかるんでいたため滑らないように恐る恐る走っており、その走り方が大腿部に大きなストレスとなってしまい、結果的に膝を痛めてしまったということがありました。

このように環境というのも、痛みと関係しておりその環境を把握することで痛みの原因がみつかることがあります。

砂利

6、アクシデント

ランニングで膝を痛める原因にアクシデントがあります。これは不意の事故であったり、突発的に起こってしまった予期せぬことです。公園で走っていた際に子供が飛び出てきてよけようと思って身体を捻った時、着地がまずく膝を痛めてしまったということも起こりえます。

このようなアクシデントも身体の痛める原因のひとつになります。

7、体調不良

体調不良もランニングで膝を痛めるひとつの原因になる可能性がありますが、体調不良でありながら無理をして走っていると普段よりも集中力は低下しています。

このことによってハプニングが起こったり、いつもとは違うフォームで走ることになり、それが原因でランニング時に膝を痛めることが考えられます。

日頃からコンディションを整え、無理をしないこともランニングによって膝を痛めることを未然に防ぐことになります。

 

ランニングをすると膝が痛くなる理由をもっと詳しく知ろう

ランニングをすると膝が痛くなる理由は主に走り方だとお伝えしてきましたが、もう少し詳しく見ていきたいと思います。

つま先で地面を突くような走り方をしている場合、ブレーキをかけるように走ってしまいそのときに大腿四頭筋と言われる太ももの前側の筋肉がストレスを受けます。

そもそも大腿四頭筋はどのようなところにある筋肉なのでしょうか。

■大腿四頭筋について

大腿四頭筋は、4つの筋肉で構成されており、大腿直近、中間広筋、外側広筋、内側広筋で構成されています。

これらの筋肉は下前腸骨棘や寛骨臼の上縁と言われる股関節の少し上側や、大腿骨といわれる太ももの骨の前側から始まり、膝蓋骨と言われる膝のお皿の外・真ん中・内側につき、脛骨粗面と言われるスネの骨の膝に近い部分についています。

こちらが大腿直筋のイメージです。

大腿直筋

こちらが中間広筋・外側広筋・内側広筋のイメージになります。

大腿四頭筋

これらの筋肉は膝のお皿に付着していますが、身体の前に着地するようなブレーキをかけてしまうような走り方をすれば太ももの前側にストレスを受け、筋肉が硬くなります。

筋肉がそのストレスに耐えられなくなり、炎症などが起こるとこの筋肉に痛みが出る場合もありますが、多くの場合膝周辺にある腱の部分に痛みが出てきます。

これはこの痛みが出ている箇所に問題があるのではなく、その上に問題があり、大腿四頭筋を緩めれば痛みは改善されます。

膝の内側や外側など場所に違いが起こるのは、例えば、足の外側から着地をする場合外側広筋に主にストレスがかかり、膝の外側が痛みます。逆に足の内側から着地をする場合、内側広筋にストレスがかかり膝の内側に痛みが出てしまうということになります。

以下に詳しく改善についてまとめていきますが、最後に大腿四頭筋を緩める方法をご紹介していきたいと思います。

 

ランニングで発生する膝の痛みを改善する方法

ここまで膝の痛みの原因を7つ挙げてきましたが、改善に必要なことはこれら原因に対して対応することが改善につながります。

そのため、これをやればすべて改善できるということはなく、それぞれの原因に対してどのように考え改善を図るのかをまとめていきたいと思います。

1、コンディショニング不足は走る以前の問題

筋力が不足しており、それが原因で膝を痛めてしまう場合、これは走る以前の問題であり、まずは筋力を鍛える必要があります。

ランニング時には、体重の4~5倍のストレスが片脚にかかりますので、そのストレスに耐えられる筋力や持久力が必要となります。

では鍛えるとなるとスクワットをすればいいのか?ということになりますが、走る筋力は走ることでつけることができ、自分の筋肉がどこまで刺激に耐えられるのかを知る必要があります。

人間の持つ筋肉は、使わなさすぎると委縮し細くなり、使いすぎても細くなっていきます。適度な刺激が加えられることで適切な反応を引き出すことができ、そこに栄養という問題も絡んできます。適切な刺激を加え、栄養をしっかり摂ることで筋力も向上していきます。

ただ、このように書いていますがランニングで発生する膝の痛みの原因は、多くの場合走り方に問題がありますので、ウエイトトレーニングをして筋肉を鍛えたからといって痛みが改善されるかといえばそうではなく、走り方を変えないと痛みの改善はしないということになります。

2、ランニングフォームを変える

ランニングによって発生する膝の痛みの原因で、最も多いのは“走り方”の問題です。

走るということは、地面を蹴ることでも脚を前に出すことでもなく、重心を運ぶことです。走るときに自分の脚をこう動かそうと意識を向けてしまうと、そこに緊張が生まれスムーズな動作ができず、疲労しやすくもなります。

頭や胸を前に運ぼうとすることで、下半身から意識が外れリラックスすることができます。

膝の痛みが起こる原因は着地位置の問題があります。足部というのは、4つのアーチがあり、この4つのアーチは衝撃を吸収する緩和剤のような働きをしています。

4つのアーチのはこちらです。

  • 内側縦弓
  • 外側縦弓
  • 中足骨弓
  • 横弓

この働きを活用するためには、フラット着地をする必要があり、この位置からずれることで局部にストレスを受けることになります。

マルカルドの体重分布図  

この位置で着地できるようになると衝撃が脚全体に分散され局部へのストレスが減りますし、お尻の付け根で衝撃を吸収するため、ランニングによって起こる膝の痛みは改善されます。

またこのような重心位置で走ることができれば自然とヒップアップもされていきます。

リラックスして走ることで楽になりますし、疲労も少なくなってきます。ランニングによる膝の痛みの改善は走り方を変え、着地位置を変えることで改善するケースは多くあります。

スムーズな動きをするためにおさえておきたいランニングフォームについて

ランニングで膝を痛めてしまう原因は上記でお伝えしてきた通りですが、主に走り方が原因になります。どのような走り方をすれば膝に痛みを抱えず、走ることができるのでしょうか。

  • 重心を前に運ぶ
  • 膝を高く上げたり、つま先で地面を押したりしない
  • 腕はリズム取りとして使い、意識的に振ったりしない

 

シンプルに考えるとこの3つに集約することができると思います。

走っている際は、脚を前に出さなくても重心を前に運べば”勝手に”脚は前に出てきます。意識的に脚を前に出そうとするとそこに緊張がうまれ、スムーズな動作ができなくなります。

重心移動

重心移動

重心移動

このようなイメージで重心を前に運ぶことでスムーズな動きとなります。そうするとつま先などで地面を蹴らなくても勝手に前に進んでいく感覚を得ることができます。

長い距離を走る場合腕はリズムとりの役割となるため、あまりこういう風に動かさないといけない!というよりも楽にスイングできればいいので、過度に意識を向けないようにします。

自分の中で楽にスイングできる位置を探し、そこでスイングしていきます。

走り方についてはこちらの記事も参考にしていただければと思います。

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3、シューズを変える

シューズをある程度使いこなすと、シューズの裏が擦り減ってしまったり、変形が見られたりします。

この場合、身体の歪みを調整したりしても、シューズの変形があるため履くとまたその変形によって身体が歪みます。こういった場合は、新しいシューズに変えることです。それだけで痛みが改善します。

サイズが適切でない場合も、適切なサイズのシューズに履き替えると問題はなくなります。

適切なシューズのサイズについて

シューズのサイズが不適切だと膝の痛みにつながってしまう可能性がありますが、どのようなサイズが適切と言えるのでしょうか。

まずはこちらの画像をご覧ください。

シューズ

人間は靴を履いて歩いていると、靴の中で足が前に1cm程ずれると言われています。ですので、その分の余白がないとつま先は靴に当たってしまいます。つま先が靴に当たり続けると、ハンマー足趾といって足趾が曲がったような状態になってしまいます。

適切なシューズのサイズというのは、シューズの踵に足の踵をあてがい、そこからつま先に1cmほどの余裕があるサイズが適切なサイズということになります。

シューズが不適切で膝などに痛みがある場合、適切なシューズに変えるだけで痛みは改善されていきます。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/runner-shoes”]

4、身体の歪みを直し、自然体に

身体の歪みは痛みにつながる問題です。膝の痛みだけでなく、腰痛や肩こりにしても、痛む箇所に問題があることは少なく、痛む箇所は影響を受けた部分であることが多くあります。

どういうことかというと、例えば頭を前に突き出すような姿勢をしていると、この頭部の重さを支えるために、首や背中の筋肉は緊張してきます。これが原因で腰痛になって、腰をマッサージしたり温めたりすると一時的には改善がみられます。

ただ、根本の問題は頭部が前に突き出ているこの姿勢であり、この姿勢を直すことが痛み改善につながるということです。

脚の外側に問題がある場合、O脚気味であったり、脚の内側に問題が出る場合、X脚気味というぐらいに身体の歪みを改善することは痛みを改善する上で重要になります。

身体の歪みが原因で痛みが発生する場合、全身の歪みを改善し、その歪んでしまう原因を改善することで痛みも改善されていきます。筋肉を緩め自然な状態に直すと痛みも改善されていきます。

O・X脚で悩まれている方は、こちらの記事も参考にしていただければと思います。

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5、環境を変える

アスファルトやコンクリートを走ると身体にかかるストレスも多く、膝の痛みの原因になることがありますが、これは走る環境を変えることで痛みは改善されます。

土の上や専用のランニング場などあれば、衝撃を吸収し、身体にかかるストレスも軽減されるため、膝の痛みは改善されます。

また、雨の日にぬかるんだところを走って膝を痛めてしまうような場合、滑りにくアスファルトの上を走る方がけがをするリスクは少なく、環境も状況に応じて変えることで痛みの改善へとつながります。

最後の2つについても、日頃から体調管理をして、栄養や休養のバランスを考えランニングに取り組んだり、毎日の生活を過ごすことで未然に防ぐことができると思います。

アクシデントも前もっての準備やそういう状況を想定することで、けがの状況も変わってくると思いますので、日頃から気を抜きすぎないようにすることも重要になります。

 

膝の痛みを改善するために大腿四頭筋を緩める

では最後に太ももの筋肉を緩める方法をご紹介していきたいと思います。

  1. 座った状態で片膝を曲げ、片膝を伸ばす
  2. 両手で太ももを軽く持ち上げ、落とすようにして筋肉を揺らす
  3. ボールをバウンドさせるようなイメージで軽くバウンドさせる

バウンド

筋肉はストレッチングやこのように揺らぎを与えることで緩めることができます。筋肉を緩める考え方についてはこちらにまとめていますので、参考にしていただければと思います。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。ランニングによって発生する膝の痛みといってもひとつの原因ではなく、さまざま要因があり、膝を痛めることにつながることが多くあります。

現場ではそれらの痛みの原因をみつけ、そこにアプローチすることで状態を改善することができます。

筋力不足なだけではなく、シューズや環境の問題など、そういったことも痛みと関係すると理解することで、原因を探りやすくなり、それらの原因に対してアプローチすることで痛みは改善されていきます。

最後に痛みの改めて痛みの原因になると考えられる7つをまとめていきたいと思います。

  • コンディショニング不足
  • 走り方
  • 道具や用具
  • 身体の歪み
  • 環境
  • アクシデント
  • 体調不良

今日の記事が少しでもランニングで発生した膝の痛みに悩む方のお役にたてるとうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

X脚の原因は何?動作の影響を受けて脚が歪み、痛みやたるみが生じる

階段の上り下りを楽にする方法【太ももの張りも改善できる】

サッカーをしている小学生とのセッションのとき、お母さんから「X脚の改善をしたい」という相談を受けました。

以前、パーソナルを別の場所で受けれていたそうで、走っている姿を見ると脚が後方にきたときにクロスし、非常に違和感を感じる走り方をしていました。

話を聞くと、このような指導を受けていたそうです。

  • 親指で地面を蹴る
  • 接地時間を短くするために、つま先で走る

腕の使い方についても気になる点がありましたが、X脚に悩み始めたのはちょうどこのパーソナルを受けられてからだそうで、話をさらにお聞きしていくとX脚の原因が見えてきました。

ポイントは、X脚になるような動作をしていたということです。今日はこのX脚の原因と改善についてお伝えしていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

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この小学生のX脚の原因とは?

この選手のX脚の原因は、足の親指で地面を蹴ろうとしていたことが主な原因でした。

僕との最初のセッションのときに、何も言わずただ歩いたり、ランニングをしてもらいましたが、このとき感じたことは、

  • 内股で歩く
  • 後方に上がってくる踵の位置がお尻の真中の位置よりも内側に入る
  • 着地をした際にブレーキがかかり、一瞬止まるように見える
  • 腕の振りがまっすぐで、肩がすくむ

このようなことを感じました。これらは以前受けていたところで指示されたことをしている結果でしたが、選手自身はアドバイス通り身体を動かせていたように感じました。

なぜ足の親指で地面を蹴ることでX脚になってしまうのでしょうか。

身体の使い方でX脚になる

この選手の場合、そもそも内股ということも問題ですが、親指で地面を蹴ろうとすることで、踵がお尻の割れ目よりも内側に入ってきてしまい、脚がクロスするように走っていました。

X脚

X脚

本来、身体に歪みもなく自然な状態で走ることができると、踵はそれぞれのお尻の真中を蹴るように上がってきます。

X脚

親指で地面を蹴ることもそうですし、着地の先につま先で着地していましたが、この着地も親指側で着地していましたので、脚の内側が緊張し、鵞足周辺も少し腫れているように見えました。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/gasokuen”]

本来は内外側の筋バランスは整っていますが、それが身体の使い方などによってどちらかに偏ってしまい筋バランスを崩してしまうと、その方向に引っ張られ、膝などは捻じれてしまいます。

今回は、内側の筋肉がストレスを受け、緊張することでX脚になっていたため、まずはこれまでインプットしていた情報を整理し、セッション前の段階で、「これまでやってきたことは一旦置いといて、新しいことをしていくね。」と伝えてから指導に入りました。

 

X脚の改善について

小学6年生ですが、非常にのみこみも早く、こちらが言うことを理解してくれていましたので、テンポよく進めることができました。具体的にしたことは以下のようなことです。

テーピングでヒールロックをする

まず行ったことは、足首にテーピングを巻き、体重支持ポイントが踵になるようにしていきました。

調整ができる環境ではなかったので、テーピングを巻き、その場で立ってもらい、いつもと足の裏の感覚の違いを感じてもらうところからスタート。

踵がスッと持ち上げられているような感覚があり、踵で立つということはわかってもらうことができたので、そこから歩いたり、ランニングをしていきました。すると、それだけである程度脚はまっすぐ動き、踵はお尻の真中辺りに上がってくるようになり、気になっていた脚がクロスするような動きも改善が見られました。

膝を高く上げる動きから前に出す動きへ

次に行ったのは、その場で脚踏みを行い脚の使い方を見ていましたが、太ももを高く上げようをする動作が気になりました。

以前の指導で「速く走るためには、膝を高く上げること」と教わっていたそうで、身体が軽くのけぞるように膝を高く上げようとしていました。

X脚

このような動作から膝を前に出すように指示し、その際に壁に手を置き、左右の膝の真正面に目印を置き、その目印を膝で当てるようなイメージで繰り返し、膝の使い方について理解してもらいました。

X脚

脚の歪みもあり、どうしても最初は膝をまっすぐ出しているつもりでも、膝が内側に入ってしまい、選手の感覚とは一致していませんでした。ただ、この動作を繰り返し行い、膝がまっすぐ上がるようになっていきました。

その場駆け足から重心移動へ

そこから行ったのは、足で地面を押したりせず、重心を倒すと勝手に進んでいくような感覚をインプットすることを行っていきました。

年齢的な部分で、どこまで理解してもらえるのか、言葉や伝え方を工夫して行っていきましたが、重心を移動させることで勝手に進むということを掴めていました。

イメージは、頭のてっぺんに棒が突き刺さっていて、その棒を1cm、2cm・・・5cm、前に傾けるイメージを持ってもらうと、足で地面を押すような動作もなく、リラックスして進むことができました。

重心を移動させるように走り方を改善すると、選手も「身体が軽いし、前に進むって意味がわかる」と言い、感覚の違いを理解できたそうです。

X脚

X脚

途中でお尻を蹴るような動作を加えたり、地面を踏み込むような意識を加えたりし、気になる点を修正するとどんどん気持ちよく走れるようになったそうで、最後に立ってもらった時は脚もある程度まっすぐになり、X脚を改善することができました。

今回のケースは、走り方の影響を受けてX脚になってしまったということですが、言い方を変えるとX脚になるように走っていたということです。

ここまでお伝えしたのは、スポーツ選手のケースですが、一般の方はなぜX脚になるのでしょうか?ここからは、一般の方が悩むX脚についてお伝えしていきたいと思います。

 

一般の方がX脚になってしまう原因

一般の方の場合、日常で行う動作がX脚の原因になってしまうことがほとんどです。

例えば、ヒールを履いて歩いた時に、膝が内側に入ってしまうように歩いたり、階段の上り下りをするときに膝が内側に入ってしまうような動作を繰り返していると、股関節や膝関節などが捻じれ、結果X脚になってしまいます。

こういう身体の使い方をすると、簡単に言えば内側の筋肉が緊張し、脚の内外側の筋バランスは崩れていきます。

少し考えてみたいのが、このように筋肉が緊張し、筋バランスが崩れてしまった脚を鍛えるとX脚を改善できるでしょうか?筋肉が緊張し筋バランスが崩れ、脚が捻じれるのであれば、鍛えることでさらに筋肉は緊張し、捻じれてしまうのではないでしょうか。

鍛えることではなく、筋肉を緩めることで筋バランスを整え、X脚を改善できると考えることができるのではないでしょうか。

このように考えると、筋肉を緩めるとき、どこの筋肉を緩めればいいのでしょうか?それが分かればX脚の改善のヒントになるはずです。

筋バランスが崩れたときに緩める箇所について

一般的には、筋肉は伸ばされると“緩む”と言われますが、筋肉は伸ばされることで張力がかかり、これだけでもストレスを受け緊張します。

そのため、筋肉は縮まっても、伸びても緊張しているということになります。そうであれば、X脚の場合、どちらを緩めればいいのか、またどの部位を緩めればいいのかなど、特定の部分に目を向けると非常に難しくなります。

基本的には全体が緩めば部分も緩みますので、まずは自然な状態になるように脚全体を緩めること、もっと言えば、歪みというのは部分で見られた場合、全体が歪んでいます。

だとすれば、結局は全身を緩め、自然体に直すことでX脚は改善できるということになります。

X脚で悩まれている方は、まずご自身がどのように脚が歪み、全体の崩れがあるのかを把握します。そして、それがなぜ行ったのか、日常の生活を振り返ると原因が見えてきます。

改善には、自然体に直し、その原因となる日頃の姿勢や動作を改善することでX脚が改善できます。ただ歪みを改善するだけではなかなかうまくいかないのは、根本的な原因が改善できていないからということになります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?今回は、走り方の影響でX脚になり、その改善についてお伝えしていきました。

やはり、結果に嘘はなく、現状の身体になる原因が何かあるはずです。これをみつけることが何よりも大事で、僕自身の課題でもありますが、いかに多くの情報をクライアントさんから引き出し、そこから原因をみつけられるか。

これができると後は、そこでみつけた原因に対して方法を選択すればいいので、最も重要なことは“なぜ”という原因です。X脚で悩む方のほとんどは日常の中に原因は潜んでいると思います。

最後に今日のまとめをお伝えしていきたいと思います。

  • X脚の原因だったのは走るときの身体の使い方
  • 地面を蹴らず、ヒールロックをすることで脚はまっすぐ動くようになった
  • 走るとき、膝は上げるのではなく前に出す
  • 一般の方のX脚の原因は、日常の中に潜んでいることがほとんど

このような内容でお送りしました。

今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

坂道を利用して気持ちよくランニングができるようにする考え方について

ランニングをしていても、気持ちよく前に進む感覚が得られない。そんなときは坂道をうまく利用すると気持ちよく走れるようになります。

高校で陸上長距離をしている選手で、その選手に走り方の指導をしていて感じたことが、走っているけど着地をするたびに止まるような瞬間があり、接地時間が長い。

腕の振りも硬く、前にどんどん進むような感覚がなく、ストライドも狭い。選手自身もこのような感覚があるそうで、どうすれば改善できるのか悩んでいたそうです。

全国でもトップ3に入る実力があり、持っているものは素晴らしく指導している時も、素直に聞き入れてくれ、今回の指導がひとつのきっかけになればうれしく思っています。

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指導前の課題について

選手の走り方を見て、前もって親御さんから情報をいただいていたり、動画を見て確認をしていましたが、以下のようなポイントが気になりました。

  • 接地時間が長い
  • 上半身や腕の動きが硬い
  • 脚がスムーズに回転していない
  • 左右にブレながら走る
  • 全体の動きが写真で一コマずつ撮ってみているように見える

イメージとしては一生懸命さが感じられ、動きの硬さが目立っていました。

指導前にまず走ってももらいランニングのフォームを見た後、現在の走り方のイメージを聞いたり、本人が日頃どのようなことをしているのかを確認し、現在の走り方の考え方を聞いていきました。

そしてそこからこちらが走り方の考え方について説明し、現状と課題点について実践しながら確認するような形でセッションを行っていきました。

最後は脚の回転もスムーズになり、見ていても柔らかさというか、気持ちよさが伝わってきて、今回の指導では今までもランニングのイメージを変えることができたのではないかと感じています。

まだまだこれからですが、今回の指導で感じたことをまとめていきたいと思います。

 

立ち方、歩き方、走り方へと進む

まず選手の頭の中を整理し、現在選手自身がどのように考えているのか、またどのようなところに課題点があるのかを整理した上で、立ち方から指導していきました。

選手の中では、踵で立つというイメージがあったそうで、日頃からそういう意識も持っていたそうですが、実際に体重支持ポイントを確認するとつま先に体重がかかってしまっていました。

まずフラットに体重がかかるように、下駄を履いた状態で簡単なエクササイズを行い、足裏感覚を教育していきました。

すると足裏全体で立つ感覚が少しずつ出てきて、上から抑えると踵に抜けるような感覚が出てきました。このようにまずフラットに立てるようにするところから開始し、次に歩いていきました。

歩き方については、脚を前に運ぶのではなく、重心を運ぶ感覚を得るために、まずは重心を感じ、そこからそれを前に移動させるということを繰り返し行っていきました。

これまで脚を前に出すというイメージはなかったものの、動きとしては脚がすぐに前に出てきてしまうので、脚をリラックスさせ、重心を前に運ぶことで自然と脚が出てくることを感じてもらい、この感覚をその後の走り方に活かしていきました。

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坂道を利用して気持ちよくランニングをする

脚の動きが硬いとピッチも上がりませんし、ストライドも広くなりません。

歩き方を指導した後は、坂道を利用してリラックスして気持ちよく走れるようにしていきました。

ここでの一番の目的は、リラックスをすることで脚がスムーズに動くことを理解することと、リラックスして走ることでストライドが広くなり、気持ちよく大きく走れるようになるため、その感覚をインプットすることです。

力の入っている箇所をリラックスさせる

まず行ったのは、脚をどうこうするのではなく重心を前に移動させ、力の入っているところをひとつずつ抜かせるところから入っていきました。

直立の状態から、身体を前に傾けていき坂道ですので、後はリラックスすると転がるように走っていきますが、最初行ったときは身体を前に傾けるとすぐに脚が出てきてしまい、身体が前に倒れませんでした。

これを何度も繰り返し、自分で脚を出してしまわないように力を抜かせていくと、脚がスーッとリラックスした状態で出てくるようになっていきました。

次に気になったのが足首で、マラソン選手などの足首の使い方は、固定的に使う考え方もありますが、今回はフラット着の感覚をインプットするために足首の力も抜けるようにリラックスするように指示しました。

ぶらんぶらん状態で着地をすることで、フラットに着地する感覚が出てきて、これができるようになった時点で、最初に感じていた接地時間の長さが気にならなくなってきました。

上半身もぶらんぶらん状態で、ただ、頭を前に前に運ぶようなイメージで走り、リラックスをしているので加速する感覚も得られ、ストライドも自然と広くなっていきました。

この辺りで選手自身は課題としていた進む感覚が出てきて、気持ちよく走れるようになってきたそうです。

その場でお尻を蹴るエクササイズを行う

坂道を利用して、気持ちよく走れるようになってきたので、次にその場でお尻を蹴るようなエクササイズを行い、脚の回転がスムーズになるようにしていきました。

長距離選手ですので、走っているときに過度にお尻を蹴るようなイメージを持ってしまうと、そこに硬さが生まれ、無駄なエネルギーを使ってしまうためマイナスになってしまいます。

ただ、エクササイズとして行うことで脚の回転をスムーズにすることができるため、これを活用していきました。

ここで得た感覚を実際に走っているときに活かしていきましたが、うまく脚が回転するようになり、スムーズさがより出てきました。さらに脚の回転がスムーズになったことでさらに本人の中でストライドが大きくなった感覚が得られたそうです。

鼻をまっすぐに運ぶ

ここで少し気になったのは、頭の位置や身体のブレで、最初に比べると左右のバランスも良くなり身体もブレなくなってきましたが、頭が左右に振れるように走っていました。

そこで、走っていく先にひとつの目安を作り、そこに向けてこの選手の場合は鼻をまっすぐに運ぶように走ってもらいました。すると左右への頭のブレも改善され、選手も着地の際に両脚均等に着地できている感覚も出てきたそうです。

腕の振り方を確認する

高校で指導を受けたときには、肘をまっすぐに引くということを言われていたそうで、その他に腕の振り方について指導を受けているそうです。

その影響からか、肩が軽くすくみ、非常に硬さがありその場で腕の使い方について説明し、リラックスして振れる腕のポジションを見つけ、そこで腕振りを行っていきました。

リラックスして振れるようになったので、そこから走り、腕でリズムをとるように走ってもらうと肩周りの緊張も改善され、スムーズさが出てきました。

 

平地をランニングしてみる

このように坂道でランニングをし、部分的な改善も加えつつ走り方の改善を行い、最後に平地に戻って最初と比べるように走っていきました。

選手自身の中では、楽に進める感覚が一番出てきたそうで、着地や身体のブレなどの変化も感じてもらうことができました。リラックスをして走れるようになり、足もスムーズに回転し、踵がお尻の方まで自然と上がり、非常にきれいな脚の回転に見えました。

課題である前に進む感覚を得ることも得られたそうですが、全体のイメージとしては当然すべてを改善し完璧な状態にはなっていませんし、僕自身の技量もありますので、今後も課題として感じた箇所を修正を重ねていきたいと思います。

全体を通しては、選手自身は走るということについてイメージを変えられたそうで、リラックスして走る方が進む感覚が得られ、あれこれ意識しなくても身体のブレや左右差を修正できることを理解していました。

今後も選手の感覚を擦り合わしながら改善していきたいと思います。

 

最近感じること

全然関係のない話ですが、今夏休みだったり、部活動の節目の時期でもあります。

最近学生の親御さんから「子供の指導を・・・」ということでご連絡をいただき、実際にセッションを行っていますが、指導のときにはそばにいらっしゃいます。

先日も炎天下の中でお待ちいただき、こういう親子の関係を見るとすごく考えるものがあります。お子さんの競技レベルも全国大会で活躍されていたり、県の代表であったりとレベルも高く、お子さん、親御さん、一緒に目指すところに向かっています。

自分自身が高校野球をしているときなど同級生のママ・パパに良くしてもらって、自分のところは一度も顔を出すことができませんでした。

自分の親の事情は自分が一番分かっていますが、セッションをする中でも特別思うところもあり、少しでも力になれればと思いますし、何か変われるきっかけが提供できればと思います。

自分は高校野球をしながら新聞配達をして、道具を買ったりしていましたのでわかりますが、親御さんの支えの中でスポーツができ、今があります。お子さんだけではなく、親御さんも送り迎えをして本当にきついときもあると思います。

そんなしんどい想いが一番報われるというか、晴れる瞬間はお子さんが一番いい成績を残せたり、結果を残したり、悔いのない競技生活を送ることを見届けたときだと思います。

少しでもその一瞬の時間の中で、力になれるようにサポートできればと思っています。それぞれが次のステップに移れるように自分自身も妥協せずに進み続けたいと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今日は、坂道を使ったランニングで走り方を変えたり、感覚を変えることについてお伝えしていきました。

坂道を使うとボールが転がっていくように、リラックスすると勝手に加速し、ストライドも大きくなり、気持ちよく走ることができます。この感覚をインプットし、平地で走ると気持ちよさが残ります。

この感覚で走ることで平地での走りも良くなっていきました。

走る基本はリラックスをすること。過度に意識を向けず、気持ちよく走ればおのずと結果も良いものになっていくと思います。

これからも改善を重ねて、より良い走りができるようにサポートしていきたいと思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ランニングで脚が太くなってしまう原因と改善について

「ランニングで脚が太くなってしまうからランニングは辞めた方がいい。」そんなアドバイスをもらったクライアントさんがいて、話を聞いていると数か月前からランニングを始めたそうです。

ジムのスタッフに走ると脚が太くなるから、脚を細くしたいのであれば走らない方がいいと言われたそうです。

結論から言うと、ランニングをするから脚が太くなるのではなく、脚が太くなるような走り方をしているから脚が太くなるだけです。

どのような走り方をすれば脚の筋肉が太くなってしまうのでしょうか?

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

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ランニングをしても脚は太くならない

ランニングをすると脚が太くなるということは、以前も何度か聞いたことがありますが、これは走り方の問題です。

確かに走り方によっては筋肉がつくこともありますが、必ずしも脚が太くなるのかといえばそうではありません。もし太くなるのであれば、マラソン選手はみなアシダケボディビルダーになっていると思います。

特に黒人選手の脚を見ていると、ふくらはぎも細く、ヒップアップされた状態です。日本の選手はふくらはぎが太い傾向にありますが、これは走り方が影響しています。

どのような走り方をすれば脚に筋肉がつき太くなるのか、逆にどうすれば黒人選手のような細く引き締まった脚を維持できるのでしょうか?

 

ランニングで脚が太くなってしまう原因

ランニングをして脚が太くなってしまったと感じる部位は主に、太ももの前(大腿四頭筋)とふくらはぎ(腓腹筋・ヒラメ筋)だと思います。

クライアントさんの走っているときのイメージをお聞きすると、

  • 地面を強く蹴る

というイメージがあるそうで、走った後は太ももの前側とふくらはぎがパンパンに張るそうです。

このような言葉から走り方が想像できますが、みなさんもこのような走り方になっていないでしょうか?

地面を突くような着地をすると太ももの前側が太くなる

先日野球選手への指導で走り方を教えましたが、つま先で走る方が速く走れるとテレビで聞いてそれを実践していました。

着地をするタイミングで、クッ、クッっとブレーキがかかるように一瞬止まるような走り方をしており、この選手はたまに膝が痛くなるそうです。

このようにつま先で地面を突くような走り方をしていると、太もも前側に強いストレスを受け、太ももの前側の筋肉が肥大する可能性があります。

つま先着地

クライアントさんの場合、ジムでトレッドミルと言われるランニングマシンで走っているそうで、走っていると少し怖さがあるためそうっと着地するような形となるそうです。

結果そのような走り方が太ももの前側に刺激を加え、太ももの前側が張ってきてしまった原因と考えることができます。

歩き方も同じことが言えます。

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地面を強く蹴るとふくらはぎの筋肉が過度に使われる

ランニングの話になると高い確率で出てくるのが、この地面を蹴るという話題です。

地面を蹴ると脚は後方で跳ね上がり、その反動で身体は前に傾いてしまいます。

作用反作用

そうするとつま先で地面を突くような着地となってしまいます。

着地

ふくらはぎの筋肉は遅筋(赤筋)であるため、肥大しにくいと言われていますが、走るたびに地面を蹴るとふくらはぎの筋肉は肥大してきます。

これが日本人ランナーと黒人ランナーの身体の違いになり、根本的に走るときの身体の使い方が異なっています。

このように着地の問題や足首を過度に使ってしまうような走り方をしていてば、ランニングをして脚が太くなってしまう可能性があります。

ではどのような走り方をすればいいのでしょうか?

 

ランニングをしても脚が太くならない走り方

基本的にはシンプルに考えます。速く走るためにはつま先で走る?イメージと実際の動きの違いについてでもお伝えしていますが、脚は重心を前に運ぶことで自然に前に出てきます。

重心を前に運ぶ

自然に前に出てくるということは、緊張もしていませんので、スムーズな動きができます。

重心をどこに設定するのかというのは、このペットボトルで話をするとわかりやすいと思います。

重心の位置

このペットボトルを倒したいと思えば、どこを追えば一番楽に倒すことができるでしょうか?答えは一番上です。

一番上ということは、位置エネルギーが高くなっていますが、位置エネルギーが高くなると運動エネルギーは小さくてなります。ということは、重心の位置が高くなればなるほど身体を動かすことが楽になるということです。

このように考えると重心の位置は頭や胸あたりがいいと思いますが、これは個人のフィーリングで決定します。

重心位置を高くし、その重心を前に運ぼうとすると自然と脚も前に出てきます。そのとき足首の力が抜けていればフラットに着地をし、べた足で着地をします。

このようにべた足で着地をするときに刺激を受けるのがヒップになり、このような走り方をするとヒップに刺激を受け、結果ヒップアップされるということです。

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まとめ

いかがでしたでしょうか。ランニングをするから脚が太くなるというのは、ヒールを履くとふくらはぎの筋肉が太くなるというようなことと同じです。

○○=太くなる、というのではなく、そこには具体的なやり方、動き方があり、その動作のまずさが結果として筋肉をつけてしまっているということになります。

ランニングをしてはいけない、ヒールを履いてはいけない、そういうことではなく、それぞれ動作を見直すことで理想の脚に近づけることができるはずです。

こういう考えをもって日頃から過ごすと、社会にたくさんある情報に振り回されることなく、見極めもしやすくなるのかなと思います。

最後に改めて、ランニングをするから脚が太くなるのではなく、太くなるような走り方をしているから脚が太くなる、ということをお伝えして、今日はここまでにしたいと思います。

今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

速く走るためにはつま先で走る?イメージと実際の動きの違いについて

トレーニング

先日、ラグビー兵庫選抜の選手と全国大会に出場する中学野球選手にそれぞれ走り方について指導することがありましたが、偶然にも2人とも同じことを言っていました。

「速く走るためにはつま先で走る」

僕自身も小学生の頃、何かで知ってつま先で走っていましたが、実際はそのような走り方をすると遅くなってしまいます。2人ともつま先で着地することでブレーキがかかり、そこで動きが止まっていました。

速く走るためにはどうすればいいのでしょうか?今日はそのあたりをお伝えしていきたいと思います。

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速く走るためには遺伝も関係する

速く走るためにはどうすればいいのでしょうか?まず知っておくことは、誰しもがウサイン・ボルトのような選手になることはできないということです。

これを理解するためには、筋肉のタイプを知る必要があります。

筋肉には速筋と言われる白い筋肉と、遅筋と言われる赤い筋肉、主に2種類の筋肉があります。これらの筋肉は一般の方の場合、5:5、もしくは6:4のようなバランスで存在しています。

ウサイン・ボルトのような選手になるためには、筋肉のタイプが主に速筋で、9:1ぐらいの割合であれば世界で戦えるような走りをする可能性は上がります。

筋肉のタイプは遺伝的要素であり、親から受け継いだものが大きく影響するそうで、生まれた後はこの筋肉のタイプを遅筋から速筋に変えることができません。

ということは、速く走るための条件として生まれ持った素質が一部では関係するということになります。では、素質がない人はどうあがいても速く走ることができないのでしょうか?

答えはNOです。現状よりも速く走ることはできます。ではどうすれば速く走ることができるのでしょうか?

 

速く走るためには“スピード”を理解する

速く走るためにはスピードを向上すれば速く走ることができますが、スピードというのはどういうものを指すのでしょうか。

■スピードとは?

速さとスピードの2つに分けることができます。

  • 速さ・・・変えられない=筋肉のタイプ
  • スピード・・・変えられる=動作、動き

これらのことを指しており、これらについて以下で詳しくお伝えしていきます。

先ほども筋肉のタイプについてはお伝えしましたが、これは遺伝で決定される要素であり、生まれた後は変えることができないものになります。

そのため【速さ】という要素は筋肉のタイプを指していると考えられるため、変えられないものになります。

もうひとつの【スピード】というのは、これは動作や動きを指し、硬い動きよりもスムーズな動きをする方が動作効率も良く、スピードも上がるということを指しています。

動作や動きは後天的に変えることができ、速く走るためには筋力の問題なども関連しますが、動きの効率を上げることでより速く走ることができます。

そのため、今回冒頭でお伝えした2人の選手についてはこの動作をスムーズにするために指導を行っていきました。

 

速く走るためのポイント

それぞれの選手を指導する際は、改善ポイントは当然違っているため言葉がけ、指導の仕方も変わっていますが、速く走るためのポイントとしては、このようなことがあげられます。

  • 立ち方から見直す
  • 重心を運ぶ
  • 膝を上げるのではなく、前に出す
  • つま先で地面を蹴るのではなく、踵で真下に踏み込むイメージ
  • 腕は前方への推進力を得るために活用する

主にこのようなポイントを指導し、走り方を改善しましたが、2人とも以前まで息が上がって走る=しんどい、というイメージがあったそうですが楽に走れ、気づいたら長い距離を走っていることを実感できていました。

速く走りたいと思っている選手や一般の方もいると思いますので、少しでも参考になればと思い、実際に指導するときに僕が考えていることをご紹介していきたいと思います。

体重を支える位置をつま先から踵に変える

着地

2人に共通することはつま先重心であり、足の前側で体重を支えているという点です。

これを脛骨の真下で体重を支持するように指導し、べた足感覚を掴めるようにしていきました。2人とも感覚が非常に良く、こちらが伝えていることをすぐに理解でき、つま先重心と踵重心の違い、べた足感覚をすぐに掴めていました。

ここで使っている踵いうのは、足の一番後方のアキレス腱の下の部分ではなく、踝の真下あたりのことを踵と表現するということを整理してもらい、共通の認識を持っていきました。

体重支持ポイント

立った状態で体重を支えるポイントを掴めたところで、次は軽くしゃがんでみたり、ジャンプをして着地をしてみたりする中で、この点で体重を支持できるように着地ポイントを変えていきました。

このポイントは後に真下に踏み込むときに使ったり、重心を移動させると自然とこのポイントで着地をするようになります。まずは、この踵で体重を支持できるようにしていきました。

重心を移動させることで動く

選手に走るイメージを聞いたところ、「脚を前に・・・」ということを言っていました。皆さんの中にも歩く・走る=脚を前に出す。というようなイメージを持っている方は多いと思います。

人間の身体はよくできていて、自分の重心を前に運べば“勝手に”脚が前に出てきます。これはこのような場面で確認することができると思います。

以前もお伝えしたことがありますが、その場で立った状態で重心を前に倒していくと・・・

重心移動

重心移動

重心移動

パッっと防衛反応で脚が勝手に出てきます。このとき理解したいのは、ただ脚を前に出すということではなく、“緊張せずに”脚が勝手に前に出てくるということです。

スムーズな動作をするためには、リラックスすることが必要で、緊張してしまうと動きは硬くなります。スピードを上げるためには、スムーズな動きが大事だと先ほどお伝えしました。

脚を前に出すということを“意識”してしまうと、そこには緊張が生まれ、動きが硬くなります。

この違いを理解していただくことで、見た目は同じように見えても動作の効率には差が生まれます。

脚を前に出すのではなく、重心を進みたい方向に運ぶことで自然と脚が出てきますので、この反応を利用するため、身体で理解できるように上記の画像のような動きを繰り返し行っていきました。

動き方はシンプルで頭を前に倒すようなイメージで、全身の無駄な力を抜き、リラックスする。すると手足はブランブラン状態で走り出します。

足首もリラックスすることで自然とフラットに着地することができ、重心を運ぶことで進むということを理解してもらうことができました。

膝は高く上げず前に出す

2人の選手に「走るときは膝を高く上げる?」と聞くと、「上げます。」と答えが返ってきました。

走るときは前に進むわけですが、膝を高く上げることでどのような意味があるのでしょうか?膝を高く上げてしまうと股関節の動きが硬くなり、ピッチが下がります。

膝を高く上げる

速く走るためには、ピッチ×ストライドの関係ですので、ピッチが下がるということは走るのが遅くなってしまいます。

ここで指導したことは、膝で前にある何かを蹴るようなイメージで前に出し、リラックスして動かせる高さを理解できるようにその場で足踏みを繰り返していきました。

膝を前に出す

リラックスしてその場足踏みができてきたら、そのリズムを駆け足に変えていきます。膝の出し方が理解できたら、駆け足の状態から少し重心を前に運んだり、その場で止めたり、重心移動をすることで進むことを再度理解させていきました。

膝を前に出すと、それに引っ張られるようにズン、ズン、ズンと進むような感覚が得られたそうです。

選手はこの時点でつま先で地面を押すよりも、重心を前に運んだ方が楽に進むし、動きも気持ちよく動けるということを言っていました。

つま先で地面を蹴らず、踵で真下に踏み込む

真下に踏み込む

つま先で地面を蹴るとどのようなことが起こっているのでしょうか?つま先立ちをするとわかりますが、どのような力が働くのかと言えば、人間の身体の構造上、回転運動が起こります。

つまり地面に激突するような方向に動いてしまいます。また地面を蹴ることで、脚は後方で上方に跳ね上がり、その作用・反作用で身体は前に倒れてしまいます。

作用反作用

このように動くと地面を突くような着地となってしまい、そこでブレーキがかかってしまいます。これがつま先で地面を蹴ることが勧められない理由になります。

このようなロスをより少なくするためには、踵で地面を真下に踏み込むようなイメージで走ることです。

真下に踏み込むことで地面からの反力が得られ、その反力の方向は真上ではなく斜め前方に跳ね返ります。そのため真下に踏み込むイメージで走ることで、ストライドが伸び、結果的に速く走れることができるということです。

ただ、重要なことは踏み込み方です。選手もそうでしたが、踏み込むイメージがグッ!グッ!押すようなイメージになってしまうと接地時間が長くなり、そこには緊張が生まれロスになります。

実際に走っているときは真下に踏み込むのではなく、“踏み込むような感覚”で走るぐらいだと緊張もせず、接地時間も長くなりません。

それぐらいで走れればうまく反力も活用できるため、ストライドも出てきます。結果的に速く走ることにつなげることができます。

選手たちはこの感覚を掴んでもらうために、その場での駆け足やスキップを行っていきました。

腕は後方に引かず、前に出す

腕の振り方

長距離なのか短距離なのかによって腕の使い方は変わりますが、短距離の場合腕は前方への推進力を得るための道具として活用します。

選手達が言ったのは、「腕は後方に引く」イメージがあったそうで、使い方の違いを実践をしてもらうとその感覚の違いに驚いていました。

腕は引かず、基本的には前に振り出して使います。

腕の振り方

ここまで挙げた身体の使い方だけではありませんが、選手本人の感覚を確かめながら動きを修正していきました。

最初はそれぞれの選手から一生懸命さを感じていましたが、無駄な力も抜け、リラックスして走ることができたため息の上がり方もなだらかで、全体の動きからは柔らかさを感じることができました。

ただ、まだ修正箇所もあるので、今後はそのあたりを課題として伝えていきたいと思います。

 

まとめ

速く走るためには、遺伝的な要素も一部関与しますが、それ以外にも速く走るためのポイントはいくつもあります。

改めてお伝えしたいことは、筋力を向上させることである程度速く走ることにはつながりますが、それが絶対の方法ではありません。

動作や動きのスムーズさが出てくればそれだけでも変わります。よく言われている、膝を高く上げる、地面を蹴る、腕を引く。これらの動きを見直すことがより速く走るためのポイントになるのではないでしょうか。

今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ランニングフォームを改善すればタイムが短縮する

短距離であれ、マラソンであれ、タイムを短縮するためにはスムーズな動きや重心をゴールに最短で運ぶことでタイムを縮めることができます。

その他にも考えることはありますが、現場であるクライアントさんに走り方の指導をしましたが、身体のブレを修正し、スムーズに走れるように走り方のアドバイスをすると1kmのタイムが14秒短縮し、走り方を見ていても気持ちよく走り始めたという感覚があります。

まだ改善点はありますが、結果も徐々に良くなってきています。今日は走るということについてまとめていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

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これまでの課題について

クライアントさんとも話をしながら、互いに課題点について理解しながらセッションを進めていますが、以下のような課題がありました。

  • 走っている時に全体の動きのスムーズさを感じない
  • 身体が左右にブレてしまう感覚がある
  • 腕の振りが一定ではなくバラバラに感じる
  • 脚の動きが地面を沿うような動きに見える

実際に走っている時の感覚や動画を撮り、それを見て客観的に自分の走り方を見て、主観と客観で上記のような課題が浮かんできました。

これらの課題に対して、実際に走りながら改善を行ったり、その場でのエクササイズを行ったりとしていきましたが、走り方もよくなってきていますし、タイムも短縮されてきていますので、順調には進んでいます。

ここからは走り方やこれらの改善について考え方をまとめていきたいと思います。

 

スムーズな動きをするためには部分に意識を向けすぎないこと

この方は以前から走り方については、指導を受けていたそうですが、タイムが向上せず停滞したために来られました。

こういう経緯もありますが、来られた当初の走り方は、地面を這うような重心が低く、地面をつま先で押すようなイメージで走られていたそうです。

実際にその走りを見ていると、平行移動しているようにしか見えず、弾むという感覚も一切ありませんでした。というよりも、弾む感覚が出てはいけないと言われており、このような走り方になっていました。

スムーズな動きはリラックスすること

よく指導をして言われることですが、リラックス=いけないこと、と思っている方が多く、どこかサボっている、手を抜いている感覚になってしまうそうで、リラックスして走ったり、何かの動作をさせると、「これで大丈夫?」と言われることがあります。

面白いもので、このリラックスした状態のときは気持ちよく、スムーズに動けますが、この感覚はダメだと思い込んでいる方が非常に多い。

逆に頑張っていると実感できることが良いという印象があるそうで、そのような状態は筋肉が緊張してしまっており、スムーズな動作をすることは難しくなります。

この辺りを整理する必要がありますが、リラックスすることはいけないことではなく、むしろスピードを向上させるためにはリラックスしてスムーズな動作をすることが重要になります。

走ることにせよ、歩く、バットを振る、ボールを投げる、さまざまな動作の基本はスムーズな動作であり、スムーズな動作をするためには無駄な力を向き、リラックスすることです。

この方についてもまず、この説明をし理解していただきました。

ランニング

動きの一部分を強調するとそこに緊張が生まれる

歩き方や走り方について、よく言われることですが、踵から着地をして、つま先で地面を蹴るように離れるという足の動きをイメージされるそうですが、こういう動きは意識しなくても自然になります。

無意識に行うことと、意識して行うことの何が違うのか?

それはその部分に意識を向けて行うことで緊張が生まれ、実際に踵から着地してつま先で地面を蹴るというイメージを持って走ったり歩いている方は、足首周辺が緊張しています。継続的にそのような動作を行ってしまうと足首は硬くなります。

当然動作中はその部分が強調されるような動きとなるため、スムーズな動きができず引っ掛かりがあるような動きとなります。

どうしても、静止画を見て動作を真似るとこのようなことが起こりますが、スムーズな動作をするためには一部分を強調するような動きはしない方が動きとしては良くなります。

強調

坂道を利用して走る

このクライアントさんの場合、ご本人の中でもスムーズな動きというものを感じたことがなかったそうで、そのためまずはそれを理解していただく必要がありました。

脚をどうこう動かす意識を持つのではなく、重心を前に運ぶだけを考えるように伝え、足から意識を外して走っていただくと楽に走れるようなったのですが、それを坂道を利用して走っていただきました。

ボールが坂道を転がるように、人間もリラックスできていれば次第に加速し、歩幅も自然と広がっていきます。動きも小さかったため、このような動きをしていただくことはスムーズに大きく動けるようになります。

この感覚をインプットするため、坂道で何度も走り、そこからフラットな地面のところで走ると、坂道を走ったときのような勝手に前に進むような感覚や、地面を蹴らなくても進むということが理解でき、何よりも楽に進むようになっていったそうです。

坂道

 

身体が左右にブレるように走る

走っているときの左右のブレについても、ご本人は自覚されていましたが、立ち方を見ても身体は歪み自然な状態ではありませんでした。

ですので、まず調整や体操などを行い歪みを直し、立ち方から見直していきました。鏡を見て左右差や上下の差を見てご自身で歪みのない状態を認識していただき、そこから歩き、そして走るという手順を踏んでいきました。

立っている状態で歪んでいれば、歪んだ状態で走るためその影響は走りにも出てきます。

またこの方の場合、頭の位置が左右に動くという癖もあり、それを改善するためにこの方の場合は、走っていく方向に何か目印を見つけ、その目印に対して鼻をまっすぐに運ぶようなイメージで走っていただきました。

このような走り方を何度も繰り返していくと左右へのブレが小さくなっていき、少し残ってはいるものの左右へのブレが小さくなり、重心をまっすぐ運んでいるような感覚がわかってきたそうです。

ブレる

 

腕の振りがバラバラでその影響で身体もブレることがある

腕の使い方が独特で、マラソンをされている方ですので、基本的には腕はリズム取りの役割になりますが、走っているときの腕の振りが一定ではなく、ときに肘を引いたり、前に腕を出したり、左右にぶれたりとさまざまです。

肘を引くような動きになったときに身体が捻じれ、その影響で先ほどの身体のブレも感じるのかとわかりました。ご本人に聞くと特に意識はないそうですが、これまでに腕の使い方についてはさまざまなアドバイスを貰っているそうです。

  • 肘を引く
  • 腕は左右に振る
  • 前に出す

これらをまとめたものが走りの中で出ているようなイメージでしたが、改めて腕の使い方について説明をし、リラックスして触れる場所を探していただき、そこでリズムを取るような走り方に変えていきました。

走っているときは、腕の使い方はどうこう考えず、リラックスしていればいいですよ伝えると、走り終わった後に、「以前まで走っているとき無意識かどうかはわかりませんが、腕を操作していたと思います。」と言われ、先ほどの腕の動きはここから来たものだとわかりました。

ここから改めて腕の使い方について整理をし、走っているときは気持ちよく走る、そして腕に過度に意識を向けず、振りやすい場所で腕を振るということをお伝えすると、左右への動きも軽減され、走り方全体がよくなってきました。

腕を落とす

 

気になった脚の動き

もうひとつ気になった動きは、脚の動きで、後方に流れた脚は、膝が曲がらずヒップの方へ上がってこず、地面に近いところを通って前に出されるような走り方に見えました。

つま先で地面を蹴るような意識で走っていると、後方に流れた脚は跳ね上がり、高く上がってしまうためピッチが遅くなります。

トップ選手の走り方を見ていると、黒人選手は特にわかりますが、走っている時に踵がヒップを蹴るようなところまで足がきますが、日本人はそういう走りをしている選手がほとんどいません。

地面を蹴ってしまうとピッチが遅くなり、スムーズな動作ができると自然に足はヒップの方へ上がってきますが、このような動きがみられなかったため、その場でのエクササイズを行ってから再度走っていきました。

これは以前指導されたことの影響だと思いますが、弾む感覚があることは良くないと言われており、重心を低くして走っているため、脚もこのように地面を這うような動きになったのだと思います。

その場でヒップキックを行う

この動きの改善については、その場でヒップキックを行い、踵でお尻を蹴るような動きを繰り返し行っていきました。

大腿四頭筋が硬いこともあり、最初は踵がヒップに当たらなかったですが、徐々にヒップを蹴れるようになっていきました。

このようなエクササイズを行った後に、再度走っていきましたが脚は先ほどよりも上がってきており、ストライドも出てきたように感じ、ご本人も走りやすくなったと感じられていました。

長距離の場合、踏み込むことを意識したり、細かいところに意識を向けてしまうと、何千回と着地を繰り返す中で脚が疲労してきます。

余計なことは考えずシンプルに考えて走る方がいいですが、今回の脚の動きはこのようなヒップキックを行うことで改善が見れていきました。

 

マラソンタイムの向上に必要なこと

この方のマラソンタイムを計算すると、1km、5km、10kmと比例しており、そのためマラソンタイムを短縮するためには、これらの短い距離でのタイムを短縮する必要があります。

以前からこのテーマに取り組んでいるわけですが、近くの公園で計測すると1km3分10秒だったのが2分56秒になり、14秒ほど短縮されていました。

取り組みとしては成果を感じるものであり、順調にタイムを短縮することができていますが、これからの課題はご本人の感覚の中でもっとリラックスして走れているという感覚を出すことと、少し主観と客観で動作のズレが出ていますので、そこを揃えていくことが必要だと感じます。

お仕事の関係で時間に制限がある中でタイムを短縮されているので、素晴らしいことですし、これからも継続に記録を短縮できるようにセッションを行っていきたいと思います。

 

最後に

毎日のようにセッションの振り返りをしていたり、準備をしていると、自分が行ったこと、指導した結果がクライアントさんには反映されていると感じます。

当然なことではありますが、過去に魚住先生から習ったことをひとつひとつ見返して再度やり方を見直すと結果も異なってきます。それだけ自分の手元は変わりやすいものだと感じます。

毎日確認の連続で、チェックばかりですが、わかっているつもり、できているつもりの錯覚はクライアントさんにも迷惑がかかりますし、結果が出ていないのに出ていると勘違いしてしまうことにもつながります。

技術の質や知識の正確さを確認し、ブログでも勘違い、伝え間違いがもろに出てしまっていますが、少しでもいいものを提供できるように自分を改めて続けないといけないなと感じます。

少しでもセッションの時間で変化を感じていただき、自分自身も成長し続けられたらと思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

走るときの手は握る?開く?手のひらと動きの関係について

最近は運動会を5月に行う学校も増えており、息子の保育園でも5月に運動会があるそうです。

運動かい間近になると走る練習をしたりする子供もいるかもしれませんし、スポーツをされている方は毎日のように走っていると思います。

走るときに手のひらは握る方がいいのか、それとも開く方がいいのか。今日はこの手のひらと動きの関係についてお伝えしていきたいと思います。

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手のひらと関係する肩の動き

走るときに手のひらはどのようにすればいいのでしょうか。この答えは、実際にしてみるとよくわかります。

  • 手のひらを握って腕を振ってみる
  • 手のひらを開いて腕を振ってみる

いかがでしたでしょうか。

握りこぶしを作った状態で腕を振ってみると、肩周りが緊張してしまい腕を速く振ることができないことを感じれると思います。

手のひらを開放し、開いた状態で腕を振ってみると先ほどよりも腕が振りやすいと思います。

この2つを比べるとどちらがいいのかといえば答えは後者です。ですが、だからと言って手のひらを開く意識を持たなければいけないのかといえばそうではありません。

自分が一番楽に感じるところでよく、そこに過度に意識を向けない方が結果的には一番スムーズに腕を振ることができます。

感覚的には、手のひらをどうこうするよりも半開きのような状態で腕を振ることで肩周りの緊張も抜け、楽に腕を振ることができるようになります。この一番リラックスできる状態を自分自身で掴むことが重要となります。

 

世界のトップ選手で握りこぶしを作って走っている選手はいない

世界陸上に出場している短距離選手を見ていると、どの選手も握りこぶしを作っている選手はいません。

手のひらが開き、その手を前に振り出すように動き、腕で前方への推進力を得ています。

速く走るためには、ストライドとピッチの関係を理解することが重要ですが、それは詳しくこちらに書いていますので、参考にしていただければと思います。 

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/running-foam”]

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/run-tsumasaki”]

世界のトップ選手の動きを見るだけでもさまざまなヒントを得ることができ、それを活かすことができれば今よりも高いパフォーマンスにつなげることができるようになります。

 

まとめ

今日は、ポイント的な内容でしたが現場でもよく質問されることです。

手のひらの動きは、手だけの問題に捉えられがちですが実は肩の動きにも影響し、肩の動きは体幹や全身の動きに影響を与えます。

そのため一見小さなことのように感じますが、手の動きを理解しておくことで今よりも速く走れるヒントになる可能性があります。

ぜひ日頃の走りの中で一度確かめ実践していただければと思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

マラソンタイムを短縮する|結果から見えた課題と成果について

自分が行った指導の結果が反映され、その結果から何が課題なのか、クライアントさんと自分の振り返りを行っているとたくさんの気づきがあります。

マラソンのタイムを上げるにはどうすればいいのか。そんな目的をもって通われているクライアントさんは5ヶ月ほどセッションを受けられていますが、約8分タイムを短縮され、一定の成果を感じていただいてますが、目標とするタイムでゴールするためにはまだ課題が残っています。

今日はそんな指導しながら感じたマラソンのタイムを短縮できた成果と課題についてまとめていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

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[clink url=”http://izuru-style.co.jp/running-foam”]

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/stride”]

 

行った指導以上の成果は絶対に得られない

毎日痛感しますが、自分が行った指導以上の成果は絶対に得られないと思います。結果に嘘はないということですね。

ブログってすごくいいツールだし、見栄えを良くするにはうってつけです。でも、本質って指導でしかわからないと思いますし、本当にトレーナーの質は指導を受けてみないとわからない。それはこうやってブログを書いている自分だからよくわかります。

ブログってやっぱり飾れるし、うまく指導してますよって伝えやすい。クライアントさんはここから感じ取れることで判断していると思いますし、すべては指導だと思います。

クライアントさんの結果から自分の課題はよくわかりますし、自分が不適切な指導を行ってしまったときにはそれもまた結果に嘘はなく、タイムが落ちるということがありました。

反省交じりの内容ですが、改める気持ちも込めて今日はブログをスタートしていきたいと思います。

 

マラソンは地面を踏み込まず、リラックスして走ること

以前、現場でも指導してしまっていたのですが・・・

この方にお伝えしたのは、踵で地面を踏み込むこと。踵で地面を踏み込み、弾む感覚を出していきます。そしてその感覚が出始め、理解し慣れてくると意識をヒップに向け、ヒップの付け根に刺激を受けていることを理解させていきました。

今まで太ももが張って疲れていたそうですが、走るとヒップに刺激がくることが初めて理解でき、弾む感覚が出てきました。こういったことを続けていると、弾んでいる感覚なのに気づいたらかなりの距離を走っていることにも気がついたそうです。

これは弾むことでストライドが伸びたことによって得られたことだと思います。

地面を蹴ることで前に進むのではなく、弾むことでストライドが伸び、楽に走っても速く走れることが徐々に理解していただけました。

このときの理解では、クライアントさんが弾んでいるように見えず、ご本人も弾んでいるというイメージではなく、できるだけ弾まないようにしているということをおっしゃっていたため、走り方を変えていきました。

この “弾む感覚” を出すために、 “踵で地面を踏み込む” ということを行ってしまったのですが、真下に地面を踏み込むことで脚の回転がスムーズになり、弾む感覚が出ると思って指導を行いました。

実際に弾む感覚は出たので、目的通りで一見よかったように思いますが、マラソンというのは42.195kmを走り、何千歩、何万歩と繰り返します。

そんな回数だけ地面を踏み込むように走ってしまうと、脚は緊張しどこかで疲労困憊になってしまいます。これは、短距離のときにはいいのですが、長距離には適しません。このあたりが整理できていなかったため、実際にマラソンに出場されたとき、30km付近で脚が動かなくなってしまっていました。

マラソン

大切なことは、弾むのではなく、弾む感覚を出すことです。僕の場合、実際に弾んでいるのを確認できなかったためにもっと弾ませようとしてしまいました。これはマラソンの場合不適切で、弾んでいる感覚が出ればいいのです。

目的によって走り方は変わる

明確に理解ができていなかったため、この件について個人教授を通じて魚住先生からご指摘をいただきました。その後、すぐにクライアントさんに伝え、そこから地面を踏み込む意識を外して走っていただくと、以前に比べて走りにスムーズさが出てきて、タイムも順調に上がってきています。

ご本人の感想も楽に走ることができるようになってきたかな、というものでした。

目的によって走り方は変える必要があり、これはランナーだけではなく一般の方にも言えることだと思いますし、いろんな場面で使えることだと思います。

もしウォーキングで消費エネルギーを増やしたいのであれば、楽に歩かず腕を大きく振ってもいいと思います。楽=エネルギー消費が小さい、目的の消費エネルギーを増やすことができません。そういう目的の場合は、大きく動けばいいと思います。

マラソン

短距離の場合であれば、腕の使い方は前方への推進力を得るものとして活用しますが、マラソンの場合、それだけ腕を使ってしまえば肩周りが緊張し疲労します。無駄な消費エネルギーを増やすことになり、後半ばててしまう可能性が高くなります。

マラソンの場合、リラックスして楽に腕が振れる位置であればあまり、こうしなければいけないという固定的な指導はしない方がリラックスできます。このように目的によって動きを変えることで、より成果を感じることができるようになると思います。

マラソン

 

筋肉に弾力が出てきたことで弾む感覚も以前より出てきている

この方の場合、全身の筋肉が硬くO脚気味でした。そのため足首が硬く、リラックスしている感覚や弾んでいる感覚がなかなか出てこない時がありました。

足首は固めてしまった状態で走るという考え方もできます。

ただ、この方の場合筋力の弾力性もなかったためしゃがみ込みのエクササイズで筋肉の弾力を出していきました。1回のセッションではクライアントさんの体感として得られませんでしたが、続けて行っていくと徐々にその感覚が理解できつつあるそうです。

しゃがみ込みのエクササイズについて

そのエクササイズというのは、このような回転する板のようなものを用意し、股関節の外旋と同時にある程度しゃがみ込みます。

マラソン

マラソン マラソン

この方の場合は、硬いのでいきなりしゃがみ込みはできず、浅めのしゃがみ込みを何度も繰り返し、徐々に深くしゃがめるようになっていきました。

しゃがみ込んだ状態で小さくバウンドをする

浅めのしゃがみ込みを続けていき、しゃがみ込んだ姿勢がとれなかったクライアントさんも、しゃがみ込めるようになり、そこからはしゃがみ込んだ状態で小さくバウンドをし、筋肉に刺激を与えていきました。

マラソン

このような刺激を与えることで、硬かった筋肉も適度な弾力が出てきて柔らかさが出てきました。このようなエクササイズをしてから走りに行くと、弾む感覚が出てきて、以前よりも気持ちよく走れたそうです。

弾むという見た目と感覚の違いを理解することが重要

ここでは弾む感覚についてお伝えしていますが、先ほども触れましたがこの言葉と実際に弾んだ動作のイメージが少し違っており、見た目としてはポンポンポンっと上下に大きく弾むことを求めるのではなく、感覚として上下に弾む感覚が持てればいいということです。

僕自身は見た目として弾みを求めすぎたあまり、無駄な上下動が大きくなってしまいそこで緊張をつくってしまっていたということも経験しました。

あくまでもここでいう弾む感覚というのは、見た目ではなく走っている方の感覚が弾むように指導することが重要だということです。この辺の理解を間違ってしまうとマラソンのタイムを上げるどころか無駄に疲労してしまい、結果的にはマイナスになってしまう可能性があります。

 

ここからマラソンのタイムを短縮するためには1kmなどのラップを向上させること

前回の個人教授で、この方の目標を達成するためにどのような指導が必要になるのかをご相談し、いただいたアドバイスは1km、5kmなどのラップを向上させる必要があるということでした。

5km、10km、15km・・・と30km付近までは今のラップを考えると問題がなく、走り方に問題があるというよりも、このぐらいのタイムになるということでした。

30km付近からタイムが落ちてきており、このあたりに問題があると考えていましたが、クライアントさんのタイムからするとこのぐらいの落ちは想定できるそうで、走り方の問題ではなく、このぐらいだというアドバイスをいただきました。

となると、今後目標とするマラソンのタイム、2時間台で走るためには1kmや5kmのタイムを短縮することが必要となり、これらのタイムが短縮すれば全体のタイムが短縮できるということがわかりました。

スタート~5kmにかけてのタイムが遅い

ただこの方の場合、マラソンのタイムを縮めるためには1km、5kmなどのラップタイムを短縮することが必要になりますが、スタート~5kmまでのタイムが遅いことがわかりました。マラソンはスタート地点で混雑するため、最初の5kmは遅くなりがちですが、最高タイムから換算すると5kmまでのタイムがかかりすぎています。

1kmなどのラップタイムを向上させることも必要になりますが、なぜ5kmまでのタイムが遅くなっているのか、その原因をみつけ、それを改善することでさらにタイムを短縮することができそうです。

これは今後の課題でもありますし、2kmでは、3kmではどうなのかを今後見ていきたいと思います。

リラックスして走る感覚をもう少し掴んでもらう

ラップタイムを短縮するためには、スムーズに走れる感覚をもう少し感じていただきたいですし、それを感じていただくために坂道を使って練習をしていきたいと思います。

現在は走りやすい公園がありますが、そこは少し小さく1周200m程度で、走っているときに真っすぐではなく、周っているように走っているためあまりスムーズ感がないようです。

このあたりももう少しご指導し、80%や85%の強度で走るというのはどういう感覚なのか、おそらくリラックスして走っているためご本人の中ではまだ「タイムが遅くなるのでは?」と思っているところもあると思いますので、このあたりの感覚とタイムを合わせてお伝えしていき、タイムを見ていきたいと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今日の内容は、少しでも参考に・・・というよりも、自分自身の頭の中を整理するような感覚で書いていますので、いつもより内容が薄く感じたかもしれません。

マラソンのタイムを短縮するために何が必要なのか、どういう走り方をすればいいのか、腕や脚の使い方などご指導を通じて多くの気づきや、得られた成果から感じることがあります。

クライアントさんの目標である2時間台をできるだけ早い段階で出せるようにこれからもサポートしていきたいと思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ストレッチ効果!?マラソン選手が知っておかないと損をする可能性がある柔軟性について

フィットネスクラブに通う人の中で最も知っているテクニックが“ストレッチ”ではないでしょうか?読者の中でストレッチを知らないという方はどれほどいるでしょうか?おそらくほとんどの人が知っていると思います。それほどポピュラーなストレッチですが、ストレッチの効果といえば筋肉を緩めるということが一般的に知られています。

筋肉を緩める目的で行うテクニックはさまざまなありますが、ストレッチもその中のひとつです。実は、ストレッチによって筋肉を緩め、柔軟性を高めることはメリット、デメリットがあることはご存知でしょうか。

ストレッチによって柔軟性を高めることで、余分なエネルギー消費が高まることがわかっており、見方によればダイエットをされている方はうれしい情報ですが、マラソン選手についてはエネルギーが消費が高まってしまうため、タイムに悪影響が出てしまう可能性あり、この情報を頭に入れておく必要があります。

今日は、このストレッチの効果とマラソン選手との関係についてまとめていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/stretch-gyakukouka”]

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/stretch”]

 

ストレッチの意味とは?

そもそもストレッチとは、どんな意味をもっているのでしょうか?

  • ストレッチ【Stretch】・・・~を伸ばす、~を引っ張る
  • ストレッチング【stretching】・・・~を伸ばし続ける、~を引っ張り続ける

このような意味がありますが、~を、というのは、対象物がどのようなものになるのかで方法が変わってきます。

 

ストレッチの種類

ストレッチというものをイメージしたとき、一般的にはスタティックストレッチングという静的なストレッチングのことを指していることが多いと思います。

スタティックストレッチングとは、あるポージングをとり筋肉を気持ちのいいところで伸ばし続け、ポージングをキープするようなストレッチングのことです。よく言われるのは、筋肉に意識を向けて○○秒伸ばしましょう、というものです。

ストレッチというとこれだけではなく、さまざまな種類があります。

  • ストレッチ
  • ストレッチング
  • スタティックストレッチング(静的)
  • ダイナミックストレッチ(動的)
  • バリスティックストレッチ
  • アクティブストレッチング
  • パッシブストレッチング
  • ペアストレッチング
  • パートナーストレッチング

これらはそれぞれに意味を持ち、方法が異なりますが同じ意味で使われているものもあります。トレーナーとすれば、これらのストレッチをどのように定義するのかを自分なりに理解しておくことは重要です。

今回はこのスタティックストレッチングで得た柔軟性が、マラソン選手にとって非常にタイムに関係のある事実がわかっており、見方を変えればダイエットに臨んでいる方にとってはプラスになる話だと思います。

では早速、ストレッチの効果とマラソン選手との関係について書いていきたいと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/muscle-loose”]

 

ストレッチとエネルギー消費の関係

近年の研究により、柔軟性が高い人ほどエネルギー消費が高くなることがわかったそうです。この事実を基に考えるとマラソン選手や長距離を専門とする選手は、ストレッチの効果で身体を柔らかくしすぎることはリスクを伴うということになります。

エネルギー消費が高くなるということは、余分なエネルギーを消費するため、スタミナを無駄に消耗してしまう可能性があります。すると燃費の悪い車と同じで、すぐにガス欠を起こしてしまう。ということは、タイムが悪くなる可能性があります。

こう見るとストレッチが悪いように思いますが、ダイエットをしているからするとプラスになる話。余分にエネルギーを消費するため、その分だけ脂肪が燃焼されることにもつながり、体重が落ちることが期待できる。

ただここで理解しておきたいことは、ストレッチの効果で結果的にエネルギー消費が高くなると言っても1ヶ月で2・3kgも変化が出るわけではない。

微々たるものですが、ちりも積もれば山となるということわざがあるように、身体が硬いよりも柔らかい方が痩せやすいということになります。

でもこの問題は、マラソン選手にとっては死活問題になりかねません。柔軟性とエネルギー消費の関係を知っておいた方がよさそうです。

 

マラソンの世界は奥が深い

この記事を熱心に見られている方は、ランナーの方が多いと思いますが、実はマラソンの世界は奥が深い。バイオメカニクスの観点からみるとそれがよくわかります。こんな数字を見ていただきたい。

ストライドを1.7mとしたとき・・・

  • 5000m=約2942歩
  • 10000m=約5883歩
  • マラソン=24820歩

という数字が導き出されます。

ストライドが1歩につき1cm伸びれば・・・

  • 5000m=17歩 約30m
  • 10000m=34歩 約60m
  • マラソン=145歩 約250m

の短縮がされできるというデータが出ています。

接地時間がわずか0.01秒速くなることで・・・

  • 5000m=約30秒
  • 10000m=約1分
  • マラソン=約4分

タイムが短縮できるというデータが導き出されています。

いかがでしょうか。1cm、0.01秒の差が積もればこれだけ大きな差を生むことが理解いただけたでしょうか。では、今日の本題を考えてみると、柔軟性が高まりすぎることで、エネルギー消費が増えることでタイムにどこまで影響するでしょうか。

詳細はわかりませんが、おそらくこのようにバイオメカニクスの観点から見えた数字のように、タイムに対する影響は小さくないということは容易に想像ができそうです。

50m5.8秒の現役トレーナーが伝える走り方について

50m5.8秒の現役トレーナーが伝えるストライドを伸ばす”弾む”練習方法

走り方やフォームを変えることでタイム短縮つながる理由

 

足首の柔軟性とマラソンとの関係について

そもそもマラソンや長距離など、走っているときに足首はどのような使われ方をしているのでしょうか。一般的理解はこのようになっているのではないでしょうか。

  • 地面を蹴る、押す
  • つま先で地面をかく

この他にもあると思いますが、地面を蹴るなどの表現は現場でもよく聞く言葉ですが、このような言葉からつま先は地面の方へ動き、このような動きを底屈といいます。

地面を蹴る

このような動きをすると、足首を使っているという表現になりますが、マラソンの強豪国であるケニアなど選手はこのような足首の使い方をしておらず、足首は固定的に使うような選手もいます。

実際に、詳しい年月は忘れてしまいましたが、1990年代前後にある世界陸上で企業が分析装置を使って足首の使い方のデータをとったことがあります。そのデータを解析したところ、日本人は地面を蹴るような足首の使い方をしていましたが、世界のトップ選手の多くは足首を固定的に使っていたそうです。

このことからもわかる通り、速く走るためには足首を使うのではなく、固定的に使うという考え方もできることになります。速く走るためには、そもそも足首の使い方だけが重要ではなく、もっと引いてみる必要があるということも見えてきます。

こういったことから足首の柔軟性が高ければ速く走れるということにはならないということです。ではどうすれば速く走ることができるのでしょうか。

 

重心を運び、いかに無駄のないスムーズな動作ができるか

速く走るためには躍起になって、頑張れ、頑張れ的なことでは到底好タイムは期待できない。ではどうすれば速く走ることができるのか。まず理解しておかなければいけないことは、短距離と長距離では走り方のイメージは異なるということ。

今回は長距離に限定してお話を進めていきたいと思います。

マラソンで自己ベストを記録するためには、まずスムーズな動作ができているのかということが重要になります。短距離以上にフォームが重要なことは、上記の数値からも理解していただけると思います。そのスムーズな動作をするためにはどうすればいいのでしょうか?

重心を前に運ぶ

スムーズな動作をするためには、身体に過度な意識を向けないということが重要です。一見不思議な意見なように感じますが、筋肉に意識を向けるということは、そこを探ることになってしまうため筋肉は緊張し、動きが硬くなります。

42.195kmという長い距離をそれだけの意識を持ってしまうこともタイムをロスする原因になります。

筋肉からは意識を外します。そうすれば緊張せずリラックスして走ることができますが、そこで意識をするのは重心です。自分の重心を高く持ち、その重心を前に前に運ぼうとします。人間はひとつのことしか意識できませんので、重心に意識を向けると自然に動きはスムーズになっていきます。

走り方

脚の使い方について

先ほどもお伝えしたように、脚の使い方としては足首をどうこう使うという意識は持たないようにし、リラックスできているとフラットに着地することができますので、走っているときに力が入っているところがあればそれを抜いていきます。

そうすればフラットに着地することができ、ふくらはぎが過度に疲れたりパンパンに張るということもなくなっていきます。

膝を高く上げるということもよく言われますが、これも先ほどもお伝えした世界大会のときのデータがありますが、膝は高く上げるのではなく、トップ選手の場合、前に出すようなイメージの動き方をしていました。

一般の方であれば脚をどういう風に動かそうと考えてしまうよりも、まずはシンプルに重心を前に運ぼうと意識するだけでおそらく楽に走れ、どんどん前に進む感覚が得られると思います。

前に進むのではなく、勝手に進んでしまうような感覚になりますので、重心を前に前に運んで走っていただきたいと思います。

腕の使い方

短距離の場合は、腕は前方への推進力を得るのに活用しますが、長距離でそのような使い方をしてしまうと肩周りが緊張し、動きが悪くなってしまいます。

長距離の場合、腕はリズム取りの役割をしてくれますので、これも足首同様どのように使うのかというよりも、リラックスして走り、振りやすいところで振ればいいと思います。

手のひらについては、握り込んでしまうと肩の動きが悪くなってしまうため、握り込まずに半開きにして自分が一番リラックスできるような手の開きをします。

このように重心を前に運ぼうとし、筋肉への過度な意識を外すことができれば今以上に楽に走れ、どんどん前に進む感覚が得られるようになります。

 

ストレッチの本質

このまま締めてしまうとストレッチが悪者扱いされそうですが、そもそもスタティックストレッチングの本質は一体どのようなものでしょうか。

冒頭で伝えましたが、対象物を何にするかで方法が異なるということですが、対象物になるものは筋紡錘、腱紡錘(ゴルジ腱器官)、筋膜など、大きく言えば3つです。まだほかにもありますが、今日はここは深入りしません。

一般的に知られているのは、ある特定の筋肉を伸ばし、意識を向けながら数秒、または数十秒伸ばし続けるといったものです。

本当にこれで適切な身体の反応を導きだせるでしょうか。みんながやっているから、先輩に教えられたから、先生に教わったからという理由だけでストレッチをやるのは、時間の無駄かもしれません。

筋肉を緩めるという反応を導き出すために、今日は本質を伝えていきたいと思います。

 

筋紡錘を対象としたストレッチングの考え方

筋紡錘とは?

骨格筋中にある紡錘形の微小な感覚器。筋肉の収縮を感知して手足の位置・運動・重量・抵抗の感覚を起こす。動物の姿勢保持や細かい運動に重要。

引用:http://www.weblio.jp/content/%E7%AD%8B%E7%B4%A1%E9%8C%98(Weblio辞書より)

まず、筋肉をイメージしてみてください。すると大方の人は、筋腹をイメージすると思います。この筋腹の中には、筋肉の伸ばされた長さや速さなどを感知する受容器が備わっています。これが筋紡錘です。

筋肉は腱に移行し、骨に付着しますが、筋肉を引っ張り続けると最終的には筋肉は引きちぎれてしまいます。もしそうなると大変です。でもそうならないために、防衛反応が働くわけです。引きちぎれないために、筋紡錘が刺激を受けると収縮するのは、このためでもあります。

ストレッチングの目的は、筋肉を緩めることですので、この筋紡錘は刺激を受けると筋肉を収縮させるため、筋肉を緩めるには、筋紡錘に刺激を加えないようにすることが必要となります。

そのため、筋紡錘に刺激を与えないようにはこの2つを注意しなければいけません。

  • ゆっくりと伸ばす
  • やさしく伸ばす

要は、筋紡錘に刺激を加えないようにするためにはゆっくり、やさしく筋肉を伸ばすことで目的の筋肉を緩めるという反応を獲得することができます。

 

ストレッチの具体的な実践方法について

では、具体的な例を挙げていきましょう。

調整

ここからは、みなさんが日頃しているストレッチングをイメージしていただき、ポイントをお伝えしていきます。上の図の説明をしているのではないので注意していただきたい。

目的&方法:ハムストリングス(モモ裏の筋肉)を緩める

  1. 座った状態で両脚を伸ばし、前屈をします。(このとき膝を軽く曲げてもOK)
  2. 気持ちがいいと感じるところで約30秒キープします。
  3. このとき、本を読んだり携帯を触ったりし、筋肉から意識を外します。
  4. 深呼吸を繰り返しながら約30秒保持すると筋肉は緩む

痛みの感じないところで30秒前後伸ばすことで、筋紡錘がその長さに適応し、「ああ、もうこの長さは安全だ。」と安心するかのように筋肉を緩めてくれる。これがストレッチングの本質である。

ここには書いていませんが、腱紡錘、筋膜が対象物になった時にはまた方法は異なります。それはまた後日伝えたいと思います。

 

ストレッチの効果について

いかがでしたでしょうか。ストレッチについて理解を深めていただけると嬉しく思いますが、ストレッチとは本来筋肉を緩める目的で行い、その目的を達成するためにさまざまな方法があるということです。

ただ、筋肉を緩めすぎることはパフォーマンスに影響を与えたり、エネルギー消費を増やすということを考えればマラソン選手にとってはマイナスになるということも考えられます。どのような目的をもって行うかによってストレッチというものも、メリット、デメリットはあるということだと思います。

マラソンを終えたあとはなどは、筋肉が緊張し縮まっている状態ですので、そういう後にストレッチングを行うことで筋肉を緩めることができリラックスすることができます。

ダウンとしてストレッチングを活用することは適切だと思いますので、目的によって方法は変えていきたいものですね。

筋肉を緩める方法=ストレッチは意外と難しい!筋肉を緩める方法のご紹介

 

まとめ

では最後に今日のまとめを書いていきたいと思います。

  • ストレッチは、~を伸ばす、~を引っ張るという意味がある。
  • 対象物を何にするかで方法が変わる
  • 筋紡錘は刺激を受けると筋肉を収縮させる
  • ストレッチングで重要なことは、ゆっくり、やさしく筋肉を伸ばすこと
  • 筋肉に意識を向けると緊張するため意識は向けない
  • 30秒たつと筋紡錘は伸ばされた長さに適応し、筋肉を緩める

このような内容でお送りしました。今日の内容が少しでもお役に立つ内容になっていればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。