
テレビを見ながら両脚を前に伸ばすと、もも裏が突っ張り前屈するのがつらいし、痛い。
年齢を重ねると次第に身体の硬さを感じ始めたためストレッチを開始。だけどなかなか身体が柔らかくならないのはなぜでしょうか?
一般的にはストレッチをイメージしますが、身体を柔らかくするためにはいくつかポイントを知っておくとより効果を感じれるようになります。
今日は身体を柔らかくするために知っておきたいポイントをお伝えしていきたいと思います。
こちらの記事も参考にしていただければと思います。
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Contents
身体が硬くなる原因
そもそもなぜ人間の身体は硬くなるのでしょうか?小さな子供見ていると思うのは、気持ちが良いほど身体が柔らかく、そんなポージングできるの?と思うぐらいの体勢になったりすることがあります。
子供の頃はみんな柔らかく、大人になるにつれて身体は硬くなっていきます。
なぜ大人になるにつれて身体は硬くなるのでしょうか?それは、現代人の場合静物化が原因だと考えることができます。便利な社会となり、なんでもスマホ1台あればできる時代です。
身体を動かさない、つまり筋肉を使わないことで筋肉は硬くなり、硬い筋肉を動かすと痛むという悪循環になります。このことから考えると、身体を柔らかくするためには、筋肉を緩めることが必要なことがわかります。
もうひとつ知っておきたいことは、例えばみなさんがストレッチをしていると「イテテテ・・・」と筋肉のツッパリ感、抵抗感を感じると思います。
この抵抗感を感じる要素はいくつかありますが、この抵抗感を一番感じている箇所は筋膜になります。
身体を柔らかくするためには、筋肉を緩めることと筋膜レベルで緩めることが必要だということが見えてきます。では、具体的にどのようなことを考えて実践していけばいいのでしょうか?
筋肉と筋膜について
筋肉と筋膜を緩めることが身体を柔らかくすることにつながるということが見えてきましたが、具体的にどういう刺激を加えればそれぞれを緩めることができるのでしょうか?
そのためには、少し専門的な器官などについて知る必要があります。
筋肉を緩める
筋肉を緩めるためにはどのような刺激を加えればいいのでしょうか?一般的には、すぐに聞こえてきそうな答えは、ストレッチだと思います。
筋肉を伸ばすことで筋肉を緩める。
少し考えていただきたいのが、ゴムを引っ張るとします。ゴムを引っ張ることでこのゴムは緩むでしょうか?おそらく緩みません。逆に張力が働き、パツパツに張っていると思います。
筋肉も同じことが言え、筋肉をストレッチする、伸ばすことは緩めることではなく、エキセントリックな(引っ張る)刺激が加わるため緊張する可能性があります。
どうすれば筋肉を緩めることができるのでしょうか?考えないといけないのは、刺激と反応の関係で人間の身体はある刺激が加わったときに筋肉が緩み、身体が柔らかくなります。
どこにどのような刺激を加えればいいのかを理解しておく必要があり、この“どこに”というのは対象物です。ある対象物に対して、○○な刺激を加えることで筋肉を緩めることができます。
対象物とは何か、そこにどのような刺激を加えると筋肉を緩めることができるのか?具体的に見ていくことにします。
筋紡錘について
聞き慣れない器官かもしれませんが、筋肉の中には筋紡錘と言われる感覚受容器が存在しています。これは、筋肉が伸びていく過程で、引きちぎれないように監視しておく役目があり、司令塔のようなところです。
この筋紡錘は、筋肉が
- 速く
- 強く
伸ばされると刺激を受け、筋肉を収縮させます。収縮させるということは筋肉が緊張するため、筋紡錘を対象としてストレッチングを行う場合、この筋紡錘を刺激しないようにする必要があります。
筋紡錘に刺激を与えないようにするためには、
- ゆっくり
- 易しく
ストレッチングすることで筋紡錘は適度に伸ばされます。そしてその状態で数十秒キープすると、筋紡錘は伸ばされた長さに適応し、「この長さだと大丈夫!」と判断し、筋肉を緩める反応を示します。
わかりやすい例だと、Aさんがいて、両サイドでB・Cさんと手をつないでいます。
Aさんの手をいきなりグッと引っ張ったり、強く引っ張ると抵抗し、力を入れます。これは筋肉が緊張するのと同じ。
ですが、B・Cさんが優しくゆっくり手を引っ張り、ある程度のところまで引くと「この辺りでちょうどいいかな」というところがあります。それが気持ちよくストレッチングできる箇所になります。
ただ、この時点ではまだAさんは若干の疑いを持っているわけです。「こいつらまた引っ張るかも・・・」ですが、数十秒すると、「もう信頼できる!」と思うと、安心します。この瞬間が筋紡錘の適応であり、筋肉を緩める瞬間になります。
筋紡錘を対象物としてストレッチングを行う場合、
- ゆっくり、易しく行う
- 30秒前後ストレッチングを行う
- 痛みを伴わず、気持ちよく行う
ことで筋肉を緩めることができます。
腱紡錘(ゴルジ腱器官)について
身体が硬い方にとって、筋肉を伸ばすストレッチングは少々つらい。だけど、痛みを感じれば感じるほど効果的と思ってしまっている方もいますが、実は逆効果です。
身体の硬い方の場合、もっと楽に筋肉を緩める方法は、腱紡錘(ゴルジ腱器官)に刺激を加えることです。
言い方を変えると筋肉を収縮させ筋肉を緩めるということです。身体が硬いというのは、筋肉が縮こまっている状態であるため、伸ばすよりも収縮させる方が楽なはずです。
では、なぜ筋肉を収縮させると筋肉は緩むのでしょうか?
イメージしていただきたいのが、2本の棒にゴムをつなぎ、その真ん中に人が立っているとします。
この人が棒につながれたゴムを引っ張ると、棒とゴムのつなぎ目は強い刺激を受け、最終的には引きちぎれそうになります。人間でいうと棒は骨、人とゴムは筋肉です。
筋肉が強く収縮すると、棒とのつなぎ目に存在する腱紡錘が刺激を受け、「このままでは切れる」と判断し、このときに筋肉を緩めます。
腱紡錘は刺激を受けると筋肉を緩める反応を示します。ですので、身体が硬い方は伸ばすのではなく、軽く筋肉を収縮させることで筋肉を緩めることができます。
筋膜について
筋膜というのは、筋肉やさまざまな器官を覆ったり、全身に張り巡らされている膜のことです。筋膜を構成している物質は、
- コラーゲン
- エラスチン
- 基質
この3つが主な構成物質です。それぞれに特徴を持っていますが、この特徴を掴むことが重要で、その特徴に合わせて実践する必要があります。
コラーゲン | 非常に硬い、強く構造をしている。 |
エラスチン | ゴム質で伸び縮みをしやすい構造をしている。 |
基質 | 基本はジェル状であり、条件を満たすと液体に変わる。 |
筋膜を対象としてこのようポージングでストレッチングを行うとします。
約30秒前後のストレッチングで終えてしまった場合、一時的には身体は柔らかくなります。ですが、時間が経てば元に戻ります。筋膜を緩める場合、コラーゲンレベルで緩める必要があります。
約30秒のストレッチングでは、ゴム質であるエラスチン線維が伸ばされますが、コラーゲンレベルでは伸ばされていません。ですので、時間が経つと元に戻ってしまいます。
コラーゲンレベルで緩めるためには、まずジェル状である基質を液体に変える必要がありますが、基質は上記のようなストレッチングを約90秒行ったときに液体に変わると言われています。
そして基質が液体に変わるとコラーゲンが伸張され、コラーゲンレベルで緩むと言われています。そのため、筋膜を緩めようと思うと2~3分ほどストレッチングを行う必要があります。
ここまで主に3つの器官を対象物とし、どうすれば筋肉などを緩められるかをお伝えしていきました。これらをどのように実践していけばいいのか、身体が硬い方、柔らかい方、それぞれの方に取り入れ方をご紹介したいと思います。
身体を柔らかくする方法
具体的にどのように筋肉や筋膜を緩め、身体を柔らかくしていけばいいのでしょうか。
まず筋紡錘を対象としたストレッチングについてお伝えしていきたいと思います。
身体を柔らかくする①‐筋紡錘への刺激
ハムストリングスのストレッチング
- 長座になり、軽く膝を曲げる
- 気持ちよくストレッチングできるところまで前屈する
- 呼吸をしながらその状態で30秒間保持をする
ポイントは、
- 痛みを感じないこと
- 無理に伸ばそうとしないこと
- ストレッチング中は深呼吸をすること
腓腹筋のストレッチング
- 片脚を前に出し、踵までつけておく
- 出した脚に体重をかけるように腓腹筋をストレッチングする
- 気持ちよく伸ばされているところで約30秒保持する
筋紡錘を対象とした場合、ターゲットとする筋肉をストレッチングするポージングをとり、気持ちよく30秒程度ストレッチングを行うと筋肉は緩むということです。
どんなポージングをとるのかは目的次第で、決まりがあるわけではありません。そのため、ご自身で行うストレッチングはポイントを守れば筋肉を緩めることができます。
このやり方を守っていただけると身体を柔らかくすることができます。
身体を柔らかくする②-腱紡錘への刺激
ハムストリングスを緩める
- 長座になり、一度前屈をして柔らかさを確かめる
- そこから、踵で地面を軽く押す
- ハムストリングスを5割ぐらいの力で軽く収縮させる
- 力を抜き、再度前屈をする
腱紡錘への刺激は、緩ませたい筋肉を軽く収縮させるとその筋肉は緩むということです。これを理解しておけば、緩ませたい筋肉を収縮させればいいので、いろんなバリエーションが作れると思います。
身体を柔らかくする③-筋膜への刺激
筋膜への刺激は、筋紡錘への刺激を参考にしていただき、時間が2~3分に変えます。そうするとコラーゲンレベルで緩み、筋膜は緩みます。
このようなポージングをとり、2~3分気持ちの良いところでストレッチングを行うと筋膜が緩みます。
上記でご紹介してきましたが、筋肉を緩め、身体を柔らかくするためにはこれらの方法をうまく活用することです。
よく行われているストレッチングで不適切なのは、筋肉が緊張してしまう刺激が加わっているケースがよくあり、最悪の場合、痛めてしまうということも聞きます。
対象物に対して適切な刺激を加えることで筋肉は緩み、身体は柔らかくなっていきます。
筋肉を緩める方法はこれら以外にもある
筋肉を緩めて身体を柔らかくするためには、これら以外にも方法はあります。
- 皮膚
- 呼吸
これらでも筋肉を緩めることができます。
現場では緩ませたい部分に手を当てて呼吸をしていただきます。そしてその後に筋肉を揺らすとその周囲の筋肉は緩みます。
皮膚の上に約20g前後の負荷がかかることで、一酸化窒素が分泌され、血管やリンパ管が拡張し、流れが良くなると言われています。
そうなると筋肉も緩みます。
まとめ
身体を柔らかくする考え方についてまとめていきましたが、いかがでしたでしょうか。
痛みを伴うストレッチングは、感じ方としては効果的な感じもしますが、実は逆効果。対象物に目的に応じた刺激を加えることが何よりも重要です。
その適切な刺激というのは、筋紡錘、腱紡錘など感覚器などによって異なり、そのひとつひとつの特性を理解しておく必要があります。
上記でお伝えした内容が少しでも参考になればうれしく思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。