2012年 6月 の投稿一覧

殿下との思いで|ニュースレターNO.290

6月6日に薨去された寛仁親王殿下は、14日に斂葬の儀が摂り行われ、荼毘に召されて皇族の御墓である豊島岡墓地に埋葬されました。私にとっても何か気の抜けた支えがなくなった思いでいっぱいです。もうお会いすることのできない殿下との思いをここに綴っておきたいと思います。

殿下と初めてお会いしたのは、私が大学を卒業した1974年でした。私が就職した東洋で初めての身体障害者専用のスポーツセンターに殿下が秩父宮妃殿下の「障害者福祉をしているのならぜひ行ってきなさい」とお声をかけられて、視察にお見えになられたときでした。

殿下は私より5歳上なので、まだ殿下が20代の時でした。その殿下の一声で、障害者のクリスマス会や身体障害者のスキー教室が開かれることになり、スキー教室では、殿下が陣頭指揮で指導されました。

それがきっかけで、1979年2月に蔵王で開催される東洋で初めてインタースキーで障害者スキーの指導法について発表されることになりました。私は大阪からデモンストレーターの障害者を連れて、前年の5月に奥志賀で行われた合宿に参加しました。

その合宿中に団長であった速水先生が腰痛になり立てなくなられ、それを私が治してあげたことがきっかけで、日本チームのトレーナーとしてインタースキーに帯同することになりました。このことが御縁でたびたび殿下からお声が掛かるようになり、いつの間にか殿下のパーソナルトレーナーとしてのポジションに今日までおかれておりました。この話は、私が出した1987年に最初に書いた「スポーツ選手のためのウォームアッププログラム」の推薦のことばで、次のように書かれています。

「著者の魚住氏とは10年を楽にこえる古いつきあいになる。はじめの頃、私は彼を以前、陸上競技で少しは鳴らしたスポーツ指導員としてしかみていなかった。8年前、我々スキー教師のオリンピックとでもいうべき世界スキー指導者会議が蔵王スキー場で開催されることになり、そのための合宿をしていた折、ティーム団長が重症のギックリ腰になった。

これを氏は、多量の氷を使用して、我々の見ている前で完壁に治療し、完治させた。また、海軍武官あがりで、その頃からの古傷で悩んでいた友人の英国大使を、同じ方法でみごとに治してしまった。

最近では、世界で唯一の視覚障害者のクロスカントリースキー世界選手権に、私が団長で何度目かの遠征をした時、最終日で荷作りをしていた私の部屋に、トレーナーとして同行してくれた彼がフラッと現われ、「殿下!お疲れでしょう!」というから、「もうヨレヨレだよ!」といったら、「ベッドに寝て下さい。すぐ治しますから!」という。

約15分間、見たことも聞いたこともない方法で、私の身体を動かした結果、私の全身の凝りはみごとに消え去っていた。昨年は、どうしたわけか、何度やってもゴルフのスコアが悪い時、彼にみてもらった。治療前に、「殿下、この鏡でよく身体全体を見て下さい!」治療後に同じように鏡のなかの私の背中を見たら、みごとに正しい形のS字が戻っていた。翌日のスコアは、生涯ベストに2打足りないとはいえ絶好調であった。

私は極めつけの運動選手であるから、長い間、あらゆる治療法に挑戦してきた。東洋・西洋の区別なく!しかし、現在、彼に勝る私の身体の調整師はいないと断言できる。

したがって、3年前から、私の長い体験から作り出したトレーニングのメニューを全部捨てて、彼の作ってくれたメニューをこなす努力をしている。彼は、ようやく近頃になって名が少しずつ知られるようになった。

わが国はどんな分野においても大家主義であるから、むずかしいと思うが、彼の素晴らしさ、とくに理論に基づいた実践と、その結果の偉大さを、早く、わが国のスポーツ界が見つめなおし、彼の持っている能力をフルに引き出す努力をすれば、選手強化の面からも、一般スポーツ愛好家の底辺拡大も、大層な効果を上げうるであろうことは想像にかたくない。

一人でも多くの方々が熟読玩味されることをおすすめするしだいである。」

一般人が皇族の方の推薦文を書いていただけることはあり得ないのですが、宮邸の事務官の方に電話を入れると、「その話は、殿下と魚住さんの関係のことなので、殿下に直接話をされたらいいと思います」と言われ、殿下にお話ししたところ心よく書いてくださいました。またその本の出版パーティにも出席していただきました。

そのことも考えられないことなのですが、それ以来殿下をお支えしていけたらと考えていました。

その後はいろんなことが起こりました。殿下が崇拝されておられた高松宮さまの薨去、この時ほど殿下が落ち込まれたことはありませんでした。妃殿下から「魚住さん何とかしてよ!」といわれ、宮邸に伺った時のこともはっきりと覚えています。それから4年後にがんが見つかり、1991年1月に下部食道がんの手術をされました。その手術の影響で、胃からの逆流のためにうつ伏せになれない、水平位で寝られないということで、腰痛との闘いの時期も長くつづきました。

この時期から宮邸に伺ったり、大阪に来られた時は滞在されるロイヤルホテルに出かけて行き、殿下の体調を整えることが多くなりました。時には、北海道にゴルフをされに行かれた時、「起きたら腰が痛くなって動けない。

お前さんがいるなら今からそちらに飛んで行く!」と早朝殿下から直接家に電話が掛かってきて、北海道から大阪、そして新幹線で東京に戻られたこともありました。

そして、20008年に5月人工咽頭の手術をされた後、昨年の12月まで毎月宮邸に出向き、殿下の体調を整えたり、度重なる手術後のリハビリのアドバイスをさせていただいてきました。21年間で16度の手術を成されましたがその都度奇跡的な回復力を示されていましたので、16度目も大丈夫と思っていましたが、さすがの殿下にももう余力はおあり出なかったのだと思います。

殿下との思い出は、数限りなくあり、多くの知名人も紹介してくださいました。その思い出は、殿下との多くの思い出と共に胸に収めておきたいと思います。本当に立派なお方であられ、私との接点があったというだけでありがたくもったいないことだと思っています。殿下の著書も多く出版されておりますので、メンバーの方にも是非読んでいただき、殿下を偲んでいただきたいと思います。

身体調整テクニック習得コース その2|ニュースレターNO.289

今回は身体調整テクニック習得コースその2として、コース終了者の感想と、初回参加の方々の感想を紹介します。

初回参加された方が、からだの反応を見て「これは暗示ですか、マジックですか?」と驚かれたことが印象的でした。もちろん、「これは人間の自然な反応です」とお答えしました。人間がどのような刺激に対してどのような反応を示すのか、不思議なことだらけですが、体験し、人にも体験させることができるようになれば、施術家として、またパーソナルトレーナーとして本物に近づくことができると思います。

それが身体調整テクニック習得コースの狙いでもあります。

 

吉村一夫(鍼灸師:大阪)

この2ヶ月間、自然体という言葉と向き合ってきました。言葉にするといい響きでいいのですが、ここに持っていくことの難しさを痛烈に感じました。なぜなら、患者さんはそこからは反対側におられる方ばかりだからです。

いうなれば超不自然体で、それが自然になっているのでややこしいです。そのような超不自然体を自然体に持っていく方法を魚住先生はモビライゼーション、コンフォートテクニック、リンパドレナージュ、顎関節調整法などを用いて指導してくださいました。テクニック自体は、はっきりいってシンプルで難しくないのですが、いざ自分で使うと自然体にできたとは恐れ多くも言えません。

技はシンプルなのですが、手の圧、角度、誘導の方向など、どれかが狂うとまったく決まりません。形だけなら映像を見れば出来る気がしますが、患者さんは超不自然体のままです。技の精度を上げていかなくてはいけません。その為には魚住先生にこれからも我流になり、わかった気になっている自分のお尻を蹴飛ばしていただかなくてはいけません。

今回の4回の指導では、治療の持ち駒が出来ました。今度はこれをどのように組み合わせるか、たとえば、へバーデン結節の患者さんにはリンパで流してから「スキンテクニックがええよ!」と先生が漏らすその一言に希望の光を感じ、にやにやしながら心にメモしました(4時間の講義の間じっくりメモを取れる時間はほぼありません。

希望をすれば先生は時間を作ってくださりますが、時間が惜しいです)。自分自身で実践を繰り返し、わからないところを先生の知恵をお借りするのが上達への道かなと思っています。 これからは持ち駒の使い方(精度)、組み合わせ、なぜその駒を使うのか(目的)を明確に仕上げていきます。その為にはいかに魚住先生にポロリと「こうすればええよ」という黄金の知恵を聞き出すか、今から思案しているところです。

 

吉村玲美奈 (主婦 大阪)

4月、5月と2週間に一度のペースで身体調整法を学ばせていただきました。マクロビオティックの指導者養成とアシスタントとの掛け持ち、三児の母としての家事とこの2ヶ月はばたばたと過ぎ去っていきました。身体に触れることも初めてだったので、こんな私に出来るのか不安でしたが、魚住先生の丁寧な指導のおかげである程度形は出来ました。

それとうれしい発見なのですが、三軸修正法、新正体法、顎関節調整、どの方法でもいいのですが、身体が自然体に近づけば味覚も安定しました。マクロビオティックは塩加減が一番むずかしいのですが、自然体であればすっと決まります。

やはり料理を作る人は健康であってこそいい料理が作れるのだなあと思いました。これからもマクロビオティックをおしえていくにあたり、まずは本人の体をいかに自然体にもっていくか、魚住先生もおっしゃっていました顎関節の味覚への影響も教えられたらと思っています。変な話ですが、料理を始める前に5~10分身体調整法を取り入れて、味覚を安定させるのも面白いかなと思っています。

今回4回の指導をうけまして、これで終わりだとは全然思っていません。これからも魚住先生のご指導を受け、マクロビオティックとの相互扶助ができ、健康をいろいろな角度から勉強していきたいです。

 

岸田純弥(パーソナルトレーナー:大阪)

身体調整テクニック習得コースの案内がきて、ニュースレターでも参加者の感想を見させていただいた中で、今回名古屋のパーソナルトレーナーの飯尾さんからお誘いもあって迷わず受講させて頂きました。

勉強会やDVDでたくさんの技術を教わりましたが、このコースでは調整の技術の中で指導者のポイントとなる、言葉や動きのイメージ、誘導の仕方などを徹底的に学べるので本当に有り難いです。

初回は三軸修正の考え方から、相手に触れずして身体が整っていくのが分かりとても驚きました。自分にとっては誘導が課題でもあるのですが、エクササイズや調整をしながら最後には相手に自分の身体がどのようになっているかを認識させること、これが出来ないと結果にも結びついていきます。次回からは意識していきたいところです。

その他の調整法でも多くの気づき、課題が見つかったので何度も練習してその技術のレベルも高めていきたいと思います。

 

飯尾直尚(パーソナルトレーナー:愛知)

経験の浅い自分は指導をさせていただくうちに、いかに相手と一体になって気持ちよくサポート出来るかを漠然とではありましたが、考えていました。そんなときに目に留まったのが魚住先生の身体調整コースでした。

ノウハウや知識だけを教えるのではなく、指導者のあり方や考え方を通じて目的に合わせて技術も教えていただけるとあったので、ここだったら自分の中でモヤモヤしている部分を紐解いてくれるような気がしました。

初回では指導の中で誘導の仕方、カラダの反応、変化を感じるところから始まりました。とても基本的なことなんですが、自分のカラダへの認識・意識の浅さをはっきりと感じることが出来ました。

とてもショックではありましたが、もっともっと指導を通じて貢献が出来ると思うと、同時にとてもワクワクしてきました。初めてではありましたが、HSSRラボにお邪魔して魚住先生にご指導を頂くと、不思議と自分の感覚を研ぎ澄ますことが出来て、心身ともにすっきりすることが出来ました。

やることはいっぱいですが、次回がとても待ち遠しいです。

 

岩田朝美(加圧トレーナー:愛知)

体育大学卒業後、学生時代のスポーツクラブでの経験を生かし、加圧トレーニングの指導をしてきました。指導を続けていく中で、向上したいという思いは募る一方、何をしていいかが分からない。どれを信じていいかが分からない状態になっていました。二年前から、御縁があり、勉強会に参加させて頂き、「自然体」や「身体調整」を知りました。

お客様の身体が自分の手で変化していく事が楽しく、自分の手でお客様の悩みが少しでも減らす事が出来ればと、今回「身体調整テクニック習得コース」をお願いしました。

楽しみにしていた1回目が終わりました。今回のペアは姿勢が悪く、1つずつ手技が終わる度に身長が伸びていく姿を見て、これほどまでに変わるのかと衝撃と共に、今まで学んできた事が正確に出来ているのか不安も覚えました。身体調整を基礎から学ぶ事で、出来ていなかった事にも気付き、「三軸修正法」を知ることにより、トレーニング指導での立ち位置が間違っていた事にも気付かされました。

いつもに増して丁寧な説明と、分かりやすい指示やイメージ、触り方や見るポイントを個々に合わせて指導していただけます。その場ですぐに反応が返ってくるのは勉強会にはなく、短時間で濃い内容でした。1回目の内容を先生の言葉でなく自分の物、言葉に出来るよう復習し、2回目を楽しみにしたいと思います。

 

藤岡諭子(加圧トレーナー:愛知)

今まで自分が思い込んでいたことが多々ありましたが、初回の講習を受けることにより視野が広がり、新しい面からみる事ができました。やってみてダメだったらまた違う面からアプローチをかける。一辺倒な考えではなく広い視野で見ていくことが大事だなぁと感じました。

またトレーニングやリハビリを行う際に、今の状態をまずは自分が理解し、また相手に理解させることや、気づかせる為にどんな声かけをし、誘導するか…。これがとても難しく、魚住先生がかけられる一言一言が勉強になりました。

トレーニング中に指導者が立つ位置やかける声一つで実施者の動きがかわってくる。実際、自分も体験し理解することができました。身体調整では、みるみるかわっていく自分の姿に驚くとともに、改めて身体調整の素晴らしさを実感しました。この手技を自分のものとするには繰り返し練習するのみとおもいます。

まだまだ未熟すぎるのでさらにスキルアップを目指して練習していき、実践にいかせたらとおもいます。