ランニング障害

モートン病の手術をしても痛みが出続けた原因と改善について

モートン病と言われる足部の痛みを抱える高齢の女性からご相談があり、手術を受けたが一向に痛みが引かないということで、さまざまな病院や治療院などを周り、それでも改善しないためジムに通い、そんな流れの中で僕のところに来られた方がいます。

モートン神経腫を取り除き、それでも痛みが残ってしまって「もしかすると自分は何かに憑りつかれているのでは・・・」と考えてしまうほど、痛みの原因が分からないまま過ごされ現在に至ってしまったそうです。

手術をしてもなぜ痛みが残ってしまったのか、セッションを行う中で痛みの改善が見られるようになり、そこで感じた痛みの原因と改善について今日はお伝えしていきたいと思います。

 

モートン病とは?

モートン病とは、足の第3~4中足骨間に出る痛みやしびれの出る神経症状のことで、わかりやすく言えば、足の中指と薬指の骨と骨の間に痛みが出る症状のことをモートン病と言います。

モートン病は、第3~4中足骨間で起こると言いましたが、第2~3中足骨、第4~5中足骨の間でも起こることがあり、足の骨と骨の間に痛みが出る場合、モートン病の可能性があります。

モートン病

なぜモートン病になってしまうのでしょうか?それは、足の前側に体重がかかり、局部にストレスを受けることで炎症が起こりモートン病になってしまいます。そのため、改善のためには、異常体重を直すことが必要で、局部的にストレスを受けているため、足裏全体で体重を支えらえられるようにすることが必要です。

 

モートン病になる原因

もう少し具体的にモートン病について見ていきたいと思います。

人間の足には4つのアーチがある

人間の足には4つのアーチがあり、このアーチを保つことで衝撃を吸収する役割を担っています。イメージとすれば、手の平に水滴を溜めるような形で、その手を平らな場所に置きます。

モートン病

モートン病

置いた手の平全体を真下にグッと押すと少し手が横に広がり、作っていた高さが沈むのがわかると思います。人間の足でもこのようなことが起こっており、この4つのアーチを保つことで、衝撃を緩和し、筋肉などにかかるストレスを分散しています。

そのアーチというのは、横2つ、足の甲に2つあります。

モートン病

モートン病

モートン病

先ほど、手のひらを真下に押すということをしましたが、このとき全体がベチャっと沈み込みました。どこか一点が沈み込んでしまうような動きだと、その一部分に大きなストレスを受け、モートン病はつま先の一点にストレスを受けるため発生してしまいます。

衝撃を緩和するためには足裏全体にストレスが分散される方が、身体にかかるストレスも軽減されます。では、そのためにどこに体重を乗せればいいのでしょうか?それを知るためには、足裏にかかる体重の分布を知ることです。

足裏にかかる体重の比率

マルカルドの体重分布図というものがあり、その考えを参考にすると、以下のような体重分布になります。

体重分布

足裏にどのように体重が乗るのかということを表した図ですが、踵20%:母趾球17%:小趾球13%=片脚50%、両脚で100%になるようになっています。

このような体重分布になれば、先ほどお伝えした足裏全体で体重を支えることができ、ストレスも一部分に集中せず分散されます。

ただ、ここでおさえておかなければいけないことは、人間は1つのことしか意識できないということです。この3点支持をするためには、どこか1点に意識を向けて立つとその部分に体重の比率が偏ってしまいます。ですが、3つ同時に意識することはできません。

そのために、どこか1点に意識を向けることでこの体重分布にならないかどうかを考える必要があり、その1点の場所というのがこの脛骨(すねの骨)の真下になります。

体重支持ポイント

脛骨(すねの骨)の真下の位置で立つことで、骨を感じることができ、全身の緊張が緩んだ状態であればこの点で立つことできます。

もしモートン病でつま先に痛みがある方は、この位置で体重を支持することでつま先部分へのストレスは軽減され、アーチが崩れている方の場合、元に戻っていきます。

モートン病の原因は体重のかかる位置が問題

ここまで4つのアーチ、体重分布についてお伝えしてきましたが、モートン病の主な原因は、痛みが発生している箇所にストレスを受けるような姿勢や日常動作を行っていることが問題です。

相談に来られた女性の方は、以前はヒールを履いて仕事をされており、そのヒールの先端は細くなっているものでした。

先端が細くなっているヒールを履くと足趾が内側に寄ってしまい、サイズも少し小さかったようでハンマー足趾という足趾が曲がってしまう症状も見られました。サイズの合わないヒールやシューズを履いていると、足裏にかかる体重は、一部分でストレスを受けてしまい、つま先に体重がかかってしまうことでモートン病のような痛みが生じたと考えられました。

言い方を変えると、痛くなるように立ち、歩いていたということであり、痛みの発生しているところに体重がかかっており、異常体重だったということです。

 

モートン病の手術をしても痛みが改善しなかった理由

この女性は、5年前にモートン神経腫を取り除く手術をされており、そこからの経過を聞くとこのような流れが見えてきました。

術後のリハビリは足趾でタオルを握ること

タオルギャザーといって、タオルの上に足を置き、足趾でそのタオルを手前に引き寄せるようなエクササイズですが、術後は足のアーチが下がっているということで、このタイルギャザーをするように指示されていたそうです。

モートン病

モートン病

この方の場合、術後から一度も足の痛みが引くことがなく、常に何かしらの痛みを抱えている状態でした。そんな状況のなか指示されたタイルギャザーを継続していても、一向に痛みが改善し良くなる気配がないばかりか、次第に痛みが増すようになり、不安も増していったそうです。

インソールを勧められる

インソール

痛みが改善しないことを医師に相談すると、インソールでいいのがあると勧められ、それを購入して使用し始めたそうです。

モートン病になると、インソールやパットを活用して落ちてしまったアーチを上げると痛みが改善することもありますが、今回の場合それが逆効果となりました。

インソールについているパットが踵と母趾球にあり、これで改善ができるのでは、と期待を込めて使用していたそうですが、履けば履くほど痛みがある箇所にストレスがさらにかかっている感覚があり、痛みも改善されなかったそうです。

これは当然で、このとき使用していたインソールを見せていただきましたが、踵と母指球にパットが入っており、インソールを履くと痛めている箇所に体重がかかるような設計になっていました。他の種類のインソールも勧められ、自分に合ったインソールをみつけるために、約25セットぐらいのインソールを購入されていました。

実際にお持ちいただきましたが、どれを履いても痛みが改善することはなかったそうですし、すべての形を見て、どう考えても上記の体重分布ができるような設計にはなっていませんでした。

術後に痛みが改善しなかった、または痛みが増してしまった原因のひとつにこのインソールがありました。

脚長差があるため骨盤を矯正するパットを使用

パット

インソールと同じタイミングで勧められたのが、お尻の下に敷くパットで、骨盤の高さが異なるためそれを敷くことで身体は整うということで購入されたようです。

確かに骨盤の高さは違い、脚長差がありましたが、これを敷いた側の腰や肩に張りが出て、座布団代わりに日頃使用すると身体がしんどくなったそうです。

それもそうで、骨盤の歪みが起こっている場合や、部分的な歪みがある場合、その部分が単体で歪むということは難しいものです。部分の歪みがある場合、全体の歪みがあるため、その影響を受けて現状の歪みの形となります。

そのため、部分だけをどうこうするよりも、全体を一度整え、自然体に直すことが必要です。

実際に、自然体に直し、何もないところに座っていただくと、身体も楽になり、再度このパットの座っていただくとどれだけ不自然かが理解していただけましたが、このパットも身体の緊張を増すアイテムとなっていました。

術後に行ったのはこれだけ

術後に行ったことは、タイルギャザーとインソールやパット敷くということだけで、それ以外は何もしていないそうです。

このように術後を送られており、痛みが改善しない日々が続き、手術とすれば改善するという希望が徐々に薄れ、また手術を前のような不安が襲ってきたそうです。

 

この方がモートン病になった理由

たまたまモートン病のことについて調べていると、僕のブログを見つけられ来られるようになったのですが、この女性からさまざまな話を聞く中で見えてきた原因がありました。

10年ぐらい前に外反母趾になる

外反母趾

まず最初に足に痛みを覚えたのは、10年前の外反母趾が原因だったそうです。この時期に仕事の内容が変わったそうで、そのタイミングから今まで履いていなかったヒールを履くようなったそうです。

慣れないヒールを履くと、つま先は狭く常に母趾は痛かったそうです。何も考えずに歩いていると、母趾周辺がヒールに当たり痛みが出るので、それを避けるように小趾側から着地するように歩いていたそうです。

そもそもの問題はここからだと感じていましたが、このときにつま先の少し外側で着地するようになり、それが癖づいていったそうです。

着地をすると足が痛み出した

今から約7年前にこれまで外反母趾の痛みしか感じていなかったのが、突然足のつま先に感じるようになり、その頃仕事の忙しさが増し、外に出歩く機会が増えていったそうです。

その頃感じていた痛みというのは、着地をするタイミングで痛みが走り、ヒールを履いていない時に着地をしてもあまり痛みを感じていなかったそうです。

問題はヒールを履いている時の着地にあったと思います。

この時期辺りから外反母趾の改善と共につま先に出る痛みを改善するために、整骨院や整体、鍼灸院などに通いだしたそうで、どこかの院で「筋力が弱いから痛めてしまう」ということを言われ、そこから鍛え始めたそうです。

仕事のストレスで睡眠障害に

整骨院などにも通っていましたが、仕事の内容が大きく変わり、非常に大きなストレス抱えるようになってしまい、気持ちの余裕がなくなりどこにも通わなくなってしまい、つま先周辺の痛みがどんどん増してきてしまったそうです。

ストレス過多のため、夜も眠れなくなってしまい、現在でもお薬を飲んで寝るようにしているそうです。

大きなストレスを受けることで、気持ちの余裕もなくなり、一時期は何もする気持ちが起こらず、でも足の痛みは悪化していき、そして最終的に病院へ行き、モートン病と診断され、手術に至ったそうです。

このような経緯でモートン病になってしまい、痛みに悩む日々が続いているということです。

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モートン病の改善について

このようなことをクライアントさんからお聞きし、痛みの原因は異常体重の他にも考えられることがあり、実際にセッションを行っていきました。

全身の筋肉を緩め身体を整える

身体調整

まず行ったことは、全身の筋肉非常に硬く、冷え性であるということで、全身の筋肉を緩め、循環の改善を行っていきました。

ご自宅で寝るのは非常に時間がかかるということをお聞きしていましたが、セッションで身体を緩めていると10分もたたないうちにいびきをかきながら寝られていました。

全身の筋肉を緩めることもそうですが、自律神経のバランスの乱れがあることも想像でき、一定のリズムで身体を揺らしていると気持ちよくなっていったそうです。

このようにまずは身体の筋肉を緩め、興奮状態にある身体を緩めていきました。

立ち方、歩き方を変える

立ち方

歩き方

調整が終わると、足首をテーピングでロックし、脛骨の真下を理解しやすいように固定していきました。

その状態で鏡の前に立っていただき、現在の立ち方のどこに問題があるのか、筋肉が緩むとどのように変わったのかを確認しながら立ち方への理解を深めていただきました。

はじめてこられたときに足部のアーチを確認しましたが、前側が落ちてしまい第3~4足趾辺りに体重がかかっていましたが、それをテーピングを貼ることで自然と踵で立つことがわかりやすく、そうすると立っても足を痛みを感じずに立つことができました。

そこから歩き方をお伝えし、重心を前に運ぶように歩くだけだとお伝えしましたが、以前は踵から着地して、つま先で地面を蹴るということを意識していたそうで、すごく楽に歩けるようになったとのことでした。

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インソールをやめる

これまでさまざまな形のインソールやアイテムを勧められるがままに使用してきていたそうですが、先ほどお伝えした体重支持ポイントを理解していただくと、使用してきたインソールがいかに合っていなかったのかがわかり、以後使用するのを辞めました。

すると、1週間に1回のセッションでしたが、インソールを使用すると痛みが再発し、インソールを使用しないと痛みが改善されることが改めてわかりました。

自分に合ったインソールやパットを使用すると痛みの改善ができるはずですが、この方が使用しているものはほとんど身体に合わないものばかりでした。

自律神経を整え、脳に快の刺激を加える

こういった身体に対してやアイテムについてご指導することで、改善がみられてきましたが、そこから日頃から脳に“快”の刺激を加えられるようにしてほしいとお伝えしました。

この方は多趣味、陶芸をされたり、ご友人と話をしたりすることが楽しいそうで、これまで以上にそういう時間を多く作って楽しんでくださいとお伝えしました。以前通われていたところでは、外出さえも控え、できるだけ安静にするようにと言われたそうで、今回こういうご提案をすることで気持ちがスッと楽になったそうです。

自分の趣味に時間を使うようになってからは、足の状態も良くなっていきましたし、以前まで使用していた睡眠剤の量も減っていきました。

身体のことだけではなく、クライアントさん自身の脳の中を変えてあげることも必要だと感じた時間でした。

現在では、痛みの程度も以前より改善が見られ、痛みが徐々に改善されてきています。主な原因は、異常体重でしたが、そのために日頃行う立ち方、歩き方などがよくなってくると、同じように状態も良くなっていきました。

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長年痛みに悩んでいる方にお伝えしたいこと

痛みのない毎日を過ごしている方には、本当の意味で長年痛みを抱えて悩んでいる方の気持ちがわからないかもしれません。

痛みのない生活をどれだけ望まれているかは、セッションに入る前にさまざまなお話をする中で感じることができます。

長年痛みに悩まされている方は少し信じがたいかもしれませんが、痛みは自分の脳が感じているため、その痛みを忘れることも痛みの改善には重要になることがあります。

紙で指を切っても、気づくまで痛みを感じませんが、切っているとわかった瞬間からヒリヒリ痛みを感じます。これと同じことがその他の痛みにも言え、結局痛みは脳が感じているということです。

そう考えると、ただただ鍛えることをしたり、マッサージをするだけではなく、ご自身が痛みの原因を理解し、そのために何をすればいいのか、どのようにすればいいのか、痛みに対してどのように考えればいいのか、脳の中を変えることで痛みを改善できることもあります。

長年痛みに悩んでいるとそれが癖になってしまうため、痛みを忘れる時間を作ること、痛みが改善できる可能性を見出し、前向きに痛みと向き合うことも非常に大切になります。

ただ方法論だけに目を向けるのではなく、こういった脳の問題も痛みと大きく関わっているということです。

 

まとめ

今回はモートン病で悩まれている方とのセッションについてまとめていきましたが、いかがでしたでしょうか?

さまざまな痛みがある中で、改善策の一つにアイテムや道具が勧められることも多々ありますが、本当にそういったものが必要なのかどうか、そのあたりも冷静に見ていく必要がありますし、手術を行うからといって必ずしも痛みが改善されるわけではありません。

今回の内容がモートン病で悩む方の参考になればうれしく思います。

では、最後に今日のまとめをお伝えしていきたいと思います。

  • モートン病とは、主に第3~4足趾間に起こる痛みのことである
  • 原因は、日頃からつま先に体重がかかりストレスを受けているから
  • 改善するには、異常体重を直し、足裏全体で体重を支えること
  • 立ち方・歩き方を変えること
  • 長年続く痛みは脳を変えることで痛みが改善することもある

このような内容でお送りしていきました。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

足裏の痛みを改善|インソールを活用しても痛みが改善しない理由

敏捷性(アジリティ)と俊敏性(クイックネス)の意味とトレーニング方法

最近数人のクライアントさんから足裏の痛みについて相談を受けましたが、手術をされた方、インソールを買った方、鍛えている方、さまざまなことをされていますが、みなさんに共通することは痛みが改善してしないということです。

なぜ足裏の痛みが改善しないのでしょうか?足裏の痛みを改善するには、体重支持ポイントを変えること、そして日頃行う姿勢や動作を改善することです。

今日は足裏の痛みについてお伝えしていきたいと思います。

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足裏の痛みの原因について

足裏の痛みの原因は、痛みのある場所などによっても変わりますが、主な原因は日頃体重がかかる足裏の位置が問題です。

本日お伝えするのはつま先辺りの痛みについてです。

母趾球から小趾球までのこの辺りの痛みについてお伝えしていきます。

足裏

このつま先周辺の痛みについては、主な原因は異常体重であり、痛みがある周辺に体重がかかり続けているため痛みが発生してしまいます。先日ご相談に来られたクライアントさんはモートン神経腫で手術をされていました。

このような問題は、足裏の筋肉を鍛えたり、インソールを靴の中に入れてもうまく改善しません。インソールについては、適切なものを用意できれば痛みは改善しますが、痛みが改善しない場合は形に問題があります。

歩いているときに痛む場合は、つま先に体重がかかるように歩いていることが考えられ、要は体重のかかる位置が悪いですので、それを変えることで痛みを改善することができます。

 

足のアーチを改善するために必要なこと

このような足裏に痛みを抱えている方、または脚のどこかに痛みを抱えている方の多くは足のアーチが崩れてしまっている可能性があります。

このような方は、整骨院などでみてもらうと「足裏の筋力を鍛えてください」と言われて、タオルギャザーと言われる足の指でタオルを掴むような動きをさせられたりますが、うまくアーチが改善しません。

アーチが落ちてしまう原因

考えることは、そもそもなぜアーチが落ちてしまったのかということです。足裏の筋力が落ちたことでアーチが崩れてしまっているのであれば、鍛えることが考えられますが、鍛えても改善しないケースがほとんどです。

これは、体重支持ポイントが親指の付け根や小指の付け根などにかかると、その部分のアーチが落ちてきてしまいます。この体重支持ポイントを3点支持ができる位置に直せば、アーチも元に戻ります。

つま先付近に痛みがある方の場合も、つま先付近のアーチが落ちています。

アーチの改善について

アーチを改善するためには、鍛えることでも変化はあると思いますが、それだけではうまく改善しません。体重支持ポイントを直すか、テーピングなどを足裏に張ってすごすとアーチも元に戻ります。

大切なことは3点支持ができるようにすることです。

 

なぜ足裏の痛みがうまく改善できないのか?

足裏の痛みの原因は異常体重だということをお伝えしていきました。この体重支持ポイントの改善が痛みの改善へとつながるわけですが、いろんなことをしているのになぜ痛みが改善しないのでしょうか?

それは、異常体重が改善していないためです。痛みが改善しない理由を少しまとめてみたいと思います。

原因が把握できていない

現場でクライアントさんから話を聞かないと原因が見えてきませんが、それにかける時間は10分やそこらでは情報が不十分です。そのため1時間近く話を伺うこともありますが、その話をする中でクライアントさんと原因を共有していきます。

話の中で見えてきた原因から、実際に調整を行ったり、セッションを行うわけですが、クライアントさんにも原因とそこから考えられる改善について理解をしていただいています。

なぜ痛みが出るのか、その説明をして実際にその痛みが出るようなことをし、そこからセッションを行い、痛みが改善し、それがなぜ痛みが改善するのか説明をして実践して理解していただくようにステップを踏みます。

そうすると日頃行うことがわかりやすかったり、痛みが出ないことをすればいいので、クライアントさんの頭の中が整理しやすくなると思います。

痛みが出る原因がはじめから理解できていないということではなく、改善のためにどこかに通われていても説明がなく、わからないまま身体を温めたり、マッサージをされたりしています。

痛みのあるクライアントさん自身も痛みの原因を理解していただき、そこからどうすれば改善するのか、このステップを理解していただくことは非常に重要なことだと思います。

痛みのある箇所に何かをされ続けている

マッサージを受けるにせよ、患部を温めるにせよ、痛みがある箇所に問題があるわけではなく、痛みが出ている箇所=影響を受けた箇所、と理解するとわかりやすいと思います。

足裏のつま先の痛みの原因は、異常体重だということをお伝えしていますが、足裏をマッサージすると一時的に痛みが引くことがあります。ただ、それは2~3日すればまた痛みが出てきます。

このようなことを繰り返していても痛みは一時的な改善に留まり、根本的な改善にはなりません。

なぜつま先に体重がかかってしまうかを考えなければいけません。身体の歪みが原因なのか、立ち方の認識がつま先に体重をかけるという風に考えられているのか、多くの場合正しい立ち方=つま先重心と思っている方が多いように思います。

この場合、立ち方を変える必要があり、いくら痛みのある個所をマッサージしても改善に至りません。痛みがある箇所だけを見るのではなく、もっと引いて痛みを考える必要があります。

マッサージ

インソールについて

足裏の痛みを抱えている方のほとんどは、どこかでインソールを購入され履かれていますが、いまいち改善しないケースが多いようです。

これはインソールに問題がありますが、インソールという物自体は足裏の痛みを改善するアイテムだと思いますが、その形に問題があります。

つま先側の痛みについては、足の前側のアーチが下がってくるためそれを持ち上げるように形作られていればいいのですが、なぜか母趾球辺りが盛り上がって、小趾球辺りは何もないというような形を見かけます。

また、土踏まず辺りにボールを半分に切ったような膨らみがあり、それを使うと土踏まずが異様に刺激され、歩き続けるとそこに痛みが出てしまうというようなこともあります。

インソールを履いているけど改善しない方の場合、このインソールの形が足に合っておらず、それが原因で改善しないことがあります。使用する方の足に合わせて膨らみを作る必要があります。

インソール

鍛えることを指示されている

あるクライアントさんと話をしていると、クライアントさん自身も整理できたそうですが、マッサージや電気を当ててもらい身体が緩むと足裏の痛みはある程度改善するとのことでした。

ただ、足の指で何か物を掴むようなことを繰り返したり、指示されている足裏でグーをするような動きを続けた直後からつま先辺りに痛みが出てくるそうです。

鍛えるようなことをすると筋肉が緊張し、それが原因で痛みが出てきてしまいますが、緩めることで痛みが軽くなります。このような結果から鍛えること、緊張させることがすべて痛みの改善にはならないということです。

これも先ほどお伝えしたことと同じですが、痛みの原因が何かということです。異常体重でストレスを受け続けている箇所にさらにストレスを与えると痛みが出てくるのは当然な結果だと思います。

鍛える、筋力を強化するという発想を一度手放すことです。そのためには、一緒に原因について考え、理解していただくことが重要になると考えています。

ふくらはぎと筋トレ

 

足裏の痛みを改善するために実際に行っていったこと

ここからは具体的な改善についてお伝えしていきたいと思います。

足裏の痛みで悩まれている方は、それぞれ原因が異なるのでこれがすべてではないということで、参考にしていただければと思います。

原因を把握する

あるクライアントさんの場合、5年程前にパーソナルトレーニングを受けられていたそうで、そのときに立ち方を教わったそうです。

この立ち方の指導では、壁立ちをしていたそうで、後頭部、肩、お尻、踵の4点をつけるように立つことが正しいと教わったそうです。また壁から離れて立つときは、母趾球に体重をかけて立つように言われていたそうです。

ここから徐々に足裏の違和感が出だして、1年後ぐらいに痛みを感じ、その痛みは年々増し改善できず現在に至るそうです。

お話を伺った経緯を整理するようにクライアントさんに話をし、壁立ちの不自然さや、立つということの考え方を説明し、そこから原因についてもお伝えしていきました。

このとき足裏のパットを張って歩いていただくと、痛みが改善されており、この原因の意味についても理解していただくことができました。まずは原因を把握するところから入っていきました。

全体を直す

立った姿勢で特徴的だったのは、頭部の位置が前方にズレており、へそを突き出すような姿勢で立たれていました。

この立ち方は、壁立ちの影響だと思いますが、クライアントさん自身は違和感もなくこれが正しい姿勢だと思い込んでいたそうです。

頭部の位置が前方にズレると、5~6kgある重りが前に落ちるような形となり、さらにへそを突き出していますので、つま先重心になってしまいます。この姿勢の崩れを改善するところから行っていきました。

全体を調整した後立っていただくと、頭部の位置も良くなり、突き出していたへその位置も良くなっていました。このときクライアントさんの体重支持ポイントは踵になっており、何も言わず立っていただきましたが、自然に踵で立つ感覚が得られたそうです。

テーピングによるヒールロック

調整後は、踵で立つ感覚も得られましたが、テーピングで足首に巻き、踵重心を無意識でもできるように固定していきました。

するとさらに踵で立つ感覚が出てきました。

テーピングを貼った後からは、今までよりも楽に立つ感覚が分かってきたそうで、これまでいかにつま先に体重がかかってしまっていたかを理解されていました。

テーピング

歩く動作を改善

以前までは歩くと痛みを感じていたそうですが、ここからは歩き方を指導していきました。

歩き方の理解としては、踵で着地をし、親指の付け根で地面を蹴るように歩くという理解をされていました。ただ、これではスムーズに歩くことができず、疲れてしまいます。

ふくらはぎはパンパンに張ってしまっていましたが、このような歩き方が原因です。もっと楽に歩くことです。

指導したことはシンプルで、足元に一切意識を向けず、みぞおちあたりを前に運ぶように楽に歩きましょうとお伝えしました。はじめは痛みが出るのでは?と不安さもあったそうですが、徐々にそれがとれていき、楽に歩くことができ始めました。

楽に歩いていても自然に踵に体重がかかり、つま先に体重がかからないので痛みを感じずに歩くことができました。

歩き方

日頃行っていることを見直す

足裏の痛みを抱えてからいろんなところに通われていたため、家ではいろんなことをしているそうです。

その中につま先で歩くということがあったり、地面を蹴るという動作を繰り返すことがありました。整骨院で言われたそうですが、その意図は鍛えるということがベースにありました。

他にも股関節を動かす動作を行われていたりましたが、これらの影響で骨盤周囲から下は筋肉が緊張し、パンパンの状態でした。

こういったことを一度すべてやめていただき、立ち方を見直したり、体重支持ポイントが踵にくるようにパットの張り方やテーピングの張り方についてもお伝えし、実践していただいてます。

シューズを変える

今回のように足裏の痛みや膝などに痛みを抱える方の場合、シューズに変形が見られることがよくあります。

上記のような流れで調整を行い、姿勢や動作を改善することでセッション終了後は痛みが改善し、良い状態が続きますが、何度か変えるとすぐに痛みが出てくるということがありました。

その原因にシューズの問題が挙げられますが、調整をして身体を整えても、シューズが変形したりするとその変形の影響を受けて身体が以前のように歪み、体重支持ポイントもずれてしまいます。

このような場合はシューズを変える必要があり、インソールについても同じことが言えます。

スタジオでセッションを行って、歩いていただくと問題がないのに、ご自身で帰ってから歩くとすぐに問題が出るというような場合、こういうシューズの変形があると考えられます。

外で履くシューズだけに限らず、家の中で履いているスリッパも同じです。シューズの変形は異常体重になってしまう可能性があるので、変形があれば買い換えることが必要です。

シューズ

脳の中を変える

これはみなさんがみなさん必要ではないと思いますが、痛みは脳が感じているということを忘れてはいけません。

不眠症で悩まされている方から相談を受けているときに感じることですが、不眠症の方はどこかしら痛みを抱えていることが多い。先日来られたクライアントさんも、睡眠時間が短いときは痛みも増すと言われていました。

身体の問題だけではなく、自律神経の問題やストレスを受けることなどが続いてる方の場合、それもできる限り改善することが必要です。

自律神経のバランスの乱れは痛みにつながると言われていますし、脳の中がマイナス状態だと痛みを改善しようにもうまく改善できないことがあります。

そう考えても、やはりクライアントさんが気持ちよく利用できる雰囲気を作り、身心ともにリラックスしていただくことが重要だと感じます。これがすべてではないと思いますが、痛みを感じる脳の問題も大きく関与していると考えられます。

 

まとめ

足裏の痛みの改善について、現場での経験も含めてまとめていきましたが、参考になることはありましたでしょうか。

ひとつの例として書いていますので、みなさんにとって必ずしも役立つ内容かどうかは精査していただくことが必要ですが、基本的な考え方はこのようになります。

鍛えること、筋力を向上させることが痛みの改善につながることもありますが、痛みの原因がわからず、とりあえず鍛えるというような感覚だとうまく改善はできません。

大切なことはクライアントさん自身も痛みについて原因を理解しどうすれば改善するのか、何をすれば痛みが出てしまうのか、そういったことを理解して一緒に改善できるように取り組むことが何よりも大事だと感じます。

トレーナーはあくまでも治療家ではありませんので、1回で治すというスタンスではなく、今週よりも来週、来週よりも再来週・・・と、改善のステップを踏めるようにサポートしていくのが役目だと思います。

少しでも足裏の痛みで悩んでいる方の参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ランニング障害について|痛む原因は筋力ではなく走り方の問題が多い

ランニング障害というと少し難しく聞こえるかもしれませんが、現場でスポーツ選手から相談で最も多いのがこのランニング障害です。

走っていると脚が痛い、膝が痛い、足首が痛いとさまざまな箇所の相談を受けますが、この原因は筋力ではなく身体の使い方が問題になっていることがほとんどです。

身体の使い方を変えることで痛みが改善していったケースをご紹介したいと思います。ランニング時に痛みを抱えている方も多いと思いますが、できるだけ参考になるように細かくお伝えしていきたいと思います。

 

現場で経験したランニング障害について

僕自身もまだまだ経験という面では浅はかであることは承知していますが、その中でも数多くの選手がランニング障害で悩まされているところを見てきましたし、対応をしてきました。

うまくいったこと、うまくいかなかったこと、改善したけど再発してしまった、痛みがなくなった、力不足でこういった結果になっていますが、現状より改善することがほとんどでした。ただ、その程度に違いがあります。

できるだけ症状の原因と改善までの流れをより詳しくお伝えしていきたいと思います。

 

足底筋膜炎

足の裏には踵から指先の方へ広がる筋膜という膜が存在しています。これらの筋膜は正しい足の使い方や着地ができていれば炎症を起こすことはありません。

足底筋膜

ただ、母趾球や小趾球など足の付け根部分で地面を突くような着地をすると、足底筋膜は伸ばされるような刺激を受け、炎症が起きたり剥離したりします。これによって足底部に痛みを訴えることがあります。

つま先着地

足底

これは足の使い方が問題で、つま先で地面を引っかくような意識を持っていると足底筋膜は縮まり、ストレスを受けます。このような動きを続けることで痛みが発生します。

また足底筋膜炎の場合、足のどこを使っているかで痛みを訴える場所が異なり、母趾球側で地面を突いたり蹴ったりすると足の内側が、小趾側で地面を突いたり、蹴ったりすると外側が痛くなり、真ん中あたりに痛みが出ることもあります。

これは着地や足の使い方を改善し、足底筋膜を伸ばしてあげ、緩めると問題は改善されます。

改善について

足底筋膜炎の場合、足底筋膜がストレスを受けて縮まっている状態ですのでこれを緩めてあげれば痛みは改善していきます。

筋膜を緩めることが必要ですので、このような形で緩めていきます。

1、正座のような状態で足の指を反らせるように座ります

足底筋膜

 

2、2~5分間ストレッチングする

このポージングを2~5分ストレッチングさせていきます。筋膜が緩むまでは90秒以上時間がかかり、炎症が行っている方は硬くなっていますので、2分以上を目安にストレッチングさせていきます。

これだけ足底筋膜は緩んでいきます。筋膜を緩めることができれば、次はそもそもの原因の足の使い方を改善していきます。

フラットに着地し、指先を使わない

足底筋膜炎になる原因は、地面を突くような刺激が加わったり、指先で地面をかくような動きを繰り返し行うことで足底筋膜は炎症を起こしてしまいます。

ですので、まずはフラットに着地ができるようにしていき、走っているときは足首を使わないようにします。フラットに着地をするためには、その場ジャンプ、進みながらの両脚、片脚ジャンプ、を繰り返しその感覚をインプットしていきます。

フラット着地について

これはこの後でも共通することですので、おさえておきたいことです。

着地の際にこの位置で着地ができるように繰り返し行っていきます。

体重支持ポイント

マルカルドの体重分布図というものがあり、そこではこのように体重がかかる比率が示されています。

体重分布

このような体重比率になったとき、足部のアーチは正しく使うことができ、足部のアーチは衝撃緩和をする働きもあるため身体にかかるストレスも軽減されます。

足底筋膜炎の場合、この比率が崩れ、母趾球で着地をしてしまいそこに大きなストレスを受けることが問題です。この体重支持ポイントを改善することが重要となります。

この体重比率にするために、上記の足裏の赤いポイント、脛骨の真下で着地するとこのような体重比率になり、身体にかかるストレスは軽減されるということになります。そのためにこういったジャンプエクササイズを繰り返していきます。

これでフラット着地ができるようになれば、後は歩く、走る、方向転換するなどスポーツの動作に合わせて身体の動き方を伝えていきます。この流れができれば足底筋膜炎を改善することができます。

 

腓骨筋腱炎

スネの骨を脛骨(けいこつ)といいますが、この脛骨の外側にあるのが腓骨(ひこつ)と言われる細い骨です。

腓骨

この腓骨の外側に腓骨筋と言われる筋肉があります。

この筋肉は外踝(そとくるぶし)の後方を通って、足の外側(小指側)の真中辺りに腱を介してついています。ふくらはぎの外側から足の外側までつながっているということになります。

腓骨筋腱炎は、足の外側で着地をしたり、地面を蹴るような形で足首を使うと過度にストレスを受けてしまい、筋肉が緊張し、そのストレスに耐えられなくなると腱に炎症が起き痛みが出ます。

外踝が腫れている場合、腓骨筋腱炎が疑われますが、この場合腫れている部分は冷やし、腓骨筋を緩めることで改善することができます。

腓骨筋腱炎の原因は、足首を過度に使ってしまうことが原因として考えられます。

現場で相談にきた選手の場合、O脚気味で立っているときに足元を見ていると少し親指側が浮いているような状態で、足の外側で立っている状態でした。このような状態で走れば足の外側にストレスを受け、腓骨筋もパンパンに張ってきてしまうため炎症が起こります。

足の外側で着地をしたり、地面を蹴り出すように走ることで腓骨筋はストレスを受け、このような足首の使い方を改善する必要があります。

つま先着地

地面を蹴る

改善について

腓骨筋腱炎の改善については、下腿の筋肉がパンパンに張っており硬くなっていますので、これを緩めることです。そうすれば痛みは改善されていきます。

そして筋肉を緩めるとフラットに着地できるように足底筋膜のところで紹介したジャンプを行いフラット着地ができるようにしていきます。

足首周辺の痛みについてはこちらにもまとめていますので、参考にしていただければと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/leg-hurts”]

 

鵞足炎

鵞足炎も現場で何度も経験したランニング障害のひとつですが、鵞足炎とは半腱様筋、縫工筋、薄筋の3つの筋肉が付着する部分であり、膝下の内側に位置する部分です。

鵞足

これらの筋肉は腱を介してこの鵞足に付着しますが、3つの筋肉がストレスを受け硬くなるとこの鵞足の部分に炎症が起こり、痛みます。これが鵞足炎です。

主な原因は、膝を曲げ、膝が捻じれるような形で着地をすることでハムストリングスなどにストレスを受けます。また地面を蹴り上げ脚が外側に流れるように走ることで鵞足に付着する筋肉が緊張し、結果鵞足炎となる可能性があります。

改善するためには、痛みの場所をマッサージしたり熱を加えることではうまく改善しません。改善のためには3つの筋肉を緩め、大腿部の緊張をとることです。

改善について

ハムストリングスを緩めるためにはいくつか方法がありますが、ストレッチングと筋肉に揺らぎを与えて緩める方法をご紹介したいと思います。

ハムストリングスのストレッチング

  1. 長座になり、軽く膝を曲げて脚を伸ばします。
  2. 気持ちよく筋肉が伸びるぐらいまで前屈し、保持します。
  3. このポージングを2~3分キープします。

ストレッチ

筋肉を揺らして緩める

筋肉を揺らして緩める方法はこちらを参考にしていただければと思います。

これらで筋肉を緩めることで鵞足炎を改善することができます。後は走り方の改善を行う必要がありますが、それはこちらを参考にしていただければと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/running-foam”]

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/run-tsumasaki”]

また鵞足炎についてはこちらにも詳しくまとめていますので、参考にしていただければと思います。

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/gasokuen”]

[clink url=”http://izuru-style.co.jp/running”]

 

まとめ

今日はランニング障害についてまとめていきましたが、このように文章に起こすと簡単に完全出来そうな感じもありますが、そもそもの原因をみつけるためには、目を養なう必要があり、教科書的なことだけでは改善は難しくなります。

あくでも今回の記事は一例として、また考え方としてまとめていますので、走り方だけではなく環境や道具なども問題も考えられるかもしれません。

痛みの原因は何かしたあるはずで、そこを見つけることが最も重要であり、方法論はその後です。

原因を発見するきっかけになり、改善のヒントになればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ランナー必見!シューズのサイズと痛みの関係について

シューズが不適切なサイズだと脚を痛めてしまったり、足の裏にタコができてしまったりして痛くて走ることができなくなります。

ランナーの方はこういうことが直接タイムに影響し、気持ちよく走ることができなくなります。どのようなシューズを選択するべきか、また適切なシューズとはどのようなサイズなのでしょうか。

今日はこのシューズについてお伝えしていきたいと思います。

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走っているときにシューズの中で行っていること

適切なサイズのシューズを知るためには、走っているときなどにシューズの中で足はどのように動いているのかを知るとわかりやすいと思います。

歩いているとき、走っているときにシューズの中で足は1cm程前方に動くと言われています。この動くスペースがないシューズを履いていると、動いている時に足の指は曲がってしまいます。

これが続くとハンマー足趾と言われる、足趾が曲がった状態になってしまいます。

そのため適切なシューズのサイズというのは、ここから考えることができます。

シューズ

適切なシューズのサイズ

適切なシューズのサイズというのは、シューズを履いて踵を合わせた状態で、つま先に1cmの余裕があるようなサイズを選ぶようにします。こんな感じです。

このようなサイズだと、動いた時にシューズの中で足が動いても足趾は前に当たりません。

このサイズが大きかったり、小さかったりすると痛みにつながってしまうというのは、サイズが不適切だと動き自体が変わってしまい、その動きのまずさが身体に大きなストレスを与えてしまいます。

 

不適切なシューズを履いた時に発生する痛み

自分の足に合っていないシューズを履いていると、動きが変わってしまうことがあります。

例えば大きいサイズを履いている場合、クロックスを履いているときと似たような状態になりますが、脱げないようにシューズをつま先で掴むような使い方をしたり、足首を固定するような緊張した動きがみられることがあります。

このような動作は、着地に問題が起こってしまいます。

走っている時の着地はフラットに着地をすることで、脚全体に衝撃が分散され吸収されます。ですが、つま先であったり、足の外側で着地をしてしまうと衝撃がうまく分散されず、局部へ大きなストレスがかかります。

つま先着地

この繰り返しによって脚に痛みが出てしまいます。この痛みの改善は、痛んでいる部分をいくら緩めたり、温めても改善しません。

この場合、シューズを適切なサイズに変えることで痛みは改善し、問題がなくなります。根本的には走り方に問題があるのではなく、シューズの影響で走り方が変わったわけですので、シューズを変える必要があります。

このようにランナーはどのようなシューズを履くのか、自分に合ったシューズを履くことで痛みの改善につながることもあります。

今一度自分に合ったシューズを履いているかをチェックしてみるのもいいかもしれませんね。

 

まとめ

今日はシューズのサイズと痛みとの関係にお伝えしていきましたが、適切なシューズを履くことは痛みの改善につながりますし、逆に言えば不適切なシューズは痛みにつながります。

歩く、走る際には1cm前方に足が動くということを知っておくと、適切なサイズのシューズも選びやすくなります。

自分に合ったシューズを選択するきっかけになればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ランニング後に感じるふくらはぎの痛みの原因と改善について

ランニングを終えたと、ふくらはぎが痛むことがあります。これは筋力が弱いから起こってしまうのでしょうか。逆に言えば、筋力が強ければ痛みは出ないでしょうか。

逆から考えるとスポーツ選手は筋力が高いため痛みが出にくく、一般の方は出やすいとなるでしょうか。筋力は痛みの原因の一要因ではありますが、主な原因ではないことがあります。

ランニングによってふくらはぎが過度に使われ、ストレスを受け続け筋肉が耐えられなくなると痛みが出てきます。痛みの原因は走り方に問題があり、痛くなるように走っています。痛くないように走れば痛みは改善されるはずです。

今日はランニング後にふくらはぎが痛くなってしまう原因について、お伝えしていきたいと思います。

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なぜランニングをするとふくらはぎが痛むのか?

冒頭でもお伝えしていきましたが、筋力が弱いからふくらはぎが痛むのではなく、過度にストレスを受けたためにふくらはぎが痛んでしまいます。

そのストレスを受ける原因は、走り方に問題があるからです。

それだけではありませんが、走り方と痛みは関係があり、そこに目を向けない限りいくら鍛えても痛みが改善することはあまりありません。ではどのような走り方をすればふくらはぎが痛み、それをどのように改善すればいいのでしょうか。

詳しくお伝えしていきたいと思いますが、まずふくらはぎにはどのような筋肉があり、その筋肉はどのような働きをするのかを見ていきたいと思います。

 

ふくらはぎにはどのような筋肉があるのか?

ふくらはぎの筋肉には主に、腓腹筋、ヒラメ筋、前脛骨筋、後脛骨筋などの筋肉があります。

今日は主に腓腹筋とヒラメ筋を知っていただきたいですので、この2つをピックアップして見ていきたいと思います。

まずこちらの画像をご覧ください。

ふくらはぎ

みなさんがいつもふくらはぎと言っている箇所は主に、腓腹筋と言われる筋肉です。

■腓腹筋 (二関節筋)

起始:大腿骨の内外踝(膝裏の両脇ぐらいの位置)

停止:アキレス腱を介し、踵骨(アキレス腱の地面に一番近い部分の骨)

機能:足関節の底屈、膝関節の屈曲。(足首を伸ばすような動き、膝を曲げる動きで筋肉が収縮する)

 

■ヒラメ筋(単関節筋)

起始:脛骨後面、腓骨頭

停止:踵骨

機能:足関節の底屈

この2つの筋肉は足首を伸ばすような動きで筋肉が収縮します。走り方では地面を蹴るような動きで筋肉が収縮し、ストレスを受けます。また地面を突くような動きでもこのふくらはぎにはストレスを受けます。

ふくらはぎ ふくらはぎ

腓腹筋、ヒラメ筋という2つの筋肉を知っていただいた後は今日の本題へと移っていきたいと思います。

 

ランニングでふくらはぎが痛む原因

ランニングをするとふくらはぎが痛む原因は主に走り方ですが、その他にも原因がありますので、ここからはもっと原因を細かく見ていきたいと思います。

走り方が問題|どのような感覚で走っているか?

ランニングをするとふくらはぎを痛めてしまうのはなぜでしょうか。

そもそも走ることでふくらはぎが痛くなるのかと言えば、違います。それでも走ることで痛めてしまうということは、過度にふくらはぎにストレスがかかっているため、そのストレスがかかっている原因が走り方になります。

先ほど腓腹筋とヒラメ筋について知っていただきましたが、思い出しながら読み進めてください。

みなさんが走るということをイメージしたとき、どのような動きをイメージしますか?それを言葉にしたときにこのような動きを言わないでしょうか。

  • 地面を蹴って前に進む
  • つま先で地面を押し出す

もしこのような動きをイメージしていると、この動きがふくらはぎの筋肉にストレスがかかる原因であり、ランニング後にふくらはぎが痛む原因となってしまいます。この動きを改善しないと痛みは改善しません。

  • 地面をつま先で突く

このような意識を持って走る方は少ないと思いますが、このような動きもふくらはぎの筋肉にストレスがかかりふくらはぎを痛めてしまう原因となってしまいます。

ここでは走り方が問題で痛めてしまう原因を紹介しましたが、このような身体の使い方をしてしまう理由にシューズのサイズの不一致があります。続いては、シューズと痛みの関係についてお伝えしていきます。

シューズの問題|サイズが不適切

ランニングシューズを選ばれるとき、どのように選ばれているでしょうか。

シューズのサイズを合わせるとき、以下のように合わせることで適切なサイズを選択することができます。

 

シューズには、縦と横幅があり、これが一致するシューズを選択しますが、縦の長さは踵をシューズに合わせた状態で、つま先に1cmほどの空きを作る必要があります。

シューズ

それは動いているときに、足はシューズの中で1cmほど動きを言われ、もしつま先側に1cmの空きがなければ足の指が靴の中で曲がるような形となり、関節にマメができたり、硬くなるということが起こります。

ひどくなるとハンマー足趾と言われる、足の指が曲がった状態になってしまいます。

このようにシューズが小さかったり、逆に大きかったりすると、その状態で走るとどのようなことが起こるでしょうか。

シューズが小さい場合

つま先を曲げたまま走るような感覚で、足の指でグーをしているような状態で走ってしまうため不適切な着地をしてしまい、下腿にはストレスがかかってしまいます。

実際に現場で経験した例では、シューズが小さいためその状態で走ることでつま先で着地をしたり、足の指がシューズに当たって痛み、ちょこちょこ走るようなフォームとなってしまい、結果ふくらはぎを痛めてしまった選手がいます。

このようにシューズが小さいことでふくらはぎや下腿を痛めてしまうこともあります。また、膝や腰などもシューズの影響を受けて痛むこともあります。

シューズが大きい場合

シューズが大きい場合、靴の中で足が遊んでしまいますし、脱げそうになってしまいます。そのような感覚になったとき、走ったりすると脱げないように足首を固定したような走り方をしてしまいます。

わかりやすいのが、クロックスを履いたまま走っているようなイメージです。あのパコパコした状態で走るとどうなるでしょうか。脱げないように、足首を固定し走ることがイメージできるでしょうか。

このような走り方をすると、地面から受けるストレスが大きくなり腰痛などの痛みの原因となることもあります。

その他について

シューズの問題が出てきたので、これも付け加えときたいのが、シューズの中が原因で足が痛くなることもあります。

実際にあったのが、スパイクの中に歯の金具が軽く浮き出ており、それが当たって痛むということを現場で何度が経験したことがあります。これは、突起が当たって、当たっている部分が痛んでしまうため、そこにパットなどをあてがえば問題はなくなりました。

またつま先などにある、縫い目の裏地が安い靴などは出ているケースがあります。これも当たり続けてしまうと痛みの原因になることもありますので、こういう細かい点のようなことでも防ぐ必要があります。

走っている環境が問題‐足場の問題

走っている環境というのは、アスファルトであったり、芝生であったり、土のグランドであったり、整備されていない荒地だったり、雨の後の河川敷だったり、走る環境というのはたくさんあります。

この環境が痛みの原因になることがあります。

例えば、土のグランドや芝生のグランドよりもアスファルトを走る方が身体に対するストレスは大きくなります。こういう場合、走る環境を変える必要があり、それだけで痛みが改善します。

雨の降った河川敷を走った次の日に脚に痛みが出たという方もいましたが、濡れた河川敷はどのようになっているでしょうか。水たまりがあり、通行人や自転車ととり、土が雨水と混ざりねちょねちょで滑りやすい環境となっています。

水溜りもあって、それを飛び超えようとしたり、ぬかるみに足がとられないようにそうっと走る感覚で、ちょこちょこ走るのがイメージできるでしょうか。こういう環境が変われば走り方が変わり、その変わった走り方で大きなストレスを受けてしまい、痛みが出ることもあります。

こういう場合、走る場所を変えると問題はなくなります。滑りやすいのであれば、滑らない場所に変えるだけで問題はなくなるはずです。このように環境によってもふくらはぎを痛めてしまう原因になりうるということです。

 

ランニングをしてもふくらはぎを痛めない考え方と改善方法

ここまでお伝えしてきた、ランニングをするとふくらはぎを痛めてしまう原因は主に走り方だということです。

改善するためには、この走り方を変えストレスが局部にかからないようにすることが改善のポイントになります。以下のような手順で実際に指導にあたったりしています。

筋肉を緩める

まず、ランニングによってふくらはぎにストレスを受け筋肉が硬くなっているので、筋肉を緩めていきます。

筋肉を緩めるためには、ストレッチがすべてではなく筋肉を揺らしたり、筋膜や皮膚を使って緩めていきます。

硬くなっている筋肉をきちんと緩めることができれば、痛みは軽減されていきます。ただ、これだけで終わっていれば動作が変わっていないため再発する可能性があります。

再発を防ぐためには、ここからのことを理解することが重要となります。

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フラット着地を身につける

今回のように走るときに地面を蹴るイメージが強い方や、つま先から着地をしてしまう方の場合、これらを変える必要があります。

フラット着地と言われる着地は、脛骨の真下に体重支持ポイントをおき、そこで体重を支えることで局部にストレスを受けなくなり、衝撃も緩和されます。

体重分布  体重支持ポイント

足には4つのアーチがあり、このアーチがショックアブソーバー(衝撃吸収)の役割を果たし、地面からの反力などのストレスが直接筋肉に伝わらず、脚の筋肉に分散され、局部へのストレスが軽減されます。

そのため走っているときにかかる身体、脚への負担も分散され、怪我を予防することができます。そのため、ランニングでふくらはぎに痛みが出てしまう方は、この体重支持ポイントを理解する必要があります。

走り方を改善する

以前大学ラクロス部の選手が地面を蹴る意識を持って走っていたため、ふくらはぎに痛みが出たことがありました。

そのときは、フラット着地を指導し、その場、前方移動、多方向への移動、などパターンを変えフラット着地ができるように実際の動きへとつなげていきました。

そして、その後に走り方についても指導していきましたが、走るということは膝を高く上げることでも、脚を前に運ぶこともでありません。重心を前に運ぶと脚は勝手に前に出てくるので、いかに自分の重心を前に運ぶかということになります。

シューズを変える

もしシューズの中に突起があったり、縫い目が出ているとそれが当たって脚の痛みにつながることがありますが、このような場合、その突起などを足に当たらないようにすれば痛みは改善されると思います。

シューズのサイズについても、もし大きい場合はつま先やサイドに詰め物をしてサイズを合わせていきます。逆に小さい場合であればどうしようもありませんので、シューズを変えることが改善策となります。

シューズが原因で痛みが発生する場合は、このシューズを変えることで問題はなくなります。

走る環境を変える

走る環境の問題で、ふくらはぎに痛みが出た場合、これもこの走る環境を変えることで問題はなくなるはずです。

 

鍛えただけではふくらはぎの痛みが再発する理由

ここまでの内容を理解していただいた方は、鍛えただけではふくらはぎの痛みが改善せず、一時的に改善したとしてもまた再発してしまうということを理解されていると思います。

痛みの原因は走っているときに地面を蹴ってしまうような走り方に問題がありました。そしてストレスを受け痛みが出てしまうため、ストレスの受けた場所の筋肉を柔らかくし、緩めることができれば痛みは改善します。

ですが、根本原因を取り除いていないためまた走るとふくらはぎにストレスがかかり、痛みが再発してしまいます。要は走ってストレスを受け、筋肉が硬くなり炎症がおき痛むということですので、そこに鍛えることで問題は改善するでしょうか。

鍛えるような刺激を加えることでまたその筋肉にストレスがかかり、筋肉がさらに硬くなる可能性もあります。もし筋力が弱くて痛みが出ているのであれば改善はみられると思いますが、今回の場合、鍛えても改善はみられない理由は走り方が変わっていないためです。

筋力を強くすることではなく、筋肉を緩めることが必要となります。

 

ふくらはぎの筋肉を緩める方法

ランニングでふくらはぎを痛めてしまう理由や改善のイメージを持つことはできたでしょうか。ここでは、ふくらはぎの筋肉を緩める方法をご紹介していきたいと思います。

筋肉を揺らす

これは非常にシンプルで、硬くなっているふくらはぎの筋肉を揺らし筋肉を緩めていきます。

 ふくらはぎ

足首の動きを使って緩める

足首を回して筋肉を緩める際、一人で撮影していますので片手で回している画像になっていますが、実際には逆手で踝の上ぐらいを軽く抑えた状態で足首を回していきます。

ふくらはぎ

ストレッチングをする

アキレス腱 アキレス腱

方法についてはさまざまなものがありますが、これらによってふくらはぎの筋肉である腓腹筋、ヒラメ筋を緩めることができ、これらがきちんとできると痛みは軽減されていきます。

ぜひお試しください。

 

まとめ

ランニングをしてふくらはぎに痛みを覚えてしまって悩んでいた方は、今回の記事はいかがでしたでしょうか。原因から改善の考え方、実践方法などできるだけお伝えしようと思い書いていきましたが理解していただけましたでしょうか。

今回の内容をまとめると以下のようになります。

  • ふくらはぎを痛める原因は、地面を蹴るなどの走り方である
  • 筋肉が過度にストレスを受け、それに耐えられなくなると痛くなる
  • このような場合、鍛えるのではなく筋肉を緩め走り方を改善する
  • 走り方を改善せず、筋肉を鍛える、緩めるだけでは痛みは再発する
  • 体重支持ポイントを脛骨の真下に変えることで、局部へのストレスは軽減される

このような内容でお送りしました。

ランニングによって起こる下肢の痛みというのは、膝の内側、外側、足首周囲、脛の周りなどさまざまなところに痛みが出てしまう可能性がありますが、それはほとんどが走り方に問題があります。

この身体の使い方の癖が結果的に局部の筋肉のストレスになっていますので、それをまず見つけること。そして筋肉を緩め、その動作を変えることで問題は解決していきます。

記事にすると一つの事例をもとに書いていきますが、これだけシンプルに問題を解決できるとは限りません。難しいこともありますし、これらがすべてではありません。

ただ、今回の記事が少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

足首を捻挫した選手ヘの対応|クライオセラピーを実践して感じた身体の変化

スポーツの現場に出ると緊急を要する場面に出くわすことがあります。

目の前で捻挫をしたり、ボールが口に直撃し前歯6本が根元からとれてしまったり、そういう現場を目にすることはありました。こういった場面では、いかに冷静でいれるかということが重要になります。

今日は、捻挫をした選手にクライオセラピーという療法を活用し、足首の腫れを改善し、復帰までにしたことをまとめていきたいと思います。捻挫=休むではなく、病院で診断後、すぐに立たせ歩かせることで1週間程度で競技復帰できるレベルまで回復することもあります。

 

クライオセラピーとは?

まず今日お伝えするクライオセラピーとはどのようなテクニックなのでしょうか。僕自身も復習の意味を込めてまとめていきたいと思います。

■クライオセラピー【cryo-therapy】とは?

クライオセラピーとは、クライオ【cryo】=寒冷、セラピー【therapy】=療法、寒冷療法という意味があります。

クライオセラピー=寒冷療法というのは、どのような場合に活用することができるのでしょうか。

今回僕自身が活用した場面というのは、選手が捻挫をして足首が腫れ、その浮腫の改善のために活用していきました。

人間は恒常性維持機能というものを備えています。例えて言うなら、さいころ型の粘土があり、その粘土を殴ったとします。一時的には凹みますが、時間が経つにつれて元の形に戻ろうとする性質のことをいいます。

その機能のひとつに体温調整機能がありますが、人間は外気温が低いと一緒に体温が下がらないように熱を発生させ体温を維持します。逆に夏のような暑い環境では汗を出し、熱を体内から出す工夫をします。

こういった機能を活用し、足首の腫れた部分をアイスパックや氷水などで冷やし、冷やすことで結果的に冷やした部分に血液が集まり、循環を良くすることができ、浮腫(腫れ)の改善になるというテクニックになります。

血液が集まるということは、そこに栄養素も含まれているので、組織の修復も早くなります。

 

クライオセラピーができる、できないの判断について

今回は捻挫をした際にクライオセラピーを活用しましたが、捻挫の場合でもクライオセラピーができる、できないの判断については、靭帯の損傷レベルが判断材料になります。

捻挫には、軽度・中度・重度と3つのレベル分けがされており、それぞれのレベルによって対応が変わってきます。

  • レベル1(軽度)・・・靭帯が伸びてしまったが損傷がない状態
  • レベル2(中度)・・・一部の靭帯が損傷してる状態
  • レベル3(重度)・・・靭帯が完全に切れてしまった状態

このように損傷の程度によってレベルが分けられています。今回の行ったクライオセラピーは、このレベル1に値する、靭帯が伸びただけで損傷が見られないような場合にのみ活用することができます。

そのため、クライオセラピーを行う際は必ず医師の診断が必要であり、その診断後に行うことになります。

  • レベル1・・・クライオセラピーはできる
  • レベル2・3・・・クライオセラピーはできない

このような線引きを理解しておく必要があります。

 

捻挫をした選手の状態について

先日捻挫をした選手も靭帯が伸びてしまっただけで、損傷はないということでクライオセラピーを行っていきました。

ラクロスの練習中、ディフェンスを行っていた際に捻挫をしてしまいましたが、足首はもちろん腫れ、足の指先から脛まで腫れあがり、パンパンの状態になっていました。

このときは、少し動かしても痛く体重をかけることも当然痛いため、そのまま病院へ直行しました。診断の結果は捻挫でしたが靭帯は部分的にも切れていないという診断で、医師からは冷やしてくださいと言われて診断は終了したそうです。

病院からはシップを貰い、松葉づえを1本出されそのまま家に帰ってきました。

 

実際に指導をした流れについて

捻挫をしてから4日目に初めて選手の状態を確認することができましたが、この4日間は特に何もせず安静にしていたそうですが、足の腫れは4日前とはあまり変わっておらず、痛みの程度も変わっていませんでした。

このような捻挫をした場合、浮腫を取り除かなければいけません。

15分間のアイシング→感覚を麻痺

一番はじめにしたことは、足首を氷水に突っ込みアイシングをしていきました。

アイシングというのは、感覚がなくなるまでか凍傷になってしまう可能性もあるので20分程度で感覚がなくならなければ一度冷やすのを終えます。

選手の場合、15分程度で感覚がなくなったので、アイシングをストップし、そこからクライオキネティックスやクライオストレッチに移っていきました。

クライオキネティクスというのは、冷やした後に関節運動を行うことであり、選手の場合はまず僕がさまざまな関節運動を行い、足関節を動かし、関節を動かすことで筋肉のポンプ作用を活用することができ、溜まっているものが流れていきます。

またアイシングをして感覚を麻痺させているので、痛みを感じることもありません。

痛みのない中で足関節のストレッチング

クライオキネティックスと並行してクライオストレッチも行っていきましたが、クライオストレッチは冷やした状態でストレッチを行っていく方法です。

捻挫をしてギブスで固定してしまったり、動かさない状態が続いてしまうと柔軟性が低下してしまうため、痛みの感じない範囲でストレッチングを行い、柔軟性の向上をはかっていきます。

このとき行ったのが、足首の背屈、底屈、など足首周りのストレッチングを行っていきました。

違和感が出たのでアイシング

上記のようにクライオキネティックスやクライオストレッチなどを行っていると、違和感が出てきます。このような感覚が出ればすぐにエクササイズなどを中止し、再度アイシングを行っていきます。

始めに15~20分間程度アイシングをしていますので、続いてアイシングを行う場合は5分程度で感覚がなくなるので、感覚がなくなれば冷やすのをやめ、再度エクササイズに移っていきました。

立たせる、その場で左右への体重移動、その場足踏み

座った状態での関節運動の次は実際に立たせていきます。立ったときも違和感もなく、痛みもありませんでしたので、捻挫していない側の脚に体重を乗せて立たせ、徐々に逆側へと体重を乗せていき、交互に体重をかけ、様子を見ていきました。

ここでも違和感は出ませんでしたので、次はその場で小さく足踏みをしてもらいました。これも違和感はなくできましたので、少しずつ歩いていくことにしました。

このときに選手も言っていましたが、怖さがあったけどこうやって体重をかけても痛くないのは不思議と言っていました。アイシングをして感覚を麻痺させているからという理由もありますが、捻挫をすると痛みを脳がインプットしています。

このインプットした情報があるままだと痛みを感じる可能性があります。立たせて歩いた時は、話をしながら痛みがないことを実感させ、そうすると本人も歩けるという安心が出てきて、体重をしっかりと乗せ、歩いていました。

歩いているときに少し違和感が出始めたので、またアイシングをしていきました。

歩く、蛇行しながら歩く

再度アイシングをして、感覚をなくしてから次は足首にテーピングを巻き、体重支持ポイントを理解させることと足首を固定する目的でヒールロックを行い、その状態で歩きに行きました。

次は直線的な動きだけではなく、少し蛇行するように歩いてみたり、円を書くように回ってみたり、折り返してみたりと直線的な動きから複雑な動きへと移行していきました。

少し違和感が出てきて、痛みも少しだけ残っていましたが、初めに比べれば、まさか歩けるようになるとは思っていなかったらしく、喜んでいました。

最後に足首を確認したところ、足の腫れも足首周辺に出ているぐらいで、軽減も見られ、足首も動かしやすくなりました。

この日は時間的な都合もあり、ここまでで終了し、次の日に続きを行うことにしました。

 

次の日までに行っておくこと

この日一緒にできたことはここまでですが、この後自宅ですることを伝えておきました。

以前、膝の手術をした選手を見たときに、なかなか浮腫の改善ができずでいましたが、こういった浮腫が出ているときにする必要があることがあります。

それはむくみと同じで、浮腫が出ている患部を圧迫することです。そして、脚を高く上げて過ごすなり、寝るときも脚をあげた状態で寝られるように工夫をする必要があります。

浮腫というのはむくみであり、これはリンパの流れと関係します。そのため脚を下げてしまうと重力の影響で下半身に溜まりやすく、翌日にまた腫れてしまう可能性があります。

圧迫をすることで、そこに老廃物などが溜まってしまわないようにすることができ、アイシングやエクササイズが終わってもこういうことをすることでより改善が早くなります。

今回はこういうことを伝えれていたので、次の日の浮腫も軽減できており、いい状態で2日目をスタートすることができました。

 

2日目に行ったこと

2日目には、昨日よりもさらに良くなっており、痛みは若干残るものの歩くことも怖さはなくなったそうです。

この日は、ストレッチングや関節運動を行ってから足首にテーピングを再度巻き、ヒールロックをした状態で立つ、足踏み、歩く、などを繰り返していきました。

このときに体重支持ポイントをきちんと理解してもらえるように指導し、歩き方などの動作も指導を行っていきました。

  • 立つ
  • 足踏み
  • 歩く―直線
  • 歩く―直線から軽く半円を書くように回り、また直線の動き
  • 歩く-一方向への円を書く様に歩く(逆側も)
  • 歩く―8の字を書くように歩く
  • 走る―直線的な軽いジョグ
  • 走る―直線から軽く円を書くように走る
  • 走る―スピードを上げてのジョグ

2日目についてはここまでできることができて、最後は痛みも感じずに走ることができていましたし、体重支持ポイントを理解することができると違和感もほとんど感じなくなり、また左右への動きや複雑な動きになったときにうまくフラットな着地ができていませんでしたが、改善が見られ、腫れも引いていきました。

このように2日間選手についてクライオセラピーを行い、実際にジョグを行えるまで回復しました。現在は、チームに交じり復帰しています。

 

捻挫を予防するために体重支持ポイントを理解させる

ここまでの中でも体重支持ポイントのことを書いていますが、これを理解させることで捻挫を予防することができます。

体重支持ポイント  体重分布

そのために、ジャンプストップや左右への動きを取り入れて理解させていきます。

バランストレーニング バランストレーニング バランストレーニング

その場だけでなく、左右への動きでも同じでフラットに着地をしていきます。

サイドステップ サイドステップ

これらを日頃から行い、捻挫の予防をしていきたいと思います。

 

まとめ

捻挫についての対応については、何度か経験していましたが、2日連続で選手につけたり、クライオセラピーがここまでできることが時間的に難しかったですので、こういった経験はできたことは大きかったと思います。

現場では捻挫がよく起こったり、何度もする選手もいますが、そういった選手が同じように捻挫をしないためにも体重支持ポイントを理解させること、前後左右の動きでもフラットに着地し、踵で体重を支持することで足首を捻るということも防げるようになります。

日頃からヒールロックをしてみたり、体重支持ポイントを理解できるように板にポイントを貼り付けそれを踏んでもらったりし、意識付けを行っていますが、実際のプレーを見ているとまだまだ課題も多くみられます。

今後はそういったところを指導し、捻挫を予防できる環境を作っていきたいと思います。

では最後に今日のまとめをしていきたいと思います。

  • クライオセラピーとは、寒冷療法という意味である
  • クライオセラピーは軽度の捻挫のみに活用することができる
  • 捻挫をしたからといって、絶対に安静にしなければいけないということではない
  • 捻挫をした後は、浮腫の軽減を行うために患部を圧迫し、脚を高く上げるなどの工夫をする
  • 痛みは脳が覚えているため、患部だけではなく脳の情報を書き換える必要もある

このような内容でお送りしていきました。

今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

ランニングをすると足が痛む!筋力が弱いから?それともフォームの問題?

先日神戸女子大学のラクロス部に行ってきました。大会のまっただ中で、4回生もいよいよ残り1ヶ月の現役生活となりました。チームに合流すると1回生がいて、その中の3名が脚が痛むと相談に来ました。

それぞれ訴える症状や部位は異なりましたが、3人とも脚の痛みがあり、病院などに行っても改善していないということでした。一般の方でも、ランニングをすると脚が痛くなってしまう方がいますが、このように走って出る脚の痛みの原因は筋力が弱いからと言われます。

そのために、マシンを使って筋力を強化したり、ウエイトトレーニングを行って強化することがあります。

もちろん筋力が弱くて痛くなることも考えられますが、この3人の場合走り方の問題やくつの問題があり、オーバーユースによる痛みも原因でした。このようにランニングによる痛みの原因は多くの場合、走り方の問題が原因で起こることがあります。

今日は走ることで出てしまう痛みについて書いていきたいと思います。

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なぜ痛みが出るのか

右足首の外側が練習後に腫れ、痛んでしまうという選手がいました。この選手はO脚気味であり、走ると足の外側部で地面をつくように着地をします。これが癖で、走るたびに外側部に負担がかかり、それが続くと痛みへと変わりました。

腓骨筋などに触れると緊張が強く、軽く押すだけでも激しく痛むそうで、この腓骨筋の炎症によって足首が腫れていると考えられました。この選手の場合、この腓骨筋を緩め様子を見ると、痛みの改善が見られましたので、次に走り方の指導へと移りました。

この指導の過程で、徐々に痛みがまた出てきてしまいましたが、話を聞いていくと、元は靴を変えたときから痛みが出だしたそうで、靴のサイズが少し大きいようで、走っていると靴の中で足が遊ぶそうです。

これを防ごうと、足の指を握るようにし、足首が緊張させ、どうしても靴を気にするあまり走っているときの着地が外側でついてしまうということでした。

この場合、痛みの原因は靴であり、足にあった靴に変え、踵で着地ができることで問題はなくなるはずです。このように靴が原因でフォームが崩れてしまい、それによってオーバーユースになり、痛みが出るということもあります。くつの問題がなくても、走り方の問題で同じように痛みが出ることがあります。

 

足部にある4つのアーチが崩れることで痛みにつながる可能性が高まる

人間の足部には4つのアーチがあります。この4つのアーチが正常に機能することで、衝撃を吸収する役割を果たしています。ですが、重心の位置が内側、外側などにずれることで、衝撃をうまく吸収できず局部に大きな負担がかかります。

この繰り返しにより、オーバーユースという使い過ぎによる痛みが発生してしまいます。

このアーチの崩れは、重心の位置を脛骨の真下、三点支持をすることで元に戻り、衝撃吸収の役割を果たしてくれます。このような問題は、筋力が弱くて発生するのではなく、衝撃吸収ができるような身体の使い方をすることが重要で、筋力を強化することが改善策ではありません。

さまざまな原因で痛みが出てしまいますが、大切なことはなぜ痛みが起こってしまったのか、その原因を把握し、それに対してアプローチをしていくことです。○○をすれば痛みは改善するということは、ないと思います。

 

走り方のコツをつかもう

50m5.8秒の現役トレーナーが伝える走り方について でもお伝えしましたが、走るということは地面を蹴ることや脚を前に運ぶことではなく、重心を運ぶことでより楽にスムーズに走ることができます。

地面を蹴るのではなく、弾むことでストライドが出ますし、今回の痛みについても踵に重心を置くことで、痛みの改善をすることができます。

走り方のコツをつかむことで走ることの楽しさを感じれたり、痛みの改善につながります。

選手には、スクワットやジャンプストップなどをしてもらいましたが、踵で着地をするということが違和感があったそうですが、踵で着地ができることでお尻の付け根に刺激がくることを感じていました。また、踵で着地を繰り返すことで自分が今までどこに重心があり、どのような身体の使い方をしているから脚に痛みが出てしまったということが理解しやすかったそうで、痛みの原因がイメージできたそうです。

日頃家でしてほしいことや、練習中などにしてほしいメニューなどを伝え、指導は終わりました。走り方を変えることで楽に走れ、痛みが改善できることに気づけると安心できたそうです。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?脚の痛みの多くが走り方の問題によって出てきますが、この改善としてフラット着地ができることが重要になります。痛みの原因はさまざまですが、痛みの原因の多くは走り方の問題です。

より選手に伝わりやすい指導ができるように自分の考えをもう少しまとめていく必要がありそうです。

最後に今日の内容のまとめです。

  • 走るときに出る脚の痛みは走り方の問題で出ることが多い
  • 重心位置が内外側に偏ると、局部に負担がかかり痛みが発生する
  • 足部には4つのアーチがあり、このアーチが衝撃吸収する役割を担っている
  • アーチが崩れてしまうと衝撃吸収できず、局部への負担が増える
  • フラット着地、踵で着地ができることで脚全体に衝撃が分散され、局部の痛みは出ない

というような内容でお送りしていきました。ランニングなど走ることで脚が痛んでしまう方のお役にたてればうれしく思います。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

びっこ引く(跛行)ように走る選手の臀部の痛みと改善について

痛みを抱えながらプレーをするスポーツ選手は、どこか動きにぎこちなさや違和感を感じます。脚を痛めてしまった場合、その脚をかばうために引きずるように走っていたり、びっこを引くように走る選手をスポーツ現場ではよくみかけます。

痛いから片脚を引きずるように走っていれば、逆の脚に自然と負担は増え、ストレスに耐えられなくなるとかばっていた方の脚も痛めてしまうということが起こります。

痛みが出なくてもこうような走り方をすれば癖となり、いつか身体を痛めてしまう可能性があります。これは改善する必要がありますが、今日はこのびっこ(跛行)を引くことで起きた臀部の痛みとその改善についてお伝えしていきたいと思います。

こちらの記事も参考にしていただければと思います。

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跛行、びっこを引くとは?

びっこを引くという言葉は聞き慣れた言葉だと思いますが、跛行(はこう)という言葉も同じ意味を持ちます。

■跛行、びっこを引くとは?

  1. 片方の足に故障があって、歩くときに釣り合いがとれないこと。
  2. 対 (つい) であるべきものの数・形・大きさなどがそろわないこと。

goo辞書より引用:びっこ

脚を痛めると体重がかかるだけでも痛みが増し、できるだけ体重がかからないように本能的にしてしまいます。逃避反応ですが、このような動作を続けると脳がその動きをインプットし、痛みがなくなってもそれがあたかも当たり前のように感じ、脚を引きずるように動くようになってしまいます。

この動作を行ってしまうリスクは、逆脚である健足側に過度なストレスがかかるため、これが原因で逆側も痛めてしまう可能性があるということです。

現場でも実際にこのびっこを引く癖がついたことによって殿筋を痛めてしまった選手がいました。

 

びっこを引く癖がついたことで臀部を痛めた

この選手はなぜ痛みがなかった臀部を痛めることになったのかをお伝えしていきたいと思います。

びっこを引くことになるきっかけ

びっこを引くことになったのは、以前右足首を捻挫した際に病院で診察を受けず、痛みは少しあったものの自分でプレーができると判断し、小さな痛みを抱えながらプレーをしていたためです。

痛みが徐々に増していき、体重をかけることに恐怖心が芽生え、目一杯体重をかけることができなくなり、それが半年以上続いたそうです。

痛みが出ないように足首をかばいながらプレーを続けていましたが、時間が経つごとに次は逆側の左のお尻あたりに張りを感じ始め、痛みが出てきたそうです。

はじめて相談を受けた際に身体を見ていきましたが、身体は全身歪み、お尻周辺や脚全体が過度に緊張していました。実際に走り方を見ていきましたが、本人は重心の偏りを感じていたそうですが、それを左右均等に直すことができず、痛みとともに悩んでいました。

整骨院で筋肉を緩めてもらったり、電気を当ててもらうと一時的にはマシになっても、やはり左右差を感じ時間が経つとやはり臀部の痛みが再発するような状況でした。

 

臀部の痛みが出る理由

この選手の場合、歩いているときや走っているときのリズムがボンッ!パッ、ボンッ!パッ、ボンッ!パッ、というように左脚に重心が偏り、左脚でリズムをとるような歩き方や走り方をしています。

このような状態で走るということは、片脚でのジャンプスクワットを左脚をメインで行っているような状況であり、当然左側へのストレスが大きくなります。

また体重支持ポイントに問題があり、踵よりも後ろ側にずれており、このような走り方をすることで臀部へのストレスが大きくなり、痛みへと変わっていました。

ジャンプして着地をするというのは、体重の5~6倍の負荷がかかると言われており、それが片脚となると衝撃の大きさは容易に想像できます。

現在は右足首の痛みはないものの臀部の痛みがあり、びっこを引くような動作を行うため、まず身体全体を整えるために身体調整を行い、そしてそこからこのぶっこを引く動作の改善に移っていきました。

 

びっこを引く動作の改善について

歩くときや走っているときにびっこを引くような動作をしている場合、どのように改善すればいいのでしょうか?

実際にびっこを引くような動作をしている方は試していただくとわかりますが、歩きながら、走りながら改善するのは非常に難しい。脳がインプットしてしまっていますので、どうしても偏りが生まれます。

そもそもその偏りを本人が自覚できているのかということも重要になりますが、これを実感させていきます。

改善のステップとしては、以下のような組み立てを行い改善を図っていきます。

  1. 体重支持ポイントの確認
  2. その場でジャンプストップや連続ジャンプを行い、両脚着地を繰り返す
  3. 続いて、それができたら10cmぐらいの小さな歩幅でジャンプストップを繰り返す
  4. それができるようになれば20、30cmと距離を伸ばしていく
  5. 次にホップジャンプを3、4と同じ手順で行う
  6. これができたら片脚で行い、それができたら交互に行う
  7. そして歩き方、走り方へと移行していく

このようにいきなり動作に入っていかずに、両脚、片脚、交互という順に歩く走るという動作につなげていきます。

もちろんこのようなエクササイズをしている際に、左右への重心の偏りをなくす目的で行っているため、それが出ないように繰り返す必要があります。

このときにフラット着地をし、臀部に刺激が来るのを理解するとその後の走る動作でも衝撃を臀部で受けることができ、弾むような動作ができるようになります。

では実際にひとつずつの動きを見ていきたいと思います。

体重支持ポイントの確認

これは、あまり知られていない鵞足炎の原因と改善方法とは?ランニングなどで起こる足首周囲の痛みや腫れの原因と現場で感じた改善についての中でも紹介していますが、脛骨の真下、踵に重心を置きます。

体重分布  体重支持ポイント

ジャンプストップ

体重支持ポイントが理解できればジャンプストップなどでインプットしていきます。

その場でジャンプストップ(両脚)

バランストレーニング バランストレーニング バランストレーニング

ジャンプストップ(前方移動)

バランストレーニング バランストレーニング バランストレーニング

ジャンプストップ(片脚)

バランス バランス バランス

ジャンプストップ(片脚・前方移動)

これが終われば交互に行い、歩く、走るという手順で段階を踏んでいきます。

歩き方について

上記のようなステップを踏んでいき、次に行ったのは歩くことです。

これらのことをした後に歩くと左右差を改善することはできていましたが、まだ左右差が残っていました。この状態で走ってしまうとまた片脚に過度なストレスがかかってしまうため細かく思うような左右差も改善していく必要があります。

ここで行ったことは踝と踝を軽くこするようにくの字に脚を動かしながら歩くことです。このように歩くことで左右差がなく歩くことができます。手順は以下のようになります。

まず1本のライン上に足を肩幅に開き立つ

足幅

踝と踝を軽くこするようにくの字に歩く

一直線のラインに対してくの字を描くように脚を動かし、歩いていきます。そうすると左右差がなくなりますので、それを感じながら歩きます。

左右差を感じなくなれば、後は通常と同じように歩きます。

歩き方を整理しよう!目的別に見る身体の使い方について

左右差がここでなくなるので、そのまま走りへとつなげるような流れになります。もし左右差がある状態で走ってしまうと、また癖がついてしまうので、歩くまでのところで左右差を感じなくなってから走るようにしてください。

このように、まずきちんと体重支持ポイントを理解させるために段階を踏んでステップアップしていき、びっこを引くような動きから自然な動きへと変えていきます。

いきなり走ってしまい、走りながらびっこを引くような動作の改善は動きが速すぎるためなかなか動きを変えることは難しくなりますが、このように動作が遅い場合自分の身体もコントロールしやすく、また自分の身体をどのように使っているか、動かしているかが理解できます。

このような癖のある動きを改善する場合、本人は動きに違和感を感じていません。自分の中では自然な動きのように感じていますが、それを改善するためには、まず“自覚”させる必要があります。

自覚しないままただ動作を変えてしまうと、違和感としてとらえそれを不自然な動きだと認識してしまう可能性があり、動作が変わりません。まずはどこがどうなっているのか、それを本人に理解させ、そこから上記のようなステップを踏むことが重要になります。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回はびっこ(跛行)を引く方の対応について考えをまとめていきましたが、さまざまな指導の際には、いきなり指導をするのではなく、まず相手に現状を伝え理解してもらうことが重要になります。

こういった動きも一緒で、まずはどのように身体を使っているのか、それを理解することから始まります。

投球動作もそうですが、リリースポイントの高さがあと数センチ高ければもっといい投球ができるとしても、その数センチを変えるには投げる際に数センチ高い位置へ、と意識をしても速い動作の中では数センチを変えることも難しくなります。

動作をどのように改善するのか、問題の動作を直接的に変えようとアドバイスをすることも必要ですが、ステップを踏んで動作を変えていくことの方がより理解しやすく目的とする動作に改善しやすくなります。

今日の内容が少しでも参考になればうれしく思います。

では最後に今日のまとめを書いていきたいと思います。

  • びっこを引くような走り方を改善する場合、動作の中で変えようとしても難しい
  • まず体重支持ポイントを理解させる
  • その場でジャンプストップをし、体重支持ポイントをインプットする
  • 両脚から始まり、片脚、交互と移行していく
  • そこから歩く、走るというステップを踏む
  • 動作の中で変えようとすると動きが速いためわかりづらく、理解しにくくなる

このような内容でお送りしていきました。

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。