2001年 3月 の投稿一覧

問題点の発掘とその対処|ニュースレターNO.19

先日、知人から頼まれて実業団の女子長距離選手を見ることになりました。19歳で、数ヶ月前に右足首を捻挫し、それが治ったら左足が痛くなった。左足の親指と人差し指の間からすねの方に痺れのようなものを感じるということで、現在はウォーキングをしているということでした。

立った状態で脚を見ると、左脚がX脚気味に見え、脛骨が外にややO型で彎曲していました。次に長座させて、両脚を見ると、左の膝蓋骨が真っ直ぐ天井を向いておらず、内側に向いていました。さらに痺れが出るというつま先部分(親指と人差し指の間)を見ました。

 

痛みの原因について

このような症状は、一般的につま先の神経腫が考えられ、その原因は、中足骨等のアーチの低下で、親指と人差し指の間で体重を受けていることが考えられます。

つまり、異常体重です。この選手もその通りで、足の裏を見ると、親指と人差し指の間に化骨が形成されていました。右足首の捻挫で、かばっているうちに、左の足に体重をかけすぎたと思われますが、以前からその傾向にあったと思われます。

彼女は、中学から長距離をしているそうですが、これまで怪我の経験はありませんでした。脚の形とアライメントの不良から、これまでよく怪我をしなかったなあ、と思い、恐らく高校の練習は激しいものではなかったと思い、尋ねると、やはりそんなに熱心に練習する学校ではなかったようです。

彼女にとっては、ラッキーでした。もし、ハードにトレーニングをしていたら、すでに何度も膝やスネを故障していたと思われます。

 

対応の考え方

こんな場合どう対応すればよいでしょうか?

とりあえず、中足骨のアーチパッドを作りました。できれば日常、それを当てて、正常なアーチを確保することです。

次に、走りのイメージを想像する必要がありました。部屋の中なので、走らすことはできません。しかし、下肢や腰、背部など全身の筋肉のつき方や状態を触ったり、見ればランニングスタイルは想像できます。腰の左右の筋肉の緊張と盛り上がりが違ったことから、上体を捻って走ることが想像できます。

また、右足首をかばっていたために、左足に体重をかけて走っていたことから、左の中殿筋が緊張していると想像できます。したがって、左の膝蓋骨が内に向いている原因は、構造上のものか、筋肉のアンバランスのものかは、この時点で判断できないということになります。

上背部も右と左の緊張が異なることから、左右の腕振りが違うと想像できます。そして、左のつま先が外を向きすぎているために、プロネーションがあり、内側アーチが落ちた状態になっていました。母趾と中指の間で体重を支えていることから、親指というか、母趾球が浮いた状態で走っていると想像できます。

以上の問題点を解決するには、まず緊張しているところの筋の緊張を解除するところからスタートします。全身の筋の緊張が取れれば、骨格のアライメントも正常に戻されるはずです。

とりあえず、腰と左の中殿筋の緊張をとり、上背部の緊張も取りました。その後、立たせて、軽い屈伸というか、スクワット動作を繰り返しさせます。

両足を平行に開いて、膝蓋骨が真っ直ぐ、つま先方向に移動させることを筋肉に教育します。これは、膝のねじれを防ぐと共に、膝の故障を防ぐために、今後も毎日やるべきことです。

その後、その場でジャンプ・ストップをやらせました。軽く膝を曲げてから真上に飛び上がり、両足を同時にフラットについて着地する。これを繰り返します。足の3点支持の確認です。飛び上がるときに、母趾球に軽く意識をおきます。これで母趾球が浮くことを防ぐと共に、異常な中足骨への体重支持を改善することができます。このエクササイズも練習前と練習後にやるべきことです。

ここまでくれば、後は走りを治すだけです。ホームページ上で、文章での説明は難しいので、細かなことはいえませんが、ポイントは、左右対称の動きをさせること。左右同じように体重支持できるように、足の接地時間をできるだけ短い感覚にします。

言い換えれば、地面をしっかりけって走る事をさせないということです。ピッチを意識した走りということになります。テンポを速めていくことで、左右の足が同様に動くようになります。

後は、両方の足・脚が平行に動かすように筋肉、からだにインプットしていくことです。また、問題であった腕振りについても、ランニングリズムを左右対称の腕振りでリズムをとらせることと、前に持ってきた手はからだの正中線のところに、同じ高さに持ってこさせることです。

 

指導後の変化

以上のようなアドバイスと観察をしながら、ランニングをさせましたところ、無駄な動きが取れ、リラックスした滑らかなランニングスタイルになりました。脚も左右平行に動くようになり、痛みや痺れもまったくなくなりました。何ヶ月ぶりかで、気持ちの良い30分のランニングだったようです。

長く走りすぎると、悪い癖というか、動きが出てくる危険性があるので、短い時間に分けて、1日数回ずつ繰り返していくことです。この結果は、痛みや痺れが出ない動きで走ったためであり、以前は痛みや痺れが出る動きで走っていたと考えられます。

このあたりのことが、室内での痛みの治療だけで解決できない問題があり、動きを見る、修正することで問題解決する場合が多々あるという例ではないかと思います。

この選手も、いろんな治療には通っていたようですが、単なる痛みの治療では解決できなかったということですし、練習も毎日ウォーキングを繰り返すだけで、これも良くあることですが、走りに問題があれば、ウォーキングをしても意味はなく、正しい走りを覚える・筋肉を教育するために、走らなければならないということです。

夢の実現に向けて|ニュースレターNO.018

最近いろんな方とお会いします。特に若い方は、将来トレーナーやトレーニングコーチを目指している方が多いようで、今何をすればよいのか、この先どうなるのかと言った不安をたくさん抱えておられるようです。

その一方で、指導者の方は、どうすれば選手がもっと強くなって、もっと上手くなって、勝てるようになるのか、といった悩みを抱えておられます。また治療家の方は、どうすれば選手が元通りのプレイができるようになるのか、早く治してあげたいのだが上手くいかない、といった悩みを持っておられます。

そんな悩みを解決してあげられれば、と常々思っています。しかし、この身は1つ、到底行き届くことはありえません。私自身は、トレーナーやトレーニングコーチ、指導者のいずれの領域にも首を突っ込んでいるので、いずれの悩みも良くわかりますし、何かアドバイスができれば嬉しいのですが、思うように行かないのが現状です。

私の考え方を一人でも多くの方に理解していただいて、実践に移していただけるならと思い、今年から地道な行動を開始したいと思っております。どうぞ気楽に声をかけてください。

そして、一緒に現状の悩みを解決していきましょう。そんな悩みの解決策として重要なことは、頭を柔軟にしたプラス思考にあると思います。今までと違った方向から問題点を見つめ直し、素直に疑問を持ってみてはどうでしょうか。

以前メンタルの本を読んだ時に、まとめたものがあります。私は、これをまとめてから常に前向きに考えられるようになりました。いかにプラス思考が大切であるかということです。考えることは情報の入力であり、その情報によって脳の回路が組み立てられます。

その情報がプラスのものであるのか、マイナスのものであるのかと言うことです。壁にぶち当たっている人間は、やはりマイナスの情報をインプットしていることが多いことに気がつくはずです。素直に、マイナス情報は消し去り、プラスの情報だけをインプットしていこうと言う気持ちになることが問題解決の糸口だと思います。

以下のまとめを読んで、素直に1ヶ月ほど実践してみてください。きっと新しい自分が出てくると共に、夢も出てくるでしょう。過去には戻ることはできないのです。1秒経てば過去のことでしかありません。

0秒は現状です。先の1秒、1分、1時間、1日、1年、10年を見つめることが必要なのです。そうすれば、そこには夢しか見えないはずです。

 

夢の実現に向けて

  1. 言動や思想・考え方はすべて脳が支配し、脳が命令を下して行動となる。脳は天才も凡人も140~150億個の脳細胞からできているが、普通の人間はこの内の数%しか使っていない。
  2. 天才と凡人の差は、ある事柄に対して脳をいかに集中できるかと言うことにある。
  3. 意識的にその分野の脳を発達させることができれば、だれでも天才に近づける。
  4. その時々の潜在意識の状態によって、脳波やホルモンや自律神経の反応が微妙に変化し、脳の集中度が変化する。
  5. 「好きだ」と思っているのに「いやだな」と思って行動すると、脳下垂体から分泌されるホルモンが変わり、その影響で脳波も変わり、脳の集中度が低下する。
  6. 常に最適な状態にするには、潜在意識の「できない」、「だめだ」、「いやだな」といった否定的なイメージを払拭して、「できる」、「大丈夫」、「好きだ」、「やれる」といった肯定的なイメージを持ち続ける。
  7. その分野のトップの人間と平凡な人間の差は、右脳のイメージ力の差にある。
  8. 右脳のトレーニングを意識的に行なえば、誰しも人が変わったように能力が発揮できる。
  9. 左脳は、主に計算や読む・書くといった分析的、論理的な働きを司り、今までインプットしたデータを分析し、過去を考える脳である。
  10. 右脳は、イメージやカンといった総合的、感覚的な思考を司り、直感力やイメージ力で将来を考える脳である。
  11. 技術の習得は、右脳がイメージして脳に覚えさせる技能の記憶であり、大切なのは練習時間ではなく、練習時の脳の集中度とイメージ力にある。
  12. 脳を最大に集中させる時間には限界があり、長時間トレーニングすると、脳が自然に自己防衛本能を働かせ、目標・目的を忘れ、練習時間をこなすことだけを考える。その結果、右脳のイメージ力と集中度が鈍った状態でトレーニングを繰り返すことになる。
  13. 右脳のイメージ力が発達してくると、意欲的で、脳が集中し、能力が伸びてくる。しかし、右脳のイメージ力が低下すると、スランプやプラトー(停滞)、バーンアウト(燃えつき)のもとになる。
  14. 平凡で終わる人間は、辛いときに脳が「だめだ」、「できない」、「いやだ」と無意識に何度も否定的に反復し、それが潜在意識に長期記憶としてインプットされているので、その場面がくると自己防衛的本能が働き、その否定的な記憶が出てくる。それで脳から目標が忘れ去られ、いやいや事を繰り返してしまう。
  15. その分野でトップになれる人間は、辛いことがあっても、右脳が「できる」、「大丈夫」、「やれる」と肯定的に反復し、すぐに意欲が湧いて、脳を集中させることができる。
  16. その分野でトップになれる人間と平凡な人間の差は、目標や目的に対する右脳のイメージ力の差である。そのイメージ力は、過去の体験や感情を脳が記憶しており、「そこまではできない」、「まだまだできる」と言う判断を脳が無意識に行ない、否定的になったり肯定的になったりしている。
  17. その分野でトップになれる人間は、目標、目的に対して、必ず右脳が人より肯定的で、その肯定的なイメージ(できる、大丈夫、やれる)を無意識に何度も反復し、それが潜在意識の長期記憶になっている。
  18. 右脳が目標に対して肯定的(できる、大丈夫、やれる)にイメージすれば、「その目標達成のためには、どうすれば良いのか?」、左脳と右脳がキャッチボールをして、脳が達成するための分析を始める。これが意欲の現れである。
  19. 目標を失った右脳のイメージ力の弱い人間が、肯定的にイメージすることを徹底的に行なえば、どんな人間でも明確な目標を脳が反復して受け取り、それが潜在意識の長期記憶となり、物事を途中で投げ出したり、諦めたりしなくなる。
  20. 右脳のイメージの無意識の記憶が人間の行動を支配し、やる気にしたり、やる気をなくさせたりする。
  21. 自分の能力を伸ばすことも、妨げることも、自分自身の右脳のイメージの反復にあり、自分の脳にどのような情報を記憶させているかによる。
  22. レベルが低いと思う人間は、過去の自分の能力の体験を脳が記憶しており、ここまではできるが、これ以上はできないと脳が分析し、そのことで脳が生理的変化を起こし、集中度に微妙な変化が起こっている。この壁を破るには、目標をもち、夢をもち、右脳を働かせることである。
  23. 自分がやることに対して、右脳が肯定的(できる、大丈夫、やれる)で、興味があり、自信があり、好きになれれば、無意識のうちに脳下垂体から分泌されるホルモンが変わり、脳の集中度が高まり、その能力を高めることができる。
  24. 肯定的(できる、大丈夫、やれる)な脳の思考回路が働かなくなり、自分を正当化するグチや言い訳、責任転嫁は、潜在意識に組み込まれた自己防衛本能の現れであり、スランプ、プラトー、バーンアウトの一因になる。
  25. 新たな能力を求めて、それが上手くいかず、もがき苦しみ、全てを投げ出したくなるような悩みは、闘争本能的な悩みである。1つの事柄を追求していくと必ず起こるプラトー現象であり、プラトーから抜け出した人間は大きく伸びる。この悩みは新たな能力が誕生するチャンスである.
  26. メンタルは生まれつきのものではなく、全ては人間が成長していく過程で脳に記憶されたデータの反映であり、その時の思考回路の現れである。プラス思考に変換できれば、必ず変化が起き、自分の能力を飛躍的に向上させることができ、夢の実現に近づける。