2001年 8月 の投稿一覧

エドモントン世界陸上観戦記|ニュースレターNO.029

ヒールでの歩き方を5ステップで解説

昨年のシドニーオリンピックに続き、世界水泳選手権が福岡、世界陸上がカナダのエドモントンで開催されました。ビッグゲームが2年続いたこともあり、新鮮さが欠けた感もありました。そうした中で、今まで目立たなかった男子水泳の自由型、陸上競技の男子スプリント選手の活躍が目立ちました。素直に活躍に拍手を送りたいと思います。

今回は、世界陸上を見て感じたことを書きたいと思います。先ず選手達のスタイルを見ていつも「素晴らしい、美しい」のひと言しかいえません。投擲選手は別として、そのスタイルは正しくスポーツ界のファッションモデル達であるといえるでしょう。

中でも下半身の脚の形は本当に真っ直ぐになっています。あの形のよさが当然パフォーマンスに生かされている証なのでしょう。特に陸上競技では、真っ直ぐ走るということが基本になっていますから、より効率のよい動きができるのでしょうか。

日本人のように、太もも前面の大腿四頭筋とふくらはぎが太く発達し、お尻が下がり気味のスタイルとは、まったく異なります。

一方の外国選手たちは、すらっとした脚に、細いふくらはぎ、そして後ろに飛び出したヒップアップされた大きなお尻、というスタイルです。このような違いは、実際に活用している筋肉の違いであるはずです。当然、大いに使っている筋肉が発達するはずです。

そして、短距離の選手と長距離の選手にその筋肉の使い方に大きな違いが見られないということです。しかし、日本選手は、短距離と長距離のスタイルに違いは見られないが、その筋肉の発達しているところが違う、すなわち活用している筋肉が違うことがランニングスタイルの違いになっているのでしょう。

あのような素晴らしい脚ができるトレーニングや走り方をしなければいけないはずですが、できないというよりも、できないトレーニングや走り方をしているということでしょう

今回は、女子マラソンで2~3の選手は頑張りましたが、男女の長距離種目は、まったく問題にならない状況です。先ず走り方そのものが違うということです。トラック競技では、短距離から長距離までほとんど走り方が変わらない感じがします。考えてみれば一番速く走るのが短距離で、速く長く走るのが長距離です。

走り方が変わらないのは、速く走るというところでは同じだからです。平均スピードが異なるだけで、短距離も長距離もランニングテクニック、ランニングリズムは変わらないということです。

基本はスピードの出る走り方ということになるでしょう。ところが日本選手は、独特の走りが見られます。「効率よく速く走る」というより、「頑張って走る」という気がします。この走り方を変えない限り、この先も永遠に世界のトップで活躍することはないでしょう。

男子も女子も800mや1500mの中距離が強くならないとその先の5000mや10000mも強くならないはずです。「走りこんだら、練習量を増やせば」という時代ではないのです。

ケニアの選手だったと思いますが、1500mの決勝に残った20歳にならない選手だと思いますが、彼のジュニアの3種競技の成績が100m11”1、走高跳1m90、1500mが3’40”以内というものでした。日本だと、短距離か、跳躍の選手になってしまうかもしれません。

こんな選手が多いから、3000m障害のレースでも、圧倒的に強いのでしょう。大障害を飛び越えてしまうなんて考えられません。正しく、パワーを備えた長距離選手たちです。

日本の中・長距離のランニングスタイルを考え直すべきですし、独特のランニングスタイルなんていうことはいうべきではないことに早く気がついてほしいものです。それがパフォーマンスを高めるだけでなく、膝のランニング障害を防ぐことにもつながるはずです。

最後に、男子100mのチャンピオン、モーリス・グリーンと敗れた女子のマリオ・ジョーンズについて感じたことがあります。まずグリーンのスタート前の動きです。舌を出し、肩をいからせ、からだをくねくねさせながら動き回る光景です。

あれは1つのリラクゼーションであり、からだの中心に意識を持たせているのかもしれませんね。実際にまねてやって見るとわかりますが、簡単にはあのようにくねくねできません。全身の力が抜けていないと自然に柔らかく出来ないのです。

そしてあのようにくねくね動かすことで、首、肩、脊柱にも意識することができ、緊張をとることもできるのです。素晴らしいリラクゼーションと集中を高める動作であると思います。

やはり大きな大会で一番大事なことは、集中力を高めることと、リラックスした動きを続けられるかどうかということになります。いわゆる無意識状態です。ところが何かを感じてしまうと、そこに意識が働き、次に緊張、力みというものが出てしまいます。

そうするとその動きに制御が働き、最高のパフォーマンスを発揮できなくなるということになります。この例が、女子の100mで敗れたマリオ・ジォーンズでしょう。出遅れはいつものことですが、ここから加速というところで上手く行かず、その時に余計な情報がインプットされたのではないでしょうか。

あれだけのトップ選手で、ダントツの選手にもおそらくこの大会期間中の精神的・身体的コンディションに問題があったと思いますが、あのようなことが起こるのです。それだけ、ビッグゲームでパフォーマンスを100%発揮することは難しく、そのための緻密な準備が必要であるといえるのでしょう。

よく質問されること|ニュースレターNO.028

最近、質問や相談が多くなってきました。1つは怪我の悩みで、後1つはトレーニングに関することが主です。できるだけ適切なアドバイスを返したいと思うのですが、どのように答えてよいのか状況が見えないことが多いようです。

例えば、怪我で悩んでおられる方の場合、「どこにいっても良くならないのだが、何か良い方法やリハビリはありませんか」と言うものです。

一番難しいことは、直接その人の身体を見ることができないし、姿勢や動きなども全くわからないことです。痛みが発生した経緯を書いていただければ大体想像できますが、ただ「リハビリをしているのだが」、「痛くて」、と言われるとどうしようもありません。

文章の中だけで、状況を把握することは本当に難しく、適切なアドバイスとなると程遠いものになってしまいます。

これまでは、こちらの想像だけで、まず状況を考え、いろいろな問題点がないか問いかけ、それから大まかなアドバイスを送ってあげることがほとんどです。それだけでも、良い方向に変化が見られるようですが、けっして満足のいくものではありません。

スポーツによる怪我の場合は、明らかな外傷でなければ、姿勢や足のつき方、フォームの欠点が最大の痛みの要因になっているようです。じっくり、1つずつ問題点を探っていけば必ず問題点が見つかります。それを治さない限り、痛みや不快感が消失することはないでしょう。

特にフォームに問題があると思われる場合には、メールでいくらやり取りしてもフォームの修正は難しいものです。実際に直接指導できる機会があればよいのですが、それはとても無理なことです。

従って、怪我の悩みについては、できるだけ詳しい状況をお知らせいただければ、具体的な対策もアドバイスできると思います。

フォームについては、ビデオなどで見れれば良いのですが、これもそれなりに手間がかかるものですし、ビデオを見てのアドバイスもメールの返事になるので、どれだけの効果が期待できるか疑問です。一番良いことは、質問を下さる方ご自身の理解力を高めると言うことでしょうか。

痛みの対応は、消して難しいものではありません。何をすればよいのか、何をすればいけないのか、十分理解することです。

次に多い、トレーニングに関する質問ですが、これらの質問も大まか過ぎて適切なアドバイスを送ることができません。筋力アップや何々のための効果的なプログラムはありませんか、と言う質問です。一番返答のしにくい質問です。

最初に、どのような選手やチームを指導していて、これまで具体的にどのようなトレーニングを、どのような内容で指導してきたのか、そしてその結果はどうであったのか、と言うことを知らせてほしいのです。

いつもお話することですが、トレーニングはけっして短期間で効果を出すもの・出るものではなく、積み重ねによるものです。従って、ある期間を経過しないと実施したトレーニングで何がよかって、何が悪かったのか、正しい評価をすることができません。正しい評価ができることによって、そこで問題が発生するわけです。

評価の後、その解決策や対策がわからないと言うことであれば、適切なアドバイスを送ることができると思います。ぜひそのような形で質問していただければ、皆さんのお役に立てると思います。

それと、「何か」、「何か」と言うように特効薬のようなものを見つけたい気持ちもわかりますが、そのようなトレーニングなんてありません。すべては、計画的に、段階的にトレーニングを積み重ねていくと言う修正を加えていくことだけです。

何かを見つけようとするならば、まず基本的なトレーニング理論を理解することです。後は、指導者自身の応用であり、その応用は他人に求めるのではなく、自分自身の中で作る必要があります。それが本当のプロであり、その応用は無限に広がるものであることが理解できるでしょう。

リハビリにおいても、トレーニングの指導においても、広範な知識と柔軟な頭は必要不可欠です。同じ怪我のリハビリや同じスポーツのトレーニングであっても、相手によって対処の仕方がすべて異なると考える必要があります。

たまたま同じことがあっても、次のステップになれば少しずつ違ってくるはずです。自分自身のものの考え方を難しくしないことではないでしょうか。