2002年 4月 の投稿一覧

中殿筋について|ニュースレターNO.045

今回は、昨年いただいた方の相談でのやり取りについて紹介したいと思います。長距離選手の相談ですが、問題はどのように自分の状況を理解するか、またアドバイスをどのように受け取るか、上手くいった状況と、途中で上手くいかない状況が生まれました。

自分で何かを考えてしまうことでマイナスが出たようですが、誰しも起こり得る状況です。アドバイスするほうも、メールのやり取りだけと言う難しさはあります。

特にトレーナーの領域の仕事をされている方には参考になる例ではないかと思います。

 

4/26、 2001

はじめまして、私は大学で運動科学を専攻している者です。中学から陸上競技の中・長距離をしてきまして、大学でも地元のチームで走っております。長距離選手のアンバランスについて、質問があります。

私は、特に左殿筋周辺にアンバランスをもっております。左の筋肉の盛り上がりが右に比べて小さく、特に中殿筋あたりだと思います。走っている際にも、ときどきそのあたりに張ったような感じがあり、最近は左外側広筋や腸脛靭帯に常時痛みや違和感が出るようになりました。

この、2ヶ月ほど前から本格的にトレーニングをはじめたのが、その原因だと思います。というのは、それ以前はジョッグさえまともにできなかったからで、最近ようやくよくなってきたからです。以前は、軽く流して走ることさえも満足に出来ず、疾走時に左で体を支えることができませんでした。

左の殿筋辺りが抜けるような感じがあり、力が入らない状態でした。先月は、3年ぶりにレースにでまして3000m障害を走りましたが、水郷では、左での踏み切りが出来ず殿筋に抜けるような感じがありました。

そして、レース後、右脚はなんの張りや痛みもなかったのですが、左は外側広筋やヒラメ筋に筋肉痛がすぐさまあり、その後、3日ほどは普通に歩くのも困難なほどでした。私なりに、色々と中殿筋の強化を行ったのですが、あまり効果があがらず、今ではどれがよかったのかということも、わからない状態です。急に、このようなことを申し上げて恐縮ですが、何か御提案がありましたらよろしくお願いします。

 

5/29、 2001 uozumi

遅くなりましたがメール拝見いたしました。結論的に考えられることは、走り方、フォームに問題があるということと、ひょっとして練習環境に問題があるかもしれません。恐らくO脚の傾向があるのではないでしょうか。そして左足のシューズの外側が極端に減ることはないでしょうか。

また、走るところが傾斜のついている所であったり、左回りすることが多くないでしょうか。原因はほとんどこの中にあると思います。左足の外側で着地をすることから、ストレスはスネの外側、大腿部の外側、そして中殿筋で受けることになります。

中殿筋にストレスが蓄積しますと、当然筋肉が硬くなり、しぼんだ状態になります。そうすると股関節の動きが悪くなるとともに、腸脛靭帯も硬くなり、膝の動きも悪くなり、抜ける感覚が出ます。ランニングフォームの改善と、正しい着地できるようにすることです。

スクワット、ジャンプ−ストップを基本にして、後はフラットな着地を心がけること、そしてフラットな所で右回りのランニングを取り入れてみてはどうでしょうか。きちっとやれば自然に良くなるはずです。

 

7/3、 2001

先日のメールでのご指導、本当にありがとうございました。脚の方は、スクワットやジャンプ&ストップをつづけてみたところ、日に日に良くなってきまして、外側広筋や中殿筋には以前ほどの張りや違和感はなくなりました。アキレス腱の硬化も、踵からの足の着地をゆっくりし、ジョッグでよく意識して行ったところ、だんだんと柔軟性は戻ってきているようです。

私の推測ですが、1年余り、左の膝の故障をごまかしながら走ってきたことが、不自然な左足の前方での接地をまねき、それによって硬化を起こしたのではないかと思うのですが、そういうことは、ありえるのでしょうか。

また、左の半腱・半膜様筋あたりの、帰結部分あたりが走っている時、時々痛みます、これはまだそれだけ左側が右に比べて「弱い」ということでしょうか、それとも走る段階に問題があるのでしょうか。重ねて質問をうかがって恐縮ですがお願いします。

 

7/3、 2001 uozumi

『アキレス腱の硬化も、踵からの足の着地をゆっくりとしたジョッグでよく意識して行ったところ、だんだんと柔軟性は戻ってきているようです。私の推測ですが、1年余り、左の膝の故障をごまかしながら走ってきたことが、不自然な左足の前方での接地をまねき、それによって硬化をおこしたのではないかとおもうのですが、そういうことは、ありえるのでしょうか。』

その通りだと思います。

『また、左の半腱・半膜様筋あたりの、帰結部分あたりが走っている時、時々痛みます、これはまだそれだけ左側が右に比べて「弱い」ということでしょうか、それとも走る段階に問題があるのでしょうか。』

帰結部と言うのはどこを指すのか解りませんが、ランニング中に時々痛むと言うのは、半腱と半膜様筋といった、内側ハムストリングスが短縮しているからだと思います。正しい膝の曲げ伸ばしをすることと、現状のトレーニングを重ねること、すなわち正しい動きをすることで徐々に消失すると思います。

 

1/14、 2002

さて、私の左脚のことですが、まだ直った状態には達しておりません。先生に頂いたアドバイスで、スクワット、スクワットジャンプなどのリハビリをあれから1ヶ月ほど続けておりました。

一時期は尐し良くなったのですが、半腱・半膜様筋、大内転筋などの殿筋を除いた左股関節伸展筋群の強化が必要ではないかと、かってに自分で解釈してしまい、そこへばかり意識をしてしまった結果、逆に脚が悪化して歩行もおぼつかなくなってしましました。

そこで、去年の秋にカイロプラクテックへ通い始めましたが、2ヶ月通った結果、何とか直りそうだと思ったので、今は通っておりません。

現在は、まだ歩行・走行の際には左外側広筋の張りを感じていますが、体幹筋肉群の柔軟性・筋力の左右差をなくすためのトレーニング、腹筋群と左股関節筋群(特に伸展筋群)の連携を作り出すための、トレーニングを行っております。ランニングは、先週から5~10㌔ずつはじめましたが、左外側広筋以外には、左腸脛靭帯、左大腿二頭筋(短長)に違和感が出てきます。

 

1/16、2002 uozumi

また元に戻りかけたようですね。正直、あなたの考えられたトレーニングはマイナスだったと思います。弱いところと思って集中的に強化されたことが、かえってバランスを崩すことになったと思います。

これから何をやればよいのかは、私の最初のアドバイスに戻ることです。私がアドバイスしたものをすべて見直してください。そのことを継続されることです。

2週間やってみて、ご連絡ください。もう後戻りしないことです。アドバイスしたエクササイズは、すべてバランスを取るものですから、余りいろいろやられないことです。普通なら、3ヶ月もたてば普通に走れているはずです。

 

1/31、 2002

再度のアドバイスどうもありがとうございました。あれから2週間たった状況を報告したいと思います。 いただいたリハビリのトレーニングとして、スクワット(3セット15回)、スクワットジャンプ(2セット7~10回)を週に6回しております。

それと歩行、走行の際のフラットな着地も意識して行っております。今の状態では、あまり動きに変化があるような感じはありません。走行の際の左外側広筋、大腿二等筋の張りがあります。

それと、左腸脛靭帯辺りへの張りも出てきましたが、これは殿筋がちゃんと動員されている(今まできちんとされていなかった)ということで、動きが改善しているということなのでしょうか。

それと、ひとつ質問なのですが、スクワットはどのようにすることがポイントなのでしょうか。私がしているスクワットは、背中をまっすぐに保って、上体がスムーズに真下におりていくような感じで、行っています。その場合、特に殿筋の動員を感じることができます。

このスクワットは先週変えてみてそうなったのですが、最初1週間までは、背中のアーチを特に意識した状態で行っていました。この場合だと、骨盤が前傾に傾くので、特にハムストリングの動員を感じていましたが、あまりこの方法はよくなかったのでしょうか。今の状態でのスクワットのほうが、体がスムーズに動いているような感じがします。

 

2/5、 2002 uozumi

『左腸脛靭帯辺りへのはりも出てきましたが、これは殿筋がちゃんと動員されている(今まできちんとされていなかった)ということで、動きが改善しているということなのでしょうか。』

これは殿筋が動員されていると言うことではありません。まだ左の外側に体重がかかっていると言うことです。下記の件も含めて、スクワットの仕方に問題があると思われます。これもこの様なメールによるアドバイスであるための問題と思われます。

  1. スクワットは裸足で行うこと。
  2. 両足は、肩幅程度に開き、平行に並べます。
  3. ここから、踵が浮かないようにして、両膝を各つま先の前方に、スキーの直滑降のイメージで、前方に持っていきます。

このときが、足首を最大に曲げることになります。ポイントは、ここで、踵、母趾球、小趾球の3点支持を確認します。

  1. この姿勢から、次に腰を落としてきます。膝が内に入ったり、開いたり、また、踵が浮かない、3点支持が保てない、と言うことに注意します。これが保てる状態のところまでしゃがんできます。これが現在の膝の最大屈曲になります。状態は、無理のない程度にまっすぐに保持します。
  2. 3点支持、膝がまっすぐ前を向いている。この状態で、しゃがんだポジションから、しゃがむときの注意と同じポイントを意識して、立ち上がります。
  3. これをゆっくり繰り返します。そうすれば、外側広筋などに余りストレスを感じないはずです。

ポイントを確認してやってみてください。結果は必ず違うはずです。恐らく、これまでやられていたスクワットは、どこかのポイントが違ったと思われますし、一部分だけ、筋肉が張るということは、それを証明しています。ジャンプ-ストップも、基本的には同じ要領です。

 

3/10、 2002

ご無沙汰しております。ここ、数週間ほどで、脚の状態もだんだんと良くなってきました。先週、先々週と週に100㌔走ることができるようになり、昨日は久しぶりに、3’30”で10㌔のペース走もすることができました。多尐、左外側広筋、腓骨筋あたりに張りが出ましたが、ほんの1、2ヶ月前のことを考えると、今の脚の状態はまるでうそのようです。

それと、先日のメールでアドバイスしていただいたスクワットを続けたところ、走っているときの感覚の変化としては、以前は大腿二頭筋の収縮を強く感じていたのが、今は半腱・半膜様筋の収縮を強く感じるようになりました。ですが、たまに左脚が内に入るようになり、外側広筋の張りが強く出てくることがあります。

 

3/12、2002 uozumi

順調のようですね。そこで次のアドバイスですが、3’30“ペースで10キロいけるようになられたようですから、ランニングイメージを変えてみてください。楽に早く走れるようになるはずです。言葉では難しいですが・・・。

まず両脚の膝にポイントを置いて、力をいれずに、両膝を平行に前へ前へと送ります。そして足首と膝の力を抜いてできるだけフラットに近い形で着地したら、足で蹴る意識をしないで、膝を後方に運んで股関節を後ろに伸ばすイメージにしてください。そうすると、殿筋が使われるはずです。股関節の伸展でお尻の筋肉を使うようにして、足で強く蹴る意識をなくしてください。

まとめると、膝を平行に動かして、股関節を軽く後方に伸ばすだけです。

 

4/15、 2002

今のところ、脚の改善はまだ完全とはいきませんが、お蔭様で良い方向に向かっています。1㌔3’30”で10㌔のペース走をしたということまでお話したと思います。昨日、先週と陸上の大会がありまして、先週は5000m、昨日は3000m、15’07”、8’38”で走ることができました。

この記録は、自己新に近いもので、この数年間では最もいい記録でした。ほんとに、どうも有難うございました。そして、これからも、アドバイスよろしくお願いします。

それで、先日頂いたアドバイスの中で、膝を左右を並行に前方に振り出し、股関節の伸展で後方へのプッシュをするということでしたが、その事を意識すると、左脚、外側広筋にはりが出てきて、どうしても、下腿三頭筋でのけりが強調されてしまうようになってしまします。

今の私の走る意識では、体感の固定と脚の降下時とキック時に力を抜くようにしていますが、その感覚の変化としては、上下のぶれが尐なくなりスムーズになり、ふくらはぎとハムストリングの疲労が減ったように思います。

ですが、スピードが上がったり、レースなどで興奮状態になったときなどは、意識がしにくく、まだ昔の癖がでて気やすく思います。

 

4/16、 2002 uozumi

この1ヶ月でかなり前進されたようですね。もう大丈夫と思います。前回アドバイスしたことと、実際行っておられた感覚が尐し違うようです。前回のアドバイスは、「足首と膝の力を抜いてできるだけフラットに近い形で着地したら、足で蹴る意識をしないで、膝を後方に運んで股関節を後ろに伸ばすイメージにしてください。

そうすると、殿筋が使われるはずです。」と書いたはずです。「股関節の伸展で後方へのプッシュをする」ということとは違います。プッシュの意識はいりません。「脚の降下時とキック時に力を抜くようにしている」ということの方がむしろ正解です。

後、スピードが上がったりすることの対応ですが、これは400mのインターバルを入れてみてください。62~65秒くらいで、ジョッグは300m前後か90秒くらいで、10~12本程度で構いません。走り方は、蹴る感覚を取り払って、とにかく膝を平行に前に前に持っていきます。

前方へのもも上げ感覚でも構いません。ストライドより、ピッチを意識してください。当然膝と足首の力が抜けること、接地時間をできるだけ短くすることがポイントです。1週間に、1回入れてください。それを4~6週間やってみてください。それで3000mは8分20秒、5000mも15分50秒くらいに到達するはずです。その日は、それだけにしてください。

法則の発見|ニュースレターNO.044

今回紹介するのは、「地球のバイオリズム-文明法則史学とは-」林英臣(カタツムリ社 1997年)の本です。わずか70頁ほどの薄いものですが、バイオリズムの本を探していて見つけたものです。如何に分析するかと言う課題について1つの示唆を与えられた思いがします。

まず周期とは、「ものごとは巡る」という考え方で、東洋文明がもっている特徴と考えられています。東洋哲学には、易や陰陽論というものがあります。陰と陽は巡るものであり、これを陰極陽転・陽極陰転というそうです。

「陰、極まれば、陽に転ず。陽、極まれば、陰に転ず」。たとえば、1日のうちに昼と夜の巡りがあります。夜があけると徐々に明かりがさし、気温も上がってくる。これがまさに陰極陽転です。昼が陽で、日が暮れるにつれ、陽から次第に陰である夜になっていく。

こうして毎日、陰と陽が繰り返されています。村山節氏は、これと同じように文明にも巡りがあり、およそ800年の周期で文明の創造力が豊かな時期と非常に衰亡している時期が交代で起きていることを発見されました。

800年周期の波状変動を発見された過程が正しくピリオダイゼーションそのものでもあり、過去を振り返る、また長期にわたって詳細に分析することの大切さを教えられた内容でした。そこで、村山節氏が文明周期を発見された過程を本の中から拾って見たいと思います。

『昭和13年、27歳の夏に不思議な体験をしたのです。そのころ散歩などの目的で八幡宮をよく散歩していたのですけれど、神に手を合わせたり、おみくじを引くことは一度もしませんでした。神様に頼っても仕方がないという気持ちがあったからです。

ある午後のことです。夕焼けが空一面を赤く染めていました。境内を散歩した後、二の鳥居近くの並木道を歩いていたとき、突然空から声が落ちてきました。「歴史は直線の分析より始まる」というのです。大きな声でね。心の中から起きた声ではなく、天からそういう言葉が降ってきて私の心を驚かせました。

「歴史は直線の分析から始まる」-家へ帰ってもこれが頭の中でわんわん響いてしかたがない。しばらくの間考えに考えて「直線は時間軸、分析といったら目盛を読むしかない。つまりこれは物さしかも……統計かな」と考えました。

当時私は.天才論の研究をしていました。天才学の世界的潮流はフランシス・ゴルトン。この人はダーウィンのいとこで、ユージェニクス(優生学)の開拓者です。彼は「天才は遺伝である」と主張しています。私は考えました。遺伝は社会的に大量に変動はしない。天才が平均分布するのならゴルトンの説は正しい。しかし、平均分布しないならば彼の説は間違いである。

そこで私がとりかかったのは、ギリシャの天才時代の研究です。広告の裏をつなぎ、直線を書いてそれに1センチ間隔で目盛りを入れていきました。紀元前800年から1000年間以上に渡り、ギリシャの政治、経済、文化、哲学、芸術などで活躍した天才の名前や生まれた年、没年などを記入していきました。そうしてわかったことは、天才は平均分布していないということです。ゴルトンの学説は成り立たないのです。

同様に次々と年表に記入しながら、中国、ローマ、フランス、イギリスと歴史研究を続けた結果、全体のパターンが似てくることに気づきました。どうも法則があるらしいのだが、これだけでは世界史全体の法則を云々するには資料が足りません。そこで大世界年表を作ることを思い立ちました。

これが文明法則史学研究の始まりです。まず幅1mくらいの紙をつないで廊下に敷き、これに目盛を入れていきました。1cmを10年としました。紀元前であろうと、二十世紀であろうとあくまで10年1cmの等間隔です。100cmで1m。人類6000年の歴史でもって6m。

六畳二室の勉強部屋のほかに家に長い廊下があったことが幸いしました。これに時間軸を直線で横に入れて、横線から上はアジア、下はヨーロッパ、中央付近は中央アジアとインドにして、さまざまな歴史上のできごとを毎日毎日書き入れていきました。寝ている間とトイレ、食事の時間以外は年表に向かいました。

文明のところは赤鉛筆にしよう、天才については紫にしようという具合に色わけして記入しました。廊下はガラスを閉めきってインコ小屋にしていたので、インコの糞が落ちてくる。その下データバコを吸いながら1日中年表をながめていたら、ある日ハッと気づくことがあったのです。

文明はかたまり、集合するらしい。赤や紫の鉛筆で記入したのが固まって出る。決して平均に分布するのではない。たとえば、紀元後四世紀。ここでギリシャ・ローマ文明が衰退する。

次に五世紀から十三世紀まで東洋の大文明。唐、宋、ササン朝、サラセンなどの大文明はみなこの時期に集中している。このアジアの大文明期にヨーロッパは中世、暗黒時代。そして1300年ころからヨーロッパがルネッサンスを迎えると、逆にアジアは衰退に向かっていく。どうも文明には西と東の二本の波があり、それが約800年で周期的に交代しているようだ。本当にそうか? と何度も何度も調べ直しました。

私が文明の法則を見つけだしてから10年以上経った1953年にワトソンとクリックらの学者によって遺伝子のDNAの二重螺旋構造が明らかになりました。文明もDNA同様に、東の文明波と西の文明波が二重螺旋になっているらしい。地球の北半球が夏のときに南半球は冬。同様に東の文明圏が栄えているときには西の文明圏は休止状態です。

こうして文明や歴史の流れをマクロ的にとらえて考えていきますと、法則史学の考え方ができてくるのです。

昭和16年のことです。ある日母親が私に言いました。「節、お前、鏡みたか?」。「いや、1年以上みていないよ」。「ちょっと見てごらん」。驚きました。すっかり自髪になっているんです。このあいだまで黒々していたのに。法則史学の研究に没頭している間にすっかり白髪になっていました。まだ結婚前ですよ。浦島太郎の話、本当なんだなあとつくづく・・・・。』

1つ1つのデータの入力から生まれた結果であったのでしょう。スポーツトレーニングについても同じことが言えます。マトヴェーエフ氏はこれと同じことを選手の競技記録とトレーニング量の関係を長期間にわたって追跡調査しました。

そして10年間にわたる研究結果から、男子は3年周期が2回繰り返され、女子は2年周期が4回繰り返されて、ピークを終えていることがわかりました。

しかし、トレーニングを正しく調整すれば、プラス2~3年はベスト・フォームを維持することが可能であると言っています。そのためには、各年度間の発達の状況を正確に分析することであるということです。

トレーニングにおいては継続的な量の管理が重要であり、トレーニング量のコントロールによって競技生活を如何に長く続けられるかということにもなるようです。何かのデータを1年間並べてみると面白い発見ができると思いますし、それが2年、3年・・・5年とならべていけば現状の結果について納得できたり、改善策が見つかるかもしれません。

毎年結果が直線的な向上を示すことはありえないことであり、トレーニングの量についても直線的な増量はオーバーユース、オーバートレーニング、バーン・アウトを招くということです。人生と同様で浮き沈みを重ねながら成長していくものなのでしょう。このことは素直に受け止めることでです。