コンディショニング

ウォーミングアップの目的と頭を柔軟にして考えるメニューについて

一般的にウォーミングアップというと、ランニングをしてストレッチをするというイメージが強いかと思いますが、本来の意味や目的を理解するとそれだけではないということに気づきます。

今行っているメニューはなぜ行っているのでしょうか?

寒いこの季節に座って筋肉を伸ばすことで、どのような効果があるのでしょうか?それはグランドではなく、温かいところではだめなのでしょうか?

そういったことをひとつひとつ紐解いていくと、いかに目的や意味を理解する大切さがわかります。

今日はそんなウォーミングアップについてお伝えしていきたいと思います。今回はただお伝えするというよりも、トレーナーとしてどのように考えメニューを作成しているのかも含めて、お伝えしていきたいと思います。

パートナーストレッチングを行う上で知っておきたい10のこと

ストレッチとは?整理をしておきたい基礎と実践について

 

ウォーミングアップについて

ここではまず、ウォーミングアップということについて考えていきたいと思います。

ウォーミングアップという言葉の意味とは?

そもそもウォーミングアップというのは、どういう意味なのでしょうか?

■ウォーミングアップとは?

ウォーミングアップとは、warm,up という言葉からなっていますが、

  • warm・・・暖める
  • up・・・上げる

という意味があり、身体を暖める、体温を上げるというあります。

  1. スポーツで、軽い準備運動。
  2. 転じて、物事を本格的に始める前にする軽いならし。

コトバンクより引用:ウォーミングアップ

ウォーミングアップの目的とは?

ウォーミングアップを行う目的というのは、

  • 体温、筋温の上昇
  • 神経の促通
  • 柔軟性の向上 

などがあげられます。

これらの目的を達成するためにウォーミングアップを行いますが、どのようにして体温を上げればいいのでしょうか?

体温の上げ方について

体温をどのように上げるのかということですが、そもそも何を指標にしてどのようにあげればいいのでしょうか?

一般的にはこのようなことで体温を上げると思います。

  • ランニング
  • ジョギング
  • バイク

などがあげられると思いますが、これらをすることでなぜ体温が上がるのでしょうか?

体温を上げるためには心拍数を上げることです。心拍数を上げるためには心臓を上下に揺らすような刺激を加えることで心拍数は上がってきます。

そのため、心拍数を上げる目的で方法を考えたとき少し考えただけでも数多くの方法が浮かんできます。

  • 縄跳び
  • その場ジャンプ
  • おにごっこ
  • サッカー 等

心臓が上下に揺れそうな運動すべてが刺激となりますし、頭を柔軟にして考えるとランニングだけではないことがわかります。

心拍数を上げることで体温が上がることはわかると思いますが、どこまで心拍数を上げればいいのでしょうか?

それは、120拍/分です。

主観的運動強度と言って、自分が自覚する感情から心拍数を推測することができるというもので、このような表があります。

主観的運動強度

標 示 自覚度 強度 心拍数(拍/分)
20 もうだめ   100%  200
19 非常にきつい  93%  
18    86%  180
17 かなりきつい   79%  
16    72%  160
15  きつい  64%  
14    57%  140
13  ややきつい  50%  
12    43%  120
11  楽に感じる  36%  
10    29%  100
 かなり楽に感じる  21%  
   14%  80
 非常に楽に感じる  7%  
 (安静)  0%  60

心拍数が120拍の目安というのは、ややきつく感じるようなときになりますので、その感覚が目安になります。

またはあはあドキドキ汗ばむような状態になれば、同じように120拍前後の心拍数を計測します。

ランニングやバイクなどをする目安というのは、はあはあドキドキし、汗ばむような状態になれば終えて、次のメニューに移行するという形になります。

ウォーミングアップ時に勧められないこと

ウォーミングアップは、体温を上げるという意味があることは理解していただけたと思いますが、この体温を上げるときに気をつけることがあります。

体温を上げる意味合いで、お風呂やサウナに入るということも考えられますが、これはあまり勧められません。

ウォーミングアップをした後には、練習なり試合を行うと思いますが、お風呂などに入ってしまうと疲労してしまうため、その後のプレーを全力で行いづらくなります。

また外的な要因で体温を上げようとしているため、深部まで温めることができません。

このようなことを考えると、ウォーミングアップ時にはあまりお風呂やサウナに入ることは勧められません。

 

一般的に行われるウォーミングアップの内容について

僕も長い年数野球をしてきましたが、少年野球のときから高校までウォーミングアップを行う一連の流れは大きく変わりませんでした。

一般的に行われているウォーミングアップは以下のようなものではないでしょうか。

ランニング

まず行うことは、ランニングを3周走りなさい。という指示を受け、とりあえず走る。

そしてできるだけ疲れないように、グランドを小さく回って3周を終えるというようなことですが、そもそもなぜ3周走るのでしょうか?

ウォーミングアップに限ったことではありませんが、すべてに意味があり、その意味を説明できなければ何のためにやっているのかがわかりません。

季節や気温に関係なく決まった数をこなすような感覚で行っているところが多いように思います。

ランニング

ストレッチング

ランニングを終えると、これも季節に関係なく地面に座って筋肉を伸ばすようなストレッチングを行うことが多いと思います。

ウォーミングアップ時のストレッチングは、筋出力を低下させる可能性があるため、30秒以上のストレッチングはあまり勧められていません。

これについては、理解しておきたいウォーミングアップ時のストレッチについてで詳しくお伝えしていますので、参考にしていただければと思います。

 ストレッチ

ダイナミックストレッチ(体操)

ストレッチングの後に行うのは、ダイナミックストレッチといわれる体操ではないでしょうか。

高校野球などに代表されるのは、数列に並び掛け声をかけながら全身でいっせいに体操をする。

見た目としてはかっこよく映るかもしれませんが、ダイナミックストレッチは流れの中でやるものではなく、筋肉を緩め動かしやすくするために行います。

多くの場合が、形だけをしているような体操が多いように思います。

体操

ダッシュ

ここまでの流れが終われば次はダッシュというような流れがベースでした。

このダッシュも、30m、15m、5mとさまざまな距離を走りましたが、ただ何気なく走っていたように思います。

ダッシュ

このような一連の流れを行う練習や試合に入っていましたが、この一連の流れは季節や行うことが変わっても内容は変動しませんでした。

時間の都合で、カットされたりすることがありましたが、その他の場合は基本的に同じ内容で行われていました。

一般的にはこのような内容を行っているところが多いと思いますが、本来はウォーミングアップの目的や競技、季節や年齢、さまざまな要因を踏まえてメニューを考えます。

当然季節があるため、年中同じメニューというのは不適切であり、その状況に合わせて変化させる必要があります。

次は、トレーナーとしてウォーミングアップを考えるとき、どのようなことを考慮しているのかなど、専門的なことも踏まえてお伝えしていきたいと思います。

 

ウォーミングアップのメニューを作るときに考えていること

ウォーミングアップのメニューを作成するときは、当然ながら強いチームが行っていることをすべて真似をするようなことはありません。

また雑誌や何かで方法を知ったからといって、それを現場で行うこともありません。

以下でお伝えするようなことを考え、意味のある内容にしていきます。

ウォーミングアップを行う目的

最も大切なことは、目的を理解することです。何のためにウォーミングアップを行うのか。

先ほどお伝えしましたが、身体を暖める目的で行うわけですが、ここでいう目的はウォーミングアップを行ってどうしたいのかということです。

ウォーミングアップの後に試合があるのか、それとも練習をするのか。

その練習はバッティングのみなのか、それとも走ったり捕ったりするのか。

なぜ身体を暖める必要があるのか、どういう動きをしやすくしたいのか、そういった細かいところを明確にすることで、ウォーミングアップ時に行うメニューを決定していきます。

まずはウォーミングアップの目的を整理することを行います。

人数について

人数を把握することも重要で、1人でやるときと100人でやるときではメニューも異なります。

人数が多くなればそれだけ場所をとりますし、動ける範囲も狭くなります。もし小さなスペースしかないところでは、その場ですべてのメニューをこなさないといけない場面もあります。

逆にマンツーマンの状態であればそれだけやれることの幅も広がりますし、狭いスペースでもできます。

このように人数によってもメニューを変えています。

環境について

環境というのは、先ほども少しお伝えしましたがウォーミングアップできる場所が広いのか狭いのかということもあります。

室内なのか野外なのか。砂利なのか土なのか、コンクリートなのか。

晴れた日のグランドなのか、雨の降った後のグランドなのか。

それによっても座ってできなかったり、場合によっては足場がぬかるんでおり、走ったりすることができないかもしれません。

また冷暖房の有無も重要で、寒い日に暖房の利いた室内でウォーミングアップができるのであれば薄着でもいいかもしれませんが、真冬の野外では着る物も変わりますし、すぐに体温が下がる可能性があります。

こういった環境の問題も考えてメニューを作成していきます。

時間について

学生の場合、下校時間が決まっていて1日2時間弱しか練習時間がないところもあります。

そんなときにウォーミングアップに1時間もかけてしまうと、ほとんど練習ができなくなります。

逆に4~5時間も練習時間があるのであれば、ウォーミングアップに時間をかけて行ってもいいと思います。

このように時間という要因でもメニューが変わります。

年齢について

小学生と社会人では体力に大きな差があり、社会人であれば1時間ウォーミングアップをしても練習などもこなせると思います。

ですが、小学生低学年なんかは1時間もウォーミングアップを行ってしまうと疲労してしまい、練習に集中できなくなってしまいます。

また高齢の方にウォーミングアップだと言って、ランニングをさせたり、バイクをこがせたりと若い年齢の人と同じことをさせる必要もありません。

このように年齢によってもメニューを変えていく必要があります。

完璧なメニューは存在しない

これは要因ということではありませんが、ウォーミングアップを完璧に作り上げようと考えすぎると、時間の無駄になってしまうことがあります。

あくまでもウォーミングアップは、その後に行う動作やプレーをしやすいように準備する時間であり、最も重要なことは試合でベストな状態で臨める身体にするということです。

大切なことは試合に勝つことです。

ウォーミングアップのメニューは完璧がないため、柔軟な発想でその時々によって臨機応変に対応することが大切だと思います。

 

実際に行ったウォーミングアップのメニュー例

ここでは実際に現場で行ったメニューを少しご紹介したいと思います。

基本的な流れはこのようになります。

  1. ランニング5周
  2. ダイナミックストレッチ(体操)
  3. アジリティドリル
  4. バランストレーニング
  5. プライオメトリックス
  6. クイックネストレーニング(ラダー)
  7. アジリティドリル+ダッシュ

ダイナミックストレッチについて

体操を行う手順というのは、基本的には上から下に動かしていきます。

これは、筋肉は脳が支配しており、脳に近いところが緊張していると下半身などが緩みにくいため、脳に近い上から順に動かして緩めていくという考え方です。

実際にこういった体操を行っていきます。

肩の屈伸

体操

前屈

後屈

側屈

回旋

具体的な内容については、理解しておきたいウォーミングアップ時のストレッチについてを参考にしていただければと思います。

バランストレーニング

野球選手を指導する場合、ウォーミングアップにはバランストレーニングを行います。

このバランストレーニングというのは、バランスボールの上に乗ってバランスをとる・・・というようなことではなく、ジャンプストップなどを行い、フラット着地を繰り返します。

両脚や片脚で行ったりし、バリエーションを加えながら進めていきます。

バランス

バランス

バランス

バランス

バランス

バランストレーニング

バランストレーニングについてはこちらを参考にしていただければと思います。

理解しておきたいバランストレーニングの意味と実践について

クイックネストレーニング

クイックネスという言葉は、日本語の意味で俊敏性といいます。

俊敏性=速さであり、敏捷性=正確性×速さになります。

これはラダートレーニングですが、より枠の中を速くステップし筋肉の収縮速度を維持する目的で行います。

ラダー ラダー

ラダートレーニングについてはこちらを参考にしていただければと思います。

敏捷性・俊敏性とは?アジリティ&クイックネストレーニングの違いをラダートレーニングから考えてみる

 

まとめ

今回はウォーミングアップについてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

ウォーミングアップは、ただランニングをしてストレッチをして練習に入るというような簡単な作業ではなく、ひとつひとつに意味があります。

それは理解した中で行うことで、より効果がわかり動きやすい身体になります。

なぜグランドを5周走るのか、どのくらい走れば適切かなど理解していただけたかなと思います。

今回の記事の内容が少しでも現場で取り入れていただくと嬉しく思います。

最後に、今日の内容をまとめていきたいと思います。

  • ウォーミングアップは、体温を上げる、反応を速くする目的がある
  • 心拍数を120拍/分まで上げ、軽く汗ばむぐらいまで体温を上げる
  • ストレッチングをするのではなく体操で筋肉を緩め動きやすくする
  • 季節や環境、年齢などによってメニューは変わる
  • 完璧なメニューは存在せず、柔軟に考え行うこと

このような内容でお伝えしていきました。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

筋肉を緩める方法=ストレッチは意外と難しい!筋肉を緩める方法のご紹介

歩き方

筋肉を緩めましょう!では何をする?そう、ストレッチという方が多いのではないでしょうか。

でもストレッチって、意外と難しい。なぜかといえば、痛くなるほど伸ばせば筋肉は緊張してしまいます。筋肉を緩めているつもりでもうまく緩みません。

筋肉を緩めるためにはどのような方法があるのでしょうか。それを理解する上でもキーワードになるのがこちらです。

  • 筋紡錘
  • 腱紡錘(ゴルジ腱器官)
  • 筋膜
  • 皮膚
  • 呼吸
  • 揺らぎを与える

これらすべて筋肉を緩めるために活用できるものであります。人間の身体は不思議ですが、今日は筋肉を緩めるということにテーマを絞って書いていきたいと思います。

筋肉を緩める=ストレッチと考えている方は、もっと簡単に筋肉を緩めることができ、その効果を実感することができるようになると思います。

では早速筋肉を緩めるということについて書いていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/stretch-gyakukouka”]

 

ストレッチで筋肉を緩めることが難しい理由

ストレッチについては、トレーナーの技術の中でも最も難しいテクニックのひとつであり、一般の方がご自分でストレッチをする場合でもどの程度伸ばせばいいのか、どのくらいの時間伸ばせばいいのかなど、その程度が難しくなかなか筋肉を緩めることができていません。

痛みを感じるところまで伸ばすことで“緩んだ気”になっていたり、伸ばしたという気持ちの満足感ばかりが増してしまい、実際の効果をあまり感じていないということも起こりがちです。

教科書のような紙面だけでは、その細かな部分までお伝えすることができず、その細かなところにこそストレッチの本質があり、この細かな感覚の違いを実践できていないためにストレッチで筋肉を緩めることが難しいといわれる理由になります。

 

ストレッチ=筋肉を緩めるは不適切?

ひとつの考え方として、ストレッチについてこのように考えることができます。

ストレッチは、引っ張る、伸ばすという意味があり、筋肉を引っ張ったりするという意味でつかわれています。筋肉を引っ張るということは、果たして筋肉を緩めることなのかということ。

大切なことですので、もう一度言います。

筋肉を引っ張るということは、果たして筋肉を緩めることなのか。

筋肉を引っ張ることは、そもそも緩むことではなく、ゴムを引っ張っても緩まずピンッと張っていることを想像すればその理解は容易にできます。

ではどのようにすれば筋肉を緩めることができるのか。それは力を抜くこと。これができれば筋肉は緩み、適度な弾力を持ちます。このためにどうするのか。それは、呼吸を活用したり、筋肉に揺らぎを与えることで筋肉を緩めることができます。

もちろんその他のテクニックなどでも筋肉を緩めることができますが、ストレッチ=筋肉を引っ張るということを冷静に考えてみると、緩みではなく緊張ととらえることもできます。

要は、筋肉を緩めるためにはさまざまな方法があり、対象物がありますが、それらに対してどのような刺激を加えるのか、ということが重要であり、筋肉を緩めるためには、この理解が必要となります。

 

筋肉を緩めるさまざまな方法

では、実際に筋肉を緩めるとなればどのような方法があるのでしょうか。対象物をどのようなものにするのか、どのように筋肉を緩めるのかということを理解していきましょう。

  • 筋紡錘
  • 腱紡錘(ゴルジ腱器官)
  • 筋膜
  • 皮膚
  • 呼吸
  • 揺らぎを与える

冒頭でもお伝えしましたが、この6つのキーワードを軸に、どうすれば筋肉が緩むのかということを解説していきたいと思います。

筋紡錘を対象物とした場合

筋紡錘は筋肉を強く伸ばしたり、速く伸ばそうとすると刺激を受け、刺激を受けると筋肉は収縮してしまいます。これを伸張反射と呼びますが、筋肉を緩めるためには、この反応を引き起こしては筋肉は緊張してしまいます。

では、筋紡錘を対象物としたときどうすれば筋肉を緩めることができるのか。それは筋肉を

  • ゆっくり
  • やさしく

伸ばすことで、筋紡錘は刺激を受けず伸ばされた長さに適応し、筋肉が緩みます。ここからもわかる通り、ストレッチをする際には、痛みを感じないところで気持ちよく伸ばすことが必要な理由がここからもわかります。

筋紡錘を対象とした場合、ゆっくりやさしく伸ばし、約30秒前後ポージングを保持することで筋肉が緩んでいきます。もちろん個人差もありますので、これよりも短い、長いという差はありますが、ひとつの指標としてこのぐらいの時間伸ばし続けることで筋肉を緩めることができます。

ここでお伝えしているのがいわゆるストレッチングになりますが、ストレッチングはどの程度伸ばし、何秒、何分伸ばし続けるのか、そういった筋肉が緩む条件を捉えなければうまく筋肉が緩む反応を引き出すことができません。

腱紡錘を対象物とした場合

続いては、腱紡錘というものを対象物とした場合の考え方についてです。

腱紡錘というのは、別名ゴルジ腱器官とも呼ばれ一般の方ではあまり聞きなれない言葉かもしれません。筋紡錘というのは、筋肉の中に存在する感覚受容器であり、腱紡錘は言葉の通り腱に存在する感覚受容器です。

腱紡錘は、刺激を受けると筋肉を弛緩させ、筋肉が緩みます。ですので、腱紡錘を対象物とした場合は、あえてこの腱紡錘に刺激を加えます。では、どうすれば腱紡錘に刺激を加えることができるのでしょうか。

例えば、両サイドに柱があり、その柱の真ん中に人が立っているとします。その柱にはゴムが結び付けられ、それぞれの手にゴムを持っているとします。これは、柱が骨、ゴムが腱紡錘、人間が筋肉とします。

筋肉を緩める

この柱は固定されており、真ん中の人間がゴムを中央に引っ張るとします。するとゴムは伸ばされ、柱は内向きの力が加えられることになります。人間が目一杯の力でゴムを引っ張ったとき、柱に結ばれているゴムは切れそうになりますが、このまま切れてしまうと人間で言えば骨に付着している腱が引きちぎれてしまいけがをすることになります。

そういうことにならないように、人間には腱紡錘という感覚受容器が腱に存在し、強い張力を感じ取ると筋肉を緩めます。この図で言えば、ゴムが強い張力を感じると人間に電気信号のようなものを送り「引っ張るのをやめなさい!」と指令を送るわけです。

すると人間はゴムを引っ張ることをやめ、脱力することになります。これが筋肉でいえば弛緩するということです。このように腱紡錘を対象とした場合、筋肉を収縮させ、腱紡錘に刺激を与えることによって筋肉を緩めることができます。

筋肉は力を入れることでも、緩めることができます。どのくらいの力を入れるのか、その時間はどのくらいなのかなど、これも考慮しなければいけないことがありますが、力を入れても筋肉は緩むという反応も起こるということです。

筋膜を対象物とした場合

筋膜というのは主に3つの成分でできています。

  • コラーゲン・・・硬く強いという特徴がある。
  • エラスチン・・・ゴム質で伸び縮みをする。
  • 基質・・・ジェル状ですが、気温や体温などによって液体に変わる。

筋膜を対象とする場合、伸ばす時間が大きく変わります。

筋膜とは、筋肉を覆うように体内に存在し、筋肉→筋膜→皮膚という順番に存在しています。この筋膜は、筋肉が伸ばされると同じように伸ばされ、ストレッチをしているときに「伸びてる」と感じる約4割はこの筋膜が感じ取っているといわれています。

先ほど3つの成分からできているとお伝えしましたが、筋膜は筋紡錘と同じようにストレッチングをすることで緩むという反応が起きますが、筋紡錘を対象としたときのように30秒程度のストレッチングを行ったとします。

すると、一時的には身体は柔らかくなりほぐれたような感覚が得られると思います。ただ、時間がたてばまた身体が硬くなる。そういった反応を示すのも筋膜の特徴です。

実はこのとき、筋膜ではエラスチンという成分が伸ばされており、このエラスチンはゴム質なため短時間のストレッチングであっても一時的には伸ばされます。するとこのときの感覚を柔らかくなったととらえがちですが、本来筋膜を緩めようと思うとコラーゲンレベルで伸ばす必要があり、コラーゲンレベルで伸ばすのであれば30秒では時間が短すぎます。

時間は約90秒以上必要と言われており、その理由はこちらです。

  • あるポージングをとり、筋膜を伸ばします。この段階ではまだエラスチンが伸ばされています。
  • これを約90秒行ったとき、基質と言われるジェル状の物体が液体へと変わります。
  • この変化が起こると筋膜はコラーゲンレベルで伸ばされるといわれています。
  • コラーゲンレベルでストレッチングできると筋膜は緩み、筋肉も緩みます。

このように基質の変化やコラーゲンレベルでの伸張は、90秒以上かかるといわれているためこれだけの時間をかけてストレッチングをする必要があります。

筋膜はコラーゲンレベルで伸ばすことで緩むということです。

ストレッチングと同じような方法でも、対象物が変われば伸ばす時間が変わるということです。筋膜を対象物とし、筋肉を緩める場合このように伸ばす時間が重要だということです。

具体的な方法について

対象物を筋膜にしたとき、一見ストレッチングと同じに見えても伸ばす時間が異なります。

例えばこのようなポージングをとったとします。

ストレッチ

このポージングで30秒程度伸ばし続けるとストレッチングになりますが。筋膜を対象とした場合2~5分伸ばし続けることになり、この時間を伸ばすことで筋膜は緩み、筋肉も緩んでいきます。

ストレッチ

ストレッチ

こういったポージングすべて同じことで、筋膜を対象とした場合このようなポージングで2~5分伸ばせば筋膜は緩んでいきます。

皮膚を対象物とした場合

先ほどもお伝えしましたが、簡単に言えば筋肉→筋膜→皮膚というように体内では配列していますが、筋肉が緊張すると皮膚の動きも悪くなり、皮膚が緊張している場合は筋肉も緊張するというように相互で影響を受け合っているのが人間です。

例えば手術をして、一部を切開し、縫合した周囲は術後動きが悪くなります。これは皮膚の動きが制限されたため起こることです。

筋肉を緩める目的で皮膚を緩め動きをよくすることで、実際に筋肉は緩んでいきます。

一見筋肉とは縁がないように思える皮膚も筋肉を緩める上では重要な存在となります。

呼吸で筋肉を緩める場合

呼吸で筋肉を緩めることができるというのは、あまり聞きなれないことかもしれません。

例えば胸郭という部分は呼吸によって膨らんだり、しぼんだりします。呼吸というのはそもそも筋肉の動きで行われますが、この呼吸を行うことで胸郭周囲の筋肉を緩めることができます。

呼吸をすることで、胸郭の動きを認識し、大きく分けて3つの箇所に手を当てて呼吸をし動かすことで筋肉を緩めることができます。

  • へそあたりに手を置き、ここを膨らませるように鼻から息を吸い、口から吐く
  • 両手をこぞおち横の肋骨に手を当て、真横に膨らませるイメージで鼻から息を吸い、口から吐く
  • 胸の上部あたりに手を置き、前後に膨らませるイメージで鼻から吸い、口から吐く

このように3つに分けて呼吸を繰り返すことで胸郭周囲の筋肉は緩みます。また、ある筋肉に手を置き、置いた状態で呼吸を繰り返すことでその触れている筋肉が緩んでいきます。

このように呼吸を使って筋肉を緩めることもできます。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/breathe”]

筋肉に揺らぎを与えて筋肉を緩める

筋肉は揺らぎを与えると緩みます。試していただくとわかると思います。

  • まず、地面に座った状態で片膝を曲げ、片脚を伸ばします。
  • 伸ばしている脚の膝の裏に手を入れ、脚を数センチ持ち上げます。
  • そこから落とすように手の力を緩めます。
  • これを連続で行うようにポンポンポンッと弾ませるイメージで脚に振動を加えます。
  • このとき腕の力で脚を動かすようにします。
  • 1分もすれば太ももの筋肉が緩んでいることを実感できると思います。

これは不思議なんですが、筋肉に揺らぎを与えると緩んでいきます。

人間の身体は快の刺激を受けることで快の反応を示すため、気持ちよく揺らぎが加えられると筋肉は柔らかく緩んでいきます。

このように人間の身体はただ筋肉を伸ばすだけではなく、さまざまな方法で筋肉を緩めることができます。

具体的な方法について

例えば、片脚を伸ばしもう一方は楽な状態で座ります。この状態で伸ばしている側の膝裏辺りに手を入れ、太ももを持ちます。脚を地面でバウンドさせるようなイメージでポンッポンッっと弾ませ、筋肉を揺らしていきます。

この揺らぎで太ももやふくらはぎの筋肉が緩んでいきます。

バウンド

またふくらはぎを緩めようと思うとこのような形で筋肉を揺らしていきます。

ふくらはぎ

このように筋肉に揺らぎを与えることで筋肉を緩めることができます。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。筋肉を緩める=ストレッチという認識が強かった方も多いと思いますが、筋肉を緩める方法はさまざまあります。これらのどれを使っても筋肉を緩めることができるため、重要なことはそれらをどのように行うのかということです。

ストレッチが最も難しいテクニックのひとつと言われるのも、この適切な刺激を加えることが非常に難しいためです。

方法が先ではなく、対象物を何なのか、それ次第で方法はさまざまです。

  • 筋紡錘
  • 腱紡錘(ゴルジ腱器官)
  • 筋膜
  • 皮膚
  • 呼吸
  • 揺らぎを与える

筋肉を緩めるためにはなどさまざまな方法があるということを知ってもらえれば、これから日常ですることも少し変わる変わるかもしれませんね。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

敏捷性・俊敏性とは?アジリティ&クイックネストレーニングの違いをラダートレーニングから考えてみる

プロ野球やJリーグの選手などのウォーミングアップで使用されるラダーですが、このラダーを使ったトレーニングは世間で“敏捷性(アジリティ)の向上”を目的として使われることがほとんどです。

より素早い動きづくりのために・・・。

よりフットワークをよくするために・・・。

と言われ、現場でよく活用されています。

このラダートレーニングの本来の目的は、敏捷性(アジリティ)トレーニングではなく、俊敏性(クイックネス)のトレーニングです。この敏捷性と俊敏性は、混同して使われがちですが、本来の意味は別物です。

今日はこの敏捷性と俊敏性という似ているようで異なる本来の意味を理解し、改めてラダートレーニングというものを見ていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/conditioning”]

 

敏捷性(アジリティ)と俊敏性(クイックネス)の違い

さて、ここからは今日の本題に入りますが、敏捷性と俊敏性にはどのような違いがあるのでしょうか?

敏捷性(アジリティ)とは?

敏捷性(アジリティ:agility)

アジリティとは、機敏さ、軽快さ、敏捷さという意味がある。

敏捷性とは 、速さ×正確性という式で成り立ち、文字通り速く動くことと、正確性が合わさったもののことを言います。

敏捷性

例えば、それにあたるのが反復横跳びやシャトルラン、Tドリルなどがこれにあたり、これらはラインを超えたなかったり、目印を正確に超えるなどの必要があり、もしラインを超えなければ回数として数えなかったり、減点になったりします。

ここには正確性が必要であり、このようなトレーニングのことをアジリティトレーニングといいます。

俊敏性(クイックネス)とは?

一方、俊敏性とはどのような意味があるのでしょうか?

俊敏性(クイックネス:quickness)

クイックネスとは、素早さ、俊敏さという意味がある。

俊敏性は、敏捷性とは違い、正確さを必要とせず速さのみを指すものであります。

俊敏性

例えば、ある一定間隔に引いたラインを目安に、できるだけ速くステップすることを目的としたトレーニングなどがこれにあたります。

ここで重要なことは、ラインをきちんと踏むことが目的ではなく、いかに速くステップができるか、つまり筋肉を最大速度で収縮させることが重要であり、この速さを求めることが俊敏性の目的となります。

 

アジリティとクイックネストレーニングの現場での活用例

それぞれの違いを理解できたでしょうか?次はもう少しわかりやすく説明していきたいと思います。

例えば、野球の投手をイメージしてみてください。投手が投げた球を、バッターがバントするとします。このとき、この打球までいち早く到達するためにダッシュをすることになります。

いち早く到達するということを目的として行うのは、クイックネスです。つまり速さだけを求めていることになります。

しかし、野球はアウトにする必要があるため、打球を捕って1塁などに送球しますが、この送球がきちんと投げられることでアウトになるわけですので、ここには正確さが必要となります。

敏捷性

ここまでいけばアジリティトレーニングとして考えることができますが、速さだけが必要なのか、捕ってから正確に投げるところまで必要なのか、ここが敏捷性と俊敏性の違いとなります。

 

ラダーとは?

そもそも【ラダー:ladder】という言葉はどんな意味があるのでしょうか?

ラダーとは?

・ラダー (ladder) は梯子(はしご)、または梯子の形に似たもの。

引用:Wikipediaラダーより

このようにラダーとは、はしごを意味をしており、実際にラダートレーニングで活用する道具もはしごのようにマス目が並んでいます。

ラダー2

 

ラダートレーニングの例

このようなラダーを使い現場ではこのように活用されています。

例えば、マス目1つに対して1歩踏み入れ、交互に枠の中をできるだけ速くステップしていくというもの。

ラダー

また、マス目1つに対して2歩踏み入れ、できるだけ速くステップをしていきます。

ラダー

1マスに対して2歩入れて速くステップを行っていく種目。

ラダー

このようにラダートレーニングは、さまざまなステップや方向転換、動きを行い、その中で敏捷性を養おうとする目的で行われています。

 

ラダートレーニングの本質

ここまでの話で、多くの方がラダートレーニングについて理解できたかもしれませんが、上記のことを踏まえて改めてラダートレーニングというものを考えてみたいと思います。

はしごのような目印を設定し、さまざまなステップを、より素早く行うことになりますが、ラダーというのは、蹴ってしまっても、枠を踏めなかったとしても減点などになることはなく、ここには正確性を必要としません。

ですので、ラダートレーニングは本来速さだけを求めるために俊敏性(クイックネス)として活用することになります。

一般的には【敏捷性のトレーニング】として活用されることが多いですが、上記でお伝えしたように敏捷性と俊敏性は異なるものです。

  • 敏捷性=速さ+正確性
  • 俊敏性=速さ

これらからラダートレーニングを見ると、敏捷性ではなく俊敏性であるクイックネスのトレーニングであることがわかります。では、敏捷性・俊敏性はどのようにトレーニングし、どのように高めていけばいいのでしょうか?

 

敏捷性・俊敏性はどのような目的で行い、高めればいいのか?

敏捷性(アジリティ)の高め方

  • 遅い動きから速い動きへ
  • 簡単な動きから複雑な動きへ

反復横跳びで考えてみたいと思いますが、反復横跳びは簡単そうで難しいものですが、基本的には重心の運び方をまず教えていきます。また着地の仕方などをどうするのかを教え、それらが確実にできる速さで繰り返し行います。

すると次第に動きに慣れ、重心もうまく運ぶことができるようになるため徐々に動きを速めていきます。

このようにどのように動くのか、それを正確に脳で理解させ、身体で覚えさせるためにいきなり最大の速度でしようとしないことです。

速さになれ、正確に動けるようになると、そこからさらにメニューを複雑にし、難易度を上げます。そのときもまずは、ゆっくりとした速度で動きを覚え、そこから速く行うという段階を踏むと敏捷性は向上していきます。

アジリティトレーニング:反復横跳び

重心の位置を理解させる

敏捷性

つま先重心になると回転の力が働きますが、踵重心にすると最短で横移動ができます。

つま先重心

重心を運ぶ

サイドステップ

サイドステップ

一般的には足で地面を押すような感覚で行われることが多いですが、移動したい方向に先に重心を運ぶことでスムーズに脚が出て、移動しやすいため重心を運ぶような動きを覚えていきます。

このように地面を押すように動くと動きが硬くなり、遅くなります。

地面を押す

地面を押す

まずはゆっくり動きながら確実に動きをインプットしていく

サイドステップ

サイドステップ

敏捷性向上のために、まずは動きを理解していきます。

動きに慣れてきたら、その動きを早く行う

重心移動 重心移動

このように敏捷性を高めるために手順を踏んで行います。

俊敏性(クイックネス)の目的

人間の身体は、速筋線維(白筋)と遅筋線維(赤筋)大きく分けて2つのタイプの筋肉が存在します。速筋線維の割合が多ければその分だけ筋肉の収縮速度は速く、100m世界新記録保持者のウサイン・ボルトのような走りができる可能性が高まりますが、これはほぼ遺伝によって決まっていると言われています。

一般の方であれば、この割合は5:5に近いものになり、そういうお父さんがいたとします。

このお父さんは日頃から運動しておらず、速筋線維の割合は5になりますので、筋肉が最大速度で収縮しても5の速さしかでません。 脚の速さをレベル5と設定しておきましょう。

運動会のある日、気合を入れてリレーに出たけど途中でこけてしまうハプニング。このとき起こったことは、本来はレベル5あった脚の速さは、日頃レベル5で使うことがないため、レベル2ぐらいの走りしかできませんでした。

でも昔の自分が脳裏に焼き付いていたため、実際にパフォーマンスと理想とギャップが生まれ、脚が絡まりこけてしまうということが起こりました。



と物語のように書きましたが、速筋線維は割合が変わることはほぼないが、この収縮速度を維持することを日頃から行う必要があるということです。向上はしないが維持をするという意味合いで、クイックネスというものをとらえます。

ここで先ほど出たラダーなどがこの目的に合致しますが、ラダーのマス目をより速くステップし、筋肉を最大速度で収縮をさせ、これを毎日維持するために行います。

もしくは、ラダーでなくても同じような間隔で目印を置いたり、ラインを引いたりし、筋肉に最大収縮速度を体感させることで、維持できるということになります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。ラダートレーニングは一般的には敏捷性、アジリティトレーニングと言われていますが、本来はクイックネスとして活用するほうが目的に合っています。

もし、ラダーになんらかの正確性を加えたメニューをするのであれば、それもアジリティトレーニングと言えるのかもしれませんが、よく行われている形のラダーはクイックネスということになります。

では、最後に今日のまとめを書いていきたいと思います。

  • 敏捷性(アジリティ)=速さ×正確性
  • 俊敏性(クイックネス)=速さ
  • 敏捷性を高めるためには、遅い→速い動きへ、簡単→複雑な動きへと移行させる
  • 筋肉の収縮速度を維持するためにクイックネスを行う
  • ラダートレーニングはアジリティではなくクイックネスを目的としたトレーニングである

このような内容でお送りしてきました。今日の内容が少しでもお役にたつ内容であればうれしく思います。

 

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

野球に必要なトレーニングとは?ウエイトだけではない本来の意味について

まだまだトレーニング=ウエイトトレーニングのイメージを持っている方が多く、何かの悩みを解決するためには筋力を向上させる、筋肉をつけることが最善策だと考えている方が多いように思います。

確かに悩みの改善策のひとつではありますが、多くの場合筋力ではなく、全体の歪みや動きの問題があり、根本的にはそれらを改善すれば悩みが改善されると思います。身体がアブノーマルの状態だから、それをノーマルに直すと治る。

この考え方を持つことで、ウエイトトレーニングがすべてのような考え方を一新できるかなと思います。

  • 投げる持久力=投げることでつく
  • 痛みの改善≠筋力向上
  • トレーニング≠筋肉をつける

今日は野球に必要なトレーニングということで、そもそもトレーニングとは何か?どのようなことを考える必要があるのか、将来を見据えて動き出している野球選手に向けてお伝えしていきたいと思います。

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野球に必要なトレーニングとは?

野球に必要なトレーニングの内容に入る前に、トレーニング【training】という言葉を整理しておく必要があります。

トレーニングとは?

一般的には、トレーニング=筋力トレーニング、ウエイトトレーニングなどをイメージされると思いますが、本来はこのような意味を持っています。

■トレーニングとは?

・訓練。練習。鍛練。 「軽く-する」 教育する。

・環境や運動の刺激に対する人体の適応性を利用し,身体運動を行うことによって意志力を含めた人間の体力を高めること,もしくはその過程をいう。生体は運動という刺激(トレーニング負荷)によって変化を生じ,それを繰り返すことによって機能を高めることができる。これをトレーニング効果と呼び,期待できる効果として,筋力,持久力をはじめとして,神経系統の機能が高まることによる調節力,巧緻性の向上があげられる。トレーニング負荷の指標としては,心身の生理的な応答がとれうる内的負荷と,走向距離や挙上重量などを指標とする外的負荷がある。

コトバンクより引用:トレーニング

トレーニングとは訓練や鍛錬という意味があり、何を鍛錬するのか、教育するのか、それは筋力や持久力、スピード、調整力、柔軟性といった体力要素全体を指し、筋力だけではなく、主にこれら5つの要素を向上させるためにトレーニングを行っていきます。野球選手やスポーツ選手が向上させる体力要素とはどのようなことを指しているのでしょうか?それはコンディショニングであり、次はコンディショニングの理解が必要となります。

 

コンディショニングについて

コンディショニングという言葉や体力という言葉は聞いたことがあると思いますが、具体的には体調と捉えられたり、スタミナという捉え方をされたりすることが多いと思います。

コンディショニングと体力は同義語であり、同じ意味を持ちます。では、これらが持つ本来の意味とはどのようなものでしょうか?これらの5つの体力要素を指しています。

コンディショニング

それぞれの体力要素はこのようなことを指しています。

身体的

身体的な要素は、身体的コンディショニングともいい、バイオモーターアビリティのことであり、バイオモーターアビリティとはこのようなことを指しています。

バイオモーターアビリティ

身体的コンディショニングの中には、主に5つの要素があり、これらはさまざまな相互関係によってこのように成り立っています。

コンディショニングトレーナーと言われる立場の人が選手にトレーニング指導を行うとき、主にこのバイオモーターアビリティについて指導をします。

野球に必要なトレーニングというのは、上記であげたコンディショニングのことであり、主には筋力、持久力、スピード、調整力、柔軟性の5つの要素をトレーニングする必要があるということです。

身体的コンディショニングは、技術や戦術の下にある土台のようなものであり、この土台がしっかりしていないと上に積みあがる技術や戦術は小さくなり、プロレベルの選手はこの土台がしっかりと大きなものになっています。

ピラミッド

あくまでもトレーニングと練習は別物であり、スキル・技術を向上させるには練習が必要です。基礎体力という土台を作るためには、トレーニングが必要であり、土台が小さいままでトレーニングを疎かにしていると、ピラミッドの上は低くなり、練習だけではいつか上限を迎えてしまうことになります。

うまくなるためには練習を重ねることは必須ですが、その中で土台作りを並行して行うことでピラミッドも大きくなり、技術や戦術などの幅も広がっていくため、ここからも練習とトレーニングを行う必要性が見えてきます。

これが身体的な要素であり、身体的コンディショニングと言われるものの内容になります。

精神的

精神的というこの部分については、いわゆるメンタルであり、練習ではのびのびプレーし結果もいいけど、いざ試合になると緊張しすぎて全く打てない、投げられないという状態ではやはり強くなれないですし、精神的な部分もパフォーマンスに影響を与えます。

実際に現場では僕らのような立場のトレーナーがメンタルトレーニングをする機会はあまりなく、精神的な要素の専門家はメンタルトレーナーの役割です。同じチーム内にいる場合、線引きをしておく必要もあります。

体力、コンディショニングのひとつにメンタル、精神的な要素も含まれています。

人間の身体は、心理的限界と生理的限界があると言われ、生理的限界を突破してしまうと人間は死に至ります。そこまでいかないように、心理的な部分で制限をかけます。それが生理的限界の6~7割程度に留められていると言われており、僕らがいつも感じる限界はこの程度だと言われています。

ただ、火事の馬鹿力という言葉があるように、緊急を要することや命のかかわること、重要な大会などの時に人はこの心理的限界を突破し、これまでに経験したこともない力、能力を発揮することがあります。

ここからもわかるように、人間の身体は精神的な部分に制限を受けていることが多く、精神的な部分をコントロールできるようになり、強くなることで体力が向上するということにつながります。

防衛的

防衛的という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、免疫力や抵抗力などのことです。

遠征に出かけて、いつもと違う環境になるとお腹が痛くなったり、ちょっと黴菌が入っただけでも体調が大きく崩れる、風邪を引くなど、免疫機能が低ければパフォーマンスに影響を与えてしまいます。

免疫力というのは、体温を高く保ったり、ストレスをコントロールすること、また超回復の過程を継続的に適切に行うことで免疫力が強くなり、抵抗力もついてきます。

このように防衛的要素もコンディショニングを整える上で重要な役割を果たしています。

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栄養・休養

栄養・休養は言葉の通り、練習やトレーニングをするとエネルギーを使い、疲労しますので、回復させるためや身体を作る意味でも、適切な栄養・休養をとることが必要です。

栄養面で言えば、糖質を摂っていなかったり、脂肪を極端に少なくしたり、偏食していたりするとやはり身体の機能も正常には働いてくれません。

疲労が残ってしまったり、回復しなかったり、また細胞が再生されづらくなりケガをする可能性も高くなってしまいます。このような点からも栄養と休養を適切にとることは、スポーツ選手に限らず、すべての方に共通することです。

ここまで体力、コンディショニングについてお伝えしていきましたが、野球選手がどのようなトレーニングが必要なのかは、これらをすべてトレーニングする必要があるということです。

また、このような多くの要素をトレーニングする必要があるため、広い視野を持ちやるべきことはウエイトトレーニングだけではなく、多岐に渡ることがわかります。

コンディショニングというのは、何かひとつが突出していると素晴らしいのかというとそうではありません。全体がバランスよく向上すること、整っていることを目指し、もしひとつでもレベルの低い要素があると、その低いレベルに全体が引っ張られてしまいます。

だからこそひとつだけに目を向けるのではなく、広くコンディショニングについて理解し、トレーニングする必要があるということです。

では具体的にどうすれば、コンディショニング、筋力や持久力などを向上させることができ、それを日頃の中にどのように組み込めばいいのでしょうか?

 

野球の競技特性から考えるコンディショニングについて

まず考えることは、野球と言うスポーツはパワー競技であり、年齢やポジションによっても必要な体力要素は異なってきます。具体的にはどのようなことを知っておく必要があるのでしょうか?

筋力について

筋肉

筋肉は、1cm³辺り4~6kgの筋力を発揮することができると言われ、これは男女とも同じと言われています。そのため、男女での筋力差は性別によるものではなく、筋肉量の違いによるものです。

男性と女性の筋肉量が異なる一番の原因は、同じトレーニングをしたときに男性は女性の2倍ほど、筋肉を肥大させるホルモンの分泌量が多いとされ、このために男性の方が筋肉がつきやすいと言われています。

ここからもわかる通り、筋力を高めるためには筋肉の断面積を増やす必要があり、そのため野球選手でも積極的にウエイトトレーニングを行い、今年のキャンプでも話題になった増量を目指すわけです。

ただ、キャンプ中に話題になった増量は、冷静に考える必要があり、そもそも体重の増加=パフォーマンスがアップすることはありませんし、ただ脂肪がついて体重が増えるとマイナス面も増えます。

何で体重が増えたのかを冷静に判断する必要があります。

野球はパワー競技であり、パワーは筋力×スピードの積で求められることから筋力を向上させることで、パワーを向上させることにつながります。

現状の筋力レベルがどの程度なのかを一度整理する必要はありますが、筋力を向上させる目的を明確にし、筋力トレーニングを行うことで土台の強化になります。ただ筋肉をつけることを目的として行うのではなく、筋力レベルを上げるためには、まずは動作の手順を理解し、重い物をいかに軽く扱うか、そういった動きを理解したうえで重量を重ね、筋力を向上させることが理想です。 

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持久力について

持久力

野球にはどんな持久力が必要なのでしょうか?マラソン選手のように自分の身体を移動させ続けられるような筋持久力が必要なのか、それとも強靭な心肺持久力が必要なのでしょうか?

試合を見ていると、バッターは1回のスイングができればいいでしょうし、投手の場合は100球前後投げられる持久力が必要になります。

このときにおさえておきたいことは、100球前後投げられる持久力をどのように養成するかということです。よく行われるのは走り込みで持久力をつけるということですが、走り込みでは走るスタミナはつきますが、投げるスタミナはつきません。

投げるスタミナをつけたいのであれば実際にボールを投げることです。この勘違いが多く、相談もよくされます。バッターも同じです。100、200本とバットを振るスタミナをつけたいのであれば、バットを振ることです。

話を戻して、野球選手はどのような持久力が必要になるのでしょうか?

練習に耐えられる持久力

野球の試合を見ると長くても100m以上は走ることがありませんし、プレーでも1球ずつ間合いがとられます。そのため試合では有酸素性持久力は必要ありません。ただ、うまくなるためには練習を数多くする必要があります。

さまざまな練習をするためにはある程度有酸素性持久力を高めておかないと、その練習についていけずへばってしまいます。単純に練習できる数が減ってしまうため、練習できる選手に比べるとうまくなることはできません。

こういった考えからある程度有酸素性持久力を高める必要があると考えています。また、先ほど身体的コンディショニングのところで少し触れましたが、コンディショニングというのは、ひとつの要素が突出していることよりも、全体のバランスがとられている方が良いわけです。

ですので、試合だけを見ると心肺持久力は必要ありませんが、練習のことを考えると心肺持久力も高めておく必要があります。

体幹の筋持久力を高める

投手の場合、投球時一番力が入る箇所は体幹部です。

100回も150回も全力で投球するとそれだけ筋肉を収縮させており、大きなストレスが加わっています。もし体幹の筋持久力が低い場合、これだけの投球を行うと体幹に力が入らず、手投げのような状態になってしまったり、肩周りの筋肉が過度にストレスを受けてしまいます。

体幹に比べ肩の筋肉は小さく、腕で投げるようなフォームですとスピードも出ませんし、大きなストレスがかかってしまうため肩肘を痛める可能性もあります。

このような理由から身体の幹である体幹の筋持久力を高めておく必要があります。 

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スピードについて

スピードというのは、スイングスピードということもありますし、走るスピードということもあります。

以前も何度かお伝えしたことがあったと思いますが、スピード【speed】という要素には2つの考え方があります。

  • 速さ・・・変えられない(筋線維のタイプ)
  • スピード・・・変えられる(動作・動き)

速さについて

速さというのは、筋線維のタイプのことを指しており、速筋(白筋)と遅筋(赤筋)との関係についてです。

筋線維のタイプは、遺伝的に決定づけられると言われており、基本的には後天的には変わらないと言われています。ただ、速筋がトレーニングを行うことで、遅筋の方へシフトし、ピンク色になるということはあります。

ただ、遅筋がトレーニングによって速筋になるということは、今のところないと言われています。

速筋線維が多い場合、筋肉を収縮させる速度も速くなるため、投手の場合肩周りの筋肉に速筋が多い場合、140km/hオーバーを投げることができる可能があります。ただ、肩周りの筋肉に遅筋が多い場合、筋肉の収縮速度も遅くなるため、140km/hを越えられるボールを投げることは難しくなります。

この筋線維のタイプだけを見ると後天的に変えられない、生まれ持った素質の部分に当たるのがこの速さです。

スピードについて

もうひとつのスピードというのは、動作・動きを指しており、動作は硬いよりリラックスしたスムーズな動きの方がスピードは出ます。

人間の身体をムチに置き換えるとわかりやすいと思いますが、ムチは柔らかくしなることで威力を増します。ただ、カチコチに固まった一本の棒であれば、しなるときよりも威力はなくなります。人間も同じで、カチカチの硬い動きであればスピードは出ません。

現在のフォームが非常に硬い動きをしていたり、無駄な動きが多い場合、これらを改善することでスピードを向上させることができます。

高校生の指導をしていると、よく見受けられるのがいろんなことを意識しすぎて動作が硬くなってしまうということです。あれこれ意識してしまうと無駄に緊張してしまい動きが硬くなります。

でも紹介していますが、あまり深く考えすぎずに、気持ちよく動こうとすることでスムーズさも出てきやすいですし、何よりもスムーズに動ける身体の使い方を知ることです。これを理解できればスピードも向上し、実際に球速やスイングスピードが向上することもあります。

スイングスピードについて

スイングスピードを向上させるためには、一般的にはパワーを向上させるためには最大筋力の1/3×最大スピードという式があるため、ベンチプレスの1RMが90kgの場合、30kgを使ってベンチプレスを行うということが言われます。

これは持久力のところと同じで、目的と方法を一致させることが重要であり、トレーニング原則のひとつに特異性という原則があります。

■特異性とは?

特異性の原則の意味は、行った動作、様式など、その方法に見合った効果しか出ないという意味です。

トレーニーが知っておきたい7つのトレーニング原則に基づいたトレーニングの進め方

行ったトレーニングに見合った効果が出るということですが、スイングスピードを向上させたい場合は、バットを振ることです。そしてリラックスしたスムーズな動作ができることでスイングスピードを向上させることができます。

またロシアではパワーという概念がないため、スイングスピードなどを向上させる場合、また別の考え方があります。

調整力について

調整力とは、体育用語で【身のこなし】という意味であり、身体を自由自在に操れる、コントロールできる能力のことです。

この能力に最も長けている一人がイチロー選手です。魔法の杖と呼ばれるぐらい卓越したバットコントロールの技術を持っており、自分が思ったように身体を動かす能力も身体的コンディショニングのひとつとなります。

調整力には、

  • コーディネーション
  • コオーディネーション

という2つの考え方があり、前者はアメリカ的、後者はドイツ的な考え方になります。それぞれどのような意味合いを持つのでしょうか?

  • コーディネーション・・・1つの動作パターンを習得する
  • コオーディネーション・・・予期しない動作に対応できるようにする

このような分け方ができ、それぞれをうまく組み合わせることで選手の技術向上に役立ちます。

コーディネーションについて

1つの動作を獲得するために、建設的に達成までのプロセスを作成して、自分が目的とする動作を獲得していきます。

その過程は複雑で難しいことをするのではなく、できることを連続的に行い、その内容の難易度を上げていき、常にできるステップを繰り返し、目的の動作を獲得していきます。

コーディネーション

コオーディネーションについて

野球でもそうですが、同じ打球が飛んでくることはありません。打球の速さ、バウンドの仕方などすべてが異なります。

その中でひとつの動作パターンだけを習得したところで、試合ではそれ以外のプレーの方が多く、練習で経験できないようなことも起こります。

それに対応するために、日頃からさまざまなプレーや刺激を加えることで、咄嗟のときにそういう動きができるように、あえて難しいこと、できないことを練習中に経験させておくということです。

同じパターンの刺激を加えてしまうと動きのパターンがわかってしまうため、コオーディネーショントレーニングでは慣れささないようにメニューの変化を加え続けます。

予期しない動きなどを取り入れ、できることが目的ではなく、さまざまなパターンの動きを経験させることが目的です。

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柔軟性について

野球ではポジションによって必要な柔軟性が異なりますが、すべてのポジションに共通する必要な柔軟性とは、股関節と肩周りの柔軟性です。

柔軟性の低下はケガをしやすくしてしまったり、疲労しやすい身体になってしまったりとマイナスになることが多いですが、そもそもこの柔軟性とはどのようなものでしょうか?

柔軟性とは、

  • 静的柔軟性
  • 動的柔軟性

この2つがあります。

静的柔軟性について

静的柔軟性とは、文字通り動きのないストレッチングであり、一般的に行われているあるポージングを保持するような柔軟性になります。

ストレッチ

この静的柔軟性は、最大に高めるというよりも、ある程度高め、人間が本来持つ柔軟性を維持することが必要だと考えています。

スポーツ選手に重要な柔軟性というのは、動的柔軟性になります。

動的柔軟性について

体操

動的柔軟性とは、動きの柔らかさということであり、この柔軟性の高さは見た目の美しさにもつながるスポーツ選手にとっては重要な要素です。

先ほどスピードのところでもお伝えしましたが、パワーを向上させるためには、筋力×スピードという式がありますが、一般的には筋力を向上させることに力がそそられがちです。

より速く結果を求める場合、リラックスしたスムーズな動作ができ、動的柔軟性を高めることでスピードが向上するため、結果的にパワーは向上します。筋力を向上させるには時間がかかりますが、動的柔軟性の向上はある意味即効性があるため、結果もわかりやすいと思います。

このように野球選手に限らず、スポーツ選手はこのように柔軟性の重要性を理解し、スムーズな動作ができることで、より結果も良くなる可能性があります。

敏捷性について

敏捷性とはアジリティのことであり、正確性×速さで求めることができます。

野球で必要な敏捷性のひとつにバント処理の動きがあります。例えば、投手前にバントされた打球を捕球し、1塁に送球する。この打球を処理するだけだと、いかに速く処理できるかということを求めますが、1塁に送球した際にアウトにする必要があります。

敏捷性

ここに正確さが必要となり、このように正確性と速さを必要とする要素のことを敏捷性、アジリティといいます。

俊敏性について

敏捷性と言葉は似ていますが、俊敏性とはクイックネスのことであり正確さは必要とせず、速さを求めるのみになります。

先ほどのバント処理の例ですと、打球に到達する速さを求めることが俊敏性になります。

俊敏性

ここまでご紹介してきた野球という競技特性を考えたコンディショニングは、日頃の練習時間の中に組み込む必要があります。そのバリエーションはいくつもあり、環境や時間、人数など条件によって臨機応変に体操することになります。

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選手を指導してきた中で感じること

これまで約5年間一緒にトレーニングをしてきた野球選手を見ていると、練習だけなくトレーニングを平行させることの重要性を身に染みて感じました。

ポジションはキャッチャーで、元々肩は強かったのですが、身体も細く、硬い選手でした。自身の身体への関心も低い選手でしたが、今では自分の身体の管理ができるようになり、毎日のケアや日々のトレーニングや練習を目的を持って取り組めるようになっています。

僕自身もトレーナーになりたての頃は、トレーニング=ウエイトトレーニングだと思っていましたし、ウエイトトレーニングがすべてではありませんが、これをやっておけばいいだろうという勘違いがあったと思います。

ですが、選手を指導していると気づかされますが、トレーナーの僕自身が視野を広く持ち、選手の現状はなぜこうなのか、技術的な問題なのか、筋力の問題なのか、調整力の問題なのか、精神的な問題なのか、そういうことを深く考えることで根本原因を見つけることができました。

今でもわからないことも多い中で、選手自身が僕のことを辛抱強く頼ってくれ、その中で自分も成長できたと思いますし、選手もコンディショニングについて理解を深めてくれたと思います。

これから野球人として成長していきたいと思い、この文章を読まれている方もいると思いますが、今回お伝えしたいことはウエイトトレーニングがすべてではなく、トレーニングすることはもっと多くあり、視野を広く持つ必要があるということです。

 

目的と方法について

テレビや雑誌などでは流行りのトレーニングがよく紹介されていますが、プロ野球選手がしているトレーニングをするからプロ野球選手みたいになれるわけではありません。

今の自分の体力レベルに合ったことを段階を踏んで、継続的に行い続けることでレベルアップしていきます。

野球人として活動できる時間は限られていますし、プロ野球に入れる選手もほんの一握りです。そこにかけて時間を過ごす人生も素晴らしいと思いますし、高校や大学までと決めて野球をするのも良いと思います。

どちらにせよ、今やっている練習は何のためにやっているのか?トレーニングは何のためにやっているのか?それらをやってどういう成果、効果が得られるのか?

目的があり、方法があります。誰かがやっていたからではなく、こういうことをできるようになりたいかた○○をしていると、目的ありきの方法を選択することは意味のあることだと思いますが、方法が先行してしまい、何のためにやっているのかがわからない練習やトレーニングはは時間の浪費になってしまう可能性もあります。

だからこそ重ねてお伝えしたい、目的と方法について。冷静に今の自分に必要なことを見極め、実行できるとそれなりに成長も感じられると思います。そういった時間の使い方をしてほしいなと思います。

 

まとめ

今日は野球選手が必要なトレーニングについてお伝えしていきましたが、いかがでしたでしょうか?

トレーニングと聞くとウエイトトレーニングをイメージされていた選手も多かったと思いますが、そのイメージが今日の記事で少しでも変化し、視野を広げられる内容になっていればうれしく思います。

少しでも参考にしていただき、改めて日々行っているトレーニングや練習を振り返るきっかけになればと思います。

最後に今日の内容のまとめをお伝えしていきたいと思います。

  • トレーニング【training】とは、教育、鍛錬、訓練という意味がある。
  • コンディショニングとは、身体・精神・防衛・栄養・休養の5つからなる。
  • 身体的コンディショニングとは、筋力・持久力・スピード・調整力・柔軟性の5つからなる。
  • コンディショニングは、土台でありその上にスキル・技術、戦術などが重なる。
  • 練習だけでは上限を早く迎え、トレーニングを平行する必要がある。
  • トレーニング=ウエイトトレーニングではないということ。

今日はこのような内容でお送りしていきました。

今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

野球に活かす体幹トレーニングとは?腹筋や背筋のことではなくつながりを考える

夏の高校野球、甲子園を目指す球児の戦いが幕を開け、沖縄はもう代表校が決まりました。僕自身もちょうど10年前に市立神港野球部主将として同じように夏空の下で白球を追いかけていましたね。

もう10年ですね・・・。早いとは感じませんが、懐かしいです。

さて、そんな高校野球の練習やトレーニング関連の記事を目にするようになり、それぞれの学校のトレーニング法などが紹介されていたりします。

強豪校がやっているからと言って練習やトレーニングを真似する選手も多いと思いますが、自分のレベルに合わせて取り入れることが何よりも重要なことです。

体幹トレーニングもそのひとつであり、ただただ腹筋や背筋をするだけでは意味がありません。今日はそんな体幹トレーニングの考え方についてお伝えしていきたいと思います。

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体幹とは

今では多くの方が知る体幹トレーニングですが、体幹とはどこのことを指すのでしょうか?

一般的にはこのように言われています。

■体幹とは?

体の主要部分。胴体のこと。また、その部分にある筋肉。

goo辞書より引用:体幹

一般的にはこのような範囲のことを指しますが、僕自身は首や股関節を含むこの範囲を体幹だと定義しています。

体(からだ)の幹(みき)と書いて体幹と言われますが、主な役割としては、内臓などの保護をすること、そしてつなぎめとしての役割があります。

保護の役割はイメージしやすいと思いますが、つなぎめというのはどういうことでしょうか?

 

体幹の役割のつなぎめという意味

さまざまなスポーツに共通することは、下肢から骨盤、体幹、上肢という順に動きがつながりパフォーマンスが発揮され、これらの動きが連動し、スムーズに動くことが重要だと言われています。

もしくは上肢、体幹、骨盤、下肢の順へのつながりです。

よく行われる一部分を強調するような練習をすることで、その一部分に緊張が生まれ、全体の動きはスムーズではなくなります。

野球で考えると、下肢から生まれるエネルギーを骨盤、体幹、肩、上腕、前腕、手、バットもしくはボールという順につながり、これらがスムーズに連動することで最大のパフォーマンスを引き出すことができます。

バッティングのときのインパクト、スローイングのときのリリース、これらのタイミングで最も大きな力を発揮する箇所は体幹です。

インパクトの位置

リリースポイント

投手の場合、試合では100球以上投げることもあるため、この体幹の持久力がなければすぐに疲れてしまい、腕で投げてしまいます。

腕の筋肉は体幹に比べると小さく持久力もありません。また大きなストレスを肩や肘などの腕の筋肉で受けてしまうと、障害につながってしまう可能性もあります。

この体幹の持久力を日頃からトレーニングしておく必要があるということが想像できると思いますが、ここで重要なことはどのようにトレーニングをするのかということです。

野球選手は、下肢から上肢へと動きが連動しますが、この連動を意識したトレーニングをする必要があります。ここがこの記事の中で最もお伝えしたいところですが、一般的に行われる腹筋や背筋。

これらを体幹トレーニングとして行っていると、投手が必要とする体幹の持久力はつくのでしょうか?言い方を変えると、300回、400回と身体を折り曲げる、反らせるようなトレーニングをするとどのようなことが変わるのでしょうか?

目的と方法が一致していればどのようなところに効果が出ているのかはわかりますが、僕も現役時代そうでしたが、何のために腹筋背筋をしているのかがわからないままトレーニングをしていました。

ただただ腹筋背筋をするのではなく、体幹トレーニングで重要なことは下肢から体幹へ、上肢から体幹へ動きを連動させながら行うことです。

 

具体的な体幹トレーニングの方法について

ここまでの考え方については整理できましたでしょうか?言葉でお伝えするのは非常に難しいですが、感覚的なことがこの体幹トレーニングでは重要になります。

先ほどから“連動”や“つながり”という言葉を使っていますが、これを感覚的に理解していただく必要があります。

まず、一般的に行われている腹筋や背筋を行ってみます。

一般的な腹筋

  1. 仰向けになり両膝を曲げる
  2. 両手を耳に添えるような形からへそをのぞき込むように身体を起こす

シットアップ

このとき腹直筋と言われる筋肉が主に刺激を受け、身体の折れ目のところが一番刺激を受けていると思います。この時点ではまだわかりづらいと思いますが、通常の腹筋では今のところに刺激を受けます。

一般的な背筋

  1. うつ伏せになり両手を背面で組む
  2. 身体を反らせるように起こす

このような背筋では脊柱起立筋と言われる腰辺りの筋肉が主に刺激を受けます。

一般的にはこれらを体幹トレーニングと言って実践されることが多いと思いますが、このような方法はただ身体を曲げたり、折ったりしており、体幹部分のみが動いています。

野球では上肢や下肢が動く中で体幹が活動するため、このような体幹部のみの動きはありません。ですので、これらをいくら数をこなしてもどこに成果が出ているのかが分かりません。

腹筋や背筋をする持久力はつくと思いますが、“野球に活かす”ための体幹トレーニングはできていません。これが目的と方法が一致していないということです。

ではどうすれば野球に活かすための体幹トレーニングができるのでしょうか?それはこのように行うことです。

上肢を使った腹筋

  1. 仰向けになり両手足を伸ばし、脚は肩幅、腕はⅤの字に伸ばす
  2. 背伸びをするように両腕を頭上に引き伸ばし、体幹まで引き伸ばす
  3. 軽く顎を引き、そこから頭と両腕を10cm持ち上げる

体幹トレーニング

体幹トレーニング

上肢を使った背筋

  1. うつ伏せになり両脚は揃えつま先まで伸ばす、両腕はⅤの字に開き、指先まで伸ばす
  2. 背伸びをするように両腕を頭上に引き伸ばし、体幹まで引き伸ばす
  3. そこから頭と両腕を10cm持ち上げる

体幹トレーニング

体幹トレーニング

まずこの2つをご紹介しましたが、実践してみた方はいかがでしょうか。こちらが意図としている方法ができていれば、先ほどの腹筋背筋とは違い、お腹・背中全体が刺激を受けている感覚があるはずです。

イメージとすれば、引き伸ばした両手の指先から順に腕、肩、体幹へと動かしていく感じです。まずは上肢から体幹へとつながりを持ってトレーニングをご紹介しましたが、本来はその他にも下肢から体幹などへ伝えるようなトレーニングも行います。

このように上肢、下肢から体幹へ連動させながらトレーニングを行うことで、野球で使う体幹がトレーニングでき、ピッチャーでは体幹をトレーニングすることで体幹の持久力がつき肩肘の負担を減らすことができます。

バッターの場合は、練習でより多くの数バットを振ることができ、数をこなせるということはよりうまくなれるということで、間接的に技術向上にもつながります。

このようにどのように体幹トレーニングをするのかによって結果は大きく異なり、改めて目的と方法を一致させる重要性を感じることができます。

 

求めるべきことは数より質。そこから数を求める

このように体幹トレーニングをご紹介すると「何回すればいいですか?」という質問を受けますが、限界まで行うことです。

この限界という言葉は、追い込め、追い込め、と精神論を言っているのではありません。限界の基準としては、正しいフォームが維持できなくなるところまで繰り返すということです。

しつこいようですが、今回の体幹トレーニングで重要なことは上肢、もしくは下肢からつながりを持って体幹をトレーニングすることです。

疲れてしまってフォームがバラバラになったり、崩れてしまって行っても、おそらく一般的な腹筋、背筋でご紹介したような使い方になる可能性があります。

まず大前提は、正しいフォームで行えること。それができてきたら数を求めるような形で行うと、得たい効果を得ることができます。

選手の場合は、焦らないことです。決して数を多くこなせることが良いということではありません。

ライバルに差をつけたい、追いつきたいという気持ちもあると思いますが、だからこそフォームを正しく行うことを何よりも大切にしていただきたいと思います。

 

まとめ

野球に活かす体幹トレーニングということで今日の記事をまとめていきましたが、いかがでしょうか。

腹筋をすること、背筋をすること、当たり前のように言われていることですので、疑うことさえもしないかもしれません。ただ、現状としては目的にそぐわない方法が多く紹介されているのも事実です。

この辺りをうまく精査していかないと思ったような成果を得られませんし、時間が無駄になってしまう可能性もあります。

2年半という短い高校野球、ひとつの集大成になる選手が多いと思いますし、一生の思い出になる2年半にするためにも、トレーニングや練習についてもひとつひとつ精査しながら実践していただきたいなと思います。

思い出になる2年半、悔いのない野球人生を送れることを陰ながら願っています。

今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

体幹トレーニング=腹筋だと理解しても思ったような効果が得られない理由

アタッチメントの装着

ブレない身体を作りたい。だからこそ体幹トレーニングをする、と意気込むスポーツ選手もいると思いますが、前向きに取り組む姿は素晴らしいなって思います。

ただ、その前向きさは正しいことがあって結果に結びつきます。50m走を誰よりも速く走りたいと思っているのに、シューズにこだわりすぎて練習をしないと意味がありません。

もしブレない身体を作りたいと思って腹筋にこだわっている場合、今日の記事を読んで少しだけ考えていただきたいことがありますので、お時間をいただければと思います。

では今日は、体幹トレーニングと腹筋についてお伝えしていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/core-baseball”]

 

体幹トレーニングって何?

そもそも体幹とは、どの部分を指しているのでしょうか?

体幹とはどこからどこまで?

■体幹とは?

体の主要部分。胴体のこと。また、その部分にある筋肉。

goo辞書より引用:体幹

一般的にはこのように胴体、首下から骨盤辺りまでの四肢を除いた部分を指していると思います。

体幹

僕の思う体幹の定義

僕自身が思う体幹の定義は、体幹の役割を考えると首や股関節まで含むと考えています。

体幹

体幹は上肢から下肢へ、下肢から上肢へのつなぎ役としての役割がありますが、首や股関節は胴体部分とつながっており、これらの動きも体幹部の筋肉の働きと関係するため首や股関節も体幹として含めて考えています。

トレーニングとは?

トレーニングっていう言葉は、一般的な理解としては筋肉を鍛える、強化するという意味で使われがちですが、言葉の意味は教育、教え込むなどといった意味があります。

■トレーニングとは?

練習をすること。訓練。鍛練。「試合を前に―する」「ハード―」

goo辞書より引用:トレーニング

これ辞書に載っている意味ですが、本来もっと意味があります。

訓練、教育、教え込む、指導する=できるようにすること。

このように何かをできるようにするために反復し、それらをできるように行うことをトレーニングと言います。そのため筋力に対する言葉だけではなく、たまに記事の中でも “整えるトレーニング” という表現を使っています。

柔軟性トレーニングとも言いますし、アジリティトレーニングともいいます。

体幹トレーニングは言葉通り体幹に教育し鍛錬していきます。

 

体幹トレーニング=腹筋と一般的には思われることが多い

具体的に体幹トレーニングとは?となると、一般的に言われるのは腹筋や背筋をしましょうとなります。代表的なのは、長友選手が行うような体幹トレーニングが今はひとつの流行りとなっています。

一般的に言われる体幹トレーニングはこのようなことが行われていることが多いと思います。

腹筋(クランチ)

クランチ【crunch】と言われる股関節、膝関節を90度に曲げた状態で腹筋を行うエクササイズ。

クランチ

これはお腹を引き締めたいと思っている方も行っているかもしれません。

背筋(バックエクステンション)

バックエクステンションと言われるいわゆる背筋。これは、うつ伏せの状態で身体を反らせるように背筋を行うエクササイズです。

 背筋

これを部活動なのでは一般的に行われるトレーニングだと思います。

フロントプランク

ここからは近年の流行りとして取り入れられていますが、腕立て伏せのような状態で肘から先を地面に付けこのようなポージングで数十秒耐えるトレーニングです。

体幹

これは長友選手が体幹トレーニングとして書籍で紹介されているため、有名になりましたね。

サイドプランク

フロントプランクと同じようなやり方ですが、横向きに行うエクササイズです。

サイドプランク

これらは体幹トレーニングとして一般的に行われていますが、ここで少し考える必要があるのは、これらをすると具体的に “どのような効果があるのか?” ということです。

そもそもトレーニングは何かの目的があって行うことであって、目的がなければしなくてもいいことになります。何かの体力要素を向上させたいなどの目的があるからこそすると思いますが、上記の体幹トレーニングをしてどんな効果が期待できるでしょうか?

また実際に行っている方は、どのような変化を感じているでしょうか?ここが最も大事なことです。ただやっているだけであれば練習をしている方がうまくなりますし、疲労するだけです。

ここで理解しておいた方がいいことは、トレーニングは行ったことに対しての効果しか出ないということです。スクワットして腕は太くならないですし、筋トレをしても野球はうまくなりません。

トレーニングの原則のひとつである、特異性の原則を理解しておかないとただやっているということになってしまいます。詳しくはトレーニーが知っておきたい7つのトレーニング原則に基づいたトレーニングの進め方を参考にしていただければと思います。

 

どんな効果を期待して体幹トレーニングを行うのか?

サッカー選手などのコンタクトスポーツをしている選手は、相手にぶつかられても倒れない身体になりたいと思っていると思います。そのために体幹トレーニングを行うというのは、現場でもよく選手から聞いています。

上記でお伝えした特異性ということを少し念頭に置きながら話を続けたいと思いますが、例えばサッカー選手に必要な体幹とはどのようなものでしょうか?

相手にぶつかられても倒れない体幹だと考えることができますが、先ほどの特異性を考えると仰向けになって身体を起こすような腹筋や、プランクなどのエクササイズ。これがぶつかられても倒れない体幹をつくるために活きるでしょうか?

プレー中は立っているので、そもそも特異性を考えるなら立ったままでトレーニングする必要があるのではないでしょうか?なぜ仰向け、うつ伏せになる必要があるのでしょうか?そう考えると、少し体幹トレーニングの見え方が変わってくると思います。

そもそもどのような効果を期待して体幹トレーニングを行っているのでしょうか?仰向けの状態で身体を100回起こす筋力がほしいのでしょうか?身体を1000回反らせることができるような筋持久力が必要なのでしょうか?

目的を明確にし、もし相手にぶつかられても倒れないような身体をつくりたいと考えている方は、次のようなことを理解していく必要があります。

 

相手にぶつかられたときに筋肉はどのような動きをしているのか?

例えば、野球選手がバットを振るときには筋肉は伸びる筋肉があり、縮まる筋肉があり、その中で動作という複雑な動きをしています。

この筋肉が伸び縮みしながら力を発揮することを、アイソトニックと言います。

サッカーのように相手とコンタクトするような種目では、相手にぶつかる、もしくはぶつかられたときに倒されないようにするためには、どのような動きになるでしょうか?身体を固めるような使い方になるのではないでしょうか。

このようなときに腹筋をするときと同じように身体を折り曲げるような動きをしないと思います。

身体を固めるということは筋肉が伸び縮みせず、同じ長さで力を発揮するということになりますが、このような筋力発揮の仕方をアイソメトリックといいます。

身体を強くする、ぶつかられても倒れない身体を作る際には筋力を向上する必要がありますが、この筋力を向上させるときに筋力の発揮形態によって向上させ方、条件が異なります。これを理解すれば体幹トレーニングへの活かし方につなげることができます。

アイソトニック(等張性筋活動)について

筋肉を伸び縮みさせて、筋力・筋肥大・筋持久力などの向上を目的とした場合、回数や負荷、全体の量などがトレーニング変数となります。

筋肉を大きくしたい方はこちらを参考にしていただければと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/muscle-pump-up”]

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/waittraining-point”]

これらの回数や量、負荷などのトレーニング変数を目的に合わせて変更することで目的に合った効果を得ることができます。

アイソメトリック(等尺性筋活動)について

続いて等尺性筋活動ですが、この筋活動の場合アイソトニックのように筋肉が伸び縮みせず、筋肉自体の長さは変わらないため回数を目安にすることができません。

そのため、アイソトニックの場合秒数が強度の設定として活用されます。

ここから重要なことですが、ぶつかられても倒れないような体幹の筋力を向上させようと思う場合、アイソメトリックでトレーニングし、筋力を向上させることになりますが、筋力を向上させる場合以下のような条件が必要になります。

筋力向上 6~12秒
筋持久力 15秒以上

アイソメトリックでトレーニングする場合、6~12秒で “限界” を迎えるような強度で行うことで筋力が向上すると言われています。

20秒や30秒連続してアイソメトリックのようなトレーニングをしても筋力は向上しないということになります。ということは、体幹トレーニングを行う場合、6~12秒を目安に設定し、出し切ることが重要だということになります。

これを踏まえて一般的に紹介される体幹トレーニングを見ていくと、時間が20秒や30秒に設定されることも多く、筋持久力が向上していることになります。

サッカー選手のような相手にぶつかられても倒れない体幹力をつけるためには、6~12秒で限界を迎えるようなアイソメトリックのトレーニングが必要だということになります。

 

具体的な体幹トレーニングの方法について

上記のことを実際に体幹トレーニングとして取り入れるためには、どうすればいいのでしょうか?

ラクロスというスポーツもコンタクトスポーツであり、実際に神戸女子大学のラクロス部で行ったトレーニングは以下のようになります。すべて直径3mほどの円を書いて、そこから押し出すというような方法をとりました。

相撲

正面で向き合い、相撲を取るように相手と身体を密着させ、押し合う。

体幹トレーニング

オフェンスは背中で、ディフェンスは身体の前側で押し合う

ディフェンス側の選手がオフェンス側の選手を押し出すような形で押し、オフェンス側の選手は背中側で出されないように抵抗する。

体幹トレーニング

体幹トレーニング

押し競まんじゅう

お尻を付け合い、背中側で相手を押し出す。体幹トレーニング

このような形で実際試合で受けそうなパターンを想定し、その形に合わせてさまざまなメニューをこのように行っていきました。

また試合だとファールになる強い当たりをシュートを打つ瞬間、走っているとき、ボールをキープしているときなど、状況に応じて行い、強くぶつかりそこに耐えるというトレーニングも行いました。

これは選手にさせると実際の試合や練習でも出てしまうかもしれないということで、僕が選手にぶつかったり、クロスと言われるラケットで叩きに行ったりしてトレーニングしました。

このように普段の試合では経験する以上の刺激を練習で受けているため、試合でファールにならない辺りに耐えられる体幹力がつくと考え行っていきました。実際、選手自身もあたりに強くなっていくことを実感することができました。

このようにただただ腹筋や背筋をするのではなく、競技に応じてどのような筋力が必要なのか、どういった形で筋力を発揮しているのかをきちんと押さえたうえでこのようなトレーニングを行っていくことで効果として実感することができるようになります。

野球選手なども同じで、体幹トレーニング=腹筋と思っていると、腹筋をすることでどのような効果があったのかを考えてみると意外と答えがみつからなかったりします。

意味がないということではないと思いますが、目的と方法を合わせることで自分が望んだ効果をはじめて得ることができると思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今日は体幹トレーニング=腹筋じゃないよ、ということをお伝えしていきましたが、自分が行っている競技では、どのような体幹の筋力や筋持久力が必要なのかを分析し、理解することでその方法は出てくると思います。

プロの選手がしていたからするのではなく、目的があり理解した上でトレーニングすることではじめて効果を実感することができると思います。

目的と方法を一致させることが何よりも重要になると思います。

今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

競技力向上にはインナーマッスルがポイント?多く残るインナーマッスルへの誤解

トレーナーの世界に入るまで本気で140km/hを投げられるトレーニング方法があると信じていました。

そのトレーニングといえば、ゴムチューブを使ってインナーマッスルを鍛えるというもの・・・。

今でこそそれがどういう意味を持つのか、判断できますが、当時は毎日チューブを引っ張っていた記憶があります。野球選手がより速い球を投げたいとなったとき、なぜ肩のインナーマッスルを強化する必要があるのでしょうか。

投球動作は全身運動であり、下半身から力が伝達され、体幹を通り肩、腕と伝わり最後にボールへ伝えらえますが、この一連の動作を考えたとしてもインナーマッスルだけを強化するのは疑問が残ります。

最近では、サッカー日本代表でもある長友選手がよく紹介している体幹トレーニングでも出てきますが、うつ伏せの状態で両肘をつき、腕立て伏せのような状態で身体を固定させるようなトレーニングですが、これもインナーマッスルを鍛えられるということがよく言われます。

実際のところ、インナーマッスルを鍛えることで競技力の向上につながるのか、また一般的に言われているインナーマッスルの強化はどのような役割を持っているのでしょうか?

そして、一般的に言われているインナーマッスルのトレーニング方法は、本当にインナーマッスルを強化できるのでしょうか?

今日はそのあたりを考えていきたいと思います。

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インナーマッスルの役割とは?

よく言われるのが、外の筋肉と中の筋肉という言い方をされていますが、ボディビルダーのような鍛え上げた筋肉が表面上に浮き出ているような見える筋肉を“アウターマッスル”と呼ばれ、そのアウターマッスルで隠すように存在するのがインナーマッスルです。

簡単にそれぞれの役割を説明すれば、このようになります。

  • アウターマッスル・・・関節を曲げたり、伸ばしたりする際に働く筋肉
  • インナーマッスル・・・関節運動が行われる際に、関節を安定させる役割を持つ筋肉

というようになります。

インナーマッスルは、関節を安定させるため身体を動かしているときに支える役割があり、この働きがないと脱臼をしてしまったり、関節面から骨が抜け落ちてしまうなど不安定な関節になってしまいます。

 

インナーマッスルを鍛えることでダイエットできる?

今、一般の方の中でインナーマッスルを鍛える目的のひとつにダイエットがあるそうです。

これはインナーマッスルを鍛えることで姿勢が整うため、代謝が上がりダイエットできるということが言われているそうです。いつもいうことですがダイエット=食事療法です。

考え方としては、基礎代謝が向上することで1日の消費量が増えます。1kg筋肉が増えると1日約50kcalの消費量の増加が見られ、1年間でみると約18,000kcalの消費が生まれ、何もしなくても約2kgの減量に成功することになります。

インナーマッスルは小さな筋肉や細い筋肉がですので、鍛えてもあまり肥大はしません。

このようにダイエット目的で行う場合、アウターマッスルを鍛える方が、筋肉が肥大し基礎代謝の向上に向いています。もちろんインナーマッスルを鍛えることで多少の変化はみられると思います。

 

勘違いだらけのインナーマッスルのトレーニング方法

インナーマッスルは低負荷でないと鍛えられない

よくインナーマッスルを強化する際に1~2kg程度の重りを使用しないと鍛えられない、高負荷であればインナーマッスルが使われずアウターマッスルばかりを使ってしまうと言われています。

このような説に、実際に筋電図を使って調べた研究でもそういった現象が観測されていないそうです。

筋力強化のトレーニングで行う場合、インナーの筋肉でも高負荷で行うことで強化できるそうです。ですので、低負荷でなければ鍛えられないというのは不適切であり、筋肉を緩めるなどの目的であれば低負荷が適していると思いますが、高負荷でもインナーマッスルは鍛えられるそうです。

鍛えるのか緩めるのか、目的によって方法や重量を変えることが大切だということです。

バランスボールなどの不安定な場所で行うトレーニングはインナーマッスルを鍛えられる

このようなトレーニングがインナーマッスルの強化になると言われています。

このような姿勢は主に、身体の前面の筋肉が活動していますが、このようなポージングをキープするような不安定化でのトレーニングはインナーマッスルを活動させ、強化になると言われていますが、実際にはあまりインナーマッスルはあまり関与そうです。

またバランスボールやバランスディスクなども同じ考え方で、不安定=インナーマッスルの強化という考え方がありますが、これも適切ではないようです。

本来の目的が筋力強化であれば、このような不安定化でのトレーニングはマイナスになる可能性もあるとのことで、イメージ感だけでのトレーニングは結果は伴わないことになります。

このように今までメディアや雑誌などで当たり前のように言われていたことがわかりやすく解説していて、この他にも参考になることが書かれていました。

見かけだけで行ってしまうトレーニングなども多いかもしれませんが、何事にも目的ありきで取り組まないと思ったような結果が得られそうにないということだと思います。

まだまだ理解できていないこともあるので、インナーマッスルについてはもう一度頭の中を整理していきたいと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?意外と普段されていることトレーニングがインナーマッスルの強化のつもりで行っていても、実際はそうではなかったこともあってかもしれません。

そもそもなぜインナーマッスルの強化が必要なのか、なぜ鍛えるのか、その目的を明確にすることがより身体を変えてくれるのかもしれません。

では、最後に今日のまとめをしていきたいと思います。

  • アウターマッスルは、主に関節運動を行う
  • インナーマッスルは、主に関節の安定に関与する
  • インナーマッスルを鍛えることでダイエットできるのでなく、ダイエットは食事療法
  • 低負荷でないとインナーマッスルは鍛えられないというのは不適切
  • 不安定な場所でトレーニングを行うからインナーマッスルが鍛えられるわけではない

このような内容でお送りました。実際に上記の画像のようなトレーニングをしている方が多いと思いますが、すべては目的ありきの方法で、楽しむという目的があればどんなトレーニングをしてもいいと思います。

ただ、何か目標とすることがあるのであれば、その目標を達成できるようなプランニングが必要になります。

方法ありきというのは結果は伴いづらいですよね・・・。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

筋力向上すればうまくなる?冷静に考えたい筋力と技術について

ストレッチ

プロ野球のキャンプも終わり、いろいろシーズンに入っていく季節となりました。今年はどこのチームが勝つのでしょうか。そんな楽しみもあり、春の甲子園も始まり、野球のシーズンが始まろうとしています。

夏の甲子園へ向けて熱い戦いも控えていますが、野球をよりうまくなりたい、そう思い練習に明け暮れている選手も多いと思います。うまくなりたいなら練習をして、と言いたいところですがなぜか筋力トレーニングに励む選手がいます。

オフはプロ野球選手の増量が話題となっていましたが、うまくなるためにはどうすればいいのでしょうか。今日は筋力と技術の関係についてお伝えしていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

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筋力とは?

筋力と技術の関係を見る前にそもそも当たり前のように使っている筋力【strength】という言葉はどのような意味があるのでしょうか。

■筋力とは?

言葉の通り、筋肉が発揮する力です。筋力は筋肉の断面積に比例すると言われ、筋肉が大きければ筋力は高くなります。

男性と女性では筋力差があり、体格も異なりますが、もし同じ筋量であれば男女ともに同じ筋力となり、このことからも筋力は筋肉の大きさに比例しているということがわかります。

筋力を高めるためには、筋肉を大きくする必要があり、そのために野球選手に限らずスポーツ選手の多くは筋力トレーニングに励んでいます。

筋力を向上させるためには筋肉を大きくするということは理解できたと思いますが、ではここから今日の本題です。筋力の向上と技術の向上は比例関係にあるのでしょうか。答えはNOです。

冷静に考えてみていただくとわかりますが、筋力は筋肉の大きさに比例します。ボディビルダーは筋量も多く、筋力が高い。では、ボディビルダーはみんな野球がうまいのかといえば違いますよね。このことからも筋力と技術は=の関係ではないことが理解できます。

 

なぜ筋力を向上させる必要があるのか?

筋力の向上が技術に直結しないとなればなぜ筋力を向上させる必要があるのでしょうか。これを理解するためには、コンディショニングという意味を知る必要があります。野球選手がうまくなるためには、練習が必要です。

練習をすればするだけうまくなる・・・というイメージがありますが、実はそうではありません。練習だけをしてもどこかで頭打ちが来てしまいます。その理由はこの図を見れば理解しやすくなります。

筋力向上

技術を向上させるためには、土台がしっかりしていることが必要で、もし小さな土台であればその上に積み重なる技術は小さくなってしまいます。練習だけしているとこのように土台が小さいため、どこかで技術の向上が見づらくなり、停滞してきます。

そのために土台である基礎体力を向上させる必要があり、プロ野球選手などはこの土台も当然大きく筋力も高い。この基礎体力というのは、身体的コンディショニングを指しており、こちらが身体的コンディショニングとなります。

筋力向上

技術を向上させるためには練習が必要になりますが、それだけではどこかで停滞してしまう。だから土台である基礎体力を向上する必要があり、この基礎体力を言い換えるとバイオモーターアビリティと言います。

土台というのは、筋力・持久力。スピード・調整力・柔軟性の5つの要素からなり、これらがすべて向上している状態、もしくは高いレベルにあることが土台を大きくするということになります。

本題に戻りますが、筋力を向上させる理由は土台をしっかりと作るために必要なことであるということですが、ただ筋力は体力要素の一部であり、土台作りをするのであればその他4つの体力要素もトレーニングし、向上させる必要があります。

この土台が大きくなるほど練習によって技術も向上しやすくなるということです。

体調だけではないコンディショニングという言葉が持つ本来の意味とは?

 

うまくなるためには何をすればいい?

では野球をうまくなるためには、何をすればいいのでしょうか。答えは練習ですが、バッティングを良くしようと思うとボールを打つことで。ピッチングを良くしようと思うとピッチングをすることです。

向上させたい技術に直結する練習をすれば技術は向上し、パフォーマンスも変わってきます。現場ではこのことが置き去りにされて練習方法が先行してしまい、いまいち何の練習をしているのかわからない練習もあります。

そこでここからは少し具体的に練習方法について見ていきたいと思います。

素振りについて

素振りをする目的は何でしょうか?何も考えず素振りをしてしまうと、空振りの練習をすることになります。目的を持たないまま練習をすると時間の浪費になってしまうこともありますので、目的をもって練習に取り組む必要があります。

素振りというのは、スイングの動作を確認したり、リラックスした動作を獲得する目的などで行います。

バットをどのように出せばスムーズに出るのか、どのように身体を使えばリラックスしたスイングができるのかなどを確認しながら素振りをすることで、意味のある練習となります。

よくあることは、バッティングを良くしたいのに素振りをするということです。バッティングはボールを打ちますが、バッティングを良くするためには実際にボールを打つことです。

何も目的を持たずに1000回の素振りをしても、ただ空振りを1000回したという結果が残るだけですので、目的を整理して素振りを行っていく必要があります。

ノックについて

僕はセカンドを守っていましたが、ノックが好きでよく受けていました。守備がうまくなるためには、チーム全体で行うノックだけではうまくなれません。なぜならチーム全体のノックは時間がかかり、個人が受ける回数には限りがあります。

守備がうまくなるためには、数を受けることです。そのためには、全体の中で行うのではなく少人数でノックを行うことで数も多く捕ることができます。チームとして連携を良くする目的であれば連携をとる必要があるので、全体で行うことが必要になります。

ただ捕ることをうまくなりたいのであれば必ずしも人数が多くなくてはならないということではありません。このあたりを整理しておくことです。

また高校野球のノックで典型的なのが、飛び込んで捕るようなノックがありますが、届かないところに打たれるノックは反応の練習になりますし、コオーディネーショントレーニングにもなります。

また近距離ノックのようなこともコオーディネーショントレーニングになり、イレギュラーバウンドした打球に反応することができるようになり、ノックもただ受けるだけではなく、考えて取り組むことで目的とした成果を感じることができるようになります。

シャドーについて

投手であればタオルを持ってシャドーを行うと思いますが、このシャドーの目的は何でしょうか?ピッチングを良くしたいのであれば、実際にボールを投げることです。

このシャドーは、自分の投球フォームを固める目的で行います。

同じ軌道で腕が振れるように何度も繰り返し、この動作を脳にインプットしていきます。

ただタイルを目一杯振り回すようにシャドーを繰り返しても、ただ繰り返す練習をしてしまうため、同じ軌道で腕が振れるように、またフォームが固定できるように何度も繰り返します。

このようにそれぞれの目的を理解した上で練習に取り組むことで、自分自身が得たい成果を得ることができますし、それが違っていれば自分が得たい成果ではなく別の成果を得ることになり、結果が伴わなかったということになります。

このあたりはしっかりと理解しておきたいところです。

コンディショニングを理解しよう!野球選手が知っておきたいトレーニングと練習の違いについて

 

筋力が向上すれば技術が向上することもある

ここまで筋力と技術はイコールではないとさんざんお伝えしてきましたが、実は例外があります。それは中学から高校になった辺りで、軟式バットから硬式バットに変わったりすると道具の重さが違い、重くなります。

この道具を扱えないほどの筋力しかない場合、筋力向上をすると技術が向上することがあります。このような場合、練習をして技術が向上する云々ではなく、筋力が弱いためトレーニングを行うことが先です。

道具を十分に扱えるような筋力がつくことで、スイング自体が変わったり、投げることができたりと技術の向上がみられます。

このような場合は、筋力向上=技術向上といえます。このように必ずしも筋力が向上しても技術は向上しないということではなく、一時的な向上が見られる可能性があるということを知っておくと整理がしやすいと思います。

 

コンディショニングレベルが向上することで起こること

これは自分でも体感したことですが、コンディショニングレベルが上がり技術面も向上すると、バッティングの際に起こりがちなのがタイミングの問題です。

特に冬にトレーニングに時間を多く割き、春先に本格的な練習を再開したときにバッティングを行うと、タイミングが合わないことがあります。これは練習していなかったからということではなく、スイングスピードが向上したり、バットを軽く扱えるようになったことでタイミングがこれまでと異なります。

そのため、これまでのイメージ通りにタイミングをとってしまうとバットの先に当たったり、空振りをすることが出てきます。このような場合は、再度タイミングのとり方などを変える必要が出てきます。

このあたりは感覚的なものですが、このようにタイミングの問題も起こる可能性があるので、押さえておきたいポイントだと思います。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今日は主に野球に関することで、筋力と技術の関係についてお伝えしていきました。

最近は野球選手からの質問やお問い合わせも増えてきていますが、このように筋力と技術に関連することが質問として投げられる方もいます。イメージとしては、ウエイトトレーニングをすればうまくなる、ホームランを打てると思いがちですが、そうではありません。

ホームランを打つためにはグランドコンディションも重要で、風向きやその日の天候も関係してきます。

ですので、ウエイトトレーニング、筋力、という端的なことだけではおそらく思ったような結果は得られず、ホームランも打てません。コンディショニングというワードは非常に奥が深く、広い視野を持って見ていくことが重要です。

今日の記事が少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

コーディネーショントレーニングとコオーディネーショントレーニングの違いについて

自分の身体を自由自在に操れること。それはトップアスリートにとっては必要なことであり、言葉では簡単そうに聞こえる言葉でも、実際に自分の身体を自由に操ろうとすれば、非常に難しいことに気づきます。

最近ではよく聞くようになったコーディネーショントレーニングという言葉ですが、どのようなトレーニングなのでしょうか。それ以前に、コーディネーションとはどのような意味があるのでしょうか。

先日の個人教授で自分の頭を整理できたので、それを踏まえてコーディネーションとコオーディネーションについてお伝えしていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

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調整力とは?

体力要素の中に、調整力という要素がありますが、これはどのような能力のことを指すのでしょうか。

体育の用語では、【身のこなし】と現すことができ、いかに自分の身体を自由にコントロールできるのかという能力と捉えています。

例えば、イチロー選手のバットコントロールは超一流であり、打率も3割を超えて当たり前とされています。あれだけのハイアベレージを残せるのは、自分の身体を自由自在に操りバットをコントロールし、的確にボールを捉える技術があるからです。

調整力とは、技術やスキルに直結するものでもありますが、この調整力はコーディネーションとコオーディネーションという2つの考え方ができます。

  • コーディネーション=アメリカ的な考え方
  • コオーディネーション=ドイツ的な考え方

このように捉えることができます。それぞれがどのような意味を持つのか、また現場ではどのように考えればいいのか、そしてこれらの能力をどのように高めればいいのか、これらのことを見ていきたいと思います。

 

コーディネーションとは?

人間がある動作を習得しようとすると、練習をし、何度も繰り返す必要があります。その過程で、全くできなかった動作を脳が理解し、徐々にその動きができるようになります。

そしてできてきた動作は、反復をすることでレベルアップをし、より精度の高いものへと変化していきます。

コーディネーションとはアメリカ的な考え方で、ある動作を習得するとき、パターン化された動作を繰り返し、簡単な動きから難しい動きへ、また遅い動作から速い動作へと難易度を上げていき、そのようなステップを作ることで動作を習得するということです。

コーディネーション

この過程をトレーニングする方法が、コーディネーショントレーニングとなります。

これをキャッチボールで考えてみたいと思います。まず、簡単な動きから難しい動きへと移行していきます。そして、遅い→速いへと移行します。

  • 5mぐらいの距離で、下投げでゆっくりと投げる
  • 10、15mと距離を広げ、下投げでゆっくりと投げる
  • 距離は同じで少しずつスピードを上げていく
  • 15mぐらいの距離で上から投げる
  • 徐々に距離を広げていく

これはあくまでも例ですが、この中間にワンバウンドなどもいれてもいいと思いますし、ステップのさせ方は発想になりますが、イメージとすればこのようにできる→できる→できるということを繰り返して、一つの動作を習得していきます。

 

コオーディネーションとは?

コーディネーションと異なるコオーディネーションとは、こちらも身のこなしという意味になりますが、これはドイツ的な考え方となります。コーディネーションと何が違うのかというと、コーディネーションは“パターン化された”動作を習得してきますが、これはスポーツの試合の中ではあまり活かされません。

試合というのは、予期せぬ動きやプレーを求められることがほとんどであり、パターン化された動きは一部を除いた以外はほぼありません。

コオーディネーションは、予期せぬ動きに対応するため、予想しない、不意の動きを経験させる目的があるということです。このような予期せぬ刺激を加えることで、試合で予期せぬ動きが、またはプレーが要求される場面で活かされることになります。

コオーディネーションは、できないこと、または難しいことを経験させ、その新鮮な刺激を与えることで日頃のプレーをより簡単にこなすことができたり、感覚がより鋭くなったり、試合では予想していない動きばかりが要求されますが、これらに対応することができるようになります。

コーディネーションはできることを目的としていますが、コオーディネーションはできることを目的とせず、今までに経験していないさまざまな動きや刺激を加えることを目的としています。

言葉では一文字だけ違いますが、意味としては大きく異なることが理解いただけたと思います。

 

コーディネーションとコオーディネーションの違い

ここまでコーディネーションとコオーディネーションの違いについてお伝えしてきましたが、もう一度整理をするとこのような違いがあります。

  • コーディネーション・・・1つのパターン化された動作の習得
  • コオーディネーション・・・予期せぬ動きを経験させる

このような違いがあり、コーディネーションは動作の習得を目的とし、コオーディネーションは動作の習得は目的とせず、さまざまな動きやプレーを経験させることで、試合で予期していないことが起こったときにも対応できるようになります。

そのため日頃の練習の中ではこの2つをトレーニングする必要があることがわかります。ひとつのパターン化されたトレーニングも必要になりますが、それだけでは試合ではほとんど役に立ちません。

コオーディネーショントレーニングを行い、さまざまなパターンを経験させておくことで試合で対応できるようになっていきます。コオーディネーショントレーニングを行う時は、慣れささない、予測できることはしない、ということが重要です。

慣れてしまえばそれもパターン化されてしまい、本来の目的から離れてしまいます。慣れてくる前にまた違うパターンを経験され、このバリエーションをいくつもつくって経験させます。

 

どのように調整力を向上させればいいのか?

調整力と言われる体力要素をどのように向上させればいいのでしょうか。技術やスキルに直結しますが、コーディネーション、コオーディネーションどちらもひとつだけを考えてしまうとうまく向上させることができません。

例えば、バッターが打った球を野手が捕ろうとします。それ以前に、この野手の選手は、キャッチボールから始まり、ワンバウンドのボールとショートバウンドで捕り、次は速めの球で同じことをする。

そして、軽く打った球を捕ってみる。次に、打者が打った球を捕る。この過程で、真正面のボールしか捕ることをしていないと、試合中に身体の左右への打球が来た場合うまく処理することができない。

もしかするとイレギュラーするかもしれないし、打球が変化するかもしれません。もし、パターン化された真正面の球を捕る練習しかできていない場合、これだけでは技術の向上はここまでです。

左右への打球の練習もしなければいけないですし、イレギュラーに対応できるように近距離ノックや飛び込みながらキャッチする練習も必要になります。

そういったあるパターン化された動きと予期せぬ動きの両方の練習が必要であり、調整力の向上は、コーディネーションとコオーディネーション両方のトレーニングが必要だということがわかると思います。

 

実際に現場で行ったこと

これらの考え方を現場で実践してみると、より理解を深めることができました。

ラクロス部のゴーリーに対して行ったのは、まず、ゴールの枠を9つに分け、その1つ1つの箇所に対して身体をどのように動かすのか、それを確認しながら何度も繰り返し行っていきました。

これがコーディネーショントレーニングとして捉え、次に行ったのはピンポン球を使ったり、近距離などでボールを投げてその刺激を体感させるということです。

他には壁から5mぐらいの距離に壁向きに立ち、背中側からボールを壁に当て、その跳ね返りに反応しボールを止めることもしました。このようにバリエーションをつけトレーニングを行っていきました。

これがコオーディネーションとして捉えて行いました。ピンポン玉を近距離で投げ、風などの影響で大きく変化するためそれに反応するということをさせ、ボールを投げる場合は、さまざまな距離から普段では体感しない速球を投げ、刺激を与えていきました。

  • コーディネーション=9つの箇所に対する動作
  • コオーディネーション=ピンポン玉や速球を活用し、予期せぬ動きを体感させる

このように考え、実際に練習の中で行っていきました。

ラクロスというのは、シュートが打たれるときは5mぐらいの距離からシュートが打たれることもありますし、それよりも近い距離のシュートもあります。

ある程度の変化を見ることができましたし、ショートバウンドへの反応は明確に変化していることがわかりました。このように実践からも変化を感じることで、調整力についての理解を深めることができました。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。コーディネーションとコオーディネーションの違いは、明確にありこれをうまく組み合わせることでよりレベルの高い身のこなしができるようになります。

さまざまなトレーニングメニューがありますが、これも発想でより多いメニューを用意することができますので、トレーナー側はバリエーションを多く考えておかなければいけません。

本質を理解してこれからもさまざまなバリエーションを考えていきたいと思います。

では最後に今日のまとめを書いていきたいと思います。

  • 調整力とは、身のこなし、スキル・技術のことを指している
  • 調整力は、コーディネーションとコオーディネーションという2つの考え方がある
  • コーディネーションとは、パターン化された動作を習得すること
  • コオーディネーションとは、予期せぬ動きをより多く体感させること
  • 調整力の向上はこの2つをうまく組み合わせること

このような内容でお送りしていきました。流行りのひとつして言われているコーディネーショントレーニング。小さい子供に必要なのは、コーディネーショントレーニングと言われていますが、本当は公園で遊んだり、外で駆け回っていること、それ自体が調整力のトレーニングではないでしょうか。

自然の中で遊ぶことでそこで得られる身体の動きや新しい体験。それ自体が将来子供にとって本当に必要な刺激になるのではないでしょうか。新しいものばかりに取り組むよりも、こうやって昔ながらの当たり前のことをするだけでもトレーニングになると思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ストレッチ効果!?マラソン選手が知っておかないと損をする可能性がある柔軟性について

フィットネスクラブに通う人の中で最も知っているテクニックが“ストレッチ”ではないでしょうか?読者の中でストレッチを知らないという方はどれほどいるでしょうか?おそらくほとんどの人が知っていると思います。それほどポピュラーなストレッチですが、ストレッチの効果といえば筋肉を緩めるということが一般的に知られています。

筋肉を緩める目的で行うテクニックはさまざまなありますが、ストレッチもその中のひとつです。実は、ストレッチによって筋肉を緩め、柔軟性を高めることはメリット、デメリットがあることはご存知でしょうか。

ストレッチによって柔軟性を高めることで、余分なエネルギー消費が高まることがわかっており、見方によればダイエットをされている方はうれしい情報ですが、マラソン選手についてはエネルギーが消費が高まってしまうため、タイムに悪影響が出てしまう可能性あり、この情報を頭に入れておく必要があります。

今日は、このストレッチの効果とマラソン選手との関係についてまとめていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/stretch-gyakukouka”]

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/stretch”]

 

ストレッチの意味とは?

そもそもストレッチとは、どんな意味をもっているのでしょうか?

  • ストレッチ【Stretch】・・・~を伸ばす、~を引っ張る
  • ストレッチング【stretching】・・・~を伸ばし続ける、~を引っ張り続ける

このような意味がありますが、~を、というのは、対象物がどのようなものになるのかで方法が変わってきます。

 

ストレッチの種類

ストレッチというものをイメージしたとき、一般的にはスタティックストレッチングという静的なストレッチングのことを指していることが多いと思います。

スタティックストレッチングとは、あるポージングをとり筋肉を気持ちのいいところで伸ばし続け、ポージングをキープするようなストレッチングのことです。よく言われるのは、筋肉に意識を向けて○○秒伸ばしましょう、というものです。

ストレッチというとこれだけではなく、さまざまな種類があります。

  • ストレッチ
  • ストレッチング
  • スタティックストレッチング(静的)
  • ダイナミックストレッチ(動的)
  • バリスティックストレッチ
  • アクティブストレッチング
  • パッシブストレッチング
  • ペアストレッチング
  • パートナーストレッチング

これらはそれぞれに意味を持ち、方法が異なりますが同じ意味で使われているものもあります。トレーナーとすれば、これらのストレッチをどのように定義するのかを自分なりに理解しておくことは重要です。

今回はこのスタティックストレッチングで得た柔軟性が、マラソン選手にとって非常にタイムに関係のある事実がわかっており、見方を変えればダイエットに臨んでいる方にとってはプラスになる話だと思います。

では早速、ストレッチの効果とマラソン選手との関係について書いていきたいと思います。

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ストレッチとエネルギー消費の関係

近年の研究により、柔軟性が高い人ほどエネルギー消費が高くなることがわかったそうです。この事実を基に考えるとマラソン選手や長距離を専門とする選手は、ストレッチの効果で身体を柔らかくしすぎることはリスクを伴うということになります。

エネルギー消費が高くなるということは、余分なエネルギーを消費するため、スタミナを無駄に消耗してしまう可能性があります。すると燃費の悪い車と同じで、すぐにガス欠を起こしてしまう。ということは、タイムが悪くなる可能性があります。

こう見るとストレッチが悪いように思いますが、ダイエットをしているからするとプラスになる話。余分にエネルギーを消費するため、その分だけ脂肪が燃焼されることにもつながり、体重が落ちることが期待できる。

ただここで理解しておきたいことは、ストレッチの効果で結果的にエネルギー消費が高くなると言っても1ヶ月で2・3kgも変化が出るわけではない。

微々たるものですが、ちりも積もれば山となるということわざがあるように、身体が硬いよりも柔らかい方が痩せやすいということになります。

でもこの問題は、マラソン選手にとっては死活問題になりかねません。柔軟性とエネルギー消費の関係を知っておいた方がよさそうです。

 

マラソンの世界は奥が深い

この記事を熱心に見られている方は、ランナーの方が多いと思いますが、実はマラソンの世界は奥が深い。バイオメカニクスの観点からみるとそれがよくわかります。こんな数字を見ていただきたい。

ストライドを1.7mとしたとき・・・

  • 5000m=約2942歩
  • 10000m=約5883歩
  • マラソン=24820歩

という数字が導き出されます。

ストライドが1歩につき1cm伸びれば・・・

  • 5000m=17歩 約30m
  • 10000m=34歩 約60m
  • マラソン=145歩 約250m

の短縮がされできるというデータが出ています。

接地時間がわずか0.01秒速くなることで・・・

  • 5000m=約30秒
  • 10000m=約1分
  • マラソン=約4分

タイムが短縮できるというデータが導き出されています。

いかがでしょうか。1cm、0.01秒の差が積もればこれだけ大きな差を生むことが理解いただけたでしょうか。では、今日の本題を考えてみると、柔軟性が高まりすぎることで、エネルギー消費が増えることでタイムにどこまで影響するでしょうか。

詳細はわかりませんが、おそらくこのようにバイオメカニクスの観点から見えた数字のように、タイムに対する影響は小さくないということは容易に想像ができそうです。

50m5.8秒の現役トレーナーが伝える走り方について

50m5.8秒の現役トレーナーが伝えるストライドを伸ばす”弾む”練習方法

走り方やフォームを変えることでタイム短縮つながる理由

 

足首の柔軟性とマラソンとの関係について

そもそもマラソンや長距離など、走っているときに足首はどのような使われ方をしているのでしょうか。一般的理解はこのようになっているのではないでしょうか。

  • 地面を蹴る、押す
  • つま先で地面をかく

この他にもあると思いますが、地面を蹴るなどの表現は現場でもよく聞く言葉ですが、このような言葉からつま先は地面の方へ動き、このような動きを底屈といいます。

地面を蹴る

このような動きをすると、足首を使っているという表現になりますが、マラソンの強豪国であるケニアなど選手はこのような足首の使い方をしておらず、足首は固定的に使うような選手もいます。

実際に、詳しい年月は忘れてしまいましたが、1990年代前後にある世界陸上で企業が分析装置を使って足首の使い方のデータをとったことがあります。そのデータを解析したところ、日本人は地面を蹴るような足首の使い方をしていましたが、世界のトップ選手の多くは足首を固定的に使っていたそうです。

このことからもわかる通り、速く走るためには足首を使うのではなく、固定的に使うという考え方もできることになります。速く走るためには、そもそも足首の使い方だけが重要ではなく、もっと引いてみる必要があるということも見えてきます。

こういったことから足首の柔軟性が高ければ速く走れるということにはならないということです。ではどうすれば速く走ることができるのでしょうか。

 

重心を運び、いかに無駄のないスムーズな動作ができるか

速く走るためには躍起になって、頑張れ、頑張れ的なことでは到底好タイムは期待できない。ではどうすれば速く走ることができるのか。まず理解しておかなければいけないことは、短距離と長距離では走り方のイメージは異なるということ。

今回は長距離に限定してお話を進めていきたいと思います。

マラソンで自己ベストを記録するためには、まずスムーズな動作ができているのかということが重要になります。短距離以上にフォームが重要なことは、上記の数値からも理解していただけると思います。そのスムーズな動作をするためにはどうすればいいのでしょうか?

重心を前に運ぶ

スムーズな動作をするためには、身体に過度な意識を向けないということが重要です。一見不思議な意見なように感じますが、筋肉に意識を向けるということは、そこを探ることになってしまうため筋肉は緊張し、動きが硬くなります。

42.195kmという長い距離をそれだけの意識を持ってしまうこともタイムをロスする原因になります。

筋肉からは意識を外します。そうすれば緊張せずリラックスして走ることができますが、そこで意識をするのは重心です。自分の重心を高く持ち、その重心を前に前に運ぼうとします。人間はひとつのことしか意識できませんので、重心に意識を向けると自然に動きはスムーズになっていきます。

走り方

脚の使い方について

先ほどもお伝えしたように、脚の使い方としては足首をどうこう使うという意識は持たないようにし、リラックスできているとフラットに着地することができますので、走っているときに力が入っているところがあればそれを抜いていきます。

そうすればフラットに着地することができ、ふくらはぎが過度に疲れたりパンパンに張るということもなくなっていきます。

膝を高く上げるということもよく言われますが、これも先ほどもお伝えした世界大会のときのデータがありますが、膝は高く上げるのではなく、トップ選手の場合、前に出すようなイメージの動き方をしていました。

一般の方であれば脚をどういう風に動かそうと考えてしまうよりも、まずはシンプルに重心を前に運ぼうと意識するだけでおそらく楽に走れ、どんどん前に進む感覚が得られると思います。

前に進むのではなく、勝手に進んでしまうような感覚になりますので、重心を前に前に運んで走っていただきたいと思います。

腕の使い方

短距離の場合は、腕は前方への推進力を得るのに活用しますが、長距離でそのような使い方をしてしまうと肩周りが緊張し、動きが悪くなってしまいます。

長距離の場合、腕はリズム取りの役割をしてくれますので、これも足首同様どのように使うのかというよりも、リラックスして走り、振りやすいところで振ればいいと思います。

手のひらについては、握り込んでしまうと肩の動きが悪くなってしまうため、握り込まずに半開きにして自分が一番リラックスできるような手の開きをします。

このように重心を前に運ぼうとし、筋肉への過度な意識を外すことができれば今以上に楽に走れ、どんどん前に進む感覚が得られるようになります。

 

ストレッチの本質

このまま締めてしまうとストレッチが悪者扱いされそうですが、そもそもスタティックストレッチングの本質は一体どのようなものでしょうか。

冒頭で伝えましたが、対象物を何にするかで方法が異なるということですが、対象物になるものは筋紡錘、腱紡錘(ゴルジ腱器官)、筋膜など、大きく言えば3つです。まだほかにもありますが、今日はここは深入りしません。

一般的に知られているのは、ある特定の筋肉を伸ばし、意識を向けながら数秒、または数十秒伸ばし続けるといったものです。

本当にこれで適切な身体の反応を導きだせるでしょうか。みんながやっているから、先輩に教えられたから、先生に教わったからという理由だけでストレッチをやるのは、時間の無駄かもしれません。

筋肉を緩めるという反応を導き出すために、今日は本質を伝えていきたいと思います。

 

筋紡錘を対象としたストレッチングの考え方

筋紡錘とは?

骨格筋中にある紡錘形の微小な感覚器。筋肉の収縮を感知して手足の位置・運動・重量・抵抗の感覚を起こす。動物の姿勢保持や細かい運動に重要。

引用:http://www.weblio.jp/content/%E7%AD%8B%E7%B4%A1%E9%8C%98(Weblio辞書より)

まず、筋肉をイメージしてみてください。すると大方の人は、筋腹をイメージすると思います。この筋腹の中には、筋肉の伸ばされた長さや速さなどを感知する受容器が備わっています。これが筋紡錘です。

筋肉は腱に移行し、骨に付着しますが、筋肉を引っ張り続けると最終的には筋肉は引きちぎれてしまいます。もしそうなると大変です。でもそうならないために、防衛反応が働くわけです。引きちぎれないために、筋紡錘が刺激を受けると収縮するのは、このためでもあります。

ストレッチングの目的は、筋肉を緩めることですので、この筋紡錘は刺激を受けると筋肉を収縮させるため、筋肉を緩めるには、筋紡錘に刺激を加えないようにすることが必要となります。

そのため、筋紡錘に刺激を与えないようにはこの2つを注意しなければいけません。

  • ゆっくりと伸ばす
  • やさしく伸ばす

要は、筋紡錘に刺激を加えないようにするためにはゆっくり、やさしく筋肉を伸ばすことで目的の筋肉を緩めるという反応を獲得することができます。

 

ストレッチの具体的な実践方法について

では、具体的な例を挙げていきましょう。

調整

ここからは、みなさんが日頃しているストレッチングをイメージしていただき、ポイントをお伝えしていきます。上の図の説明をしているのではないので注意していただきたい。

目的&方法:ハムストリングス(モモ裏の筋肉)を緩める

  1. 座った状態で両脚を伸ばし、前屈をします。(このとき膝を軽く曲げてもOK)
  2. 気持ちがいいと感じるところで約30秒キープします。
  3. このとき、本を読んだり携帯を触ったりし、筋肉から意識を外します。
  4. 深呼吸を繰り返しながら約30秒保持すると筋肉は緩む

痛みの感じないところで30秒前後伸ばすことで、筋紡錘がその長さに適応し、「ああ、もうこの長さは安全だ。」と安心するかのように筋肉を緩めてくれる。これがストレッチングの本質である。

ここには書いていませんが、腱紡錘、筋膜が対象物になった時にはまた方法は異なります。それはまた後日伝えたいと思います。

 

ストレッチの効果について

いかがでしたでしょうか。ストレッチについて理解を深めていただけると嬉しく思いますが、ストレッチとは本来筋肉を緩める目的で行い、その目的を達成するためにさまざまな方法があるということです。

ただ、筋肉を緩めすぎることはパフォーマンスに影響を与えたり、エネルギー消費を増やすということを考えればマラソン選手にとってはマイナスになるということも考えられます。どのような目的をもって行うかによってストレッチというものも、メリット、デメリットはあるということだと思います。

マラソンを終えたあとはなどは、筋肉が緊張し縮まっている状態ですので、そういう後にストレッチングを行うことで筋肉を緩めることができリラックスすることができます。

ダウンとしてストレッチングを活用することは適切だと思いますので、目的によって方法は変えていきたいものですね。

筋肉を緩める方法=ストレッチは意外と難しい!筋肉を緩める方法のご紹介

 

まとめ

では最後に今日のまとめを書いていきたいと思います。

  • ストレッチは、~を伸ばす、~を引っ張るという意味がある。
  • 対象物を何にするかで方法が変わる
  • 筋紡錘は刺激を受けると筋肉を収縮させる
  • ストレッチングで重要なことは、ゆっくり、やさしく筋肉を伸ばすこと
  • 筋肉に意識を向けると緊張するため意識は向けない
  • 30秒たつと筋紡錘は伸ばされた長さに適応し、筋肉を緩める

このような内容でお送りしました。今日の内容が少しでもお役に立つ内容になっていればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。