2001年 9月 の投稿一覧

今年再びマトヴェーエフ氏を尋ねて|ニュースレターNO.031

9月2日から9日まで、今年2度目、通算5回目のモスクワ訪問、そしてマトヴェーエフ氏とお会いしてきました。

今回のモスクワ訪問は、ある方のロシア留学についての下調べと、関係者への紹介とお願いが目的で、マトヴェーエフ氏がおられるロシア体育アカデミーと話をしてきました。その方がロシアでスポーツトレーニングの勉強ができることを祈っておりますが、現在のところまだ正式な返事はもらえておりません。

これを機に、ロシアでスポーツトレーニングの勉強を希望される方が増えることを期待しています。

ということで、今回は、特別な情報を探しに行ったわけでなかったのですが、偶然にもマトヴェーエフ氏のお宅でサーキットトレーニングのお話を伺うことができました。

我々が知っているサーキットトレーニングは、1950年代に英国のモーガンとアダムソンが開発したもので、負荷は1/2というように固定的なものでした。

それが1960年代に入ってから、旧東独のショーリッチがクライストレーニング(KREISTRAINING)として、開発し、マトヴェーエフ氏が検証し、1966年に東独では『クライストレーニング』、旧ソ連では『サーキットトレーニング』として、両国で出版されました。

マトヴェーエフ氏は、その本に長い前書きを記していますが、現在見つけられるショーリッチの本の中には、それが抜けています。

今回、その1966年にモスクワで出版された共著のコピーをいただいてきました。旧東独時代は、20版を繰り返したベストセラーだったのですが、ドイツ統一後は、指導者達が国外に持ち出して紹介したものだけが残っているようです。ロシア国内にも現在は見つけることができないそうです。

日本では、窪田登先生が1995年にベースボール・マガジン社から出版されたショーリッチの『スポーツマンのためのサーキットトレーニング』があります。この本は、1991年にドイツ統一後にベルリンで出版された『Circle Training』の独語版の翻訳ですが、かなり省略されたものになっています。

またカナダのSport Books Publisherから1992年に出された『CIRCUIT TRAINING FOR ALL SPORTS』という英文の本があります。勿論独語の英訳ですが、ドイツで何年に出版されたものか記載されていません。以上の2冊を比較してみますと、カナダで出版された方が、サーキットトレーへニングの方法論のところが詳細にかかれています。日本のものは、ポイントだけ集約したものになっています。

私がサーキットトレーニングを見直そうと思ったきっかけは、サーキットトレーニングは目的に応じて4つのパターン化・方式があるということです。

今までは、筋持久力と心肺持久力の向上ということが、基本的目的になっていたように思います。サーキットはこれだという固定概念を持っていたことに反省しています。

サーキットは『循環』という概念であり、当然目的に応じてその循環の方法を、また循環するステーションの内容を、またステーションとステーションの間の内容を変えることができるわけです。したがって目的に応じて、サーキットのパターンも4つあるということです。

同様に負荷の程度も5段階ありますし、MAXテストをする際の時間も、スポーツ種目や発達の目的によって20~120秒まであります。もうひとつ、実際のサーキットは、10種目に限っているということが特徴です。

ここで詳しく述べることはとてもできませんが、もう一度サーキットトレーニングを見直して見ると、新しい何かが発見できるかもしれません。

いただいたサーキットトレーニングのコピーは、現在翻訳するかどうか検討中です。前にご紹介した『マル秘エクササイズバイブル』にも、ロシアのサーキットのエクササイズを紹介していますが、それには説明文は一切入っていません。

後ひとつ、現在翻訳をしているものがあります。それは、マトヴェーエフ氏が今年の9月に出版されたアスリートを育てるコーチのための本です。320ページぐらいのものですが、スポーツトレーニング理論を理解し、選手を育てるコーチの必修テキストだとマトヴェーエフ氏はおっしゃっています。

職業としてのトレーナー|ニュースレターNO.030

このHSSRプログラムスの活動を通して、トレーナーやストレングスやコンディショニングコーチ(S&Cコーチ)を目指す多くの人の話をお聞きする機会が増えました。その方々が、皆さん口を揃えて質問されることは「トレーナーやS&Cコーチとしての仕事を職業としたいのですが、どうすればよいですか?」というものです。

主宰者(魚住)は、この質問に対しては、トレーニング、コンディショニング、あるいはリハビリテーションに関する質問に答える時のような歯切れの良さはなく、慎重に言葉を選びながらアドバイスをする様子が私にはいつも印象に残ります。

これは、主宰者(魚住)がこの道の先駆者として、その必要性を世間にアピールし、職業としてトレーナー・コーチに従事できる環境を築き上げようと努力してきたが、なかなか思うように実現しないジレンマと、人一人の人生に関わる問題であり軽率なことは言えないという重みを感じてのことであるように思います。

ニューレターで取り上げるようなテーマではないかもしれませんが、登録メンバーにこのような方が多いことから、あえて取り上げてみました。主宰者(魚住)のこの質問に対する今まで回答を思い起こして、私なりに要点を整理してみました。

 

「自分のセールスポイントを持ちなさい」

近年、職業としてトレーナーやS&Cコーチの仕事につきたいという人が増えているようです。しかし、そのような人たちを受け入れる環境が増えているかというと、ここ近年の経済状況の厳しさから、企業のスポーツチームは廃部に追い込まれ、受け入れ先はますます少なくなっています。

そのような環境で、自分自身のセールスポイントを明確にアピールできることが大切です。

例えば、あなたは「トレーナー(S&Cコーチ)として、チーム(個人)に何ができますか?」「他の人とあなたの違いは?」「あなたが携われば何を変えることができますか?」など、これらの質問に対して、即座に回答できる準備を常にしておくべきです。

そのためには、トレーナ(S&Cコーチ)が、どういう仕事であるのか?

チーム内での役割は? どのような能力が求められるのか?など、仕事についての理解を深め、その中で自分が得意とすることはなにか? やりたいことは? 他の人より秀でたところは?などなど、日ごろから考え整理し、そして、そのための勉強や行動を実行に移していなければなりません。

→「あなたという商品をPRする提案書(スピーチ)を考え、いつでも提供できる準備をしておく」

 

「やるべきことを実行し情報を発信すること」

先述したように、日本ではまだまだトレーナーやS&Cコーチを職業とする環境が整備されておらず、数も少なく、それらの募集の情報は待っていても入手できるものではありません。

ですから、可能な限り関連分野の方々との交流を大切にして、何か良い情報があったときには自分に声がかかる。そのような人間関係を構築する必要があります。

そのためにたくさんの人との接点を持つことはもちろんですが、そこで名刺を渡して『何か話があればお願いします』というだけではおそらくあなたに連絡がくることはないでしょう。

では、何をするべきなのか? それは、自分のトレーナー(S&Cコーチ)に対する夢、興味を持っていること、勉強していること、実際に経験したこと、などなど、熱く語ることです。そしてトレーナー(S&Cコーチ)になるための努力を惜しまず実行することです。熱意は伝わり実行(事実)は信頼を生みます。

→情報は発信しないと入手できないということ。
→地道にやるべきことをやっていればいつかチャンスがくる。

 

「評価基準を明確にし、してはいけないことを認識すること」

実際にトレーナー(S&Cコーチ)の職を得ることができた人や、ボランティアから始めて認められれば正式に採用するという状況の人にとって非常に大切なことです。

あなた自身が何をもって評価されるのかを明確にすること。例えば、あなたがトレーナとして採用されたのであれば、シーズン中のケガの発生率、復帰までの日数の短縮など、客観的な指標哉目標を提示し、チームのトップやスタッフに理解してもらうことが大切です。

また、あなたがトレーナーとして採用されたのであれば、トレーニングプログラムのことや、技術のことについて、選手にアドバイスするべきではないということです。いくら選手に求められたとしても、いくらあなたのアドバイスの方が正しくても、するべきではありません。

プロとして求められているトレーナーの仕事がおろそかになるだけでなく、チームとしての役割分担を崩し、人間関係までも悪くなります。

→自分の役割を認識し、かつチーム全体に認知させること。
→その役割にプロとして徹し、他のスタッフの職域を侵さないこと。

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