2002年 6月 の投稿一覧

ワールドカップ観戦の総括|ニュースレターNO.049

2002年ワールドカップもいよいよ後1試合を残すのみとなりました。これを書いているのが25日の韓国とドイツの試合を見た後です。残念ながら韓国も負けてしまいましたが、前の2試合の疲れが出たようで、少し動きが鈍かったようです。終了直前、韓国に得点のチャンスがありましたが、オフサイドでした。

しかし、そのときのドイツのゴールキーパー、カーンの飛び出しの速さにびっくりしました。この3週間は本当に良い目の保養になりましたし、いろいろ勉強させてもらいました。

皆さんも、それぞれいろんなことを感じになられたことと思います。私にとっては、勝ち負けよりも、どれほど素晴らしいプレイが見られるかというほうに興味がありました。

日本は惜しくもと言うより、よく頑張ったといえる敗戦でした。ただ、前回に話したことが現実となって、それが失点のきっかけになったことは間違いないでしょう。それは、チョロパスです。

日本側のエンドライン近くのチョロパスがインターセプトされ、危機を脱するためにコーナーキックに逃れたのですが、そこで初のコーナーキックとなり、相手の高さのヘディングで1点を失いました。そのチョロパスを出した選手は、その後も4回ほどチョロパスを出し、インターセプトされたりされかかったりしていました。きつい話ですが、反省が見られなかったのは悲しいことです。

実は、ゲームの開始早々から気になっていた選手がいました。ボールをもっているのですが、どうも覇気のない選手がいたのです。これは危ないぞと見ていたら、やはりその選手がチョロパスを出してしまいました。ゲーム後のインタビューにその選手も登場しましたが、もちろんチョロパスの失敗の話は出るはずもありません。

ここまで日本選手も大健闘しましたが、やはりトルコ戦を見る限り、明らかに実力の違いは明白でした。ベスト16以上のレベルの違いが明確に見られた試合でした。点数ではなく、ボールコントロール、パス、シュートなど、技術レベルにおいて格段の違いが感じられました。韓国も同様に感じます。

韓国国民のすごいパワーと、高い体力レベルが支えとなり、快進撃を続けてきましたが、ボールコントロール、パスの正確さ、シュート力、スピードなどは、やはり差が確実に見られました。日本と韓国の結果の差は、サポーターがサッカー好きの人たちだけか、国民全体がサポーターなのかの違いで、サポートパワーの違いにあったように感じます。

500万人が路上に出て応援する姿は、日本では当然想像すらできませんし、ありえません。またロシアのように国会を止めてサッカー観戦しようということが国会で取り上げられることもありません。

残念なことですが、これが日本の国民性なのでしょうか。サッカーファンは多いが、日本のファンは少ないということです。一例として、各国のゲームを各国のユニフォームを着てサポーターになれるということです。

外国のサポーターのように、敗戦で深く落ち込むというようなことも見られません。勝っても負けても同じように騒げるということからも分かります。

日本の話はさておき、素晴らしいプレイを振り返ってみたいと思います。その中から日本の今後の対策も見えてくるのではないでしょうか。先日、面白い話を聞きました。

日本では「ボール扱いの上手い子どもが誉められるが、外国ではボールを強く蹴れる子どもが誉められる」という話です。

なるほどそのとおりです。サッカーに限らず、技術優先の国かもしれません。上手いということは、そのままそのときの結果、すなわち勝つことにつながるということでしょう。

そこには将来を見据えた考え方は当然出てきません。現状がよければ、また指導者が満足すれば・・・というような風潮が見られます。

トップチームの技術は当然素晴らしいのですが、もうひとつ感じるところがあります。それは運動能力が素晴らしいと感じることです。ドリブルする姿、ボールコントロールする姿、シュートに入る姿、そこには上手いという表現より、すごいと感じさせてくれます。

そのすごさは細かなテクニックではなく、躍動感やダイナミックさです。一番すごいと感じたプレイは、左のサイドライン付近からのロベルトカルロスの弾丸シュートに近いセンターリングをロナウドがゴール前で、なんと右足の外側に当てて、シュートしたことです。

ゴールを外れましたが、シュートのような早いボールを待ち構えてそれも足の外側で合わせるなんてことは、とてもできることではありません。触れられることも不思議なくらいで、まさに開いた口がふさがらなかった状態です。

このことは、日本選手のチョロパスに例えて考えれば、常日頃から早いボールの対応が習慣化されていなければいけないということでしょう。Jリーグのレベルでは、特に問題はないのでしょう。それは、チョロパスを出す側に問題もあれば、受ける側もそのような状況に慣れていることが考えられます。

外国のリーグで活躍する選手の数を考えれば仕方がないかもしれません。日本選手は3~4人しか、そのような速いボールでのプレイを経験していないのですから、一方トルコの選手はほとんどがそのような環境・レベルでプレイしているわけです。

速いボールに慣れることが最大の課題といえるのではないでしょうか。もう1つは、ボディコンタクトに強くなるということでしょう。体格で劣るわけですから、常日頃から当たり合いを意識したトレーニングも必要になるのではないでしょうか。後ひとつは、やはりキック力です。

短く速いパスを出せるキック力、ミドルパスを正確に速いボールで出せるキック力、弾丸シュートが打てるキック力が課題のように思いますが、これは先に書きましたように、子どもの頃から『強いボールを蹴る』という動機づけが必要になるでしょうし、指導者の意識の中にどれほどその大切さが認識されているかが問題になるでしょう。

スピードについてももちろん大切なのですが、これは当然ボールを蹴る力との関係もあり、先天的なものであるということは分かりきったことですが、特に、最初の2~3歩でいかにスピードに乗るかというランニングテクニックを身に付ける必要があります。

このあたりのことは、見逃されやすいものですが、ジュニアのときにしっかり指導してほしいものです。 決勝は、一瞬たりとも目の離せないゲームになることは必至ですが、後1試合素晴らしいプレイ・動きが観られることに感謝したいと思います。

ワールドカップを観て|ニュースレターNO.048

今回は、ワールドカップの話題です。もう何試合観たでしょうか。連日2試合、時に3試合観る事がありました。それでも飽きない。2~3年分以上、サッカーを観たと思います。それは、プレイの素晴らしさに他ないでしょう。

昨日は、ロシアから念願のワールドカップ初勝利を上げ、決勝トーナメントも見えてきた状況です。私は、本来なら、モスクワのマトヴェーエフ氏のところに行っていたはずですが、ワールドカップ開催中につき、モスクワからの帰りのチケットが取れず、仕方なく9月に延期したのです。

予定は、ロシアの独立記念日である12日にモスクワを発つ予定でしたので、昨日は、もしかしてモスクワで暴動に襲われていたかもしれません。それだけロシアの人たちにとってサッカーは国技といえるのです。世界のトッププレイヤーの動きを見て、皆さんもいろいろ感じるところがあると思います。

まず世界のトッププレイヤーのシュート力のすごさに驚かされます。特にミドルシュートのパワーは、何とも表現できないほどすごいものです。それも、すごい助走をつけたり、勢いをつけたりしなくても弾丸シュートを打てるのは、先天的なものに他ならないのでしょう。

ゲームで目に付くのは、パスのコントロールと、ボールの勢いです。日本選手に対して日ごろから感じていることですが、短いパスのスピードが遅く、それをカットされることが多いことです。ショートパスでも、ボールの勢いが急速に落ちていくパスが多く観られますが、外国選手のパスは、遅く見えてもきっちりしたスムースデータイミングよくパスされています。

当然、クロスの長いパスの正確さも段違いです。そのようなプレイが観ていて飽きさせないのでしょう。それと、ボールコントロールで気付いたことがあります。

ボールは、からだの前でコントロールするように思っていたのですが、トッププレイヤーの多くが、からだの下でボールをコントロールし、そこから、やや止まった感じでパスを出しているように思えたことです。それが安定した動きに見えたのでしょうか。

日本選手は、ボールをからだの前でコントロールしようとしているせいか、なぜか不安定な動きに映りました。密集でのドリブルも、体の下にボールを入れて運んでいるようにも見えます。

しかし、ここで、一番難しいのが、からだの下にあるボールを蹴ることです。からだの使い方が問題になりますが、このような状態でボールを蹴るには、からだを折り曲げるか、からだを後方に倒すかどちらかになります。その2つの動作を上手く使い分けているように思えます。このようなキックができることが、ショートパスもしっかり蹴れるということなのでしょう。

ボールがからだの前にあるより、からだの下にあるほうが、相手のチェックにも対処しやすいことは想像がつきます。一度、このあたりのボールコントロールにも注目してみてください。非常に興味深いものがあります。

さて、ここまでの日本チームの活躍は、すばらしいものがあります。外国チームの評価を裏切る活躍です。どのチームに対しても、体格では明らかに劣ります。これは、昔から変わっていません。技術的には、どうでしょうか。中田英、稲本、小野選手などのプレイを観ていると、シュート力そのものは、後一歩と言う感じはありますが、テクニック的には十分対等になってきていると思います。

最も、対等なもの、また対等以上になったものがあります。それは、おわかりのように、体力面の向上です。90分間ハードに動き回れる体力が、外国選手と対等か、それ以上になったということです。この4年間のトレーニングの成果だと思います。体格の問題はどうしようもありません。

テクニックの問題も、環境の問題が大きいことから、それなりにしか追いつくことができません。しかし、体力面については、やれば対等以上に持っていくことができるのです。他の競技についても同じことがいえます。技術・テクニックばかり頑張っても、世界との距離は縮まらないのです。

体格、技術、体力、この3要素が問題で、大きく改善できる要素と、対等以上に持っていける要素は、明確です。レベルアップが容易なものに力をいれず、レベルアップが難しい要素に、ほとんどの練習時間を割く、この理解ができない限り、世界のトップレベルに追いつくことはできないのです。バレーボールなどは、そのものではないでしょうか。

バレーボールの場合は、むしろ選手の技術は、世界のトップレベルの選手が多いはずです。ところが、体力面、パワーレベルの差が大きすぎるので、現状のような情けない状況にあるわけです。そのことに、30年近く、気づいていないのでしょう。

日本選手の現状の体型からして、まだまだこれから伸びるでしょう。サッカーもぶつかり合うコンタクトスポーツ化してきた感じが強くなってきたように思いますので、より頑丈な肉体を作り上げることが必要です。しかし、単純にウエイトトレーニングをして、筋力をつけていくという発想はどうかと思います。総合的な体力を考慮しながら、サーキット的な体力づくりが基本になるように思います。

体力面のレベルアップは嬉しいことですが、日本選手の弱点があります。それは、脚が遅いこと、スピードが足りないことです。トップチームは、ほとんどの選手が速いし、走り方もスピードが出るような動きになっていますが、日本選手は、どう見てもドリブルして走っているとしか見えません。

また、最初の数歩の出方が遅いようです。どこかで、ランニングそのものの指導を受ける機会を持てばもっとスピードが出るようになると思います。素晴らしいキックができる足は、走ることも速い筋肉を持っているはずです。もっともっと大きな走りができるようになってほしいと思います。

そうすれば、選手のプレイも変わってくると思いますし、疲労度も抑えられるはずです。このあたりのことは、ぜひジュニアのときからきっちり指導する必要があると思います。

最後に、テレビを観ていて思うのですが、世界選手権やオリンピックもそうですが、映像の撮り方が下手です。競技を考えれば分かることですが、テレビ番組と同じで、選手や観客のアップが多すぎます。特にサッカーなんかは、全体的な構図で見なければ、何故このようなゴールに結びついたのかよくわかりません。

プロ野球の中継も同じですが、投手の顔のアップが長く続くために、投手と打者の向かい合った勝負の姿がなかなか見られません。これは、撮る側の明らかなレベルの低さとしか言いようがありません。ゲームの進行中にもかかわらず、観客を映しつづけたり、ゴールを繰り返し移したりします。

その間に、何が起こっているのか全く分かりません。ぜひ、放映する人たちも勉強してほしいと思います。どのような構図が一番そのゲームを観るのに必要なのかということです。このようないらいらは結構多いので、本当に気になります。