2012年 4月 の投稿一覧

身体調整テクニック習得コース|ニュースレターNO.286

今月からスタートした身体調整テクニック習得コースの目的は、自然体に戻す考え方とテクニックを徹底的にやるということですが、その準備として解剖・機能の基礎知識や実際に人の身体を触ってどこにどんな組織があるのかわかるということが必要です。

骨格構造が解ってそれがどのように動くようになっているのかということが解らなければ、何をどのように動かせばよいのか分かるはずはありません。通常の解剖学の本を見ても平面でしかありません。

また皮膚の下がどのような状態になっているのかなど全く分かりません。皮膚、筋膜、靭帯、筋肉、骨などがすべてつながっていることがイメージできることが不可欠です。参加者には、それがイメージできる解剖のDVDを渡しています。

からだの構造が理解でき、身体の中がイメージできるようになれば“快”で動かすことも容易になります。ホームページで紹介している解剖のDVDの動画は英語版ですが、イメージづくりには最適なものです。解剖の勉強をしたい方には必須だと思います。基礎編は全部で16時間ですが、何度も繰り返しやらないと応用編には進めません。あまりに気づきの多いことにその必要性を実感されるはずです。

応用編に進めるようになれば、本当に自然体というものが解ったと言えるかもしれません。4月にスタートした5組の方の初回研修の感想を紹介したいと思います。勉強会に参加されている方や初めての方もおられますが、初回のテーマである「刺激と反応を知る」を経験された感想になります。

 

土井孝信(パーソナルトレーナー:奈良)

先日は、新たな気付きをいただき、ありがとうございました。魚住先生から学んだ身体調整テクニックコース初日の感想を提出いたします。コース初日までは、先生からの課題の予習から始まります。予習の内容を理解するにつれ、今まで先生から学んだことが繋がる新たな気付き、発見がありました。そうだったのかというやつです。身体調整で自然体をつくる基礎となる考え方です。探究し応用する本質に触れた気がします。

初回のテーマは、「刺激と反応を知る」でした。パーソナルトレーナーは、生体に刺激を与えるとどういった反応が起こるのかを数多く知っておく必要があります。それが、引き出しを持つということです。それでクライアントの目的にあわせて様々なケースに対応できることになります。

まず、参加者は先生の誘導で身体感覚を感じていきます。自らが身体の刺激に対してどういった反応が起こるのかを認識することからはじまります。それを相手に求める、認識させることが次の段階になります。自らが感じとったことを相手に伝える。簡単ではありません。誘導の仕方一つで結果が変わります。先生のお手本を見た後、ペアでお互いに調整をやり合います。

先生からは手の当て方、言葉がけ、誘導方法、イメージ、合図、リズム、テンポ、呼吸等、アドバイスをいただきます。ごまかしのない指導の本質です。相手にどう感じとらせるかです。わからないよう伝えていることに気付くことができます。痛感することばかりで非常に勉強になります。「シンプルにわかりやすく」です。永遠のテーマです。

感覚を掴みながらお互いの身体調整はすすんでいきます。みるみる身体は楽に軽くなっていきます。身体は実に不思議な反応をするものです。まだまだ知らないことばかりです。私は、先生のテクニックを習得することが目的です。しかし、それだけではないようです。自ら探究し応用することが本物に近付くことだと思っています。先生からきっちりと掴みとりたいと思います。ありがとうございました。

 

赤木 創(パーソナルトレーナー:大阪)

私は定例の勉強会へ参加し、魚住先生から学ばせて頂いて約1年となります。勉強会では自分自身がうまくいかなかった課題や疑問に対して、先生よりアドバイスやそれに対応したテクニックを学ぶスタイルでしたが。今回のコースでは先生が様々なテクニックを応用し実践して、現状まとめたものを徹底的に習得するという内容です。

第一回目で私が一番感じた事は、テクニックの際での相手への言葉がけです。今回のテクニックは簡単かつシンプルな方法で身体が整う方法を学びましたが、実際に相手(クライアント側)に動いてもらうような調整法では、うまく動いてもらうためのトレーナー側の誘導の仕方が大切で、相手の頭にイメージがしやすい言葉を選ぶ事、誘導時の微妙な声の強弱、声の長短が大事だということを徹底して教わりました。

この点は、自分では方法だけを覚えて出来ているつもりになっていたと痛感しました。手技での手の当て方などもそうですが、こういった些細な所に気づけるかどうかでテクニックの結果に差がでてくるのだと思いました。

ほぼマンツーマンでテクニックを徹底して習得できる環境はとてもありがたいです。今回の習得コースの為に頂いたテキスト、付随するDVDを予習しながら次回もしっかり学んでいきたいと思います。

 

吉村一夫(鍼灸師:大阪)

北京中医薬大学鍼灸按摩科で1997年から5年間留学し、帰国後、関西医療専門学校にて鍼灸を勉強してまいりましたが、自分は知識だけの頭でっかちの施術家であると常々、悩んでおりました。そのような折、魚住先生のニュースレターで身体調整習得コースが開設されたのを知り、すぐに申し込みました。

一回目を受講させていただき、やはり申し込んで良かったと、施術中に3,4と念じながらほくそえんでいる次第です。鉛直方向の重しだけで身体のセンタリングが出来ていくのを目の当たりにし、帰ってすぐにベッドの上に重しを吊り下げて寝ています。 魚住先生は私達にたくさんの引き出しを提供して下さいます。1回の講義だけでも相当の数です。

患者さんの身体を変化させることはかなり出来ると思いますが、それをいかに患者さんに気づかせるかは、また別問題だともおっしゃいました。虎の巻にも書かれていましたが、ビフォー、アフターを患者さんに認識してもらえるように練習していきます。 魚住先生の言葉の誘導、触れ方全てが学ぶべきところですので、臨床に活かせるようにたくさん学んでいきたいです。これからもよろしくお願いします。

 

吉村玲美奈(主婦:大阪)

私は、今まで3年間マクロビオティックを勉強し、指導者養成コースで手当を勉強する前に、民間療法でない根拠に基づいた手技、考え方を勉強したいと思い、魚住先生の身体調整習得コースを受講しました。

1回目ということもあり先生は、体の神秘さをいろいろな方法で説明してくださり、今まで体の勉強をしたことのない私には驚きの連続でした。

先生は、門外漢の私に、本当に手取り足取り、圧のかけ方、方向を細かく教えて下さいました。まだまだ、一部しか理解できていませんが、ほんまものはこんなに細かいことに気を配りながら治療をしているのだなあと、気が遠くなる思いです。

ゆくゆくは、食事療法と身体調整の両面からお客さんの体が診られるように精進してまいります。

 

神戸貴子(エステティシャン:大阪)

身体調整を受講して、今まで複雑で難しいと考えていた身体の仕組みが、実はとても単純で素直なことに感激しました。

素直に変わってくれるからこそ、身体の仕組みを理解できているかいないかだけでなく、立ち位置ひとつとっても、調整する側の細やかな気配りや言葉がけなどがとても重要で、たったこれだけでと思うことで結果が変わる...素直だからこそ、良くもなり、悪くもなる。人体の不思議...おもしろくて仕方ない。次の受講日が待ち遠しく、早く人に触りたいという衝動にかられます。ありがとうございました。

 

小林さくら(パーソナルトレーナー:東京)

身体調整習得コースと聞いて、モビリゼーションやストレッチングなどのテクニックを総ざらいしていくつもりでした。が、先生が最初にお話しされたのは「刺激と反応を知る」というテーマからでした。
座っている人間に対して、「楽なポジションでゆする」という、やっていることはごく簡単なことから始まりました。快の感覚を与えるように、ということが体を緩めることには必要なのですが、これが見た目と違い非常に難しい。

これには、実はいろいろなテクニックが含まれていました。

自分の立ち方、相手に対しての手の当て方、動かし方、それに対して得られる感覚、言葉の掛け方、イメージのさせ方、誘導の仕方、うまくいかない相手に対してどう段階を踏んでいくかという指導力。知識はもちろんですが、感じ取る力、イメージする力、アレンジする力、感性が必要です。

最初の数分にして、自分に足りない部分が明らかになりました。逆に言えば、モビリゼーションやストレッチングなどの技術の前に、これがないと始まらないという事を大きく認識することになりました。いくらHow to的なものを得ても、施す側に「指導力」がなければ出てくる結果はまったく違うということ。今コースで先生が一番伝えたいのはこのことだと思っています。

「わかっているつもり、できているつもり」で、いつまでも足踏みはしていられません。この指導力を磨き、高めていきたいと思います。

 

小原浩憲(パーソナルトレーナー:岡山)

9月から3月まで個人教授とグループの勉強会を半年間やってきました。勉強会の中で、先生がきっちりと身体調整ができるようになるまでは何年もかかるとおっしゃっていましたが、半年間のあいだにいろいろな身体調整を学び、練習しクライアントに提供し、ある程度自身があったつもりでした。

しかし、身体調整の基礎コースが始まり先生からの私への課題は、施術が雑と言われました。最初は何が雑なのかさえよく理解ができなかったのですが、初日の4時間のなかで、課題の意味が分かりました。

どれだけ施術が雑だったいうことが。相手にいかに気持ち良くなってもらうかということは、解剖学の知識はもちろん、呼吸、リズム、言葉がけなどさまざまな要素がうまく組み合わさってクライアントが快の状態になるのだということが、全くできていませんでした。

身体調整基礎コースはいままでの個人教授の勉強会とは違い、4時間みっちり身体調整のテクニックを学びます。大変な情報量ですが、このコースは自分自身の大きな糧となることは間違いありません。少しでも先生の考え方、テクニックを継承できるように頑張りたいと思います。

 

二見百合恵(ヨガ・ピラティスインストラクター:名古屋)

私は、11月~3月まで魚住先生の個人教授をお願いし、引き続き今回、身体調整基礎編をお願いしました。個人教授では、毎回テーマと質問にそって、魚住先生からカラダの観念、自然体とはどういうものか、動き、動かすテクニックなど、沢山の事を学びました。

しかし、今回、身体調整基礎編の一回目を受け、あらためてカラダを学びなおました。そして、人のカラダをうまくさわれてなかった、雑に動かしていたと、とても反省しました。理解したと思っていたことが、とてもあまい、あいまいな状態の理解でした。

今回、カラダは微粒子がタプタプしているイメージ、というのが私の中ではとても衝撃的でした。今まで、ぼんやりとしていたものやわからなかった事が少しずつ明確になっていきます。紹介して頂いた本もいろいろ読み、しっかり復習し、次の二回目に参加したいと思います。

 

榊原裕希(パーソナルトレーナー:京都)

身体調整テクニックコースの初日が終わり感じたことは、相手を誘導することの難しさでした。自分の言葉で相手は反応し、その通りに動くということ、結果は答えというように、相手がそのように動く、感じる、反応するというのは、そのように自分が指示をしているのであって、その反応や結果というのは指示一つで変わってくるというものでした。言葉の長さや、言葉の内容、言葉のタイミングすべてを見直し、気づくことができました。

また、自分自身で体感することにより、その体感したことをいかに相手に伝えるか、その自分自身の変化への気づきへとも繋がっていったと感じました。勉強会などでは気づくことができなかった部分や、細かな指摘をしていただくことで、自分自身の指導の曖昧さを感じることができました。実際に自分が指導をすることによって、自分自身が理解できているのか、何が違っていて、どう修正するべきかという内容にも変化が現れたようにも思えました。

この気づきの部分をしっかりと復習し、練習・応用していき自分のものへと会得できるようにしていきます。残りの日程もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。

 

平松信吾(パーソナルトレーナー:大阪)

神は細部に宿るという言葉をまた、改めて思い出しました。手の当て方、触り方は勿論ですが、カウントの仕方、 誘導の言葉の選択、タイミング、強弱が非常に大切なのが良くわかりました。自分がパートナーの指導を受け、「魚住先生と違うな?」と感じていると、カウントの仕方、誘導の言葉掛けの違いだったりする。

実際の手技のやり方が違えば、伸ばす方向、力が違うなと分かるが、言葉でこんなにも感じ方、効果が違うとは、教わって初めて良く理解できました。そして、しっかりイメージして行う、イメージ出来るようにしておくことが大切である。以前教えて頂いていた、数字での誘導も今思えば、指導に使わなかった事、頭が硬くなっていたんだと思います。

目的達成の為に良いと思う事、使えるものは全て使う、この辺りが、大きな違いなのだと感じました。1:1.1の差が1:1.5に感じる事ができ、それを自信をもって、修正出来る様努力したいと思います。

からだをゆるめる|ニュースレターNO.285

普段の生活においてもスポーツパフォーマンスにおいてもリラックスしていること、すなわちからだが弛んでいることが非常に重要です。

しかし、最も難しいことが力を抜いてリラックスすること、楽にやることでもあります。なぜからだが硬くなるのか、それは緊張です。よく集中しろ、何々を意識しろと言いますが、集中するところ、意識するところを間違えると、緊張することになってしまいます。

意識とは、緊張につながるということもあるのです。意識すれば動きが遅くなり、無意識での動きは早くなるということを忘れてはいけません。

日頃からリラックスしたからだを持ちたいものです。そういう意味で「からだをゆるめる」ということは、アスリートだけでなく、ストレス社会に生きる我々にとって・人間にとって重要視したいことであります。

今回紹介するのは、高岡英夫・松井浩著:インコースを打て(講談社2008)です。力を抜くことの大切さをいろいろなケースにおいて解説されています。参考になるところをピックアップして紹介しますが、興味のある方は原著をお読みください。

『野球界の皆さんに尋ねたいのは、リラックスすることや無駄な力を抜くことが大切だと言うのなら、日常的に、リラックスや無駄な力を抜くための専門的なトレーニングを取り入れていますか、ということです。また、無駄な力を抜くことが野球の技術の上達と具体的にどのように関わっているのかしっかりと理解されているでしょうか。

実は、リラックスすることや無駄な力を抜くことが、内角打ちはもちろん、バッティングの基本そのものに密接に関わっています。しかも、皆さんが想像されているより、はるかに深く関係しています。

無駄な力を抜くといっても、「練習前後のストレッチが大事だよな」とか、「定期的にマッサージを受ける方がよい」とか、「力まないようにリラックスに心がけている」などというレベルの話ではありません。野球選手にとって無駄な力がうまく抜けるかどうかは、その選手の野球人生そのものまでも左右してしまう重大なテーマなのです。

バッティング練習ということでいえば、フォーム固めや素振り、打撃練習などと同じように、無駄な力を抜き、体を柔らかく使えるための徹底した専門的なトレーニングが必要だということなのです。』
『人間の体は、ご存知のように筋肉を収縮させることで動きます。言いかえれば、さまざまな動作は、全身の筋肉がたるんだり、縮んだりを繰り返しながら行われています。そして、筋肉は、縮むことでパワーを出します。

そのため、筋力の効率的な出し方という面でいえば、筋肉の力を抜いた時と力を入れた時の差が大きい方が、その人のもつ筋力をより多く発揮しやすい状態にあるといえます。できるだけたるんでダラーンとした状態からよりギュッと縮めば、それだけ大きな筋力を生みだしやすいのです。

もちろん、各個人の筋力の大きさは、その人の筋繊維の性質や太さ、つまり質と量によって違います。しかし、まったく同じ筋繊維の質、まったく同じ筋肉の量の人が二人いると仮定すれば、筋力を発揮させる前からすでに力んでいたり、凝り固まっている人よりも、無駄な力が抜け、柔らかな筋肉をしている人の方が、その人が本来持つ筋力を効率よく発揮できるということです。』

『野球界の皆さんも、筋肉の柔らかい選手ほど何をさせても器用だとか、指導をしても吸収力があるなど体験的にご存知でしょう。また、同じ技術レベルの選手なら、筋肉が柔らかい選手の方が実戦では持てる力を発揮しやすいことも、最近ではよく知られているのではないでしょうか。福岡ソフトバンクの新井コーチも、学生時代を思い出して「力感がないのでスタメンで使ってもらえないんだけど、実戦で使われると私の方がよく打った」と話していますね。

反対に、筋肉が硬いと不器用だったり、怪我をしやすいものです。また、いわゆる筋力に頼った強引なバッティングに陥りがちです。

さらに重要なことは、筋肉が柔らかく、ゆるんでいるほどボディーコントロール力が高いということです。何をさせても器用ということにも関連しますが、ある動作をする時、全身の筋肉が時間的に最適な順番で縮んだり、たるんだりしやすいのです。

といえば、「最適な順番で縮んだり、たるんだりするって?」、「筋肉の収縮に正しい順番がある?」などと疑問に思う人が多いでしょう。非常に大切なことなので、じっくり説明していきましょう。

野球ではしばしば全力疾走をしますが、この全力疾走というのは、当然、全身運動ですよね。全身運動ということは、走っている間に全身に約500といわれる筋肉のほとんどが縮んだり、たるんだりを繰り返しているということです。

その場合、自分のもつ筋力を効率的に発揮しようと思えば、あちこちの筋肉がデタラメに縮んだり、たるんだりしていてはダメなのです。走るという運動に合わせて、全身の約500に近い筋肉が、各瞬間ごとに最適な順番で縮んだり、たるんだりする必要があります。また、ある瞬間、瞬間に縮んでいてほしい筋肉と、その反対にたるんでいてほしい筋肉というのもあります。

つまり、全身の筋肉が、正しく使われる必要があるということです。そして、ここで言う「正しく」とは、私たちが人間へと進化する過程で身につけてきた体の造りや機能に従ってということです。』

『バッティングでいえば腰の回転でも、ある瞬間にはたるんでいてほしい筋肉が十分にたるんでいなければ腰の回転は鈍くなってしまいます。また、収縮した後、すぐにたるんでほしい筋肉の反応がほんのわずかでも遅れたら、やはり腰の回転は鈍ります。腰を回すという運動一つをとっても、全身の筋肉が最適の順番で正しく縮んだり、たるんだりする必要があるのです。

ある筋肉がたるむのがわずかでも遅れたことで、まさに収縮してパワーを出そうとする別の筋肉の邪魔になってしまうからです。無意識のうちに腰の回転にブレーキがかかってしまい、その分バッティングではピッチャーの投げたボールに差し込まれやすくなります。

また、バットコントロールという面から見ても、ゆるんでいることがとても重要になります。一例をあげると、肩に三角筋という筋肉があります。力こぶのできる上腕二頭筋のさらに上方に位置する筋肉です。全身をダラーンとさせた状態から、この三角筋に瞬間的にキュッと力を入れてみてください。

どうでしょうか。ほとんどの人は、その瞬間、両腕がピクッと前方に上がるでしょう。

その距離はわずかでしょうけれども、実は、バットを振る時でも、この筋肉に無意識に余計な力を入れてしまうと腕が勝手に上がる傾向が強くなります。それがほんのわずかなことでも、結果としてバットの軌道は自分の想定よりも高くなりがちです。バットでボールの芯より上の部分を叩き、内野ゴロに倒れる確率が高くなりますね。

さらにフォワードスイングの最中に、この三角筋(特に前側部分)と上腕二頭筋に筋収縮したがる強い癖がつくと、影響はそのバッティング全体にまで及び、スイング軌道全体がアッパースイングになってきます。あるいは、腰背筋という腰の裏側の筋肉があります。ここにキュッと力を入れると、上体が反ります。

上体が反ると、連動して腕も上がりやすくなります。ですから腰を鋭く回そうとして無意識に腰背筋に無駄な力を入れてしまっても、バットスイングは自分の思い描いた軌道よりも高くなることがあります。

日本のプロ野球やメジャーリーグなど高いレベルで活躍したいほどゆるむことが大切人間の筋肉というのは、極めて精巧にできています。だからこそ、150キロを超える豪速球を捉えてホームランを打つことができますし、鋭い変化球でも的確にボールの芯を捉え強く打ち返すことができるのです。しかし、それゆえ、筋肉の使い方のわずかなずれが、バットスイングを狂わせもするのです。

より高度なバッティングを実践したいと思えば、筋肉の収縮と弛緩が正しく、適切に行われることが必要になります。そのために前提条件となるのが、全身の筋肉がゆるんでいることです。プロ野球やメジャーリーグといったより高いレベルで活躍したいと思うなら、全身の筋肉が柔らかくて、ゆるんでいることが重要になってくるのです。』