2003年 6月 の投稿一覧

昨夜のテレビから|ニュースレターNO.073

先週の17日、NHKの「ものしり一夜づけ」という番組で「なみあし」が取り上げられるということで見ておりましたが、ほんの数分間紹介されただけでよくわかりませんでした。普通の歩き方ではないかと思った次第です。

ほとんどの人は、つま先を外に向けて、脚を平行に動かして歩いていますし、私のスプリントから長距離までの指導においても、十数年前、カール・ルイスの出現と共にそのような動作を指導してきましたので、なぜいまさらという気がしました。

その根底は、二軸理論の確立にあると思われますが、これもなぜ理論化したいのか、私にはよくわかりません。物事を理論化しようとすると、必ずどこかでこじつけになるようなところが出てきます。行き着く先は、「自然に」ということではないでしょうか。

何かをするときには、何かの動作が必要になり、また何かをするときには別の何かをする必要があるように思います。それを1つにまとめることは大変なことであり、ひとつの理論になることはありえないと考えられます。最近、スプリントの動作を考えていますと、どんどん深みにハマってきます。

つまり何をやっても速くなるときがありますし、何をやっても速くならないときもあります。スポーツ科学の分野で動作解析が進むにつれ、いろんな分析結果がついてきます。そこに新しい走りかたができあがってしまうというか、あたらしい走りの理屈をつけられている気がします。

これまでの世界記録を出したスプリンターは、それぞれ個性を持ったスプリンターたちです。その一番速いスプリンターが一番よい走り方をしているという理屈は、納得できるようで納得できないところがあります。それぞれの身体特性を、もって生まれた動きの感覚やリズムをうまく最高のレベルに到達させた結果と考えるべきではないでしょうか。

こんなことを考えていると、ますますどのような走り方が一番速く走れる動きなのか、またどのような動作が素晴らしいプレイやテクニックを発揮できるのかというと、共通しているところがあるように思います。それこそ理論ではありませんが、「リラックスする」という共通のポイントがあります。

究極は、リラックスした自然な動きではないかと思っています。そのことを基本に、毎月北海道でT&Fのクリニックを行っています。

参加してくれる選手は、中学生から社会人までさまざまですが、「楽に」、「自然に」、「リラックスして」をポイントというか、そのことだけアドバイスしているようなものですが、そのクリニックから多くの高校生や大学生が全国インターハイに出場してくれることになったり、全日本インカレに出場できるようになりました。

また、クリニックを受けて、陸上が楽しくなり、ベスト記録を更新している選手も大勢います。

さて、肝心な話をしなければいけません。昨日の月曜日、テレビのダイエット番組で「デューク式ウォーキング」というものが紹介されました。これまで何度か見た事があり、本も出版されていますが、今回は4名の主婦の方に、2週間、デューク式のウォーキングを毎日10分間行って、その結果を見るというものでした。

このデューク式というのは、デュークという方が考えたウォーキング方法です。これは、二軸理論に対抗した直線上を歩く、それもしっかり腰をひねって歩くというものです。2週間、1日10分間のウォーキングの成果は目を見張るものでした。

食事などは普通にしており、10間のウォーキングだけが1日の活動の中で増えたというだけです。まず、1週間目の検査で、体重が2~3キロ落ち、血液検査で中性脂肪の値が1/2~1/3に減りました。それで2週間後のウエストの測定では、2.5~11センチも細くなったのです。被検者の主婦は、外見から特に太っているとはわからない方々でしたが、体型がよくなられていました

やせるためのウォーキング法としてこれまで何度も紹介されたのですが、これからはしばらく腰をひねった直線歩行があちらこちらで見られそうです。

結局、二軸とか中心軸ということではなく、目的と方法の関係だけが間違っていないことが重要と思われます。二軸で足を平行において歩くことは、また「なんば」で歩いたり、走ったりすることはエネルギー消費を抑えるためには効果的かもしれませんが、そのことがダイエットには不向きになるということです。

こうしたことから、歩行においてもすべて「・・・の歩き方」ということにはならないのです。

現在、「・・理論」なるものが多く見られますが、必要なことは理論ではなく、その場で何が一番適したことなのかという見分けができることではないでしょうか。

これまで何度もいってきたことですが、新しい情報は、またこれまでの情報もすべてが参考にする情報であり、それらを引き出しに整理しておくことです。

そして何か事が起こったときに、いろんな引出しから1つずつ情報を寄せ集め、最適な手段となるものを決定すればよいことだと思います。理論の活用も頭の柔軟性によって生かされるのでしょう。

UHPC選手の活動報告|ニュースレターNO.072

先週の金・土・日と日本陸上競技選手権大会が横浜の国際競技場で開催されました。UHPCのメンバーも3名4種目に参加し、3種目で決勝進出を果たしました。会員の皆さんも10名ほど応援にきていただき、土曜の夜はさらに多くの方が集合されてそのまま勉強会へと移行しました。

今回のニュースレターは、これまでのUHPCのメンバーの活動状況を報告したいと思います。5名の選手で3月にスタートしましたが、朝比奈選手は、3月の終わりから仕事の方が超多忙になり、ようやく落ち着いて練習ができるようになりかけたところです。試合に出る状況ではありませんでした。

また、高校生になった宮田さんは、400mHとマイルリレーでインターハイに向けてがんばっています。高校の練習となり、いろいろ大変なことも多いようですが、高校生ですので、クラブの中で順調に育ってくれたらと思います。また一番長く指導してきた井内選手は、いろんなプレッシャーからようやく開放され、見事日本選手権でファイナリストになってくれました。

教員として多忙な中での努力が実ったことをスゴくうれしく思います。ようやく先が見えるスタート台に立ってくれたと思います。そのプレッシャーは、以下の今シーズンのレースの報告を見ればわかると思います。

問題になる選手もいます。試合の感想を見てもわかるように、すべての試合の結果について試合の感想が提出しなかったり、個人的な理由で練習を進めてしまうことが多くありました。さびしいことですが、そのような状況には納得しなければいけません。その選手たちは、私の指導を熱望してきた選手たちですが、残念なことにUHPCの活動理念に基づいて活動していくことはむつかしいように思います。

約束事が守れない状況では、当然指導は成り立ちませんし、結果も想像がつきます。一人は、尐しはわかりつつありますが、本当にむつかしいですね。単なるアドバイス程度ならよいのですが、指導するという状況にはならないように思います。

北海道の3名の選手と比べれば、以下の感想を見ていただければわかるように、競技に対する気持ちがぜんぜん違うように感じます。問題は、きちっと一つ一つ積み重ねていく努力を指導者と選手が互いに理解しながらやっていかなければいけないということです。

そして、選手自身が本当に強くなりたいと望み、そのために努力することができるということです。これは私の指導の基本ですし、立派なアスリートになれる人間性をもっていることがなおさら選手として大事な条件になっています。しかし、そのことがむつかしいというか、私の指導スタイルには適していないように感じます。

これまで何度も反省するということではあったのですが、きちっと実行することがむつかしいようです。この先はどうなるか今のところわかりません。こんな悲しいこともありますが、これまでの選手の試合結果を報告いたします。特に、井内選手の日本選手権の感想には、指導者としても胸を打たれる思いです。多くの選手にそんな手助けができたらこれほどうれしいことはありません。

 

井内 聖

5月3日静岡国際 54”64

静岡ではレースを見て頂きありがとうございました。冬場の練習が順調に積めてきただけに今回の結果はショックが大きかったです。帰路の間、今回の結果から何を学ぶかずっと考えていました。今まで、仕事との両立が上手くできず、思うように練習ができなかった数年間がありました。その時期には、練習の出来るときに必要以上のことをしてしまい、同じ失敗を3回も繰り返すミスをしました。

昨年度、卒業生を出し仕事の要領をある程度覚えてきた中で副担任となりました。十分ではないにしろ継続的にトレーニングを積むことができ、失敗した数年間とは逆に練習が出来る環境となりました。両立できなかった数年間は、尐ない練習をしっかりやることで結果がでていました。

ですから、練習すればする程、結果が出るという感覚が自分の中にできあがり、練習をしてきました。練習の積み重ねが結果に結びつくのは間違いないことですが、その方向性に問題があったと思います。今思えば、両立できなかった数年間は、練習の出来ない日がいい休養になっていたのでしょう。

実家から帰る車の中で、妻がこんな事を言いました。「沖縄合宿からずっと、調子がいいとか動きが良かったと言う話を聞いたことがない。銭湯や治療に行っても疲れた顔をしていた。」実際、3月のクリニック以降、調子がよかったという週が思い当たりません。

「しっかり休みをとっていたのに」とも思いましたが、体調不良で休養を取らざるを得ない状況だっただけで、積極的休養で体調を回復させるというのとは尐し違った気がします。rest明けの練習は良いのですが、それ以外ではあまり調子がよくない日が多かったです。

レース後は「あんなに練習したのに何故?自分の中にあった自信が過信になっていたのではないか?メンタル面で何か原因があったのでは?」と色々考えていました。しかし、1日経って冷静に考えてみると、確かに自分の体調が原因であったと素直に認めることが出来ます。

今回のこのような結果になったのは、体調面に原因があります。しかし、その起因はそれに気づかなかった自分自身のミスです。通信教育で指導を受けている以上、自分の体調は自分で管理しなければなりません。より上を目指すために、休養、回復にも気を遣いトータル的にトレーニングを考えていきたいと思います。

せめてもの救いは、1台目まで20歩、6台目まで13歩でいけたことです。これは、体調が悪いなりにも神様が今までの努力に対してくれたご褒美だと思っておきます(特に宗教を信じているというわけではありませんが)。

今週は、リラックスに努めます。練習しなきゃではなく、身体が練習したい、動きたいと思うまで休むつもりです。こんなに悔しい思いはもうしたくありません。心身共にフレッシュな状態に戻し、また頑張ります。

 

5月18日東日本実業団 予選 54″33 決勝 53″02

<予選>
すぐ外側のレーン(5)が吉澤選手だったので同じリズムで走ってみました。吉澤選手と僕では同じ13歩でもピッチが全然ちがいました。「こんなに早いリズムで走るのか!!」と思いながらも同じピッチで走りました。4台目を越えた段階では僕のほうが早いぐらいでした。

しかし、それもそこまでで彼が5台目で14歩に変えた時に同じリズムで走っていたので僕も同じ14歩になり、その後は前半のハイペースがたたりずるずる失速してしまいました。吉澤くんは流して53秒。僕は失速して54秒。体力の違いが出ました。

<決勝>
7レーンだったので、今度は自分のリズムで走りました。歩数や台数は特に決めず、自然に任せて走りました。4台目まで13歩、5台目で14歩に切り替わりました。今回は、歩数を切り替えてから失速することなく走る事ができましたが、その結果7台目まで14歩でいくことになり7台目以降は全て逆脚になりました。

最後の10台目だけ16歩になりましたが、これは逆脚ハードリングで体力を消耗したからだと思います。利き足であれば最後まで15歩で行けたと思います。

<考察>
・スピードはピッチxストライド。力強い13歩も、ストライドの大きい20歩も、ピッチが遅ければスピードにつながらない。
・400mHは、スタートして400m後に結果が出る。前半とばしすぎると後半失速する。400mHをトータルで考える。
・自然に任せれば身体は学んだ事を出力する。4台目で切り替えるリズムが身体に残っている以上、自然と4台目で歩数が切り替わる。

<今後の課題>
・身体に5台目まで13歩、6台目から14歩のリズムを覚え込ませる。1台目までの20歩はピッチに課題はのこるが、ほぼ安定してきた。
・400mHをtotalに考えるのはいいが、現在のスピードでtotalに考えてもそれなりの結果しか出ない。いかに前半のスピードを上げるかをより重点的に考える。それによって今より楽に速いスピードで前半を走れるようになり、結果として後半のスピードも上がる。
・400mでのギアチェンジの練習は必要。前半200mまでと200m~300mの走り方(力の入れ方)は違う気がする。100mx5だけでなく、メニューに入っている300mも積極的に取り入れる。

<自分として結論>
タイムには出ていませんが、走った感覚として確実に結果はでてきています。今回の試合は、とても多
くの収穫がありました。それらをまとめて考えると、今後も目先の結果にこだわることなくトレーニングを継続し、更に上を目指すと言う事になります。

同じ54秒でも静岡とは全然違います。自分の今後の課題が明確になるいい試合でした。全然根拠はありませんが、日本選手権ではいいタイムがでるような気がします。

6月6・7日 日本選手権

自宅に戻り、ようやく肩の力が抜けてきました。思いつくままですが、今回の試合についての感想と考察を送ります。魚住先生には「感謝」の言葉しかありません。前回ファイナルに残ってから、もう5年になります。

仕事との両立だけでなく、自分自身も競技者として足元を見失い、年々記録が落ちていきました。そんな自分に最後のチャンスを与えてくださり、そして、もう一度あの舞台に立たせてくださいました。

「努力は決して裏切らない」先生の言葉をずっと信じてきました。競技を第一に考え、競技を大切にするからこそ、仕事を大切にしてきました。時には仕事のため練習時間が思うように取れないこともありましたが、先生の「それは構わないよ」の一言でどれだけ助けられたかわかりません。

一部の関係者から年齢による体力的限界をささやかれ、選手より指導者として見られることもありました。その時も「年齢は全然関係ない。十分出来る」の言葉で「結果で見返そう」と自分を奮起させることができました。今、こうやって周りから「頑張ったね」「おめでとう」と言われるのも、先生のおかげです。

言葉では言い尽くせない感謝の気持ちしかありません。本当にありがとうございました。

<予選 50”99>

正直な所、前日の方が調子は良かったです。上半身の軽さとは反対にホテルを出るとき脚がやや重いと感じていました。W-UP中もすごく軽いという感じは受けませんでした。サブグラウンドは風が強く、特に1台目から2台目にかけて強風が吹いていました。他の選手は足があわず苦労していたようで、あわせようと何本も走っていました。

スタジアムと条件が違う中で感覚を確かめても意味がないので、自分は1台目までを1本だけあわせ、後はスプリント感覚の確認で終えることにしました。また、自分の調子も考えると本番に力を残すため、できるだけ疲労せず力の出し方だけを確認するにとどめました。

身体と心はつながっています。アップ終了時にウキウキワクワク状態まではいきませんでした。一瞬、今までのレース結果が頭をよぎりました。しかし、スタジアムに入り、スタブロをあわせた時、1台目までの風を感じました。追い風です。途端、「いける」という気持ちが沸いてきました。

何故、この気持ちが沸いてきたのかは説明できません。しかし、「今なら49秒台がでるかも」「いける、大丈夫だ」という気持ちになりました。過去、この気持ちになったときに悪い結果がでたことはありません。急に自信が満ちあふれ、「早く走りたい」という気持ちになりました。

4台目まではリズムにのって13歩で入りました。5台目から14歩に切り替わり、そのまま走り続けた所、7台目も14歩で入ってしまいました。8台目も14歩で入らなければ逆足踏み切りが続くのでリズムを変えストライドをのばしました。8台目は尐し上に跳ぶ感じになり、そこからは15歩で10台目まで越えることができました。

途中、力が入らなくなるときもありましたが、「4着までに入れば、もしかしたら」の気持ちで最後まで持ったと思います。しっかり走ったのは9台目までで、それ以降は「根性走り」のようなものでした。

予選のレースは、7~8台目のところで頑張ったり、9台目以降、抜けそうな力を入れ直したりと、スムーズな流れではありませんでした。走りも9台目までしかしっかり走っていません。そういった意味では万全のレースではありませんので、走りのリズムとペース配分がうまくいけばもっと記録が出るのだという自信になりました。

<決勝 53”00>
前日の疲労が抜けきっていませんでした。それでも緊張感から朝の散歩の時点では、「動けるかも」という感じを受けていました。しかし、それは緊張感からであって正しい認識ではなかったようです。午前中、先生の身体ほぐしを受けてから、急激に眠気が襲ってきました。リラックスしすぎたようです。

その途端、自分自身の体調を冷静に把握することができ、殿部からハムにかけての疲労感を感じてしまいました。

競技場に入り、コールを受けるまでの時間は至福の極みでした。サブグラウンドには、各種目のファイナリストしかいません。予選とは違い、誰もが緊張した面もちで自分の身体を仕上ていきます。そして、一人ずつサブグラウンドを後にし、広いトラックに400mHの8人だけが残ります。

自分がこの場面に立てること、それだけで大きな喜びでした。「400mのリズムで走っていけば、最後に余力が残る」先生のアドバイスを胸に、リラックスして自分のリズムで走ることだけを心がけました。

スタートから1台目、やや遠目からの踏み切りでしたが前に跳ぶことができ、スムーズに2台目に入れ
ました。そこから4台目まではリラックスして自分のリズムで走れたと思います。切り替えの5台目、6台目。この時点で、力が抜けていくのを感じました。脚が思うように動いてくれません。7台目で15歩。そこから勝負できる体力はもはや残っていませんでした。

前半の4台目まではリラックスしスムーズに入れたものの、この日の体調でのスムーズさであって、決勝で勝負できるリズムではありませんでした。悔しいですが、それが結果です。素直に受け止めるしかありません。

決勝の舞台で、前半あれだけ走れたのも先生の身体ほぐしとW-UPでのアドバイスのおかげです。もし一人であれば、もっと頑張りすぎて悲惨な後半になっていたと思います。

今回の試合は、成績以上に精神的に大きな結果がありました。先生もおっしゃられていましたが、心の中のつっかえです。「今年は自己ベストが出る」そう信じていました。この気持ちに対して疑念は持っていませんでした。しかし、春先の記録が悪すぎます。

4年ぶりの50秒台、5年ぶりのファイナル進出が決まったとき、押さえていた気持ちがどっと出てきました。「嬉しい」が最初で、次に「よかった・・・」という気持ちです。「本当に速くなっているのか」「年齢は関係ないのか」「努力は報われるのか」信じてはいても、結果が出ていませんでした。

他にも様々なつっかえ(思い)がありました。それが、結果によって取り除かれました。予選を終え、先生の元へ向かうときの気持ちは感謝と「信じてやってきよかった」です。

50秒台、ファイナル進出により「自信」を手にしました。この「自信」を胸に、今後もトレーニングを励み、更に上を目指したいと思います。やっと夢のスタート地点に立てた気がします。夢を現実にするため、精一杯頑張りますので、今後ともご指導の程、よろしくお願いいたします。

最後に、ファイナル進出で感じたことが一つあります。それは、周りの反応です。身内や友人だけでなく、多くの陸上関係者、選手から激励とねぎらいの言葉をいただきました。

中には、高校生から「勇気をもらいました」「自分も頑張れそうです」という内容のメールもありました。自分の競技が自分だけのものではなく、これから上を目指そうという選手に希望を与えられたことがとても嬉しかったです。僕は北海道を離れたことがありません。

環境も実業団とは大きくかけ離れています。年齢も上がっています。それでもこれだけの結果を出せたということが尐しでも北海道の選手に伝わればと思います。「競技を続けていて良かった」と心底思った瞬間でした。自分を応援してくれる人、支えてくれる人の為にも、頑張りたいと思います。

 

朝比奈 亮

6月に入ってからは仕事がきつくて終電でも間に合わず、自家用車で1時、2時の帰宅でした。6/5で会計検査が無事終わりましたので、もうこれ以上仕事に時間はかけません

井内先生はみごとファイナリストになりましたね。金曜日NHKで深夜1:50-2:50まで放送があったのですが、400mH予選は放送されずインターネットで速報を探して、決勝進出を知ったときは興奮して朝まで眠られませんでした。自分も頑張ります。

開幕戦は7/12、13の道央選手権(千歳青葉)です。1日目の100mに出場しようと思っていますが、2日目の200mは迷っています。100mが3レースなので次の日は間違いなく筋肉痛になっていると思います(人数が多いときは4レースやったこともあります)。エントリーしておいて、あとは2日目の体調次第で決めようと思います。

北海道選手権(8/9、10函館)は予選、準決、決勝と1日3レースとなるのでそのへんが自分にはちょっときびしいです。100mは勝ったことがありません。200mは予選、準決思いっきり流して決勝1レーンから優勝したことがあります。国体予選(8/23、24厚別)は予選、決勝の2レースなので強いのですが。

あと、道央選手権から北海道選手権まで4週間空いてしまいますが、その間レースに出なくて大丈夫でしょうか?北海道権の2週間前に1回刺激を入れたほうがいいと思っているのですが、その時期にレースがありません。

6月のクリニックではもっとパワーのある走りをお見せできるように頑張ります。よろしくお願いいたします。

 

宮田 志帆

5月4・5日 記録会
昨日は400m、今日は100mとリレーに出場しました。両日とも天気はまずまずでしたが、ホームストレートが強烈な向かい風でした。昨日は身体が軽く、リラックスしてスーッと進みました。400mはラストの直線がビュービューの向かい風だったので(-4~5m)前半から思い切っていこうと思って競技に臨みました。

今まで前半に押さえ気味だったのですが、今回は前よりも突っ込んでいけました。ラストの100mは風に負けました。脚が前へ伸びず、進みませんでした。記録は62”98で、良くはありませんでしたがリラックスして力まず気持ちよく走る事ができました。

特に前半で『進む』感覚を得ることが出来たので、良いレースになったと思います。後半のスピード維持・ストライド・もっと初めから大胆に行くことetc課題も見つけることが出来たので良かったです。

5日は、ぼろぼろでした。100mは14”47(-3.2)という、とんでもない記録をだしてしまいました。昨日からの風邪が悪化して鼻水とのどの痛みと微熱があったり、向かい風が強かったりと、あまり良いコンディションでなかったのは確かですが、それは関係ありません。

気を入れなおして、また頑張ります。筋力のなさがよく分かりました。400mリレーも全然ダメでした。アンダーパスでのデビュー戦だったのですが、詰まるところあり、離れるところありで追い風を受けているはずの私(2走)も全くスピードに乗れませんでした。

それで、みんな「アンダーパスで本当にいけるんだろうか」という不安が出てきてしましました。どのタイミングで出ればいいのだろうか、並走してどこで渡せばよいのだろうか、とかがあり、どうもしっくりいくパスが出来ません。アドバイスをいただけると嬉しいです。

今回の記録会はこのような感じでした。全体的に良くない結果でしたが、その分気合が入ってきました。またしっかり練習して頑張ります。

5月10日 記録会

さて、今日の記録会は100mHと4×400mリレーに出場しました。100mHは・・・先週の100mに引き続き、悲惨な結果でした。17”46(-2.1)でした。まず、スタートからの加速が思うように出来ませんでした。そしてハードルに突っ込むように行けず、次のハードルに届くように頑張るのでいっぱいでした。

しかも、9台目が3歩で行けませんでした。先日(水曜日)の練習のときはなかなか良い感じがしたのですが、やっぱり正規のインターバルと尐し(1足長)縮めたものでは違いました。スプリント力がかなり落ちている感じがします。

400mではストライドもそれなりにのびて、テンポよくスーっと気持ちいい感じに進むのですが100mになるとグイグイという力強さがなく、戻りも遅くなるのです。私、400m系の方が向いている感じがするのですが。でも100mでも400mでも、基本のスプリントは同じですよね!?

今度の大会(春季大会)は17・18日にあり、100mHと幅にエントリーしています。高体連全道大会札幌支部予選は、先日連絡しましたように27日~30日で、100mH・400mH・4×400mリレー、それと出場はしないつもりですが幅跳びにもエントリーしています。ちょっと、気合を入れて頑張りたいです。

5月17・18日 春季大会
昨日、一昨日と春季大会がありました。結果は、またもや散々でした。100mHと幅とリレーに出場したのですが、100mHは予選17”33(-2.9)、決勝18”01(-0.9)という記録でした。

ひど過ぎます。悔しいです。前に進みたいのですが、進まないんです。気持ちだけが先に進んでしまい、腰から下がついてこないのです。今日、佐藤接骨院に行ってきたところ、特に処置を施すような気になる所は無いようです。でも、重心が踵のほうに乗ってしまっているとのことでした。

私も走っていて感じます。腰から前へ進んでいく感じがなく、脚→腰→上体という感じなのです。最近腿が上がらなく、重いのはそのせいのような気がします。

あと、この頃腰の辺りがやけに張るのです。座っているとつらくなります。重心の位置、移動の悪さが腰に負担をかけてしまっているのでしょうか。高体連まであと1週間。尐し落ち着いて、1本1本に集中して感覚を取り戻したいです。今週は、

火曜:50m~100m加速走、スタート練習
水曜:400mH練習(スタートから200m辺りまで)
木曜:ウエイトトレーニング
金曜:rest
土曜:魚住先生のクリニック
日曜: 〃
月曜:rest
火曜~ 試合

というplanを立てています。アドバイスをお願いします。それと、幅は4m80(+1.6)でした。記録は落ちてはいませんが、相変わらず5mに届きません。先輩に、踏み切りまえに減速してしまっていると指摘されました。また、跳んだあとの脚もしっかり前へ伸びていませんでした。これも練習が必要です。

400mリレーは52”68でした。実は、オーバーパスでやりました。魚住先生にせっかく教えていただいてヤル気満々だったのにすみません。あのあと何回か練習したのですが、どうもしっくりこないのです。みんな「どうしたらいいんだろう・・・」と?ばかり浮かんできて、中途半端でやるのなら・・・ということで結局オーバーでやることにしたのです。

残念ですが、アンダーを極めるにはもっと時間が必要だと感じました。

5月27~30日 高体連全道大会札幌支部予選
<1日目>
100mHが終了しました。今日はハードルの予選のときに雨だったのですが、午後からはからっと晴れて良い天気になりました。風も+0.5~1.6くらいで、グラウンドコンディションはなかなかでした。結果は・・・全体の9位で決勝に進むことが出来ませんでした。残念です。悔しいです。でも、記録は16”14(確かそうだったはず・・・)で、最後まで3歩でいけました。1台目の入りも遅れをとらずに行けました。

先週まで17秒~18秒の間でもがいていたのは、とりあえず脱出できたようです。決勝の1位は手稲高校の南野さん(3月のクリニックに参加しています)で、14″70でした。スタンドから見ていましたが、凄かったです。力強さと走りのキレが全然違いました。

私も「よし、頑張ろう!」と気合が入ってきました。明日は400mHの予選と、4×100mリレーの準決勝、決勝があります。4×100mリレーは決勝にいけるかどうかという線なので、みんなで頑張って絶対いきます!!400mHは、先日魚住先生に教えていただいたコーナーのハードリングとテンポよい走りを意識するようにします。では、明日もはりきっていきます!!

<2日目>
今日は天気がよく、気温も昨日より上がって(23℃位)、風も程よい具合でした。天候のほうはバッチリのコンディションでした。今日は400mHの予選と4×100mリレーの準決勝に出ました。リレーは惜しくも決勝に進めませんでした。残念。でも、マイルリレーで巻き返しを図るべく、また頑張りたいと思います!

400mHは66”22で、一応自己新でした。6台目くらいまでは全部利き足(左踏み切り)でいくことができ、8台目辺りで1台逆脚になりましたが、その後はまた全部利き足で越えることが出来ました。明日は65秒台は出ると思います。落ち着いて、力まないように気をつけて、最後までテンポが崩れないように走りたいです。

朝のアップのとき身体が良く動きませんでした。400mHのときはだいぶ動くようになりましたが、快調ではありませんでした。今日は早く寝て、明日の400mHの決勝と4×400mリレーの予選に備えたいと思います。では、また明日頑張ります!!

<3日目>
今日は天気は快晴、気温は26度(競技場内)で、日差しが結構強かったです。暑かったです。風は尐し強くて、2~3m位でした。400mH、64秒台がでました!64”88(3位)でした。今朝、魚住先生からのメールを見て「絶対64秒台はだす!!」と意気込んで臨みました。

今日は気温が上がったせいか、身体の動きが良かったです。アップのときに、スーッと動いて「あっ、いける」と思いました。レースでは、1、2位の選手が外側のレーンだったのでそれを追うようなかたちで走りました。

今日は、2台目が逆脚になりました。そのほかは覚えていません。とにかく行き当たりばったりで跳んでいったので、後半のハードリングは凄まじかったと思います。ラストは直線で2位の吉岡ちぐささん(1度練習会に参加しています。)と競り合って負けてしまいました。

(0”07差)悔しいです。次は絶対に負けません。全道大会までにまたパワーアップして、63秒を目指します。

マイルリレーは予選をトップタイムで通過しました。(4’09”67)私は疲れが抜けていなかったのか(400mHの後だったので)、後半、脚が動きませんでした。全道大会でも似たようなスケジュールになると思うので、スタミナをしかりつけて、400m数本でバテないようにしたいです。

先輩がとってくれたラップを見てみると、私は60”9でした。明日は50秒台でバトンを渡せるよう、頑張ります!!みんなで「表彰台のてっぺんに上ろう!!」と気合満々です。本大会ラストのレースなので、思いっきり走ってきます。では、明日の最後のレースを楽しんできます!!

<4日目>
4日間の札幌支部予選会が終了しました!!長いようで短い4日間でした。初めはどうなることかと思いましたが、それほど重い疲労感もなく、なんとか無事に終えることが出来ました。身体も前の大会とは全然ちがい、軽かったです。よく動きました。

競技後に水分と糖質(ご飯、バナナ、スポーツドリンクetc)を沢山とって(魚住先生のアドバイス通り、レース後すぐにオレンジジュースを飲みました。)早めに寝たのが効いたように思います。疲労をためずに試合が出来たのでよかったです。

でもやはり、4日間走りっぱなしは大変でした。

さて、今日の結果です。天気は晴れだったのですが、もの凄い強風でした。ひどいときにはホームストレートで向かい風9.5mというのがありました。

とにかく、未体験の風でした。今日は4×400mリレーの決勝でした。結果は、4’13”?で、3位でした。「ラスト100mは向かい風の強風なので、前半頑張ろう!」と思ったのですが、結局は飛ばせずじまいになってしましました。自分の甘さだと思います。次は絶対に前半から果敢に突っ込んでいくよう頑張ります!!

今回自分のラップが61秒もかかってしまったので、全道大会では50秒台でバトンをつなげられるようにしたいです。みんなでインターハイ目指して頑張ります!!

 

和田 茜里

4月12日 第2回大阪記録会

1.5m92 2.5m92 3.6m02(+1.1)

出だしと助走の腕振り、最後の二歩の入りを意識する事を課題としました。意識で間延びの感覚は以前よりなくなりました。今日は体がぶれていたように感じました。中盤、力は抜けるのですが(自然に進む)、自分では踏み切れていないように感じました。

4月27日 大阪リレーカーニバル
LJ 1.6m03(1.2) 2.F 3.5m88 4. 5m75 5.F 6.F
体が立ってからのリラックス、踏み切り直前の二歩前が伸びないようまっすぐのフラット意識しました。高く浮くのですが助走が記録会の時より動けていなかったです。腕の振りも小さく、体がぶれていました。お尻腰の突っ張り感が気になります。

5月2日 静岡国際グランプリ
TJ 1.13m04(2.3) 2.12m68(2.1) 3.F 4.F 5.12m50 6.12m53
課題がたくさんあることを試合に出るたびに実感します。昨日ご指導いただいたように跳び出す出す方向、腕の振りがまだ小さかったです。当たり前のことなのですがウェイトの大切さ分かりました。もともと弱い足首と腰の疲労が尐し出始めています。針に行ってきます。

5月15・16日 関西インカレ
LJ:1.5m94 2.F 3.6m04 4.F 5.5m87 6.6m05
助走スピードに勢いが無かったように思います。最後の入りの意識はしました。踏み切ってからの動作が速いと感じました。試合の中で修正ができていればもう尐しいいジャンプができていたと反省しています。雨で気温も低い天気でした。

TJ:1.F 2.12m37 3.F 4.12m08 5.12m27 6.F
疲労が足首とハムに来ている状態でした。アップ中は体も重く感じましたが、動いているうちに重さはなくなりました。助走のリズムを意識するのですが、足全体が反応しませんでした。助走も重たい感じで勢いもなかったです。

跳び出す方向に関しては跳んだあとのいつものような衝撃が無かったので感覚はつかめたように思います。1本目と6本目に関しては5cmくらいのファールですが距離は出ていたと思います。動きは小さくはないのですが、遅れているような感じがしました。疲労がピークに来ています。早く回復するように意識を高く持っていきたいと思います。

6月6・7日 日本陸上競技選手権大会
TJ:1.12m12(-0.9) 2.12m38(1.8)3.12m57(1.9)4.12m38(0.2)5.12m45(0.9)
6.12m16(0.8) 7位
助走に勢いが無かったです。体調自体は悪くは無かったのですが、動きが重かったです。踏み切りを入り込む感じを意識しました。ホップで浮きすぎてしまう事は無かったと思います。

ジャンプ(左足)で崩れてしまい、最後までしっかりと地面をつかめなかったです。ジャンプでは上半身が跳び急いでかぶってしまっていました。助走の出だしから力が伝わっていなかったように思います。もう一度確認したいと思います。

LJ:1.5m85(0.4)2.5m88(0.3)3.F 4.F 5.5m91(0.5)6.5m92(0.4) 6位
3本目までは昨日の体の状態でしたが、突然、4本目辺りから、出だしがスムーズに感じ助走が軽く走れるようになってきました。踏み切る手前のアップダウンのリラックスを意識しました(風なのですが昨日と同じなのですが、真後ろからの追い風ではなく横風で多尐気になりました)。

感じか変わったので、のこり3本、もっと確実なジャンプができたと反省しています。踏み切ってから空中までが早いように感じました。着地はTJと同様、かぶってしまっていました。共に課題にしたいと思います。

 

加藤 史子

4月20日 兵庫リレーカーニバル
今日は100mHはハードルを越えるときに体が残らないようにすることと、1代目までをしっかり走ることを課題に、200mは第一回で意識できなかった16歩を意識することがかだいでした。結果は100mH予選は15”06、決勝は15”17で、200mは26”05(0)でした。

ハードルは最初8歩で練習してたんですが、うまく1台目のハードルまではしれませんでした。レースは7歩でいきましたが予選はそんなに違和感はなかったんですが、決勝は5歩目ぐらいでバランスを崩して1台目をうまくクリアできませんでした。どちらともにいえる事ですが、走りがグラついてしまいました。

200mは最初の16歩は意識できました。でも前に進みませんでした・・・。100mHの後で疲れていたんでしょうか。走り全体でいえる事はやっぱりキレがないです。大きな走りができてキレのある走りができるように1つの動きをする時でも集中して練習に取り組みたいと思います。

4月27日 大阪カーニバル
今日の100mHは最初のアプローチを8歩で入ってハードルに入る前の2歩の踏み切りを意識して走ることを課題に走りました。タイムは予選が14”56(+0.6)で決勝は14”60(0)でした。予選も決勝もスタートから1台目まではうまく行けたと思いました。

予選で7台目ぐらいからバランスが崩れて最後までうまく走りきることができませんでした。あと、抜き足が遅かったので、決勝では抜き足も意識するように走ったんですが、後半力んでしまって進みませんでした。ハードルは試合に出るたびにイメージが良くなってるような気がします。

スプリントはまだいまいちピンときません。もっとピピッっと動けるように普段から意識して練習することと、今週は抜き足が遅れないように練習していきます。

5月17日・18日 関西実業団
400mH 61“73 200m 25”47 100mH 14“75(-1.2)
400Hは最初の200mまでスピードをしっかり出して走れるように意識しました。自分の中では200mまでスムーズに走れました。第3コーナーあたりから疲れが出てきてなかなか前に進みませんでした。後半は逆足で跳ぶ回数が増えて、走りにくかったです。

1人で走ってので、走っているスピード感はあまりかんじませんでした。タッチアップは、6“82 4”77 4”77 5“03 4”96 5“29 5”65 5“71 5”96 6“03 6”45です。

200mは初めの16歩を意識していくことを課題に走りました。400Hの1時間後だったので、体がまだ回復していませんでした。スタートダッシュはまったくダッシュがききませんでした。後半は大きな走りができました。

100mHは1台目までの入りがしっかりつっこんでいけるようにダッシュを頑張ろうと思いました。1台目までの入りはスムーズに入れましたが2台目からイメージがハードルを跳んでいるようなイメージになってしまいました。もっと体ごとハードルを越えていけるようにしたいと思います。

「第3回UHPC北海道 陸上競技クリニック見学記」|ニュースレターNO.71特別篇

日本スポーツトレーニング研究所 スポーツトレーニングスペシャリスト
代表 小俣よしのぶ

先日、魚住先生のご厚意により北海道で行われた「UHPC T&Fクリニック」を見学させて頂いた。クリニックの感想を一言で表現すると「濃密!」である。通常、クリニックや講習会というと短時間で一通り方法論やドリルを紹介したりするものである。

言い換えると参加者の専門的知識レベルや競技力を考慮せず主催者やインストラクターのペースにより進められ個別的あるいは専門的に対応しないものである。当然、先生の行われるクニックであるから他のそれらのものとは、趣が異なるであろうことは理解していた。

そして、正に考えたとおり、あるいは期待したとおりであった。正確には、クリニックと呼ぶより合同練習と表現したほうが適切であろう。

参加者は、中学生から社会人の男女でUHPCメンバーも参加していた。土日の2日間行われ、午前中に短距離種目、午後にハードル競技に分かれた。

ほとんどの参加者は、過去2回のクリニックに参加していることもあり先生から大きな変化を観ることはできないであろうと伺っていた。実際、大半の選手は、慣れた様子で黙々とトレーニング課題に取り組んでおり2日間の練習で目立った変化を表した選手はいなかった。

これは、逆に驚きであった。本来なら指導者が毎日つきっきりで選手の変化を見極めながら指導するものである。しかし、UHPCメンバーをはじめとするクリニック参加者は、月にたった一度だけ先生の指導を受け各自トレーニング課題として頂いたものを目標として日々トレーニングを続けている。

先生は、たった2日間、それも合計で10時間にも満たない中で各選手の特徴を見極め適確に指示を与え、選手が先生の指導に従いトレーニングを実行し確実に成果を挙げているのである。このような指導スタイルとその結果を見ると、毎日しかも長時間におよぶ激しい練習を課し厳しく選手を管理する指導者とその指導方法に疑問を持たざる得なくなる。

実は、参加者の中で目立った変化を発見できなかったというのは正確ではなく、本当は、たいへんな変化を目撃した。それも短時間、経った数十分、お昼休みの時間を使っての指導において起こった。クリニックには、中学生が数名参加していた。

その中の走り幅跳びと砲丸投げの選手への指導と、その結果は、目を見張るほどの変化を見せ、またそれを傍らで見学していた人を驚嘆させるものであった。

クリニックには、2名の男子中学生の走り幅跳び選手が参加していた。先生は、両名に一旦跳ばせた後、踏み切り時のステップと踏み切りに至るまでのリズムを簡単に教えた。それはポーツバイオメカニクス的複雑なフォームの解説や選手あがりの指導者に多く見受けられる自分のイメージを伝えるような曖昧なものではなく、非常に簡単な指摘で中学生であっても特別な訓練など必要なくできるようなことであった。

実際、彼らの跳躍フォームは、明らかに改善され記録も大幅に向上した。一旦、要領をつかんだ選手は、跳ぶことの喜びを得たように疲れも見せず次々とダイナミックできれいな跳躍を見せた。せいぜい10分程度の指導で、これほどの結果を示すことを間近にして指導方法の合目的性が結果に大きく左右することを再認識させられた。

また、砲丸投げの女子選手に対しても数度試投させた後、ステップの改善、球の持ち方、リリース時のフォームとフォロースルーに関して指導された。

それまでは、フォーム、砲丸の軌道と方向性、投擲距離もまちまちであったものが、みるみる改善され、フォーム、軌道、方向性、距離とも安定した。これは、最も指導された本人が感覚として自覚したようで、これまでの悩みが一気に払拭できたという喜びに溢れているようであった。

この3名の他にハードル競技に2名の女子中学生選手が2日間にわたり参加していた。彼女達の最大の課題は、ハードル間を3歩で駆け抜けることであった。通常、ハードル間を3歩で駆けるのは容易なことではなく、おおかたの中学生は、4から5歩で通過すると聞いている。彼女たちとり「3歩」というのは、とてつもなく大きな壁であり、多分これまで想像もしなかった極地であったろう。

初日は、スタートから1台目のハードルまでの歩数と踏み切りの調整を行った。初日ということもあり、なかなか要領がつかめなかったが、いいイメージで練習を終了できたように感じられた。2日目、前日のイメージが一気にパフォーマンスとして現れた。参加者全員でフォームの確認、ランニングフォームのイメージ創り、スタート動作のトレーニングを行った後、各自の種目に分かれた。2名は、前日の課題に再び取り組んだ。

軽く数本、スタートから1台目のハードルへのアプローチを始めた。すると、本人たちに確認したわけではないが昨日と比べ明らかにアプローチの感じが軽やかに見える。スタートから1台目のハードル、2台目のハードル、3台目、4台目と先生が徐々にトレーニング負荷を上げていく。

彼女達は、先生の「いけるよ!」「いいよ!」「ホラ!」という言葉に乗せられどんどんハードルを跳んでいく。時間が経つにつれ、気がつくとスタートから1台目のアプローチの正確性が増し、なんとハードル間を3歩で通過している。

その光景は、まるでハードルを跳んでいるのではなく駆け抜けていると言ったほうが正しい形容である。初日は、恥ずかしさが先に立ち怖気づいていた彼女たちも練習の最後には、大胆に全力でトレーニング課題に取り組んでいる一人前のアスリートの姿を見せていた。それは、他の社会人や大学生の参加者と引けを取らない、いやそれ以上に躍動感を感じさせるものであった。

今回のクリニックは、彼女達のスタートしたばかりの競技人生において追い風となる素晴らしいスタートであったと信じる。

先生の指導は、上記したとおり決して難しいことは指導しない、言葉も単純で理解しやすい表現である。また、一流競技者あがりのような目を見張る実演もない。しかし、その指導は、適確で確実にトレーニング効果となって現れる。

特に印象に残るのは、選手の感覚を大事にすることと、それを引き出す言葉選びと声かけのタイミングである。私は、これをそれぞれ「感覚注入法」「感覚確認法」「感覚覚醒法」「感覚獲得法」と勝手に名付けた。

先生が選手に感覚を教え込む際に身体を通して行うのが「感覚注入法」、選手が一旦、きっかけを掴んだ際に行うのが「感覚確認法」、いいイメージを呼び起こさせるのが「感覚覚醒法」、そして、本来選手が持っていない、あるいは体感したことのない感覚を獲得させること、潜在意識下へ焼き付るものが「感覚獲得法」とした。

これらは、私の造語であるので専門的な用語ではない。実際は、先生の指導を形容する適切な言葉がない。言い換えると言葉で表現できないのである。それは、指導というものは、理屈や競技経験に基づく経験論ではなく、指導理論・原理という科学的要素と豊富な指導経験による実践的要素を融合させ体系化し独自に理論構築たものの実践応用であるためである。

仮に「魚住先生理論」というものが存在すのであれば、私は、今回それを目の当たりにしたのであろうと推測する。

最初に申し上げたとおりクリニックと銘打っているが実際は、合同練習会と言ったほうが正しいと言ったのは、参加者全員が先生から直接指導を受け、トレーニング課題を提示され、各自が向上を目指して取り組んでいる真摯な姿勢がクリニックを単なる講習会ではなく合同練習会と成らしめていると考える。

その姿勢は、先生の指導者としての思い入れと先生自身の競技者としての情熱に働きかけ、クリニックをより一層奥深いものとしているのであろうと感じさせられた。また、今回の見学は、私にとり指導の基本の再認識と魚住先生のライフワークを間近に感じさせて頂いた貴重な体験であった。

これまで、セミナーや講習会等以外で先生指導をされる場面を見学させて頂く機会になかなか巡りあうことができなかった。HSSR会員の多くの方々も私と同様に先生の指導現場を体験されていないであろう。「百聞は一見にしかず」である。一度、北海道で行われるこの練習会に参加されることを薦める。

必ず、多くのことを学び、再確認し、新たな刺激を受けることを保証する。特に指導者として活動されている方、専門種目が陸上競技以外であっても参加する価値は、大いにある。

最後に、今回の機会を与えて頂いた魚住先生に心より感謝申し上げます。また、北海道滞在中にお世話になりましたUHPCメンバーの清水先生、井内先生、水野先生、朝比奈さんに対して心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

また、来る6月6日(金)より横浜国際総合競技場で行われる第87回日本陸上競技選手権大会にUHPC所属選手の井内 聖さんが男子400Mハードルにエントリーしている。先生の指導を受け万全の態勢で挑む大会である。今回の北海道クリニックではじめてお目にかかり、その人柄の素晴らしさ、陸上競技にかける真摯な態度に久しぶりに見たインテリジェンスを感じるアスリートであった。

自己記録更新や善戦と言わず、是非ファイナリストとなり決勝のラストコールを受けて頂きたい!
皆さんもご注目あれ!