
「もっとこうしろ!」「こうやって投げるんだ!」「バットをこうだせ!」
バッティングセンターや公園で野球をしている親子を見ると、こんな声をよく聞きます。最近5歳の息子はバッティングセンターにはまっているそうで、よく打ちに連れていきます。
そのときはただただボールを打つことが楽しく感じたり、スポーツをすることが楽しく感じるように一緒にはしゃいでいます。
一生懸命という言葉は一見いい言葉のように感じますが、野球選手にとっては時にマイナスになります。今日はこの言葉の意味をお伝えしていきたいと思います。
こちらの記事も参考にしていただければと思います。
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一生懸命という言葉は、動きを硬くする
野球選手に限らず、多くのスポーツ選手に共通することですが、良いパフォーマンスを発揮しようと思うとリラックスすることが必要になります。
スムーズな動きはアームスイングやバットスイングを速めます。リラックスした動作を行うことで、パフォーマンスも良くなり、関節への負担が軽減されケガのリスクも低くなります。
このリラックスした動作、動きをするために、一生懸命に動こうとすると筋肉が緊張し、スムーズが失われます。
スムーズな動作をするためには、適当に動くことです。これは、曖昧に、サボるという意味ではなく、適度な、適切な、という意味で使っています。
部分に過度に意識を向けてしまうと動きは硬くなってしまいます。そのために1つか2つぐらいのポイントをイメージし、身体を動かします。そのぐらいの意識で身体を動かすと緊張せず、スムーズに動くことができます。
一生懸命に動こうとすると動きは硬くなるということを理解していきたいところです。
動きを硬くしてしまうアドバイスとは?
ではどういう言葉をかければ動きを硬くしてしまうのでしょうか。
例えばこのような言葉です。
- 「投球する前にボールをセカンドベースの方へ向けろ」
- 「もっと力を入れてバット振りなさい!」
- 「ここをこうして、こうやって、肘はこう使って、こう打つんだ。」
これらのアドバイスは、すべて動きを硬くしてしまいます。それぞれの理由ですが、
- リラックスして投球しようとすれば自然とセカンド方向に向く。向けるのではない。
- 力を入れると緊張し、リラックスさせる方がバットスイングは速くなる
- アドバイスが多すぎると意識することが多く、緊張しやすい
肩肘を痛めてしまう原因のひとつにアドバイスの内容がありますが、言葉というのは思った以上に影響力が大きく、そのアドバイスが選手の肩肘の痛みを誘発している可能性もあります。
言葉のかけ方ひとつで、動きが硬くなったりスムーズな動きになったりします。選手が理解しやすいアドバイスは、シンプルで1つか2つぐらいの言葉がけぐらいがちょうど良いように思います。
リラックスして動けるように身体の構造を理解する
リラックスした動作をするためには、身体を構造をする必要があります。
例えば、肘を引きながらテイクバックに移ろうとすると肘は下がったままになり、肩よりも高く上がりません。
肩の構造上、肘を引くと腕は上がりません。これは、投手の肘が上がらなくなる原因と不適切なアドバイスについてに詳しく書いていますが、現場でよく見るケースです。
バットスイングについても同じですが、どのようにすればリラックスした動きができるのかを理解することです。打ち方についてはこちらを参考にしていただければと思います。
型にはめずスムーズに動ける場所を自分で見つける
指導する立場だとわかりますが、選手にはより良くなってほしいと思いますので、アドバイスをしたくなります。
ただ、このアドバイスの中でも、型にはめるようなアドバイスをしてしまうとチーム全体で同じフォームの選手がほとんどとなり、個性が失われます。
個性を失わないためには、あまり多くのアドバイスをせず、ポイントのアドバイスを送り、スムーズに動ける場所を自分でみつけさせます。これができるとそれぞれのフォームですが、スムーズな動作はみなができるようになります。
型にはめる指導が目立ちがちですが、個性を失わず、かつスムーズな動作ができるように身体の構造を理解しアドバイスの仕方に注意していきたいですね。
■投手が知っておきたい3つに分けた投げ方の基本の考え方について
最後に
愛情を持って指導するからこそアドバイスが多くなってしまいますし、その気持ちもすごくわかります。
僕も現場で時にアドバイスが多くなりがちですが、意識して意識して1つか2つのアドバイスに留めようとしています。結果に嘘はないんですね。
できるだけ少ないアドバイスで、適切なポイントを伝えると動きは大きく変わります。アドバイスが多いときほど、思ったような成果は見えないものです。
一生懸命という言葉は良い言葉です。良い言葉ですが、野球選手の指導のときにはこの言葉は逆効果です。より適当に、リラックスして動く方が結果的にいい動きになります。
この辺りを理解して指導するとまた違った成果を見ることができるのではないでしょうか。
今日の内容が少しでもお役に立てると嬉しく思います。
今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。