
先週、社会人野球選手にキャッチャーのスローイングについて指導する機会がありました。肩は強く、投手をすれば140kmは出るぐらいの選手ですが、もう少しスローイングについて質を上げたいということで指導をしてきました。
肩が強いがためにステップの使い方が不自然だったり、腕だけで投げるようなフォームになっており、そのあたりを修正すると非常に球筋も良く楽にセカンドまで投げられる感覚が出てきたそうです。
今日はキャッチャーのスローイングについてお伝えしていきたいと思います。
Contents
キャッチャーのスローイングについて
選手とのやりとりの中で、最近の課題を明確にしていきました。
- 上体が前に突っ込んでしまう
- ステップがスローイングと合わない
- 腕がスムーズに動いていない感覚がある
これが主な課題であり、動作を見ているとその課題としてあげている動きはよくわかりました。
投手の場合、スローイングは立つ・前に・投げるという3つの動作で考えることで整理しやすくなりますが、キャッチャーのスローイングは捕る・持ち替え・投げるという3つの動作をイメージして行っていきました。
捕る動作
ただボールをキャッチするというイメージだけではなく、ボールをキャッチするときにどのように身体を使えば次のスローイングへスムーズに移行できるか、また勢いをつけられるかなどを確認しつつ行っていきました。
一般的なステップの仕方とすれば、右投げの場合、捕球した後右脚を左脚の前を通し、大きく前にステップするという指導を受けることが多いと思います。
捕球体勢によってもそれは異なると思いますが、僕自身は捕球後は右脚を大きく前に踏み出しなさいと習ったことを覚えています。
これをキャッチャーが言葉通りに行うことは非常に動きづらく、次の動作が遅くなってしまいます。
盗塁を阻止するためには、コンマ何秒の世界になりますので、いかにロスを減らすか、そういうことを考えることも必要です。そう考えると、このような動作はあまり速く動けません。
次の動作に移行しやすく、勢いをつけるためには捕球すると同時に軽く上げていた左足を着地し、前にステップを踏むことでスムーズに動くことができます。
選手の場合、この左足の使い方は以前も指導をしていますが、タイミングがずれており、左足の着地が速く、前に突っ込んだような状態でスローイングに移っていたため上体も前に突っ込んでしまっていました。
捕球体勢については、自分が次に移行しやすいところで捕球すればいいと思いますので、ここについては捕球しやすいところを選手自身に探してもらいました。
持ち替えについて
持ち替えについては、捕球後左足の着地と同時に前にステップを踏み、その流れでグラブを耳元に素早く移行させながら右手に持ち替えます。
耳元に持ってくれば、その後はスローイングに移行するだけの状態になります。
これは後で練習時に行っておきたいポイントなどをお伝えしていきたいと思います。
投げる動作について
ピッチャーの場合、腕の振りは大きく、自然に動かすとこのような動きとなります。
イメージとしてはこのような動きとなりますが、キャッチャーの場合腕の振りがここまで大きくなってしまうと時間がかかってしまうため、ランナーを刺せる確率も低くなってしまいます。
そのためこの腕の振りを小さくする必要があります。このようなイメージです。
耳元から腕で目の前の投手を切り落とすようなイメージで小さくスイングしていきます。そうすると素早く2塁へ送球でき、前方へは下半身で勢いがつけれていますので、送球も勢いが出てくるはずです。
指導した選手の場合、前に突っ込んでしまい、うまく体重移動ができていないことで下半身で勢いがつくれず、球がいく感覚がなかったそうです。
その原因は腕の振りではないかと考えて、腕の動きを調整してしまっていたそうで、それが緊張となりスムーズな動作の妨げとなってしまっていました。
スムーズに腕が動くようにサポートし、シャドーを行っていき、スムーズさが出てきたところで実際にボールを投げていくと引っ掛かりもなく気持ちよく投げられたそうです。
キャッチャーのスローイングについてはこのような手順で指導し、動き自体を変えていきました。
捕球からスローイングまでの流れ
ここまでは途切れ途切れのイメージで、少しわかりづらかったかもしれませんので、イメージをしやすいように一連の動きをお伝えしていきたいと思います。
このような流れでキャッチャーはスローイングまで行っていくといいのではないでしょうか。
キャッチャーに伝えたい練習方法について
これまでキャッチャー数名とセッションを行ったり、指導を継続してきましたが、その中でそれぞれの課題があり、その課題に対して動きや練習を取り入れたいことなどを伝えてきました。
今回のテーマはスローイングですので、実際に選手にアドバイスしたことをご紹介したいと思います。
ステップの練習
これは先ほどお伝えした捕球と同時に左足でステップを踏み、前方へ勢いをつけるということですが、いきなり試合でできませんので、日頃の練習の中に取り入れていきました。
一人で練習する際も壁当てをするように、跳ね返ってきたボールを捕球すると同時にステップを踏み、そのタイミングと足の使い方について練習していきます。
先ほどの流れをいきなりすべてしてしまわずに、まずは1つ1つの部分に分けて最後に合わせて全体の動きとして行っていきます。
持ち替えの練習
これも先ほどの流れのひとつになりますが、捕球した後スッとグラブと右手(右投げの場合)を耳元に持ってきて、いつでも投げられる体勢を作ります。
グラブから右手に持ち替える素早さを練習で身につけるために、なんとなくやるのではなく、1回ずつ素早く動く必要があります。
持ち替えからのスローイング
2塁でランナーを刺すためには、ピッチャーとの兼ね合いもありますが、キャッチャーはいかに素早く2塁へ送球できるかが重要です。
そのときにボールの握りは縫い目にかけられることもあれば、かけられないこともありますし、うまく握れないこともあると思います。そんな中でも2塁へ送球しなければいけません。
どのような握り方でも2塁へ送球できるように、練習時からさまざまな握りで2塁へ送球する経験をしておくことが重要です。
このような経験をしておくことで咄嗟にそのプレーが試合で出るときに対応できる可能性が高くなりますが、いつも縫い目にかけて2塁送球をしておくといざというときにボールがすっぽ抜けたり、対応しきれません。
さまざまな捕球体勢からのスローイング
ボールの握り方と同じですが、ピッチャーの投球がすべて身体の中心部に来ることはなく、内外へそれますが、コースに関係なく2塁へ送球しなければいけません。
さまざまなコースを想定して、崩された状態から投げることも練習の中で取り入れることも重要です。
まとめ
今回選手に指導したことは、上記のようなことで送球も非常に良くなりました。ステップや腕の振りの確認もでき、本人も気持ちよく送球できるようになったと安心していました。
上記のことがすべてではありませんが、少年野球をしていたときに教わった常識的なことは、本来は動きづらかったりすることもあります。
そのひとつが逆シングルでの捕球です。できるだけ正面に入って捕るように教わってきましたが、1塁への送球を考えると逆シングルの方が動きやすいため、逆シングルで捕球する方がスムーズです。
そういったこともあり、選手自身がどのように身体を使えば動きやすいのかを感じてもらうことも大切なことです。
今回はキャッチャーに限ってお伝えしていきましたが、少しでも選手の参考になればうれしく思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。