敏捷性(アジリティ)と俊敏性(クイックネス)の意味とトレーニング方法

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敏捷性(アジリティ)と俊敏性(クイックネス)、似ている言葉で意味も混同されがちですが、これらには明確な違いがあります。

また、一般的に言われている敏捷性トレーニング=アジリティトレーニングですが、これもまた目的と方法を整理しておかないと、おそらく求める効果を得ることができません。

今回は、そんな敏捷性と俊敏性の違いやそれぞれの意味やトレーニング方法について解説します。

 

敏捷性(アジリティ)と俊敏性(クイックネス)の意味と違い

敏捷性と俊敏性はそれぞれ意味が異なりますが、まずはそれぞれの意味について解説していきますね。

敏捷性(アジリティ)とは

敏捷性を英語に訳すと【agility=アジリティ】と言います。アジリティとは、

機敏さ、軽快さ、敏捷さ

という意味がありますが、この中に正確性というものが含まれます。

例えば、反復横跳びをするとき、左右のラインをまたがないとポイントにならないですよね。ここで正確性が必要となり、その上で速く行う能力が求められます。これが敏捷性(アジリティ)という能力です。

アジリティトレーニングとしては、

  • 反復横跳び
  • シャトルラン
  • Tドリル など

がアジリティトレーニングとしてよく行われる方法ですね。続いては、俊敏性(クイックネス)について解説します。

俊敏性(クイックネス)とは

速さ

俊敏性を英語に訳すと【quickness=クイックネス】と言いますが、敏捷性とは異なる点があります。クイックネスとは、

速さ、素早さ、俊敏さ

などの意味がありますが、これらには正確性を含みません。

例えば、ラダートレーニングってありますよね。これは、枠の中に決められたさまざまなステップを踏むトレーニングですが、もしラダーを蹴ってしまっても減点にはならないですよね。

でも、速さは求められるわけです。つまり、ラダートレーニングは速さのみを求めるトレーニングであり、俊敏性という能力は、速さのみの能力のことを言います。

ここまでのまとめ

  • 敏捷性=速さ×正確性
  • 俊敏性=速さのみ

ちなみにサッカー選手の場合、この2つに合わせてフットワークという言葉も使われますが、ついでにフットワークについても解説しておきますね。

フットワークとは

フットワークの意味は、

足運びのこと。行動力、機動力、切り替えの早い様子

という意味があります。足をどのように動かすのか、サッカー選手の場合さまざまな場面でいろんな足の動きが要求されますが、これを身につけるために行うのがフットワークトレーニングとなります。

いずる
1つ1つ改めて見ていくと、違いがあるよね。
かな
同じように感じていても、実はそれぞれ違う意味があって、それを知ってないと適切なトレーニングはできなさそうだね。

では、それぞれどのようにトレーニングすればいいのでしょうか?詳しく解説しますね。

 

敏捷性(アジリティ)と俊敏性(クイックネス)のトレーニング方法をご紹介

敏捷性と俊敏性それぞれのトレーニング方法について詳しく解説しますね。まずは、敏捷性から。

敏捷性(アジリティ)トレーニングの方法

敏捷性トレーニングをするときのポイントは、

  • 遅い動きから速い動きへ
  • 簡単な動きから複雑な動きへ

という2つです。

つま先ではなくフラットに着地をする

反復横跳びで考えてみたいと思いますが、反復横跳びは簡単そうで意外と難しいんですね。というのは、どのように左右へステップし、どのように切り替えすか。これを考えておかないと速く正確に動けません。

まず最初に着地の仕方を身体にインプットしていきます。イメージ的にはつま先でちょこちょこ動き、地面を踏ん張るように切り返せば速く動けそうですが、それでは動きが遅くなってしまいます。ポイントは、フラットに着地をすることです。

フラットに着地

かな
こんな着地じゃ左右へ動きづらくない?
いずる
身体の構造から考えると、べた足の方が速く動けるよ。

つま先で着地をすると、前に回転する力が加わり、最短で動けず、遅くなります。

つま先着地

反復横跳びでより速く動くためには、真横に直線的に動けることが理想になります。ですが、つま先で左右へ移動しようとすると、どうしても斜め方向に動いてしまいます。

ですので、より正確に速く動くためにはフラット着地を確実に行えるように、少しゆっくりとしたスピードで反復横跳びを行います。

そして、フラット着地が確実にできるようになれば徐々に動きを変えていきます。

重心を先に運ぶ

フラット着地ができるようになれば、次は切り返すときの動作を改善していきます。切り返す動作をするとき、おそらく多いが地面をグッと踏ん張って動きたい方向に切り替えすことだと思います。

ただ、地面をグッと踏ん張ってしまうとそこでブレーキがかかり、ロスになるんですね。

地面を踏ん張る

地面を踏ん張るのではなく、動きたい方向に先に重心を運んでおきます。そうすると、次の動きがスムーズになるんですね。

重心の移動

この重心移動がうまくできるようになれば、徐々にスピードを上げていき、より速く正確に動けるようにしていきます。こちらの動画をご覧いただくと、動きのイメージがつきやすいと思います。

ちなみにつま先で地面を踏ん張ると、こんな感じの動きになります。

切り返すときに、一瞬止まるというか、グッと踏ん張る時間が長いのがわかると思います。この微妙な差は、サッカーなどのプレーになれば大きな差になるので、こういう誤差を埋めるために、重心移動がうまくできるようにトレーニングしていきます。

これが敏捷性(アジリティ)トレーニングになります。

敏捷性トレーニングのまとめ

  • フラット着地ができるようにする
  • それができると、重心移動ができるようにする
  • そして、ゆっくりから徐々に速く動く速度を上げる

この手順で行い、敏捷性能力を向上させていきます。反復横跳びじゃない場合も、基本的には動作を確実にこなし、そこから徐々に速さを上げるという流れは一緒です。

続いては、俊敏性のトレーニングについて解説していきますね。

俊敏性(クイックネス)トレーニングの方法

俊敏性トレーニングの目的は、

筋肉の最大収縮速度の維持

になります。

人の筋肉には大きく分けて2つのタイプの筋肉があり、速筋と遅筋になります。速筋の割合が多い方ほど、より速く動けますが、この割合は遺伝で決まります。

この割合に関係なく、自分の最大速度が10だとすると、毎日この10の速さを経験しておかないと、10の速さが維持できなくなってしまいます。

運動会のお父さんがよく転ぶのは、昔10で走れていたけども、最近は10の速さで身体を動かしていないため、気持ちは10、身体は6でしか動かず転ぶという結果になってしまうんですね。

かな
あ~なるほどね。

このことから、俊敏性(クイックネス)トレーニングでは、最大の速さで筋肉を収縮させる、つまり最大の速さを経験させることが目的になります。

いずる
つまり速さは向上しないけど、維持させるためにやる必要があるトレーニングってこと。
かな
敏捷性と全然違うね。

この速さを維持するためにラダーを活用している、それがラダートレーニングです。正直、別になかってもいいので、いろんなステップで最大収縮速度を経験させていきます。

具体的なイメージは、この動画のような内容ですね。

このステップの内容は、各競技や目的によって異なりますが、全てに共通することは最大速度で動くということです。

俊敏性トレーニングのまとめ

  • 筋肉に最大収縮速度を経験させること
  • ラダーは特に使わなくてもOK

これが俊敏性トレーニングの内容になります。ただ、ここで意見が出るのが、ラダートレーニングについてです。

一般的にはラダートレーニング=敏捷性(アジリティ)トレーニングとして行われることが多いですが、ラダートレーニングは俊敏性トレーニングです。なぜなら正確性を必要としていないからです。詳しく解説しますね。

ラダートレーニング=俊敏性トレーニングの理由

ラダートレーニング=敏捷性トレーニングではない理由を説明すると、敏捷性=正確性×速さとお伝えしましたよね。

反復横跳びの場合、もし左右のサインをまたがなければポイントが加算されませんが、ラダートレーニングの場合は減点も加点もされません。

別にラダーを蹴ってしまおうが特に問題ではなく、1つの目安として活用していることになります。そういう意味では、正確性を必要としていないので、ラダートレーニング=敏捷性トレーニングとはならないということです。

かな
説明を聞くと確かにそうだけど、もしラダーを使って正確性を取り入れたメニューを決めば敏捷性トレーニングとしても活用できるの?
いずる
それはよく言われることだけど、正確性をラダートレーニングの中に含めるのであれば敏捷性トレーニングとしても活用できるよ。

一般的に行われているラダートレーニングの方法であれば、目的は俊敏性トレーニングです。敏捷性トレーニングとしてラダーを活用する場合、そこに正確性を組み込んだトレーニング内容にする必要があるということですね。

 

コンディショニング全体をトレーニングする必要がある

ここまでお伝えした内容は、主に敏捷性と俊敏性のことですが、スポーツ選手の場合、アジリティトレーニングやクイックネストレーニングだけでは足りません。

というのは、スポーツ選手としてよりレベルアップをするためには、コンディショニングレベル全体を向上させる必要があります。

コンディショニングとは

そもそもコンディショニングとは、一般的には、

その日の体調、調子

という意味で使用されることが多いですが、本来の意味は5つの体力要素のことを指しています。それが、こちらです。

そして、この身体的コンディショニングは、バイオモーターという表のことを指しています。

バイオモーターアビリティ

スポーツ選手が行うべきトレーニングは、これらすべてであり、これらの体力要素すべてがバランスよく向上することで、パフォーマンスが向上します。

ですが、敏捷性だけ、俊敏性だけではパフォーマンスのレベルアップが難しくなります。だからこそ何か1つのトレーニングをするのではなく、広い視野でこれらすべてのトレーニングをする必要があるんですね。

ですので、今回は敏捷性や俊敏性を詳しく解説しましたが、コンディショニングやトレーニングについてもより深く理解し、その他のトレーニングも同時に行っていくようにしてくださいね。

いずる
スポーツ選手のトレーニングは、基礎作りになるし技術練習だけじゃ、どこかで頭打ちがきてしまうからね。
かな
練習とトレーニングを並行しないといけないってことか。

 

まとめ:敏捷性と俊敏性の能力は大きく異なる

今回の内容から、それぞれの能力が大きく異なることは理解していただけたと思います。

言葉の意味やそれぞれの本質を知っていくと、道具がいらないですし、実は行っているトレーニングでは向上させたい能力をトレーニングできていない可能性があるということにも気づきます。

そのため、こういったトレーニングはまず言葉の意味を知ることが重要だと思います。

今回の記事のまとめ

  • 敏捷性(アジリティ)=速さ×正確性
  • 俊敏性(クイックネス)=速さ
  • 敏捷性を高めるためには、遅い→速い動きへ、簡単→複雑な動きへと移行させる
  • 筋肉の収縮速度を維持するためにクイックネスを行う
  • ラダートレーニングはアジリティではなくクイックネスを目的としたトレーニングである

今回の内容が、スポーツ選手や指導者の方の参考になればうれしく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

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